【声明】
 

布川事件での検察の特別抗告に厳重抗議する

 

本日、東京高等検察庁は、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持した7月14日の東京高裁決定に対して、特別抗告を行った。この検察の申立は愚行かつ暴挙であり、日本国民救援会は深い憤りをもって厳重に抗議し、糾弾する。
そもそも検察は、自らが申立てた即時抗告審において、ほとんど立証活動をせず、徒に原決定を非難するだけの訴訟行為に終始したのである。
また、桜井昌司・杉山卓男両氏が拘置所移監後の検察官の取調において、警察に強要された自白を翻したところ、代用監獄に逆送し「虚偽自白を誘発しやすい環境に置いた」(高裁決定)のも、さらに、二人の無実を証明する証拠を40年間にわたって隠し続けてきたのも、ほかならぬ検察であった。本件冤罪には、検察が度を超えた積極性をもって関与してきたのである。さらに、検察・警察いずれの手によるものであるかは未だ明らかにはなっていないが、桜井・自白録音テープが13ヶ所も改ざんされ、捜査報告書や供述調書まで改変されていたことも、社会の大きな衝撃と憤激を呼んでいる。
本件における原審は、事実上自白だけが唯一の証拠となって、桜井・杉山両氏は29年もの長きにわたり強盗殺人犯の無期懲役囚として投獄されたのであった。しかし、元もと「検察の手元に留め置かれていた証拠などが最初から法廷に出されていれば、有罪とするには無理があった」(7月18日朝日新聞社説)事件なのであり、これらの「新証拠が、確定審における審理中に提出されていたならば、請求人らを有罪と認定するには、合理的な疑いが生じていたというべき」(高裁決定)との判断は、万人が、検察に対する怒りとともに、同意・共感する当然のものである。
報道によれば、「再審開始に必要とされる証拠の新規性や明白性は乏しい」との検討・判断が特別抗告の理由であるとされているが、上記に指摘・糾弾したとおり、事件と審理の中核部分にかかわる検察の違法な訴訟行為の経過から、特別抗告は、再審の法理上違法かつ不当であるだけでなく、人倫にも反する引き延ばし行為であるといわねばならない。
水戸地裁・東京高裁という二度にわたる再審開始決定は、当事者と弁護団、そして全国の支援運動が、世論の支持を背景に力をあわせて勝ちとった成果である。それだけに、今次の特別抗告審は、検察の犯罪性が、社会からいっそう広く批判・糾弾される場となるであろう。日本国民救援会は、二人の奪われた人権を回復するため、一日も早く再審を開始して無罪判決を勝ちとる決意を新たにし、引き続き全力をあげて支援活動を続けていくことを表明するものである。

 
2008年7月22日
 
日本国民救援会中央本部
                               会長 山田 善二郎