2021年7月5日号
2021年7月5日号
岐阜・大垣警察市民監視違憲訴訟
原告４氏が当事者尋問 犯罪者扱いは不愉快 平穏脅かしたのは警察 岐阜地裁
岐阜・大垣警察市民監視国賠・個人情報抹消請求事件で６月２１日、原告４人の尋問が岐阜地裁でおこなわれました。
岐阜県大垣市で風力発電建設をめぐり勉強会を開いた住民２人と、勉強会とは関係のない市民２人の個人情報を大垣警察が収集し、風力発電の建設をすすめる企業に提供していた事件。市民４人は監視等は違憲として国家賠償と個人情報の抹消を請求しています。
法廷で４人は警察に監視された被害の深刻さを陳述(別掲)。警察は市民への情報収集活動を「公共の安全と秩序の維持から通常おこなっている」というが、４人の行動は何ら公共の安全と秩序の維持に反するものではないことが、あらためて浮き彫りになりました。
養鶏農家で風力発電の勉強会を開いた三輪さんは、企業と警察の意見交換の議事録に「平穏な大垣を維持したいので、協力をお願いする」と記載されていることについて「何故勉強会を開くことが平穏を乱すことになるのか｡監視し､私たちの平穏な生活を脅かしているのは警察のほうではないか｣と警察を厳しく批判｡裁判所に公正な判断を求めました。次回は最終弁論の予定で１０月２５日。
「もう言う」自由を守る会と国民救援会は当日、全国から寄せられた署名を提出しました（累計１万４０９５人分）。
情報収集に歯止めを 三輪唯夫さん
風力発電建設計画を知り、騒音、健康への影響、土砂災害､鳥への悪影響､景観が損なわれることなどが心配で地元で勉強会を開きました。低周波被害にあった方２人から話を聞き、実際に健康被害があると知りました。
警察は私の情報をねじまげて企業に伝えていて、非常に不愉快です。警察が教えた情報で、他の人からいろんな見方をされるのではないか、人権侵害だと思う。公安警察のやりたい放題は許せません。
公安警察の実態解明を 近藤ゆり子さん
議事録には年齢や学歴など、私がブログにも載せていない個人情報が書かれています。「徳山ダム建設中止訴訟を起こした張本人である」と、ダム裁判をしたことで悪いことをしている人とされていて、不愉快です。
私の個人情報が私人間で居酒屋で話されるのなら、裁判をしようなんて思いません。裁判所は、憲法の根幹を否定する公安警察の実態に切り込み、正して欲しい。
監視に怒りを覚える 松島勢至さん
私自身も含め、上石津町上鍛治屋に住む人たちの生活を守りたいと思い、勉強会を始めたのです。議事録の記載は全く心外です。
事件発覚後も寺の（松島さんは僧侶）修繕にきた業者さんが寺を出た後に、知らない人から寺に来た用件を聞かれたりしています。監視されていると感じます。なぜ監視により行動を制限されなければならないのか、怒りを覚えます。
自由にものが言える社会を願います。
個人情報を抹消して 船田伸子さん
議事録に書かれていた内容は事実と異なり、家族や職場の人しか知り得ないことを調べられたことが嫌でした。とても気味が悪いです。私のことを危険人物であるかのように企業に伝えられています。
被告らは公安警察がどうして私とぎふコラボを監視の対象とし、情報提供したのか、誠実に答えるべきです。裁判所は、私の個人情報の抹消を認めてください。
岡山・倉敷民商弾圧事件
禰屋（ねや）さんに無罪判決を 無罪求める署名１６万を突破 岡山地裁
６月１６日、岡山地裁に要請しました。個人署名は当日分１００３、累計１６万３６５９人分。団体署名は当日分１、累計７２８。要請は北信越・東海の各県から送られてきた４０枚の要請書と禰屋さんをはじめ６人が読み上げて提出しました。
愛知守る会の矢田強一さんは､｢高裁判決から３年半経っても、公判日程が決まらないのは、検察がきちんとした立証計画を出さないからであり、責任を放棄している態度は許せない。税理士法違反について、倉敷民商は相互扶助的な協同組合的な結社であり、営利を目的とした株式会社より憲法上の保障がなされる必要がある。民商会員と事務局員の関係は、仲間同士であり、『他人の求めに応じて』の対象にはならない。検察の弾圧行為に対して、裁判所として毅然とした態度で臨み、無罪判決を」と要請しました｡要請終了後､地裁前で支援の訴えをしました。
（県本部版より）
再審準備事件オンライン交流会
布川の闘いに学ぶ 加盟１２事件５１人が参加
国民救援会は６月５日、再審・えん罪事件全国連絡会との共催で「再審準備中事件オンライン交流会」を開催しました。このとりくみは、連絡会加盟事件と国民救援会支援事件の半数以上が、再審準備中事件であることから、弁護団の組織化や新証拠の発見などの悩みを共有して打開の糸口をつかもうという試みです。ネット会議システムを使っておこなわれ、連絡会に加盟する１２事件と２団体の５１人が参加しました。
