日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2018年6月15日号

2018年6月15日号  

岡山・倉敷民商弾圧事件 小原さん須増さん 最高裁が不当決定  

 会員の税務書類の作成を手伝ったことが税理士法違反などにあたるとして岡山・倉敷民主商工会の事務局員3人が起訴された倉敷民商弾圧事件のうち小(こ)原(はら)・須(す)増(ます)裁判について、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は、被告人の小原淳さんと須増和悦さんの上告を棄却する不当決定を出しました。決定は5月29日付け。
 事件は、2014年に国税局と警察・検察が、当時倉敷民主商工会会員だった建設会社の「脱税」事件を作り上げ、「脱税」の手伝いをした(法人税法違反ほう助)として同事務局員の禰(ね)屋(や)町子さんを逮捕・起訴し、これを利用して事務局長の小原さんと事務局員の須増さんとそして禰屋さんを、税理士法違反として逮捕・起訴したものでした。小原さんと須増さんは184日、禰屋さんは428日身柄拘束を受けました。
 小原・須増裁判は一、二審ともに両氏が「作成」した税務書類は適正で、税理士法の目的である「課税の適正」を損なっていないことを認めながら、適正を損なう「おそれ」があるとして懲役10月・執行猶予3年の不当判決を言い渡していました。
 国民救援会は6月1日に中央本部と岡山県本部の連名で抗議声明を出し、「最高裁は、12万を超える署名(国民の声)に耳を貸さず、口頭弁論を開いて弁護団の主張を調べることもせずに、一方的に上告を棄却した。事件の本質が、安倍政権がすすめる『戦争する国』づくりのもとで、消費税増税反対の先頭に立って奮闘してきた民主商工会への弾圧であることがいっそうはっきりした」と述べ、岡山地裁へ差戻しとなった禰屋裁判で勝利するために奮闘する決意を表明しています。

※決定を出した裁判官=林景一(裁判長)、岡部喜代子、山敏充、戸倉三郎、宮崎裕子(各裁判官)
〈抗議先〉〒102―0092 千代田区隼町4―2 最高裁第3小法廷

東京・小金井「3千万人署名」不当連行事件 抗議行動、支援運動の勝利 弾圧はね返した 小金井署 「これ以上捜査しない」  

 東京・小金井市内の集合住宅で、安倍9条改憲反対3千万署名を集めていた70歳から80歳の市民3人が、小金井警察署に不当に連行された事件で、5月30日、小金井警察署の警務課長代理から3人の弁護人のもとに、これ以上捜査はしない、書類送検もおこなわないと告げる電話連絡がありました。刑事訴訟法の微罪処分にもしないとのことでした。これを受けて、6月6日に当事者、関係者、弁護団で対策会議をおこない、事件と支援運動の終結を確認しました。
 事件発生以来、地元の小金井では「3人の市民を守る会」が結成され、小金井署に捜査の中止と謝罪をもとめる要請行動が20人から50人の参加で4回にわたっておこなわれました。また、800通を越える団体署名をはじめ、全国から次々と抗議の声が上がり、言論・表現の自由を保障した憲法を無視した人権侵害であることに批判が集中しました。
 さらに、連行された3人の証言から、あたかも居宅の内部に不法に侵入をしたかのように供述を曲げて引きだそうとする不当な取り調べがおこなわれたことが分かりました。その上、現場となったマンションは警察官専用住宅であったことも判明しました。このことから3人を連行した理由は「住民からの通報」とされていましたが、「住民」は警察官だった可能性が出てきた中で、事件を「自作自演したのではないか」と疑う声が強まっていました。

警察批判を恐れ

 こうした状況の中、行き詰まった小金井署は、事件をデッチ上げることができなくなりました。そればかりか「自作自演」など、さらなる警察批判が広がることを恐れ、捜査を終結したものと見られています。
 事件発生から2カ月での早期勝利解決。「3人の市民を守る会」は、6月6日の対策会議で闘いの終結を確認し、勝利宣言となる声明を発表し、「署名活動を行なったことを『正当な理由のない立ち入り』として住居侵入罪が成立するとする弾圧は、民主主義への挑戦であり断じて許すことはできません」と批判しています。全国から寄せられた抗議の声が大きな力になったとして、今後は小金井署に謝罪と再発防止をもとめていく方針です。

