日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2019年11月15日号

2019年11月15日号  

栃木・今市事件 今度こそ、無罪判決を 最高裁で必ず無罪! 一日行動に9都県から90人参加  

 小学校1年生の女児を誘拐し殺害したとして勝又拓哉さんが殺人罪に問われ、1審、控訴審とも無期懲役で、最高裁でたたかっている栃木・今市事件。えん罪今市事件首都圏連絡会は10月23日、「最高裁で必ず無罪!一日行動」にとりくみました。

 一日行動は、午前11時から有楽町マリオン前で宣伝行動。勝又さんのお母さんをはじめ、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の各都県本部の代表がマイクを握り、最高裁に係属している無実の勝又さんを救うには後がないと必死に支援を訴え、参加者が通行人にビラを配りました。
 午後は、国会内で集会を開きました。集会では、勝又さんからの手紙が代読紹介され、続いて弁護団報告がおこなわれました。
 次に、激励の挨拶に立った映画監督の周(す)防(お)正行さんは、法制審議会特別部会で取り調べの録音録画をおこなうという法改正にかかわったことを述べ、1審の宇都宮地裁の裁判官が法制審での議論に少しでも関心を寄せていれば、取り調べの録音・録画の内容をあのように乱暴に扱うことはなかったはずだと述べ、取り調べの違法性の有無ではなく、有罪の証拠として用いたことを批判しました。また、控訴審の判決は、「事実の認定は証拠による」という証拠裁判主義ではなく、裁判官たちの直感で判決が書かれており、先輩裁判官がつくってきた日本の裁判を台無しにするものだと厳しく批判しました。
 その後、最高裁係属冤罪3事件の要請がおこなわれました。
 今市事件の一木明弁護士は、9月に上告補充書を提出した内容を紹介して、特に東京高裁判決が「自白」の判断基準や情況証拠の事実認定についての最高裁判例に反していることを指摘しました。
 周防さんは東京高裁の審理をすべて傍聴したことを踏まえて、東京高裁の検察に訴因の変更を促すなどの不当な訴訟指揮を批判するとともに、「有罪ありきの高裁判決を最高裁が是正しなければ裁判への国民の信頼を失う。人権の砦(とりで)としての最高裁の役割を発揮して、これ以上裁判について国民に絶望を与えないで下さい」と訴えました。
 今市事件のほか、宮城・仙台北陵クリニック事件と静岡・袴田事件の要請もおこなわれました。

滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件 検察、事実上の白旗  

 今年3月最高裁で再審開始決定が確定した滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件は、再審開始決定の確定時には有罪立証をおこなうと主張していた検察が、大きく態度を変えてきました。10月18日付の文書で検察は、新たな有罪立証はしないこと、公判については1回で結審し早期に終結することを希望することなどを述べています。最高裁まで特別抗告をしておいて、有罪立証が困難であると分かると早く裁判を終えることを「希望する」検察の態度は身勝手そのものです。
 弁護団は、これまでは再審公判で事件の真相を可能な限り明らかにするという方針でしたが、西山さんの早期無罪を得るために来年3月末までに判決をしてもらうという方針に変更しました。

無罪までご支援を 西山美香さん  

 なぜ、今まで検察は抗告をしてきたのかという思いはありますが、裁判が早く終わることは良いことかと思い、喜んではいます。
 いろんな支部に伺って話をさせていただいていますが、みなさん、本当に温かいご支援をしてくれます。みなさんのおかげで、私もここまで来れました。
 再審無罪判決まで、引き続きご支援よろしくお願いします。

鹿児島・大崎事件第21回全国現地調査 第4次再審請求を年度内に(弁護団)  

朗読劇も交えて、「よく分かった」

 鹿児島・大崎事件の第21回全国現地調査が10月26日、27日におこなわれ、10都道県から90人が参加しました。1日目は、弁護団報告、朗読劇、現場調査など、2日目に「自白」に基づく暴行再現実験、参加者の討論などがおこなわれました。

 弁護団報告は、中田幸雄弁護士から、「大崎事件、40年間の歩み」と題して、事件発生から裁判まで、確定判決が認定したストーリー、第1次から第3次までの再審請求裁判で明らかになったこと、再審請求裁判での証拠開示の重要性、検察の抗告による裁判遅延などが報告されました。
 村山耕次郎弁護士からは、「最高裁決定の問題点と第4次再審請求への取組み」と題して報告がされました。

