【声明】
 

袴田事件の再審請求特別抗告の棄却決定に抗議する

 

 最高裁判所第2小法廷(今井功裁判長)は、3月24日付けで袴田巌さんの再審請求特別抗告を棄却する決定を行った。国民救援会は、この不当決定に強く抗議する。
 袴田事件は、代用監獄における長期にわたる強制された虚偽の「自白」と、その「自白」とは矛盾する、味噌工場のタンクの底から発見された着衣5点を、実質上、決定的な証拠として、袴田巌さんの死刑判決が確定した事件である。
 袴田さんは、事件発生から42年間、再審請求してからも27年の長期にわたり身柄を拘束され、死刑の恐怖とたたかいながら無実を訴えてきた。
 確定判決が実質上有罪の根拠とした「自白」は、原審の静岡地裁判決でさえ連日長時間の取り調べの中で作られた45通の「自白」のうち44通について、違法な手続きによるものとして証拠から排除されたものである。残された1通の「自白」では、パジャマの上に雨合羽を着て侵入し、合羽を途中で脱いで犯行を行い、放火後工場内の風呂場でパジャマを洗った、などとなっていた。
 ところが、その後「自白」と矛盾する5点の衣類が出てきたため、有罪判決を下した裁判所すら、犯行着衣がパジャマであるとする「自白」には、事実と反する部分が多いと認めざる得ないものであった。無罪を確信しながら1審の死刑判決を書いた熊本典道元裁判官は、「残された1通も有罪判決の決め手にならない」と、特別抗告審で「上申書」を提出し、無実の袴田さんを死刑から救済するように最高裁に訴えていたのである。
弁護団は、再審請求にあたって、有罪判決の決め手とされた5点の衣類についても、味噌タンクに着衣を隠す実験や着衣の発見経緯など新証拠をもとに、発見されたズボンは袴田さんには小さくてはけないことなど明らかにし、5点の衣類は何者かが袴田さんを有罪とするために証拠をねつ造したことが強く疑われると主張していた。その他にも弁護団は、くり小刀での犯行は不可能とする法医学鑑定や自白の心理学鑑定などを提出し、確定有罪判決の誤りを明らかにする新しい証拠を提出していた。
にもかかわず、最高裁決定は、「自白以外の証拠で十分に犯人と認定できる」とした確定判決や原決定の、歪曲した証拠構造認識を漫然と踏襲し、弁護団の主張を不当にも斥けた。
 今回の決定は、再審にも「疑わしきは被告人の利益に」の刑事裁判の鉄則が適用されるとした「白鳥・財田川決定」に反して、新旧証拠の「総合評価」を怠り、新証拠を過小評価して、確定判決には「合理的な疑い」が生じないとして、再審請求を棄却したものであり、このような違法な手法により誤った死刑判決を追認したことに強く抗議する。
 日本国民救援会は、袴田さんの無実を確信し、再審無罪をもとめて支援運動を行ってきたが、引き続き、袴田巌さんの再審無罪を勝ちとるために支援運動を続けるものである。あわせて、冤罪をなくすために代用監獄の廃止、捜査過程の全面可視化の実現など、刑事司法の改革を求めていく決意を表明する。

 
2008年3月26日
 
日本国民救援会中央本部
                               会長 山田 善二郎