日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2020年3月15日号

救援新聞より

2020年3月15日号  

大阪・大正生健会弾圧事件 男性2人の不起訴勝ちとる  

警察、架空の事件デッチ上げ生健会への弾圧はね返す

 大阪・大正生活と健康を守る会の役員と会員が、「詐欺」容疑で逮捕された事件で2月28日、逮捕された2人の不起訴を勝ちとりました。大阪府本部から、報告と全国からの支援への感謝が寄せられました。

 2月4日、10時半過ぎ大阪市大正警察署から中央本部に、「国民救援会の弁護士を呼べ」という被疑者を預かっているという電話が入りました。
 接見した弁護士によって、逮捕されたのは大正生健会役員の仲村義男さん(73歳)、被疑事実は携帯電話の不正利用防止法違反を想定した詐欺容疑であること、さらには携帯電話を契約した仲村さんとともに、その電話を借りた生健会会員の石井博さん(76歳)も逮捕されていることが判明しました。弁護士は改めて石井さんにも接見し、取り調べ内容の聞き取りとともに、両名にはそれぞれ黙秘で頑張るようにと伝えて、大正警察を退去。弁護士は石井さんが週3回の人工透析を受けなければならない腎機能障害者であることを取調官に強く訴えました。その訴えが響いたのか、石井さんは即日釈放に。約12時間の拘束でした。
 仲村さん、石井さんが逮捕され大正警察に勾留されたころ、大正生健会には9人もの警察官が家宅捜索に訪れ、矢達会長の「令状を録音させろ、書き写させろ」という要求に応じることなく、4時間近くかけて、徹底した捜索を行いました。押収品目録交付書には被疑事実は「詐欺」とありました。事実は携帯電話の契約ができず就職活動にも困っていた石井さんを見かねて、仲村さんが自分の契約した携帯電話を貸しただけです。にもかかわらずパソコン2台を含む組織資料や財政資料など34点もの押収。大正生健会の組織活動を中断・妨害する行為に、駆けつけた国民救援会と大生連はまさに不当弾圧だとの確認のもと翌日からの対応を意見交換し解散しました。

これは弾圧だと攻勢的運動開始

 翌5日には国民救援会、大生連、弁護団の三者で対策会議を設置しました。同時に仲村さんの勾留が決定。この日から弁護士は連日接見を実施。
 6日の対策会議では携帯電話の不正利用防止法違反にあたらないことは勿論のこと、詐欺罪には該当しない、困っている人に携帯電話を貸すことのどこが犯罪か、ましてや組織的行為であるかのように決めつけ、大正生健会の事務所まで家宅捜索したことは、明らかな弾圧であるとの認識で一致。不起訴を視野に、抗議と釈放要求、押収物の返還を求めて攻勢的運動を展開することを意思統一しました。
 13日には、200人をはるかに超す支援者が集まって抗議集会を開催。終了後には直ちに大正警察署前で抗議と仲村さんへの激励のシュプレヒコール、そして全国から集まった署名161通の提出を行いました。
 ところが14日、裁判所は事実を見極めることなく仲村さんの勾留延長を決定しました。

闘う本人の姿に新たな怒り広く
 19日の勾留理由開示公判では「被疑事実自体が不存在であり、勾留要件である逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れがなく、勾留の必要性がないにもかかわらず発付されたもので違法」という弁護人の主張、そして仲村さん本人の、「就職活動に困っている会員に対し、自分の契約した携帯電話を貸しただけ、誰もだましてはいません。ましてや生健会活動とは何の関係もありません。大阪府警警備公安のやり方に心から怒りを覚えました。必ずやみなさんと一緒に疑いを晴らすべく頑張ります」という発言が、弾圧の本質を知らしめ、新たな怒りを組織することになりました。
 20日には大生連と国民救援会で大阪地検へ不起訴要請に赴くも、事務官すらも面談を拒否しました。

