日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2019年10月15日号

2019年10月15日号  

袴田巖さんの命を救おう 静岡・袴田事件が最高裁へ要請 世界に恥じない対応を  

 1966年、静岡県清水市(現在の静岡市清水区)で味噌会社専務一家4人が殺害され、金品を奪われたうえ、家を放火された強盗殺人、放火事件で犯人とされた袴田巖さんが裁判のやり直しを求めて最高裁でたたかっている袴田事件。国民救援会を含む支援8団体は、袴田さんを救出するため9月24日に最高裁要請を、26日に袴田巖死刑囚救援議員連盟に要請をしました。

 9月24日、国民救援会も構成団体の一つとなっている「袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会」は、事件が係属する最高裁への要請行動をおこない、要請には8人が参加しました。

世界が裁判注目
 要請では、国民救援会の瑞慶覧淳副会長は、大崎事件で再審開始決定を取り消し、請求を棄却したことを受けて、「憲法で、請求人にとって不利益となる再審は禁止されており、請求人に不利な判断で裁判を強制終了することは許されない。最高裁が再審に消極的な意思を下級審に波及させようとしているのならば、私たちは下級審裁判官を激励し、事実と道理に基づく公正な判決を実現していく。この秋に全国の裁判所の前で、最高裁の大崎事件の決定を批判し、犂岼磴┐燭蕕笋蠶召、その常識、裁判所にはないの?瓩搬任曾个靴織咼蕕鯒曚訐訶噌堝阿魴弉茲靴討い襦廚判劼戮泙靴拭そのうえで袴田事件について、「弁護団の意見書を調査官と裁判官が目を通し、事実調べをして慎重な審理をすべきだ。再び死刑台に戻すような非人道的な対応を絶対に取るべきではない。ローマ法王との面会も報道されており、世界が注目している。世界に恥じない対応を」と要請しました。
 要請に先立っておこなわれた宣伝行動では、国民救援会の坂屋光裕事務局次長がマイクを握り、「静岡地裁は詳細な事実調べをして再審開始を決定したが、東京高裁での審理は、書籍や文献を使ってDNA鑑定に問題があるとしただけで、証人調べはしなかった。憲法31条には適正な手続きがなければ刑罰を受けないと定められている。これが適正な裁判なのか。目を疑うような審理だ」と批判。きちんと事実調べをして、「さすが最高裁、憲法にのっとった裁判をした」と敬意を表されるような審理をするよう強く訴えました。

「議連」にも要請
 9月26日には、「袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会」が、袴田巖死刑囚救援議員連盟(袴田議連)の役員と面談し、現状報告と議連への要望を伝えました。
 議連への要望について、袴田巖さんの再審を求める会の福田勇人さんは、東京高裁で再審開始が取り消され、袴田さんの命がかかっている現状を述べ、「裁判の結果を待つだけでなく、できることをすべてやりたい」と強調。その一つが死刑の免除を求める恩赦請求で、3月に恩赦請求をしていることを報告し、「請求を審査している中央更生保護審査会に恩赦が認められるよう議連として要請してほしい」と述べました。また、ローマ法王が来日する際に、袴田さんと面会する方向で調整されているとする報道を受けて、面会が実現できるよう、関係諸機関に働きかけをしてほしいと要望しました。
 袴田議連会長の塩谷立衆院議員は、「なんらかの方法は考えたい」と述べ、弁護団と意思統一して働きかけをしていく方針を示しました。

〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁判所第3小法廷
〈激励先〉〒430―0937 浜松市中区利町302―23 302ビル 袴田巖様、秀子様
〈署名問い合わせ先〉国民救援会静岡県本部 FAX:054―255―6112

大学生誤認逮捕・自白強要事件 徹底的な検証を 県本部が県警に防止策を要請 愛媛  

 女子大学生が窃盗容疑で誤認逮捕され、愛媛県警が自白を強要する取調べをおこなったことに対して、国民救援会愛媛県本部は9月26日、県警に徹底的な検証と再発防止策を求めて要請をおこないました。

 この事件は今年1月9日、乗車したタクシー車内から現金とセカンドバッグを盗んだとして、7月8日に女子大学生が窃盗容疑で逮捕され、実名報道がされたものです。女子大学生は2日後に勾留請求が却下され釈放。26日に「嫌疑なし」として不起訴となり、県警本部長が謝罪する事態となりました。さらにその後、女子大学生が公表した手記で、人格を否定され自白を迫られたこと、就職問題で女子大学生の弱みに付け込んだり、黙秘権を行使せよとの弁護士の助言を無視せよと迫るなど違法で過酷な取調べを受けたことも明らかとなりました。

人格否定する取調べに批判
 多くの県民が驚きと怒りの声を上げる中、県知事は「重大な人権侵害だ」、山本国家公安委員長(当時)は「大変怒りを持って推移を見守る」との見解を表明。松山市議会は9月議会で意見書を全会一致で採択しました。県警は誤認逮捕については一応認め謝罪しましたが、女子大学生が自白強要と訴えた取調べは認めていません。警察互助会会費から50万円を女子大学生に払い、事件を曖昧にし終わらせたいとの態度がありありでした。
 そこで県本部は事件を広く県民に知らせ再発防止のために、9月26日、県警本部と県公安委員会への申入れを行いました。
 要請では県内で起きた過去の2つの典型的な事件や、2006年に県警から流出し、政府もその存在を認めている「愛媛県警被疑者取調べ要領」を示し、ずさんな捜査と自白強要がおこなわれたが、いまもまったく反省していないことに対し、猛省を求めました。