第28回 裁判交流集会を開催 闘えば歴史は進む  

 第28回裁判勝利をめざす全国交流集会が5月26、27両日に東京都内でおこなわれ、15都県25事件71人が参加しました。弾圧事件や冤罪事件、労働事件の運動の経験を交流しました。(主催=全労連、自由法曹団、国民救援会)

 全体会では、「困難な中でも、どう闘いを進めるのか」と題して黒岩哲彦弁護士が記念講演をおこないました。東京大空襲訴訟の弁護人を引き受けた黒岩弁護士は、「勝てる展望はない」「被害者意識だけの裁判」と批判を受けつつも、辛酸をなめた空襲被害者のやまれぬ思いを無視できず、憲法にもとづき犠牲者への追悼、謝罪、賠償をおこなわせることなどを目的としてたたかったことを報告。生活保護基準が憲法25条に違反するとした朝日訴訟判決で、現実に生活保護基準を引き上げる大きな成果が得られた事例を話し、事実を裁判官に訴え、裁判官を変えていく重要性を強調しました。
 その後二つの分科会に分かれて討論しました。「労働事件・大衆的裁判闘争」の分科会では、街頭での事件の訴え方について、一般の人に「不当解雇だ」と訴えてもピンと来ないので、争議が社会の中でどういう意義があるかを伝える「争議の社会化」をめざすべきだという意見が出されました。また、労働事件の口頭弁論は書面のやり取りのみで1分で閉廷してしまい、見せ場を作りづらいという悩みに対し、報告集会と合わせたミニ学習会を毎回開く事例の紹介や法廷での弁論ではスライドを投映し、支援者とも理解を共有できるなどの工夫をして傍聴人を組織することが重要だと指摘が出ました。
 「冤罪事件」の分科会では、事件を分かりやすく伝える方法が議題になり、殺人事件の証拠とされた指紋が、実際にどのように付着するか体験してもらう兵庫・神戸質店事件のとりくみや、裁判所との三者協議のたびに記者会見や宣伝行動をおこなって情報提供し、マスメディアをうまく「支援」につけた滋賀・湖東記念病院事件の事例が報告されました。また、獄中の当事者からの書籍の差し入れの求めに対し、支援者の経済的な負担の悩みが打ち明けられる一方、獄中の犠牲者に本は社会との接点だとする意見や、インターネットを活用すれば格安で入手することができるほか、宅下げされた本を共有化するしくみを検討すべきなどの具体的な提案も出されました。
 2日目の全体会で茨城・動燃不当差別事件の原告・菅原薫さんと、長野・あずみの里事件の支援者・塩原秀治さんが決意表明し、国民救援会の鈴木猛事務局長が「支援運動で人の心を動かすためには、動かしがたい事実にもとづいて事件のひどさを伝えることと、情景が目に浮かぶような訴えをすることが重要だ」と、まとめの報告をしました。閉会の挨拶をした全労連の野村幸裕副議長が、「個々の事件で勝ち負けはあるが、歴史的に見れば世の中は前進する。闘いは明るい未来を開く」と話し、全員で「団結ガンバロー」をおこないました。

最高裁統一要請行動 公正審理求め 7事件が訴え  

 最高裁係属事件の統一要請行動(第235次)が、5月16日におこなわれ、7事件約40人が参加しました。
 早朝宣伝では、岡山・倉敷民商弾圧事件の須(す)増(ます)和(かず)悦(よし)さんはじめ事件当事者・支援者が次々とマイクで支援を訴えました。滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件の西山美香さんも検察の特別抗告の棄却を求めて訴えました。

検察の特別抗告断念を 袴田事件支援者 法相に要請  

 6月11日に東京高裁で再審可否の決定が出される袴田事件で、5月31日、袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会(国民救援会も加盟)と弁護団は、衆院静岡1区選出の上川陽子法務大臣の地元事務所を訪れ、東京高裁が再審開始を支持した際に、検察が最高裁への特別抗告を断念するよう指導することを求める要請行動をおこないました。
 この要請行動は、検察がこの間の冤罪事件で理由のない抵抗を続けていることから、検察に対する指揮権を有する法務大臣に指導を求めたものです。
 支援者は事務所スタッフに対し、上川法相へのメッセージが書かれた「袴田巖さんの壁」(前号既出)の写真と要請書を手渡し要請しました。

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