日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2020年2月15日号

救援新聞より

2020年2月15日号  

長野・あずみの里「業務上過失致死」事件控訴審 証拠を調べず、即日結審  

東京高裁の暴挙に抗議 全国から公判再開の要請を

 特養施設で利用者が亡くなったことで、看護職員の山口けさえさんが業務上過失致死罪に問われている長野・あずみの里「業務上過失致死」事件。1審の罰金20万円の不当判決に対し、控訴した東京高裁で控訴審第1回公判が1月30日におこなわれ、証拠調べなどおこなわないまま即日結審し、次回判決となりました。

 法廷で最初に主任弁護人の藤井篤弁護士が、長野地裁松本支部の有罪判決の誤りを説明。利用者の死因はおやつのドーナツを詰まらせた窒息による低酸素脳症と認定されていますが、弁護団は、おやつ時に脳梗塞を起こした病死の可能性が高いと主張してきました。(地裁判決後の)昨年8月2日に検察官が初めて開示した病院のカルテとCT画像などに基づき、専門家に鑑定を依頼したところ、脳梗塞であることが明らかとなっており、原審は事実誤認があると主張しました。
 また、山口さんは利用者のおやつの形態変更(ドーナツ等からゼリー系へ)を知らなかったが、看護職員である山口さんは知らなくてはいけない立場にはなく、過失は考えられないこと、そもそもおやつの形態変更は利用者に窒息の恐れがあったからではなく、早食いから消化不良による嘔(おう)吐(と)を防ぐためでした。利用者は嚥(えん)下(げ)障害もありません。それにもかかわらず、過失を認定したことは誤りであることなどを述べました。
 そして、弁護団は、死因を鑑定した3人の専門家の意見書、過失責任はないとする法学者の意見書を提出し、証人尋問の必要性を強調しました。
 しかし、大熊裁判長は「必要性なし」との検察意見を受け、一部だけを採用し、そのほかの証拠及び証人調べ申請をすべて却下しました。大熊裁判長は、死因が裁判の争点となっているにもかかわらず、医学の専門家でもないのに医学的な検証をおこなわずに判決を出そうとしているのです。
 弁護団は、3人の裁判官を忌避する申し立てをしましたが、裁判長は簡易却下。弁護団の異議申し立てに対しても、裁判を続行。結審することを宣言し、判決期日は後日指定するとして、閉廷しました。弁護団は却下に対し、準抗告を申し立てました。

「真実を見て」

 公判報告集会は約500人の参加者が集まり、木嶋日出夫弁護団長は、証拠の取り調べはおこなわないうえに、次回期日にいきなり判決とした東京高裁の不当な姿勢を、強く批判しました。山口さんは、「裁判官はどうして真実に目を向けず耳をふさぐのか。でも私はあきらめない」と訴えました。
 国民救援会中央本部の岸田郁事務局長が行動提起をし、最後まで署名で事件の真実を広げること、緊急の裁判所要請への参加を訴えました。
 この日、昼に約400人を超える支援者が東京高裁前に集まり、公判前集会をおこないました。全国から寄せられた無罪判決を求める署名は26万499人分に達したことが報告されました。
〈要請先〉〒100―0013 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁 大熊一之裁判長

滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件再審公判 西山さん「私は殺していません」  

 滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件の、第1回再審公判が2月3日、大津地方裁判所(大西直樹裁判長)で開かれました。満席の傍聴者が見守る中、裁判長から起訴状の認否を問われた西山美香さんは、「私は殺していません」ときっぱり述べ、無罪を訴えました。
 凛とした青空の下、大津地裁には44席の傍聴券を求めて国民救援会などの支援者、マスコミ関係者など約300人が並びました。法廷で検察側は、西山さんが「人工呼吸器を引き抜いて低酸素状態にいたらしめ、窒息死させた」「殺人罪」と確定審と同じ起訴状を朗読。さらに冒頭陳述では、有罪立証はしない、「裁判所の適切な判断を」と聞き取るのがやっとの小さな声で述べました。弁護側は、西山さんが人工呼吸器をはずした事実は存在しない、患者の死因は自然死で、事件は警察、検察がつくりあげた「空中楼閣」、西山さんは無罪と述べました。証拠とされた自白は、警察官に好意を抱いた西山さんを誘導したり脅迫したりして作ったもので、信用性も任意性もないと述べました。被告人質問では、西山さんが警察官の求める供述をすると、ハンバーガーやジュースなどの飲食を提供されたことも話し、違法な取り調べの事実も明らかになりました。

