代用監獄を恒久化する未決拘禁法の成立に抗議する声明

                    

 昨日6月2日、参議院本会議において未決拘禁法(刑事施設及び受刑者の処遇に関する法律の一部を改正する法律)が自民・公明与党の賛成多数(民主、共産、社民、国民新党は反対)で成立した。 
 日本国民救援会は、未決拘禁法案には捜査当局による自白強要とえん罪の温床である代用監獄(警察留置場)の恒久化に加え、被告人の拘禁や新たな懲罰の導入など、憲法や国際人権規約に違反し被疑者・被告人の人権を侵害する重大な問題点が多く、今国会での廃案を強く求めてきた。
  しかし与党は、衆・参法務委員会で十分な審議も尽くさず、野党の反対を押し切り、採決を強行した。今回の採決は、今もなお、多くのえん罪事件が引き起こされている人権侵害の実態を全く無視した暴挙である。日本国民救援会はこの暴挙に強く抗議する。
 そもそも未決拘禁制度においては、被疑者の人権を守るために、捜査機関と身柄拘束機関を分離することが、国際原則となっている。この原則に反する代用監獄制度は、国連からもくり返し廃止を求められてきた、世界の常識にも反する恥ずべき野蛮な制度である。
 日本国民救援会は、引き続き代用監獄の廃止と憲法、国際人権規約などにもとづく被拘禁者の処遇改善を実現するために運動を続けることを表明する。
 未決拘禁法案の採決にあたって、捜査機関が被疑者などの権利を侵害しないよう求めるなど14項目に及ぶ附帯決議がなされたことにも留意し、今後、捜査機関がその権限を濫用しないように監視を強めるとともに、共謀罪の新設法案やビラ配布など国民の言論・表現活動に対する弾圧事件などの動きに見られるように我が国がふたたび警察国家へ歩むことがないように、人権と民主主義を愛する国民と連帯してたたかう決意を表明するものである。

 2006年6月3日
                    
 
                      日本国民救援会
                       会 長   山田 善二郎


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