2019年12月15日号
2019年12月15日号
茨城・布川事件国賠訴訟 検察、警察は反省を 第１回口頭弁論で桜井さんが陳述 東京高裁
１１月２７日あいにくの小雨模様の中、布川国賠訴訟控訴審第１回口頭弁論期日が開かれました。支援する会では裁判所前の宣伝・裁判所への要請をおこないました。
開廷前、裁判所前で、多くのマスコミがカメラを向ける中、原告の桜井昌司さんは、青木惠子さんら冤罪犠牲者仲間とともに垂れ幕をもち、弁護団とともに裁判所に入りました。カメラの放列は、５月の地裁判決の内容の重さ、マスコミの関心の高さを表すようでした。
裁判は７０人ほどが傍聴し、桜井さんと谷萩陽一弁護団長の意見陳述を聞きました。ともに素晴らしい内容で、陳述が終わった後はどちらも傍聴席から拍手が起こりました。特に、桜井さんの検察、警察のこれまでの嘘を鋭く告発する陳述は魂がこもっていて、裁判官のみならず法廷で静まり返った検察や警察にも届くことを期待するような内容でした。控訴した検察、警察よりも、被控訴人の桜井さん側が元気により鋭く追及する姿は、再審手続きの時と同様でした。また、この裁判で裁かれているのは検察、警察であることをはっきりと認識させるものでした。
地裁判決は、確定審の控訴審段階で特定した証拠開示申立に応じなかったことを違法としましたが、これにより故柴田五郎弁護士が当時執拗におこなった証拠開示申立ての重要性が改めてクローズアップされ、桜井さんと杉山さんの無罪を信じた多くの人が力を寄せ合った布川の運動であったこと、そして多くの人が願った２人の「再審無罪」の先に、「証拠開示義務」の獲得という道程があったことに思いをはせる裁判でした。裁判終了後、日比谷図書文化館の小ホールで６０人程が参加した報告会が開かれました。
（布川国賠を支援する会・山川清子）
大阪・東住吉冤罪事件青木国賠訴訟 検察の証拠隠し追及 取調べ警官の嘘を容認 大阪地裁
１１月２１日、大阪高裁において東住吉冤罪事件青木国賠訴訟の第１０回口頭弁論が開かれました。
前回の口頭弁論では、公訴提起前の捜査の不当性について、再審無罪判決でも認められた自然発火の機序や、事故の翌日の新聞報道では､｢東住吉署の調べでは風呂の火が車のガソリンに引火？」という記事があったにもかかわらず、ガソリン漏れ等自然発火の可能性を検証することなく起訴したこと等々、本件起訴がいかにでたらめであったのかが明らかにされました。
今回の口頭弁論では主には公訴提起後の違法について、原告のこれまでの主張の補足と、被告国の弁解に対する反論が改めて詳細に述べられました。まず、事案の真相解明や基本的人権の尊重など検察官の職責、義務を明らかにしたうえで、その職責を怠り、公判を維持するために証拠を隠（いん）蔽（ぺい）していたことを、鋭く追及。例えばガソリンスタンドの店員に聞き込みを行い、ガソリンタンク内が過量的満杯状態にあったこと、さらには朴さんの消火活動や、風呂場にいた長女の救出を求めていたこと、１１９番通報もしていたことなども判明していたにもかかわらず、公判には証拠として提出しなかったこと等々、そして朴さんに対する八尾警察官の違法な取調べ状況についても、八尾証言が虚偽であることを認識し、かつ容認していたことも改めて言及。被告国の反論・弁解は認められないとしました。
裁判所は年度内には証拠開示関連を終え、４月以降に事実調べに入りたいとしています。 （伊賀カズミ）
名張事件第10次再審（最高裁）署名用紙
