日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2017年1月5日号

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2017年1月5日号  

岡山・倉敷民商弾圧事件(禰屋裁判) 急いで署名の集中を 判決は3月3日  

 岡山・倉敷民主商工会の事務局員・禰屋町子さんが、会員企業A社の脱税ほう助(法人税法違反)と、会員の確定申告の手伝いをしたことが無資格で税務書類を作成した(税理士法違反)として起訴されている裁判で、12月14日、岡山地裁(江見健一裁判長)で公判が開かれました。検察の論告・求刑、弁護団の最終弁論、禰屋さんの意見陳述がおこなわれ、審理は結審しました。

 弁護団は最終弁論の冒頭に、「事件は、倉敷民商を税理士法違反で弾圧するために、禰屋さんがA社の脱税を手伝ったとする架空の脱税事件のストーリーを利用したものだ」と主張。強制捜査や公訴提起は、倉敷民商の活動を嫌悪し妨害するためのもので、公訴権の濫用だと強調し、次のことを明らかにしました。
 法人税法違反については、脱税工作のために作られる隠し預貯金や不動産などがないことや、脱税した場合に税額に上乗せされる35%の重加算税がA社に課されていないことが、弁護団の調査で明らかになったことなどから、脱税行為自体が存在しないと指摘。禰屋さんが脱税を手伝ったとする根拠はないと述べました。
 税理士法違反については、禰屋さんは「税務書類の作成」はしておらず、会員自ら持参した伝票から決算書を作り、確定申告書の作成ソフトへ機械的に転記・入力しただけで、申告書は会員みずからが確認・署名して作成したものだと主張しました。
 また、倉敷民商は会員の自主計算、自主申告の推進を方針とする組織で、事務局員である禰屋さんはそれを援助したものだと述べて、税理士法が求める「課税の適正」を害する危険がない行為を処罰することは、禰屋さんの民商会員への援助を否定することになり、憲法が保障する結社の自由を侵害すると述べました。
 さらに、終戦直後の生活破壊の中で、中小業者の権利を守るために民商運動が生まれた歴史と、徴税権力による弾圧が繰り返されてきた事実を述べて、本件も無関係ではないと指摘し、「裁かれるのは禰屋さんではなく、権力による弾圧の違法性だ」と述べて弁論を締めくくりました。
 最後に、禰屋さんが声を詰まらせながら意見陳述(別掲)をおこない、傍聴席から拍手がわき起こりました。
 検察は懲役2年を求刑。江見裁判長は3月3日午前10時に判決を言い渡すと告げて閉廷しました。
 倉敷民商弾圧事件全国連絡会では、裁判所へ署名の集中を呼びかけています。
〈要請先〉〒700―0807 岡山市北区南方1―8―42 岡山地裁・江見健一裁判長

「公平な目で判決を」 禰屋さん意見陳述(要約)  

 私は無罪です。
 私は逮捕され、428日間の不当な拘束を受けました。拘置所では「5番」と呼ばれ、外部との接触を絶たれた生活を送りました。
 取調べでは、査察官、公安課の警察官、検察官の誰も私の話に耳を傾けてくれませんでした。査察官は「A社から税金を安くしてという依頼があっただろう」という質問を何時間も繰り返し、警察官は「夫は活動家だから組織の命令でしゃべれないのか」と私を責めました。自白以外の言葉は全く取り合ってもらえない。なぜ、やっていない事を認めなければいけないのか、理解できません。
 裁判において、検察官が請求した証人や証拠は次々採用されましたが、私の無罪を証明するために協力してくれた刑法学者、税理士の方々の意見書や証人尋問は、ことごとく採用されませんでした。私は自らの無罪を証明する手段を奪われました。「被告人に口なし」なのですか。
 事件に対する支援の輪は全国に広がっています。毎回の傍聴席を満席にしてくれ、16万人分を超える署名が寄せられています。支援する会も次々と設立され、29都道府県、39団体となっています。不当な弾圧でなければ全国に共感は広がりません。私は自分と民商が間違っていないことを証明するために、無罪を勝ちとるまで闘います。
 私は無罪です。裁判官は、真実を公平な目で見て、正しい判決をすることを望みます。

懲役2年を求刑 検察 客観証拠示さぬまま  

 検察は論告で、法人税法違反について、広島国税局の査察官報告書によって禰屋さんの犯行を「推認」できると主張しましたが、裏付けとなる客観的な証拠は一切示しませんでした。
 税理士法違反については、納税者の自主申告権などという憲法上の権利はないと切り捨て、無資格者が税理士業務をすれば「課税の適正が害されるおそれ」があり悪質だと述べましたが、全国の青色申告会などで無資格者が確定申告書の「請負作成」をしている実態は触れませんでした。
 さらに、禰屋さんの弁解は、荒(こう)唐(とう)無(む)稽(けい)で不自然・不合理極まりなく、反省の態度が微(み)塵(じん)もないとして懲役2年を求刑しましたが、弁解のどの部分がどう荒唐無稽か、具体的なことは一切指摘していません。抽象論で犯罪者に仕立てる検察の傲(ごう)慢(まん)さが露呈しました。

東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件 再審請求認めず 協議開かず不当決定 東京高裁  

 再審を求めている痴漢えん罪西武池袋線小林事件の即時抗告審で、東京高裁(裁判長・秋葉康弘、裁判官・香川徹也、須田雄一)は12月5日、小林卓之さんの請求を棄却しました。
 小林さんは全身性強皮症により、指の曲げ伸ばしが困難な状態にもかかわらず、女性のスカートの中に手を入れるなど痴漢行為をおこなったとされていました。再審請求で弁護団は、医師の意見書などを新証拠として提出しました。これらは確定審(誤った裁判)で証拠請求を却下され、証拠調べがなされていないものでした。しかし決定は、確定審で証拠採用を却下したことが「実質的な証拠価値の判断を経た」ことになるとして「新規性がない」と切り捨てました。
 小林さんと弁護団は最高裁に特別抗告しました。
〈抗議先〉〒100―0013 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・秋葉康弘裁判長
〈激励先〉〒113―0034 文京区湯島2―4―4 救援会東京都本部 FAX03(5842)6466

命あるうちアヤ子さんの再審を 鹿児島・大崎事件が地元で集会  

 来年3月末までに再審開始の可否判断が予想される大崎事件で、12月10日、「原口アヤ子さんの命あるうちに再審無罪を勝ち取るための集会」(主催・日弁連)が鹿児島市で開かれ、160人が参加しました。
 弁護団報告で木谷明弁護士は、アヤ子さんと夫らが被害者を「西洋タオルで絞殺した」とされた確定判決の誤りをただし、弁護側鑑定で遺体に窒息死や頚部圧迫の所見はないことが明らかになったと説明。検察側鑑定人も遺体の頚椎体前面の出血がタオルによる絞殺では生じないと認めざるを得なかったことを報告しました。鹿児島大学の中島宏教授は、「白鳥・財田川決定」に基づき新旧証拠を総合的に判断すれば、再審開始しかないと述べました。
 第2部では、厚労省郵便不正事件の村木厚子さんや東住吉冤罪事件の青木惠子さん、志布志事件の被害者が、自らの取調べ体験を語り、家族を利用した自白強要などの実態などを明らかにしました。また、布川事件の桜井昌司さん、映画監督の周防正行さんなどが無実の証拠を隠す警察、検察を糾弾しました。
 原口さんの長女も、冤罪に巻き込まれた家族の長年の苦しみを語りました。

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