日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2018年2月15日号

2018年2月15日号  

宮城・仙台北陵クリニック事件 大助さんを両親の元へ 再審開始を求め全国集会  

 仙台高裁での再審請求の審理が終了し、年度内にも再審の可否が出される見通しの仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件。大きく訴え、再審開始につなげようと同事件全国連絡会は2月4日、仙台市内で「守(もり)大助さんの再審開始決定を求める全国集会」を開催し、会場いっぱいの200人以上が参加しました。

 事件は准看護師・守大助さんが、患者5人の点滴に筋弛緩剤を混入したとして、一人の殺人と4人の殺人未遂で起訴され、無期懲役が確定しているものです。
 弁護団は、患者の症状はいずれも筋弛緩剤の薬効によるものではないと主張しており、裁判での大きな争点となっています。

患者の死因を特定せず有罪
 弁護団の報告に立った小関眞弁護団事務局長が、同じ医療現場で起こった事件として、昨年12月に大阪高裁で再審開始決定が出された滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件と比較して、裁判所の有罪認定のあり方について問題提起しました。
 小関弁護士は、まず、湖東記念病院事件について、大阪高裁は弁護団が提出した鑑定書(患者の死亡原因は、確定判決の言う低酸素脳症ではなく、致死性不整脈による可能性がある)を丁寧に審理し、結論として、死因を低酸素脳症とするには合理的な疑いが残り、致死性不整脈であった可能性も否定できないとし、有罪判決の誤りを正していると指摘しました。
 一方、北陵クリニック事件の有罪認定は、患者の死因を筋弛緩剤の専門家とされる東北大学の橋本元教授が法廷で筋弛緩剤中毒とは矛盾しないと証言したことのみを根拠とし、それを裏付ける鑑定書も提出されていないことから、「筋弛緩剤中毒により死亡したと認定しないまま有罪にしている」と批判しました。
 また、裁判所は鑑定資料(患者の血液、点滴液、尿)から筋弛緩剤の成分が検出されたという科捜研の質量分析による鑑定を採用しています。小関弁護士は、「この鑑定は、使用されたとされる筋弛緩剤ではない数値の質量を前提に、間違った分析方法を採用したもので鑑定に値しない」と批判。脆弱な根拠に支えられた有罪認定であると解説し、「弁護団の主張に真(しん)摯(し)に耳を傾けて判断すれば、結果は自ずと出てくる」と訴えました。
 集会では特別報告として、東住吉事件で再審無罪を勝ちとった青木惠子さんと国民救援会宮城県本部の齋藤信一会長との対談がおこなわれました。青木さんは、無実の者がなぜ「自白」できるのか、密室の取調室で警察によって「自白」をさせられた経過を具体的に述べ、会場から驚きの声が起きました。

再審開始求め街でアピール
 続いて、本事件で初めて守大助さんの再審開始を求める医療人アピールが取り組まれ、第1次分として134人の賛同が得られたことが報告されました。呼びかけ人の1人である仙台市・若林クリニック所長の水戸部秀利医師がアピール文を読み上げ、発表しました。
 集会後、仙台弁護士会館から仙台区役所までアーケード街なども通りながら、「仙台高裁は無実の守大助さんの再審を開始せよ」などと通行人に訴える「人権ウォーク」をおこないました。
 翌5日は、仙台高等裁判所に署名を届け、要請をおこないました。署名は目標10万人分に、あと317人となりました。

〈要請先〉〒980―8639 仙台市青葉区片平1―6―1 仙台高裁 嶋原文雄裁判長

胸が張りさけそう守大助さんの母・祐子さん
 息子は、これまで14人の裁判官から不当な判断を受けております。証拠を見ないまま、一生を台無しにされました。
 でも息子は、無実だから、潔白だからこそ、真実は必ず勝つとの信念で17年間たたかい続けてきています。
 息子は学校とか、病院とか、仕事場は選ぶことができますが、裁判官だけは選ぶことができません。自分はいったいどこに訴えればいいんだと叫んでいる姿に、私は胸が張り裂けそうです。
 嶋原裁判長にもお子さんがいると思います。良心にもとづいて、家族にも誇りを持って、一生心に残る決定をしていただきたいと、ただ願う毎日です。
 これからもみなさんのお力をお借りして、息子の無実を訴え、一日も早く息子と暮らせるよう頑張っていきますので、どうかみなさん、今後とも引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

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