日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2020年2月25日号

救援新聞より

2020年2月25日号  

滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件が結審 判決で違法捜査の断罪を 検察、再審公判で求刑せず 大津地裁  

 2003年、滋賀県の湖東記念病院で看護助手の西山美香さんが患者の人工呼吸器のチューブを外して殺害したとされ、懲役12年が確定した湖東記念病院人工呼吸器事件。2月10日に第2回再審公判が開かれ、検察の論告と弁護団の最終弁論がおこなわれ、結審しました。判決は3月31日午前10時30分に言い渡されます。

 「新たな有罪立証はおこなわず、裁判所の適切な判断を求めます」。
 再審公判で検察の最後の主張となる論告求刑は、わずか1分ほどで終わりました。検察は新たな有罪立証をおこなわないが、無罪主張もしないという無責任な態度でした。17年12月に大阪高裁で再審開始決定が出されても抵抗し続け特別抗告し、再審開始が確定してからも当初は「有罪主張する」と明言するなど、再審開始を引き延ばし続けた反省などみじんも感じられませんでした。
 「ごめんなさいはないのか!」。傍聴席から、検察に批判の声が向けられました。

卑劣な違法捜査 弁護団鋭く指摘
 弁護団は最終弁論であらためて西山さんは無罪であると主張。その理由として、ヾ擬圓了牋は自然死であり、事件性はないこと、∪昌海気鵑痢崋白」は捜査機関の誘導で作られたもので、任意性、信用性はないことなどを述べました。
 特に自白について、西山さんは軽度の知的障害がある供述弱者で、たやすく迎合してしまう特質を取調べの警察官が利用したと指摘。さらに西山さんに寄り添うような甘言を弄して、警察官への「恋愛感情」をも利用しウソの自白が維持されたこと、弁護人との接見内容を聞きだしたり、弁護人を誹謗中傷して信頼関係を毀損するなど、極めて重大な違法性があると述べました。その上で、「自白」には任意性がなく、証拠から排除するよう主張しました。
 最終意見陳述に立った西山さんは、「検察は有罪と言わないのなら、私のことをちゃんと無罪だと言ってほしいです」と、検察官の姿勢を批判しました。さらに「私だけでなく家族がどんな思いをしてきたのか分かってほしい」と怒りをぶつけ、一方、弁護団や支援者、国民救援会に対して、「支えてくれたことでたたかってこられた」と感謝の気持ちをとつとつと話しました。

国民救援会各都道府県本部会長 署名を携え要請  

 当日は小雪の舞う中、大勢の市民が傍聴券を求めて裁判所に列を作りました。傍聴できなかった支援者は、全国から寄せられた国民救援会都道府県本部会長及び中央本部会長の署名を持って、要請をおこないました。滋賀県本部の中野善之助会長、中央本部の瑞慶覧淳副会長が「これまでの違法捜査、そしてそれを見抜けなかった裁判所の責任を判決で明らかにすべき」と要請しました。
 この日、大津駅前で宣伝行動をおこない、市民に再審公判の様子などを報告し、最後までの支援を訴えました。西山さんも参加し、「私は支える会や国民救援会の人たちが無実だと信じてくれたことでたたかってくることができました。みなさん、救援会に入ってください」と元気にアピールもしました。

判決は3月31日 ハガキで証拠隠し断罪の要請を  

 この事件では、再審開始確定後、検察が西山さんの無実を示す証拠を隠していたことが明らかになっています。3月31日の判決は無罪となる見込みですが、違法な捜査による自白作りと証拠隠しを断罪する判決を勝ちとるため、最後まで裁判所に要請を強めましょう。2月5日号掲載の要請はがき見本も活用し、裁判所に迫りましょう。
〈要請先〉〒520―0044 大津市京町3―1―2 大津地裁 大西直樹裁判長

東京・乳腺外科医師冤罪事件 反論されると声荒げ 検察推薦証人の尋問 東京高裁  

 右胸から乳腺腫瘍を摘出する手術を執刀した外科医師が、この手術を受けた女性患者から「わいせつ行為をされた」と訴えられた乳腺外科医師冤罪事件。昨年2月に東京地裁で無罪判決を勝ちとり、検察の控訴により東京高裁に係属しています。控訴審第1回公判が2月4日、東京高裁でおこなわれました。