第一部は再審無罪を勝ちとった布川事件で再審弁護団事務局長をつとめた山本裕夫弁護士が講演し、確定判決の疑問点に対し、できるだけ新証拠を提出し総合評価を求めたこと、証拠開示によって突破口を開いてきたと強調。また、弁護団会議を明るく発言しやすく充実したものになるよう運営したことや、守る会と救援会が弁護団会議に参加することで新たな論点を生み出してきたことを評価しました。
第二部は日弁連支援の手続きを泉澤章弁護士が報告。その後参加者で交流しました。
第６０回全国大会 いばらき たより
常陸大宮（ひたちおおみや）支部頑張ってます
当支部では、会員拡大でなかなか対象者を出し切れていませんが、その中でも特に最年少のＹさんが動いています。拡大には至らなくても、行動し救援会の訴えをしています。Ｙさんの行動に、大いに刺激を受けています。
そして、念願であった桜井昌司さんの講演会を計画しました。短い期間でのお誘い行動でしたが、39人の方が参加してくれました。コロナ禍の中、会場は48人定員の会議室です。協力頂ける新聞に折込みをしたり、各役員が家族・友人・知り合いの方に声をかけました。その結果、会員でない人が12人の参加です。その方たちへの入会のお誘いはこれから。
「警察、検察官、裁判官が永い永い時間をかけながら見誤り、工作までして揃って殺人を犯していない人を犯人と断定するとは、到底信じられない現実を知りました。」（参加した会員のＩさんの感想文の一部）
参加者一同、元気な桜井さんに会えたことに安堵しながら、逆に元気をいただきました。これから、えん罪防止と再審法改正のために入会を訴えていく計画です。
「事件の顔」を語ろう！ ズバリ３分で支援広げる
兵庫・レッドパージ国賠裁判
４万人を思想差別 日本政府の責任は明らか
■事件の概要
１９４５年８月、日本はポツダム宣言を受諾。４７年５月３日､国民主権､基本的人権の尊重、平和主義を基本原理とし、思想・信条の自由を保障した日本国憲法が施行されました。
ところが、日本を占領したアメリカは、労働運動や民主運動の高まり、日本共産党の躍進などに直面して占領政策を１８０度転換。下山事件･三鷹事件･松川事件などの謀略事件が発生した４９年から５０年にかけて占領軍の示唆のもと、その強大な権限を利用して日本政府や企業が日本共産党員とその同調者とみなした労働者を｢企業の破壊者｣｢社会の危険分子」などの烙印を押して解雇し、職場から追放しました。これがレッド・パージで、被害者は推定四万人にのぼります。
レッド・パージは新聞やラジオで実名報道されました。川崎義啓さんの妻は三日三晩泣き明かしました。職探しは困難を極め、小さい息子を抱えて食事にも困る生活を強いられ、看護師の妻が一家を支えました。
安原清次郎さんは職安で「レッド・パージを受けた者を雇ってくれるところはない」と断られ、職を転々とし、河原で拾った石を磨いて売って生計を立てざるをえず、生活が困窮して結婚もできませんでした。
大橋豊さんは、母が父の位牌を手に「家族みんなを殺して出ていけ」と叫び、頭を丸めて尼寺に入り、妹は就職の内定が取り消されました。アルバイトなどで自分の食費を削って仕送りを続けたため、栄養失調で入院したこともあったといいます。
職場復帰を閉ざされた被害者は年金が保障されないなど、その被害は現在にもおよんでいます。
■国の責任を問う
５２年に平和条約が発効し、占領は撤廃されたにもかかわらず、占領下で行われたレッド・パージについて謝罪も名誉の回復もいまだになされていません。
約５０年の沈黙を経て２００２年、「生きてるうちに名誉の回復と国家賠償を」と、兵庫の３人―川崎義啓さん(旭硝子・９２歳)・安原清次郎さん（川崎製鉄・８８歳）・大橋豊さん（神戸中央電報局・７９歳）―がたたかいに立ち上がりました。
レッド・パージは当時の吉田内閣が「共産主義者等の公職からの排除」を閣議決定して実行されています。日本政府と企業がＧＨＱの示唆を超えて主体的に加担したことが、裁判や国会での追及で明らかとなっています。また、当時被害者の救済を否定した判決を出していた田中耕太郎最高裁長官が、ＧＨＱの指令に基づきレッド・パージがなされたようにするためにＧＨＱにかけ合うなどの暗躍をしていたことが裁判で明らかとなっています。
■国会請願運動に
３人は兵庫弁護士会に人権救済を申し立て。０８年に日弁連が日本政府に対し人権救済を勧告しました。０９年に提訴した国賠請求訴訟で地裁、高裁ともに３人がその思想信条を理由として解雇、免職されたことは認めたものの請求は棄却。１３年に最高裁で確定しました。再審請求をくり返し１９年に最高裁が第４次再審特別抗告を棄却しています。
志半ばで川崎さん・安原さんは逝去。司法救済の道は閉ざされましたが、たたかいは全国に広がり、毎年の国会請願運動として継続発展しています。
〈激励先〉〒６５０―００１６ 兵庫県神戸市中央区橘通３丁目３―６ 兵庫県レッド・パージ反対懇談会気付 大橋豊さん
名張事件第10次再審（最高裁）署名用紙