全国の支援受け不起訴と終結が

 21日は勾留期限満了の日。警察前での抗議行動、そして署名提出。前回とは打って変わって代表を応接室に招き入れ、総務課長、警備課長が応対。
 事務所に戻るや、仲村さん処分保留で釈放、押収品返還との連絡があり、急きょ警察前に出迎えました。
 その後28日には弁護団・運動体が一緒に検察庁に赴き、400通を超える不起訴要請署名を提出。検察官は弁護人に、不起訴、そして今後は一切の捜査の継続・拡大もないことを言明。たたかいの幕は下りました。
 勝利の要因は、何よりも大正生健会と当事者2人の頑張り、それを支えた大生連の強固な体制、そして連日接見を実施し理論的解明を果たした弁護団の力、さらに打てば響くように全国の生健会、国民救援会組織から送られてきた署名です。
 全国のみなさんの熱い支援と協力のもと、このように短期間での不起訴を実現したことをご報告し、お礼と致します。
 (大阪府本部・伊賀カズミ)

東京・乳腺外科医師冤罪事件 東京高裁 女性はせん妄状態 弁護側証人、国際基準使い明言  

 東京・足立区の柳原病院で、乳腺腫瘍を摘出する手術を執刀した外科医師が、女性患者から「胸を舐められた」などと訴えられ、準強制わいせつ罪で起訴され、一審で無罪判決が出された乳腺外科医師冤罪事件で、控訴審第2回公判が2月26日、東京高裁(朝山芳史裁判長)で開かれました。

検察側鑑定を証拠から排除
 裁判所は、検察官が求めていたDNA鑑定やアミラーゼ(だ液の成分)鑑定に関する証拠調べ請求をすべて却下しました。それらの証拠は、「胸を舐められた」とする女性患者の証言の裏付けとして検察が主張していたもので、一審では「鑑定の信用性に疑義があり、仮に信用性があっても証明力が十分ではなく、女性患者の信用性を補強できない」と認定されていました。検察は、控訴審で鑑定の信用性を補う論文などを証拠採用することを求めていましたが、却下されました。これにより、一審の判断を踏(とう)襲(しゅう)する可能性が高くなりました。
 裁判所はせん妄(※)について、次の3点を関心事項として示していました。―性がせん妄であったか否か、⊃箸硫鵑蠅僚侏荵を認識する能力および携帯電話でメッセージを送る能力の有無、せん妄だったとして、幻覚が生じる可能性の有無。

国際的指標でせん妄と診断

 この日の証人尋問では、弁護側推薦の証人である精神科医の大西秀樹医師が出廷。せん妄の典型例を紹介し、夜中に睡眠薬を投与した患者が15分後に意味不明発言や徘徊するなどの症状がみられたり、手術を受け、麻酔から覚める途中で興奮するなどの医療現場での事例を紹介。一見正常な受け答えをしている患者でも、今どこにいるかを尋ねると「羽田空港にいる」と回答する例もあり、せん妄であることを見落としてしまうケースもあると述べました。ある調査では、術後せん妄の発症率は28%と高く、年齢に関係なく起きていると指摘しました。
 その上で、女性患者の供述がせん妄であるかどうかを国際的な診断基準であるDSM―5という指標に照らすと、弁護側と検察側のいずれの主張を前提にしても、5つの基準を満たしていることから、せん妄と診断できるとしました。また、CAMという臨床現場で用いられる指標でもせん妄であると判断できるとしました。
 さらに女性患者は、自分の発言や言動、受けた治療に関してほとんど記憶していない一方、活発な幻覚が生じていることから、身の回りで起きた出来事を認識する能力が損なわれていたと証言。携帯電話で知人にメッセージを送ったことについても、酒に酔った状態でもハンドルを操作して自動車の運転ができることなどを例に挙げて、「手続き記憶」があるため、意識レベルが低下した状態でも、ある程度の行為は可能だと述べました。
 次回公判は3月24日、結審の予定。判決は4月15日の予定。

