日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2019年7月25日号

2019年7月25日号  

鹿児島・大崎事件最高裁不当決定 弁護団は異議申し立て 支援者は抗議宣伝行動  

&size(18){職権での棄却は、適正手続(憲法31条)に反する
憲法違反の不当決定は再考せよ};

 鹿児島県大崎町で1979年、男性の遺体が見つかった大崎事件で、殺人・死体遺棄の罪で有罪となった原口アヤ子さんの第3次再審請求。地裁・高裁の再審開始決定を取り消し、再審請求を棄却した最高裁決定に抗議するため、支援者27人が、7月10日昼、最高裁前で怒りの抗議宣伝をおこないました。

 宣伝行動では、大崎事件首都圏の会・平川明雄会長代行が「今回の決定で、最高裁は最低裁であることを証明した。絶対に許さない」と怒りをぶつけました。国民救援会中央本部・岸田郁事務局長は、「何年も事実調べを行った地裁・高裁の再審開始決定を書面審査だけで取り消したという異常さだけでなく、弁護団に反論の機会さえ与えなかった異常さが重なっており、この上ない不当極まりない決定」だと最高裁決定を厳しく批判しました。

不当決定破棄し再度審理をせよ

 なくせ冤罪!市民評議会・今井恭平理事は、「検察の抗告には理由がないにもかかわらず特別抗告を棄却しないで、職権を発動して原口さんの請求を棄却したことは、憲法違反です。しかし、今の日本の司法制度ではこれを正す機関が最高裁以外にありません」と怒りをあらわにしました。同じく最高裁に係属している仙台北陵クリニック事件を支援する東京の会・長濱慎(しん)事務局長は、決定を出した小池裕裁判長の初心の言葉を引き、「今からでも遅くない、今回の決定を破棄し、もう一度考え直してください」と訴えました。そのほか、再審・えん罪事件全国連絡会・瑞(ず)慶(け)覧(らん)淳(あつし)事務局長、国民救援会中央本部・坂屋光裕事務局次長、神奈川県本部・渡(わた)場(ば)大(たい)河(が)事務局長、千葉県本部・鷲尾清会長、東京都本部・小林事務局次長も怒りを込めて訴えました。
 最後に首都圏の会・福田磨理子事務局長が「今回の最高裁決定は理解できない決定です。3度も再審開始決定が出されているにもかかわらず、それを取り消す、本当に許せないです。怒りでいっぱいです」と涙ながらに訴えました。

異議申し立てに許せぬ不当対応

 大崎事件再審弁護団は7月1日、第3次再審請求を棄却した今回の最高裁決定に異議を申し立てました。異議申立書のなかで、弁護団は、「特別抗告審は、事後審かつ法律審であり、…事実の取調べを行う場ではないから、…有罪判決を受けた者に不利益な方向で自判することは、憲法31条が保障する適正手続きに反する」ことを指摘し、「事実の取調べをしないで、有罪判決を受けた者に不利益な方向で自判することは憲法31条、37条に違反」するというのが最高裁の確定した判例であることを指摘しています。そのうえで、最高裁が吉田鑑定(第3次再審請求の新証拠の1つ)の証明力評価をおとしめたことの誤りを説明した後、「本決定は、最高裁判所の名誉のために、最高裁判所自らの手によって取り消され、検察官の特別抗告を棄却し、再審開始の原決定を維持する旨の判断がすみやかに下されなくてはならないのである」と結んでいます。
 弁護団の異議申し立てに対して、最高裁は「立件しない」(したがって、裁判をして答えることはしない)と回答してきたといいます。弁護団は7月5日、「異例の対応で看過できない」として、具体的説明を求める申し入れ書を最高裁に提出しました。
 7月12日には、全国の刑事法学者92人の連名で、今回の決定には「刑事司法制度の基本理念を揺るがしかねない重大な瑕(か)疵(し)が存在する」との声明を発表。16日には、冤罪犠牲者の会が「日本の裁判史上に残る暴挙」であるとの抗議声明を発表しました。

三重・名張毒ぶどう酒事件 審理の放置許すな 圧倒的な世論で裁判所を動かそう  

 名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求の異議審が名古屋高裁刑事第2部に係属してから1年7カ月になります。「全国の会」事務局長の長尾忠昭さんに、裁判の現状と支援運動を報告してもらいました。

