日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2019年6月15日号

2019年6月15日号  

検察に証拠開示義務 茨城・布川国賠訴訟 警察・検察に賠償命令 東京地裁  

 冤罪布川事件で再審無罪となり雪冤を果たした桜井昌司さんが警察と検察の違法行為の責任を追及するために2012年に提訴した布川国賠訴訟。東京地裁(市原義孝裁判長)は5月27日、警察と検察の責任を認め、桜井さんに約7600万円の損害賠償を命じる判決を出しました。

警察等の行為と証拠隠しを断罪
 判決は、警察官による嘘の事実を告げておこなった取り調べの違法性、警察官による裁判での嘘をついた行為の違法性、検察官による証拠隠しの違法性を認めました。
 まず、警察が、桜井さんのアリバイに関して、桜井さんのお兄さんが桜井さんの供述を否定する供述をしたと嘘をついて取り調べたこと、桜井さんと杉山さんを目撃したとの目撃者が存在しないのに存在すると述べて取調べたこと、桜井さんのお母さんが「早く自白するように」と言っているとの嘘をついて取調べたこと等を認定。また、桜井さんや杉山さんの取り調べを録音したテープがそれぞれ2本存在するのに、各1本しかないと裁判で嘘をついたことも認定しました。

検察には証拠を開示する義務が
 さらに、刑訴法と検察庁法を根拠に、「検察官は、公益の代表者として、事案の真相を明らかにする職責を負っている」と述べ、「検察官の手持ち証拠のうち、裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白であるものについては、被告人に有利不利」を問わずに法廷に出す義務があり、「具体的に開示を請求する証拠が特定された証拠開示の申立てがあったような場合には、(中略)開示をしない合理的理由がない場合には、検察官は、その証拠の開示義務を負う」と判示。検察官の証拠開示義務という画期的判断を示し、公判の第二審(判決は1973年12月)で弁護団が求めた証拠を開示しなかった検察官の行為は違法と認定しました。

冤罪の仲間たち救われるように
 判決後の記者会見に立った桜井さんは、「勝つ確信は揺るぎませんでした。そもそも捜査官が嘘を言って来て、一般常識に反する検察官による証拠の独占がおこなわれている司法が冤罪を生むと思っている。このやり方が許されないのは当たり前ではないかと思っていました。しかし、今回の判決がここまで踏み込んで認定してくれたのは感謝しています」と述べ、「杉山がいて、『昌司、良かったな』と言ってほしいと思いました」と亡くなった杉山さんに想いを馳せました。
 さらに、桜井さんは「再審に続いて、国賠に勝てた一因に、うちの連れ合いが、いつも荒れ狂うこの私を黙って許して、たたかわせてくれたおかげだと思います。うちの連れ合いに感謝したい」と述べました。また、「多くの仲間たちが冤罪で泣いていますが、その冤罪の仲間たちがすべて救われるように、みなさんからいただいた力を仲間たちに返していきたい」と述べ、弁護団、支援者に感謝の言葉を繰り返しました。
※勝訴判決を出した裁判官=市原義孝、福田敦、佐々木康平

布川事件
 1967年、茨城県利根町布川で、一人暮らしの男性が自宅で殺害され、犯人として桜井昌司さん、杉山卓男さんが逮捕・起訴され無期懲役とされた事件。虚偽の「自白」が唯一の証拠でした。29年間の獄中生活の後、1996年に仮釈放、2005年再審開始決定。2011年に無罪が確定。
 捜査では、客観的な証拠がない中、虚偽の自白が作られました。検察は証拠を歪めて、起訴。公判では、警察・検察は明らかな偽証。たとえば、2人の取り調べで各2本の録音テープをとったにもかかわらず、各1本しかないと偽証。また、検察官は嘘を言って証拠開示しませんでした。