東京・乳腺外科医師冤罪事件 無罪めざし決起集会 短期決戦、署名さらに広げよう  

 1月23日、「乳腺外科医師えん罪事件 高裁無罪を目指す決起集会」が東京・足立区でおこなわれ、小雨が降る寒い夜にもかかわらず100人が参加して成功させました。事件は足立区の柳原病院で乳腺腫瘍を摘出する手術を執刀した外科医師が、その患者から「わいせつ行為をされた」と訴えられ、昨年2月、東京地裁で無罪判決を勝ちとったものです。
 集会は石川晋介柳原病院長が、「日常の医療が事件にされた冤罪事件です。一日も早く、外科医師の無罪を勝ちとって、安心して診療できるよう全力をあげます」と開会挨拶し、始まりました。外科医師を守る会の野田英樹さんから東京地裁の無罪判決の内容が詳しく説明され、「冤罪事件」に仕立てた検察のずさんさに加え、無罪判決の正しさが明らかにされました。
 弁護団報告に立った黒岩哲彦弁護士は、「控訴審は一審の判決が正しいか判断するもので、原則新たな証拠は出せない。検察が控訴審で求めた主張・立証があったが、裁判所が排斥した。高裁では患者女性がせん妄状態であったかどうかの判断が焦点になる。3月に最終弁論、4月には判決も予想される短期決戦の裁判です」と話しました。
 外科医師と一緒に施術した八(や)卷(まき)秀人医師は「犯罪をやってないから無罪です。運動を一層広げましょう」と訴えました。保険医協会理事の佐藤一樹医師は日本の裁判制度にも触れ「検察のサイエンスに対する考え方が問題だ。何が起こるかわからない。必ず無罪にするために全力を挙げよう」と発言しました。
 国民救援会葛飾支部・野島英夫支部長は「署名を集め、傍聴席をいっぱいにするなど支援を広げて、無罪を勝ちとろう」と、足立健康友の会、伊藤和彦会長は「今こそ、医療従事者が委縮することなく診療できるよう力を出すとき」と決意を語りました。
 家族の訴えのあと、外科医師を守る会の行動提起では1千万円以上の募金と高裁宛てにすでに1万人を超える署名にお礼を述べ、裁判の傍聴、さらなる署名、募金の支援が訴えられました。
 会場では署名140人分と募金10万円が寄せられ、日本国民救援会に1人が入会しました。(足立支部 田中勲)

静岡・天竜林業高校成績改ざん事件 審理を開始せよ 検察に証拠開示勧告を 東京高裁、高検  

 再審開始を求めている天竜林業高校成績改ざん事件について、2月3日、北川好伸さんを支える愛知の会や国民救援会愛知県本部などが東京高裁に要請行動をおこないました。要請には14人が参加し、早く三者協議を開き実質的な審理を開始することや、検察に証拠開示を勧告することなどを求めました。
 事件は静岡県立天竜林業高校の元校長・北川好伸さんが、4人の教員に生徒の成績調査書の改ざんを指示したとして、虚偽有印公文書作成罪などで有罪判決が確定したものです。再審請求の一審は2016年に棄却され、北川さんは東京高裁に即時抗告していますが、いまだ三者協議が開かれず、審理が動いていません。
 要請に同行した弁護団の海(かい)渡(ど)雄一弁護士は、三者協議を開かない理由を裁判所に問いただしたところ、弁護団が提出した即時抗告申立書や補充書に、検察官が反論する意見書を出していないことを理由にあげたことを明らかにした上で、「即時抗告から3年もたつ。裁判所がイニシアチブを取って、期限を決めて勧告するべきだ」と強調しました。参加者からは、「3年間何もしていないというのは、民間企業では仕事をしていないことに等しい」と高裁の姿勢を批判しました。
 東京高検にも要請し、「3年かけて反論できなければ、弁護団の主張を認めたことと同じ」「検察庁は10年前、厚労省村木事件を機に、無実の者を罰しないよう事案の真相解明にとりくむなどとする『検察の理念』という倫理規定を示し、国民に再生を誓った。しかし、体質はまったく変わっていない。不誠実と言わざるを得ない」などと抗議しました。今回の要請で署名2393人分を提出し、累計8160人分となりました。

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