 2015年10月4日、奥西勝さんは、八王子医療刑務所で無念の獄死を遂げられました。事件発生から54年、奥西さんは89歳でした。奥西さんの無念の獄死は「司法の殺人」以外のなにものでもありませんでした。
 妹の岡美代子さんが兄と奥西さんにつながるすべての人々の無念をはらし、名誉を回復しようと、2015年11月に第10次再審請求を申し立てました。
 ところが、名古屋高裁刑事第1部山口裁判長は、弁護団が申し入れた進行協議の開催や事実調べを一切行わず、「死刑判決までに提出された証拠によれば奥西勝さんの犯人性は揺るがない」と、確定死刑判決が正しいと一方的に決めつけ、無(む)辜(こ)の救済という再審制度の理念を果たす自らの役割を放棄し、再審請求を棄却しました。
 現在異議審が行われている名古屋高裁刑事第2部の対応も、刑事第1部の対応に輪をかけてひどいものがあります。進行協議に一切応じず、弁護団が求めた第10次再審における重要な新証拠である封(ふう)緘(かん)紙(し)の糊鑑定についての測定の請求と面談についても、裁判所は、検討中とばかりこたえる一方で、検察官とは「秘密のやりとり」があったことが記録の閲覧で判明しました。
 弁護団は、このような裁判所の姿勢に業を煮やし、これまでに2回、裁判官の忌避申し立てを行いました。その理由は、裁判を長期間にわたって放置し訴訟を遅延させている裁判官には判断者としての資質はなく、不公平な裁判をする恐れがあるというものでした。ところが申し立てを受けた盒矯枷縦垢蓮◆崛幣戮鮹抉笋気擦詭榲のみでなされた」忌避申立だとして即座に却下してきました。しかし、訴訟を遅延させているのは間違いなく裁判所です。臆面もなく、訴訟遅延を弁護団に転嫁するような決定を出すことに対し、良心の呵責に苛まれないのか、弁護団一同憤っています。

要請ハガキを

 名古屋高裁のあまりにもひどい対応を即刻改めさせるため、「全国の会」は、裁判所への要請ハガキ運動に取り組むことを7月の世話人会で決めました。
 これまでも毎月、裁判所と検察庁への要請行動を行い、全国から寄せられた署名を提出してきましたが、良心を失った裁判官を変えるためには、市民の圧倒的な声を裁判所に寄せるしかありません。
 大崎事件で最高裁は、再審制度を無に帰すかのような決定をしました。名張事件は、このような動きをはねのけ、奥西さんの名誉を回復し、裁判所を人権の砦(とりで)としての役割を果たさせるための大切なたたかいです。
 全国の皆さんのご協力を、切に訴えます。

〈要請先〉〒460―8503 名古屋市中区三の丸1―4―1 名古屋高裁刑事第2部 盒凝虻枷縦

東京・三鷹事件が現地調査 竹内さんの無実明らか  

 1949年、東京・三鷹駅構内で無人列車が暴走し、6人が死亡、20数人が重軽傷となった事故で12人が起訴された三鷹事件。他の被告は無罪となる中、ただ一人死刑判決となった竹内景助さんの再審請求が、東京高裁に係属しています。事件発生から70年目となる7月15日、現地調査が行われ55人が参加しました。
 今回は事前学習会として、事件当時の映像報道を視聴し、事件当時を知る「語り継ぐ会」の堀越作治さんと、梁田政方さんから、事件当時の状況が語られました。
 その後、三鷹事件遭難犠牲者慰霊碑のある禅林寺を訪れ、犠牲者を悼みました。さらに70年前の事件当時と変わらない跨線橋に移動して、竹内景助さんの自白と目撃証言の矛盾や自白通りの操作や道具では電車が動かないこと、また、単独ではできない操作手順などについて説明を受け、最後に電車暴走によって交番や民家が破壊した三鷹駅前で、通行人に宣伝をしながら、現場での説明を受けました。
 「自分は電車マニアだが、マニアならこの電車事故の矛盾がよくわかる。もっとマニアに事件を広げてはどうか」など、参加者から意見が出されました。

岡山・倉敷民商弾圧事件 証拠を十分に調べ無罪を  

 7月9日、岡山地裁に対し、無罪判決と、検察に公訴の取り下げを勧めよと29回目の要請を7人でおこないました。当日、署名1069人分(累計8万682人分)を提出しました。
 禰屋町子さんは、要請文を読み上げ、以下のように要請しました。
 岡山地裁に差し戻し後、検察は10カ月以上かけて立証計画や資料を何度も練り直すというのは異常です。私を逮捕した5年前にすべきことをしていないからです。原資料で明確に証拠を示してほしい、できないのなら、裁判所は検察に公訴の取り消しを勧めてください。
 私、弁護団が求める証人、証拠を十分に調べ、公平、公正、迅速に審理をすすめ、無罪判決を出すことを要請します。
   *
 その後、裁判所前で支援の訴えをおこないました。
 7月11日には、岡山地検に対し、直ちに公訴を取り下げるように要請しました。

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