関西・たんぽぽの会 当事者の訴えに涙 えん罪なくせと250人 京都・南丹市  

 関西えん罪事件連絡会「たんぽぽの会」は、5月25日、「なくそうえん罪 救おう無実の人々 関西市民集会part12」を開催、市民約250人が参加しました。えん罪当事者や家族のトークやライブなどに大きな共感の拍手を送るとともに再審法改正など司法改革運動への決意をかため合いました。

 伊賀カズミ大阪府本部副会長が「いままでは大阪での開催でしたが、長生園不明金事件で西岡廣子さんが不当逮捕されてから20年を迎え、事件の地元で関西の仲間が集まろうと企画しました」と主催者あいさつ。

当事者同士が励ましあって
 第1部はトーク「西岡廣子さんとたんぽぽの仲間たち」で、3000万円横領の犯人とされながらえん罪を晴らすたたかいをつづけている西岡さん、奈良県香芝市で強制わいせつの犯人にされた中南源太さんの母親の真理子さん、東住吉えん罪事件で再審無罪判決を勝ちとった朴さんの母親の李文子さんが、「犯人をつくる警察、検察に、えん罪がわからない裁判所、どうしたらいいのか悩んでいる時に、同じ当事者や仲間のアドバイスに助けられた」(西岡さん)など、たんぽぽの会のはじまりや励まし合い助け合ってきた活動や思いを語りました。トークの内容に会場でも目頭を押さえる人もありました。最後に、西岡さんが、仲間の救援へさらに多くの支援運動を広げてくださいと述べました。

再審法の改正実現に向けて
 第2部の「えん罪撲滅ライブ-歌と語り」では、楽器の奏でるハイテンポのリズムで、SUN(サン)-(・)DYU(デュー)さんの3人グループ‥MIC(マイク) SUN(サン) LIFE(ライフ)が舞台一杯のアクションと歌を響かせました。SUN-DYUさんも泉大津コンビニ窃盗事件で身に覚えのないことで逮捕を受け裁判中に、コンビニのドアの指紋が事件時のものでないことを「オカン」が発見、無罪となったと語り、無実を知っていて有罪にしようとした警察・検察を相手に裁判をしたことを語りました。同じく無罪後に責任追及裁判をたたかっている、布川事件の桜井昌司さん、東住吉えん罪事件の青木恵子さんと3人がトーク。その悔しさ、悲しさを詩にし、歌にしたとして、ピアノの生演奏に合わせ桜井さんが「かあちゃん」「ゆらゆら春」を披露し大喝采を浴びました。
 閉会のあいさつと運動への呼びかけを兼ねて、関西大学教授の里見繁さんが、再審法改正をめざす市民の会が20日に結成されいよいよえん罪犠牲者を早期に救済しえん罪を防止するルールづくりの活動がはじまったと報告、私たちもこれを歓迎し実現にとりくんでいくと表明しました。

東京・小石川事件 現場再現実験おこなう 再現現場見て無実を実感  

 国民救援会文京支部と小石川えん罪事件の再審を支援する会の共催で5月25日、現場再現実験学習会が開かれ、33人が参加しました。
 2002年に東京・文京区小石川のアパートで高齢女性が殺害された強盗殺人事件で犯人とされた伊原さんは、警察の暴力や強引な取り調べでうその自白を強いられ、無期懲役が確定しました。
 会場には、犯行現場の4畳半と同じ寸法の図面シートが床に引かれ、実物大の被害者の人形などが配置され、弁護団の野嶋真人弁護士、伊集院剛弁護士が講師で、「犯行」はどのように行われたのかを、支援する会の男性が犯人役となって再現しました。
 この中で、ゞ垢ぃ款半に被害者が流しに立っているのに、盗みに入る不自然さ、引き倒して口にタオルを押し込んで殺害したとされるが、椅子が邪魔になって出来ない等、客観的な状況と伊原さんの「自白」が矛盾していることが明らかになりました。
 また、弁護団が再審を請求する新たな証拠として、タオルからは伊原さんのDNAは発見されず、真犯人と思われるDNAが発見されたことなどが説明されました。
 参加者からは多くの質問や意見が出され、えん罪であることがよく分かったと感想が寄せられました。

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