救援会の姿を広く知らせる
 当日、記者会見には9社が取材に来ました。臼井満会長が「勾留を認めなかった裁判所の判断を評価したい。愛媛県警は今回の事件を、真摯に反省する絶好の機会と捉えるべきだ」と県本部の見解を表明しました。
 また、「再発防止策を県民に公表せよとの主張は具体的には」との質問には、「少なくとも県警は記者会見を開くことだ。県警の言いたいことだけを言って、質問をさせないのはダメだ。それが、民主主義社会のありようであり、報道の自由はその根幹ではないか」と答えました。
 その夜にテレビ局2社が報道。翌日は朝日・毎日・読売・愛媛の各新聞社が報道しました。日本国民救援会が長年冤罪救済にとりくんでいる団体であることも報道されました。県警が県議会に報告をする予定が発表されているので、救援会のコメントをお願いしたいと臼井会長へ要請がありました。引き続き秋の宣伝行動で救援会の存在を知らせ、警察の横暴を許さない運動をすすめていきます。

(県本部事務局次長・佐藤壽兼)

松川事件70周年記念全国集会 冤罪をなくすために 松川の本質を次世代に伝えよう  

 1949年の発生から70年となる松川事件の70周年記念全国集会が、9月21、22日に福島市の福島大学構内で開かれ、全国からのべ1200人が参加しました。
 第2会場までいっぱいとなった1日目の集会は、映画監督・周防(すお)正行さん(写真)の記念講演がおこなわれました。周防さんは最初に、高校時代に教科書に掲載されていた作家・広津和郎さんの文章から松川事件を知り、裁判所への根拠のない信頼が周囲にあることの矛盾を感じていたこと、2002年に西武線痴漢冤罪事件の東京高裁での逆転無罪判決が、映画『それでも僕はやってない』を制作するきっかけとなったことを話しました。
 周防さんは法制審特別部会の委員であった時の議論も紹介しながら、司法制度の3つの問題点として、「自白するまで身柄を拘束する人質司法」、「検察官の手持ち証拠がすべてが開示されるわけではないこと」、「供述調書が重視される調書裁判であること」などを、あげました。また、「再審法改正をめざす市民の会」の結成宣言を紹介しながら、再審法改正の必要性について、訴えました。
 その後、フォーラム福島の支配人・阿部泰宏さんのインタビューに応えて、「映画製作には多くのエキストラの協力があって成り立つ。冤罪をなくすために、市民一人ひとりに関心を持ってもらいたい」と結びました。
 集会では松川事件の元被告人の阿部市次さん(写真)が登壇し、「死刑判決を受けた私が95歳の今日まで生きてこられたのは、無実の人を死刑にしてはならないという多くの国民のみなさんのお力です。その松川運動を後世に伝えるために、ユネスコの世界記憶遺産運動に協力してください」と訴え、大きな拍手を受けました。
 2日目は布川事件国賠訴訟原告の桜井昌司さんらのシンポジウムがおこなわれ、最後に「松川を二度とくりかえさせないために、松川の本質を次世代に正しく伝えよう」というアピールを採択しました。

兵庫・姫路花田郵便局事件 10月16日に証人尋問 重要段階、ご支援を 神戸地裁  

 2人組の黒人男性による強盗事件でナイジェリア人のジュリアスさん(仮名)が再審を求めている姫路花田郵便局事件が急展開です。この間、裁判官、弁護士、検察官の三者協議を重ねてきましたが、裁判所は10月16日、弁護側が申請した証人の尋問をおこなうことを決定しました。強盗事件で奪われたお金がジュリアスさんの倉庫で発見され、ジュリアスさんの関与なしには隠せないため犯人とされていましたが、ジュリアスさんに断りなく倉庫に隠したという犯人らの証人尋問です。弁護団は尋問を公開の法廷でおこなうことを求めており、裁判所は傍聴を許可する可能性があります。
 有罪判決が取り消されなければ、ジュリアスさんは家族から引き離され、国外退去になります。

福岡・防衛大学校人権侵害事件 国の責任認めず 原告「納得できない」と怒り 福岡地裁  

 2013年に防衛大学校に入学した青年が、上級生らから「指導」と称して殴る、蹴る、体毛を燃やされるなど暴力や人権侵害を繰り返し受け、退学に追い込まれました。大学校が学生らの暴力などを予防し、再発防止をしなかった「安全配慮義務違反」にあたるとして損害賠償を求めた裁判で10月3日、福岡地裁(足立正佳裁判長)は、原告の請求を棄却しました。判決は、大学校は危険を未然に防止する安全配慮義務を負っているとしながら、本件では「予見可能性及び回避可能性」はなかったとしました。
 一方で、学生間指導は「指導に名を借りた暴力や行き過ぎた指導等に及ぶ者が現れる危険性がある」と認定しながら本件には適用していません。暴力は「防大の伝統」とされ、予見は可能であり、判決は不当なものです。
 原告青年は、「判決は納得できない。しかし、防大の内情を知らせることができたのはよかった。ご支援いただいたみなさまと、支えてくれた家族に感謝したい」と述べました。 2018年7月の第59回全国大会でお母さんが発言し、署名を訴えました。それから1年余で全国から5万1千人を超える署名が寄せられています。(県本部)

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional