2021年2月15日号
2021年2月15日号
岐阜・大垣警察市民監視違憲訴訟
警察庁の尋問実現を 岐阜地裁
「もの言う」自由守ろう
岐阜県で風力発電建設をめぐり勉強会を開いた住民２人と、勉強会と無関係の市民２人の個人情報を警察が収集し、企業に提供していた事件。４人は監視等は違憲として警察（国と県）を相手に国家賠償請求と情報の抹消請求を求めています。
１月２７日におこなわれた進行協議で原告、弁護側が求めている警備公安警察官らの証人尋問がおおよそ決まりました。次回の口頭弁論で正式決定されます。
裁判所で今後の進め方を打ち合わせる「進行協議」は、裁判の当事者である原告と弁護団、裁判所、被告（国と県）が出席して開かれます。報告集会で弁護団の山田秀樹弁護士が１月２７日におこなわれた進行協議の報告をおこないました。
県は当初、警察官の名前は答えられないなど言っていましたが、裁判所が証人採用に積極的な姿勢で、応じるように求めたため、警察官の名前を明らかにしてきたこと、そのため弁護団からあらためて尋問事項書などを提出し、警察官３人に証人を求める手続きをとりました。
尋問することがほぼ決まった警察官は、次のとおりです。大垣警察署関係では、シーテック社に情報を不正に提供し始めた時期に警備課長を務めていた坂上壽秋、この事件がマスコミによって明らかにされた当時の警備課長の横山裕之の２氏。岐阜県警関係では、警備部警備第１課の三輪優氏です。
今後、４月１５日の進行協議を経て､５月１７日に警察と情報交換をしていたシーテック社（中部電力の子会社）の従業員２人の尋問、同月３１日に警察官３人の尋問、６月２１日に原告４氏の尋問と、おおよそ決まりました。さらに弁護団は真相を究明するため、県警にとどまらず警察庁警備局長の尋問を求めています。
国民監視の実態 法廷で解明しよう
弁護団報告を受け、原告から以下のあいさつがありました。
三輪唯夫さん「裁判長が警察官の出廷を決めたのも、みなさんの応援のお陰だと思っています。これからもよろしくお願いいたします」。
船田伸子さん「この事件は目に見える形では被害の実態が表されていません。見えない被害は、より深刻です。自分につながる全ての人たちが監視され、どこでどう情報が扱われているのか分からない。その被害を裁判長に理解してもらいたいと思います」。
近藤ゆり子さん「日本は警察や公安に対する第三者のチェックが無さすぎると思うんです。こんなことを権力に許してはいけないと思います」。
国民救援会県本部の加藤敏比古事務局長は、「裁判で勝利して、もの言う自由を守らなければと国民救援会各地から署名が寄せられました。もっともっと署名を集めて、事件を広めて、裁判所に迫っていきたいと思います。お互いにがんばりましょう」と呼びかけました。
最後に「もの言う」自由を守る会の小倉事務局長から、「裁判はいよいよ大詰めです。全国に事件を知らせ、原告４人を励まして、もの言う自由を守っていきましょう」とあいさつしました。
署名１万に到達 証人尋問求める署名も提出
当日は岐阜地裁へ、全国から寄せられた個人署名１万１８０人分と、全国に呼びかけた証人尋問を求める団体署名（１５６団体）を、「もの言う」自由を守る会と弁護団、国民救援会が提出しました。
警備公安警察の違法な情報収集の実態を公開の法廷で明らかにし、その責任を追及するために、警察官の尋問はきわめて重要です。裁判に勝利し、原告４人への人権侵害の責任を国、県に認めさせるために、支援をいっそう強めましょう。
〈激励先〉「もの言う」自由を守る会 〒５０３―０９０６ 大垣市室町２―２５ 弁護士法人ぎふコラボ 西濃法律事務所気付 ＴＥＬ０５８４（８１）５１０５ ＦＡＸ：０５８４（７４）８６１３
福島・第１原発事故損害賠償請求事件
国の責任を否定 「原発事故回避できなかった」 東京高裁
福島第１原発事故損害賠償請求事件・群馬訴訟の控訴審判決が１月２１日、東京高裁で言い渡されました。福島原発事故により福島県から群馬県へ避難した住民９１人が国と東電に、慰謝料などを求めた裁判です。前橋地裁は、「津波を予測して事故を防ぐことができた｣として､国には東電と同等の責任があると認め、３８００万円余の賠償を命じました。
しかし、今回の東京高裁は地裁判決を取り消し、国の責任を否定し、国に対する請求を退けました。
一方、東電に対しては賠償責任があるとして、地裁判決よりも賠償額を上積みしました。
原告は判決を不服として最高裁に上告する準備を進めています。
判決許せない
原告・丹治杉江さん
私はこの１０年間、原発事故の事を考えなかった日はありません。当たり前の生活が一瞬にして奪われた悔しさ、無念さを二度と繰り返してはならない。その為には国の責任を明らかにしなければならないという思いで裁判をたたかってきました。しかし、東京高裁は権力に迎合忖度（そんたく）して、科学的知見に基づく「津波の予見可能性」を一蹴、さらには私たち原告の避難１０年の苦難継続の実態を評価しない、極めて不当な判決を出しました。こんなひどい不正義な判決は許せません。
全国から寄せられた言葉に励まされました。最高裁に向けて頑張る決意です。
名張毒ぶどう酒事件
事件発生６０年行動
弁護団 新たに証拠開示求める
三重県名張市でぶどう酒に毒物を混ぜ５人を殺害したとして奥西勝さん（故人）の死刑判決が確定し、妹の岡美代子さんが第１０次再審請求審をたたかっている名張毒ぶどう酒事件。１７年に名古屋高裁刑事１部が請求を棄却したため、現在異議審が同高裁刑事２部に係属しています。
弁護団は１月２５日、三重県警から津地検に送られた証拠の「送致証拠目録」を名古屋高検に開示させるように求める書面を名古屋高裁に提出しました。
弁護団によると、検察が開示した証拠を精査したところ、まだ開示されていない証拠は２千頁以上にのぼり、事件当日、懇親会に参加していた住民や事件直前の奥西さんを目撃した住民の供述調書が含まれていると推測されるとのことです。
＊
名張事件は１９６１年３月２８日の発生からまる６０年になります。名張事件全国の会はこの長き審理に終止符を打ち、再審開始を勝ちとるため、以下の行動を予定しています。
名張事件事件発生６０年行動
日時 ３月２８日(日) 午前１１時３０分〜午後１２時３０分、場所 名古屋市笹島交差点北西角（ヤマダ電機前）
＊その後、午後２時〜全国支援集会・全国の会総会を「ウインクあいち」にて開催
岡山・倉敷民商弾圧事件怒りの行動
横断幕、ビラが好評
前号に続き、倉敷民商弾圧事件禰屋（ねや）さん不当逮捕から７年怒りの全国行動のとりくみを紹介します。
滋賀の会は１月２４日にＪＲ堅田駅前で１４人で宣伝。歩行者が少なかったのが残念ですが、駅利用者やお客待ちのタクシードライバーも訴えを聞いてくれました。新しい横断幕が目立ってよかったです。
岡山県内では美作の会が１月２７日に津山市内城下交差点などで３人で宣伝しました。２カ所で宣伝カーを使いのぼり旗を立てて宣伝。交差点で止まった車から数人が手を振ってくれました。
岡山・玉野の会はショッピングセンター前で１３人で宣伝。横断幕と「私は無罪」ののぼり、プラカードと民商の宣伝カーを使ってマイクで宣伝しました。民商役員が１人、事務局が１人、国民救援会の役員が１人それぞれ演説しました。人が少なく目立った反応はありませんでしたが、ビラ１５枚ほど受け取ってもらえました。
岡山・岡山東支部は１月２２日に岡山市天満屋前で７人で宣伝。訴えをよく聞いてくれてビラ１００枚を受け取ってもらえました。