※せん妄 麻酔の影響などで認知能力が一時的に低下し、周囲の状況を理解することが難しくなり、意味不明な言葉を発したり、現実感を伴う幻覚を見たりする状態

茨城・布川国賠訴訟 東京高裁「明白な嘘ではない」 国側苦しまぎれの回答に終始  

 違法な捜査や公判活動で強盗殺人事件(布川事件)の犯人とされた後、再審無罪を勝ちとった桜井昌司さんが国と茨城県に損害賠償を求めている布川国賠訴訟。2月25日、東京高裁(村上正敏裁判長)で控訴審第2回口頭弁論が開かれました。
 国と県が準備書面を提出し、弁護団が釈明を求めました。その中で、再審請求審で開示された桜井さんの自白テープをはじめとする検察が隠し持っていた証拠は、いつの時点で検察の手元に渡ったのかを明らかにするよう求めると、裁判所もこれに呼応して、「証拠が警察から検察にいつ送致されたか、リストがあれば判決を書く際に便利だ」と関心を示しました。
 国側は答弁書で、当時は検察官が請求予定証拠以外の証拠を開示する義務はなかったとして、検察官の行為を違法だとする主張は失当だと述べていました。これに対して谷萩陽一弁護団長は、「明らかに無罪の証拠を隠していたら、それ自体が違法ではないか。検察が裁判所に対して嘘をついていた。それでも違法ではないのか」と追及すると、国側の代理人は、「明らかな虚偽ではなかった」と回答。谷萩弁護団長が、「では、仮に虚偽の場合はどうか。裁判所に虚偽の意見を述べても、違法ではないのか」と確認を求めると、仮定の質問には答えられないとかわし、最後は書面で回答すると逃げました。
 弁論終了後の報告集会で桜井さんは「国の代理人は『明白な嘘を言ったわけではない』と言いました。明白でなければ嘘をついてもいいのか。自分たちがちょっとおかしいことを言っていることは、理解しているのでしょう。やはり高裁で勝たないといけないと確信しました」と述べました。
 次回は、4月27日午後2時。

熊本・菊池事件国賠訴訟 熊本地裁 「特別法廷」は違憲 原告の請求自体は棄却  

 冤罪・菊池事件で殺人犯とされ死刑が執行されたFさんとハンセン病施設で家族同様に生活をしていた入所者等5人が、検察官がFさんの再審請求をしなかったことが違法であるとして国家賠償を求めた菊池事件国賠訴訟。熊本地裁は2月26日、原告の請求を認めない不当判決を出しました。
 この国賠訴訟は、菊池事件の裁判が違法法廷でおこなわれたことは最高裁も認めており、検察に対して再審請求すべきと求めたにもかかわらず、検察が再審請求しないと決定したため提訴に及んだものです。
 判決は原告の請求を認めませんでしたが、判決の中で、菊池事件でFさんを死刑とした裁判(いわゆる「特別法廷」)には、ハンセン病患者に対して差別的取り扱いをした憲法14条違反およびハンセン病に対する偏見・差別に基づきFさんの人格権を侵害した憲法13条違反が認められると明言しました。また、「一般国民の傍聴を拒否したに等しい」扱いがあったと認定し、裁判の公開原則を定めた憲法37条、82条に違反する疑いがあることも明言しました。さらに、「手続に憲法違反がある場合に再審により救済すべき場合があり得る」ことを司法判断として初めて認めました。

滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件 真っ白な無罪をと宣伝  

 2月21日、JR大津駅前で「西山美香さんに真っ白な判決を」と5人が宣伝を行ないました(写真)。ある60代男性は「ぜひ頑張ってくれ」と激励。散歩で大津駅前を訪れた保育園児からも「がんばれ」と声援が。中野県本部会長や彦根犬上支部の北村支部長らが訴えました。このあと大津地裁に移動し、刑事部書記官に「全国各地から、警察の違法捜査の断罪を求める署名が届いている」「自白には任意性がないことを認める判決書きにして下さい」と口頭で要請し、違法捜査の断罪を求める署名50団体分、無罪判決を求める署名77筆を提出しました。3月も、31日の判決に向け宣伝、要請を行います。

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