 最初に主任弁護人の高野隆弁護士が、この「事件」は犯罪ではなく、全身麻酔患者のせん妄の医学的症例であると述べ、あらためて被告人は無罪であると述べました。
 検察側推薦の証人で、独協医科大学埼玉医療センター・こころの診療科診療部長・教授の井原裕氏が出廷しました。井原氏は自身について、「せん妄・幻覚の臨床について一般知識は持っているが、専門家ではない」と述べました。
 井原氏は外国の著名な専門家の論文「アルコールによる酩酊の判断能力の整理」を参考にしながら、せん妄を3つの類型に分けた図を作成し説明。患者が病室に移動した後、14時45分に「ふざけんなよ。ぶっ殺してやる」などと発言した時はせん妄状態の程度は高いが、14時55分に看護師から鎮痛剤をもらったり、15時12分にスマホを操作し知人に「たすけあつ」「て」「いますぐきて」と送信している段階では、せん妄の程度は低くなり、「絶対に幻覚状態にはない」と断定し、患者の証言は信用できると述べました。そして、医師による麻酔中の患者への性犯罪は世界的にも非常に多いと強調しました。
 弁護側の尋問では井原氏がせん妄状態の説明にアルコールによる酩酊の判断能力の基準を重ねて示していることについて聞かれると、せん妄の知識を分かりやすくするうえで表を作ったと述べ、他に同様の考え方をしている人はいないこと、また、せん妄についての論文発表はないことも認めました。
 弁護側が、低活動型せん妄状態でも幻覚が出るという論文を示したところ、「若い患者と、弁護人が示した高齢者の緩和ケアのせん妄では、全く異なる」などと、声を荒げて反論。これに対して弁護団は、世界で臨床診断基準となる米国精神医学会の基準(DSM―5基準)では、年齢や基礎疾患による違いは考慮されておらず、さらに、井原氏が示した資料中に誤記、誤訳があることも指摘され、確認されました。
 次回2月26日の第2回公判では、弁護側推薦の精神腫瘍科教授の証人尋問がおこなわれます。

'''※せん妄 麻酔の影響などで認知能力が一時的に低下し、周囲の状況を理解することが難しくなり、意味不明な言葉を発したり、現実感を伴う幻覚を見たりする状態
'''

大阪・東住吉冤罪事件青木国賠裁判 国側、不誠実な対応 存在する証拠が不存在に 大阪地裁  

 放火殺人と保険金詐欺未遂の犯人とされ、2016年8月に再審無罪を勝ちとり、誤判原因とその責任を明らかにするために国家賠償を求めている東住吉冤罪事件国賠裁判。第11回口頭弁論が1月30日、大阪地裁で開かれました。前回、裁判所は、証拠開示は年度内に終え、4月以降は事実調べに入りたいとしていました。
 しかし、この間、被告(国)側が証拠開示に十分応じないため、原告代理人の加藤弁護士は「被告に対して証拠の提出を求めてきたが今回出されてきた証拠は検察が持っている記録の一部に過ぎない。リストを作成しても被告は対応を無視する。対応していないものも多々ある。証拠は存在すると回答しながらそれを提出しない。現在は不存在と回答している。期限ぎりぎりになって電話一本で『遅れる』と言い、その後充分な釈明もしない。国側に引き延ばしの意図があるとしか思えない。裁判所の的確な訴訟指揮を求めたい」と述べました。これに対し、国側は「刑事訴訟法47条・非公開の原則に則って対応した結果である」と答弁。
 裁判長は「なぜできないのか。存在しないという言葉がどういう意味なのか。理解できる言葉で説明して頂きたい」と厳しく指摘しました。また、裁判長の「提出までに時間をかけた理由は」に対し、国は、「総意で提出できる範囲で提出した」。さらに、裁判長の「その結果、開示されない理由は。以前は開示していたが何故そのスタンスが変わったのか」に対し、「それは書面で述べています」と極めてそっけない回答でした。さらに裁判長は「(国に対し)できる限り理解できるような書面を提出して頂きたい。(原告に対し)裁判所としてはできるだけ早く尋問を始めたい。進行についてどのように考えているか」との問いに、原告側は「随分前に提出したことに対しての国側の反論もない。証拠調べは絞り込んだ上で立証計画を出す予定」と回答。
 改めて裁判長は国に対し「2月末までに提出して頂きたい」と求め、原告側も「どうしてこんなに時間がかかるのか。国側の早期の書面提出を求める。」と強く訴えました。
(大阪府本部)

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