「日の丸、君が代」の強制を憲法違反とした
東京地裁判決への会長声明

9月21日、東京地裁(難波孝一裁判長)は、東京都教育委員会が「日の丸・君が代」を強制する通達を出したことは違憲・違法だと教職員401人が訴えていた裁判で、国歌斉唱などを強制するのは思想・良心の自由を保障した憲法19条に違反し、都教育委員会の通達や指導は行政による教育への介入の排除を定めた教育基本法に反すると、原告全面勝訴の判決を言い渡しました。
 判決は、「日の丸・君が代は明治時代以降、第2次世界大戦終了まで、皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきたことがあるのは否定し難い歴史的事実」であると認定して、国民の間にもさまざまな意見があり、国旗・国歌に反対することも「思想・良心の自由を定めた憲法上保護されるべき権利」であることを認めました。
そして、「国旗、国歌は、国民に強制するのではなく、自然のうちに定着させるというのが国旗国歌法の制度の趣旨であり、学習指導要領の理念と考えられ、都教育長通達や各校長による職務命令は違法である」と判断しています。
日本国民救援会は、判決が東京都教育委員会の通達・指導が憲法19条、教育基本法10条に違反すると明確に判断したことを高く評価します。
 自民党の安倍晋三新総裁は、この教育基本法の改悪を最重要課題と位置づけて、臨時国会での成立をめざしています。これは、今回の東京地裁判決において、国民の思想・良心、内心の自由の保障の意義を認め、政府や公権力による教育への介入を厳しく断罪したことに照らして、とうてい許されるものではありません。
 日本国民救援会は、これまでも石原都知事・東京都教育委員会による「日の丸・君が代」の強制と、これに反対する教職員の大量処分は内心の自由を踏みにじる異常な処置であり、戦争をすすめる人づくりをねらう教育基本法改悪の先取りだとして反対の立場を表明してきました。
 私たちは、教育基本法の改悪案に反対するとともに、石原都知事・東京都教育委員会が今回の判決を真摯に受けとめ、憲法・教育基本法に違反する通達を撤回し、今後教育に介入しないよう強く求めるものです。

 2006年9月22日

日本国民救援会中央本部会長
山田 善二郎