最高裁の決定厳しく批判し

 そのなかで、6月25日付で出された最高裁決定によって、検察官の主張は抗告理由にあたらないとしながら、最高裁が、実質わずか5頁半で、高裁の判断を差し戻すこともせず、自ら判断し、再審開始決定を破棄し、再審請求を棄却したことは、「疑わしいときは再審請求人の利益に」とした白鳥・財田川決定を骨抜きにしたものだと厳しく批判しました。また、新証拠である吉田鑑定について最高裁決定が、吉田鑑定は「わずか12枚の写真からの情報」で鑑定したから決定的証明力がないとした点についても、実際に遺体を解剖した鑑定医が自分の当初の判断の誤りを認めており、その内容が吉田鑑定の正しさを裏付けていること、12枚の写真からでも正確な鑑定が十分可能であると決定を批判しました。最後に、第4次再審請求に言及し、高齢の原口さんの体調を考えると誰を請求人にするか、何を新証拠にするかなどの問題はあるが、早ければ年内に、遅くとも年度内には提出する予定であると述べました。
 次に、地元大崎町の支援者による朗読劇「おいどん達もやっちょらん」が演じられ、亡くなった原口さんの元夫ら「共犯者」3人の心情も交えて、事件の真実を分かりやすく伝えました。

現場の再現で自白の矛盾が

 その後、被害者が酒に酔った状態で落差1メートルもある溝に自転車ごと落ちた現場に向かい、人形を使っての落下実験をおこないました。その後、溝の反対側の道路に午後7時ころ下半身裸の濡れた状態で被害者が1時間以上放置されていたことなどを確認しました。参加者からは、溝に落下したことにより重傷を負い、秋の夕方から夜にかけて濡れた体のまま放置されたことが被害者に大きなダメージを与えたことがよく分かったなどの感想が出されました。
 2日目は、原口さんの「共犯者」たちの「自白」に基づいて、被害者宅土間での近親者による暴行再現実験が行われました。その後、参加者による感想・意見交換、各地の支援組織からの活動報告などがおこなわれ、行動提起として、国民救援会と原口さんの再審をめざす会の会員を飛躍的に増やすことや定期的な宣伝行動に力を入れること、再審法改正に向けて地方議員や国会議員に働きかけることなどが提起されました。最後に、原口さんの無罪判決を勝ちとるまで奮闘することを誓い、市民に支援を求める集会アピールを採択しました。

大崎事件

 1979年10月12日、鹿児島県大崎町で農家・四郎(仮名)が酔っぱらって自転車に乗り、落差1メートルの溝に落ちた後、道端に倒れているところを近所の2人の男性に自宅まで運ばれ、3日後に、自宅の牛小屋の堆肥の中で発見されます。警察・検察は、義姉の原口アヤ子さんが殺意を抱き、親族と共謀し、タオルで四郎の首を絞めて殺害し、牛小屋の堆肥の中に遺棄したとして逮捕・起訴。全員有罪となり、原口さんが満期出所後、再審請求。
 第3次再審請求では、3日間も堆肥に埋められていた被害者の写真などを基に、タオルで絞殺されたなら、血液が体の下方に集まる血液就下という現象により遺体は黒っぽくなるはずなのに、写真では遺体は白っぽいことから、絞殺されたのではないことなどを明らかにした鑑定が出されていました。

秋田・大仙市事件第8回全国現地調査 現地見て、「自白」に疑問「両親の元気なうちに再審を」  

 2006年、秋田県大仙市の道の駅駐車場で、交際中の女性の息子(4歳)を暴行し、女性に殺害を指示したとして、畠山博さんが懲役16年の実刑を受けた大仙市事件。畠山さんは山形刑務所から無実を訴え続けています。第8回全国現地調査が10月19、20日におこなわれ、北海道、岩手、山形、福島、茨城、秋田県内から約20人が参加しました。

検証で疑問点

 1日目、DVD「大仙市事件の真実」を視聴した後、確定判決で認定された犯行時刻に沿って現場を移動し、検証しました。まず、畠山さんが当時乗っていた軽自動車の中で、人形を使って畠山さんがコーヒー缶で幼児の頭を殴り瀕死の重傷を負わせることができるかという再現実験をしました。その後、暴行したとされている「道の駅・かみおか」や、女性が幼児を投げ捨て溺死させた用水路へ行き、花をたむけ参加者全員で黙祷を捧げました。あたりはすっかり暗くなったなか、人形を使って土手の下まで降りて投げ捨てる検証をしました(左下写真)。参加者からは「車内の微物検査で幼児の髪の毛や、血痕など何ひとつ出ていないのはおかしい」「急斜面を幼児を抱えて用水路まで降りていくのは難しいのでは」 「なぜ、自宅の目と鼻の先の用水路にすてたのか」など多くの疑問感想や意見が出されました。

雪冤誓い合う
 2日目、学習会には畠山さんのご両親と家族が参加し挨拶、支援を訴えました。参加者に畠山さんからのメッセージが読み上げられました。弁護団の三浦広久弁護士は「心理学者に、供述心理学鑑定を依頼している。再審無罪にむけて、供述心理学鑑定をだし証拠開示させていきたい。日本の刑事司法の不備がこのようなことをひき起こしている」と述べました。
 参加者から、「両親の元気なうちに再審を勝ち取りたい」、「この運動を大きくするために多くの人に知らせていきたい」など運動を進めようとの積極的意見が出され、引き続き畠山さんの冤罪を晴らすために奮闘することを誓い合いました。

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