岡山・高梁（たかはし）支部は１月２２日に９条の会、原水協、救援会の合同でマイクとスタンディングをおこないました。
「事件の顔」を語ろう！ ズバリ３分で支援広げる
鹿児島・大崎事件
あたいはやっちょらん --絞殺（こうさつ）でなく、事故死
■事件の概要
１９７９年１０月１５日、鹿児島県大崎町で、Ａさんが自宅の牛小屋で死体で発見され、Ａさんの長兄とその妻の原口アヤ子さんのほか親族２人の計４人が逮捕・起訴され、全員が有罪となった事件。発見される３日前にＡさんは酔ったまま自転車に乗り、落差１ｍのコンクリート製の溝に落ち、誰かに道端に運ばれ仰向けに倒れているところを近所の２人が自宅まで運びました。裁判では、Ａさんが、近所の２人に自宅土間まで運ばれて、土間に座っているところを目撃した原口さんが殺意を抱き、夫、夫の弟と共謀し、Ａさんの首をタオルで絞めて殺害し、夫の弟の息子も加えた４人で牛小屋に遺棄したとされました。原口さんは、一貫して「あたいはやっちょらん」と犯行を否認し、無実を訴えますが、懲役１０年の有罪判決。出所後、再審請求。
■裁判の経過
９５年４月に第１次再審請求を申し立て、地裁は、殺人ではなく事故死の可能性が明らかになったことなどから２００２年に再審開始決定。しかし、福岡高裁宮崎支部は事実調べもせずに、再審開始決定を取り消し、最高裁は高裁決定を支持。第２次は、１０年８月に申し立て。地裁は事実調べをせず請求を棄却。高裁も最高裁も追認。第３次は１５年に申し立て、地裁も高裁も再審開始決定。ところが、最高裁（小池裕裁判長）は、１９年６月再審請求を棄却。最高裁は、検察官の抗告には理由がないとしたにもかかわらず、職権で調査し、再審開始決定を取り消しました。この決定は、全国の刑事法学者９２人が、「刑事司法制度の基本理念を揺るがしかねない重大な瑕疵（かし）が存在する」との声明を出すほど酷いものでした。第４次が２０年３月に申し立てられ、現在、地裁で鑑定人尋問などがおこなわれています。
■事件の争点
原口さんらがＡさんを絞殺したのか、それとも、Ａさんは事故が原因で死亡したのかが争われています。第３次で出された吉田鑑定は、絞殺であれば体内の血液が下方に集まり死斑となって赤黒くなるが、Ａさんの遺体の写真を見ると、下になっていた遺体部分が白っぽいので、死因は絞殺ではなく、出血性ショックの可能性が高いとしましたが、最高裁は、写真に写った外表からうかがえる変色のみを根拠に単なる可能性を指摘したにすぎないと批判しました。第４次の新証拠の中の澤野誠・埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター長の鑑定は、救命救急医としての経験と最新の医学知識に基づいて、遺体の腸を撮影した写真こそが死因を示すものであり、その基本的な死因は、非閉塞性腸管虚血による広範囲の急性腸管壊死であることを明らかにしました。Ａさんを自宅まで運んだ近所の２人は、Ａさんを単なる酔っ払いと考え、手荒に扱い自宅に運びました。２人は、Ａさんは自宅到着後、一人で、あるいは肩を借りて歩いて自宅に入ったと供述。しかし、澤野鑑定によれば、非閉塞性腸管虚血の状態にある者が「歩く」ことは絶対にありえないのです。非閉塞性腸管虚血の上、頸椎損傷も加わり、瀕死の状態にあったＡさんは、単なる酔っ払いと間違われて扱われたために死亡したものと考えられます。
〈要請先〉〒８９２―８５０１ 鹿児島県鹿児島市山下町１３―４７ 鹿児島地方裁判所 岩田光生裁判長
〈激励先〉〒８９９―７３０５ 鹿児島県曽於郡大崎町假宿１１２３ 稲留様方 大崎事件原口アヤ子さんの再審をめざす会
名張事件第10次再審（最高裁）署名用紙
