【会長声明】

少年法改悪法案の強行採決に強く抗議する

 本日、衆議院本会議で自民・公明与党は、「少年法等の一部を改正する法律案」(以後は「改正」法案という)を十分な審理を尽くさないまま、強行採決した。
自民・公明与党は、野党をはじめ日弁連や法律家、教育、市民団体などから「改正」法案の重大な問題点を指摘され、法案を修正に追い込まれた。しかし、与党の修正によっても「改正」法案の危険な本質は何ら変わるものではない。
 そもそも「改正」法案は、「触法少年・ぐ犯少年が増加している」ことを前提にしているが、14歳未満の少年の起こす事件数は減っている。少年法を「改正」する必要はない。
国民救援会は、「改正」法案は、少年に対する警察の調査権限を大幅に拡大させ、厳罰化と監視・威嚇によって少年の非行を封じ込めようとするものであり、少年の成長する力を信じ、教育的な措置をとることで少年の健やかな育成を図ろうとする現行少年法とは相容れず、少年のさまざまな問題を厳罰主義でのぞむものとして強く反対し、廃案を求めてきた。
衆議院法務委員会の審議では、与党議員からも「定義があいまいで濫用のおそれがある」「福祉の観点がおろそか」などの慎重論が出るほどであった。法案の修正によって、少年院送致の年齢下限については、提出時法案における、現行規定の「14歳以上」削除を、「おおむね12歳以上」という、あいまいな規定で送致年齢を引き下げる修正にとどめているなど、なお多く問題が残されている。とくに、国民の大切な権利を「おおむね」などという、あいまいな規定で権利を制限することは絶対に許されない。
幼い子どもたちの再非行防止には、家庭的な人間関係の中での「育て直し」が必要である。より非行の進んだ年長者の収容される少年院は、14歳未満の子どもたちの「育て直し」に適した施設ではない。
いま、必要なのは、少年への監視・威嚇や厳罰化ではない。少年に対しよりきめ細やかに対処できるように、児童福祉分野への人員や予算を拡充し、保護観察官も増員することである。
 以上の理由で、私たちは、衆議院での強行採決に強く抗議するとともに、参議院で徹底審議を行い、「改正」法案を廃案にするため、反対運動をさらに強化することを表明する。


  

2007年4月19日

 

日本国民救援会
会長 山田 善二郎