日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2018年10月15日号

2018年10月15日号  

長野・あずみの里「業務上過失致死」事件 山口さんに罰金20万の求刑 裁判所、訴因変更認める 長野地裁松本支部  

 特別養護老人ホームで、おやつのドーナツを食べた入所者が亡くなったことで、看護職員の山口けさえさんが業務上過失致死罪に問われているあずみの里業務上過失致死事件で、10月1日、長野地裁松本支部において論告求刑公判が開かれました。公判には傍聴券を求めて90人の支援者が集まりました。
 弁護団は、これまで20回の公判で審理を重ねるなかで、〇蓋さんに注視義務違反はなかった、△やつの形態確認の義務違反もなかった、女性はドーナツの摂取で窒息したのではなく、脳疾患や心疾患で死亡につながった。この3点を明らかにし、山口さんの無実を訴えてきました。しかし、この日の検察の論告はその8割が、窒息死であることの因果関係にかかわるもので、明らかにしてきた2つの争点についてはそれに比して言及が少ないものでした。そして山口さんが入所女性への注意義務を怠り死亡をもたらしたとして罰金20万円を求刑しました。検察はその理由として山口さんの過失を認めながらも、人員不足など施設の体制にも遠因があり「被告のみに非難を科せられるものとは言えない」として罰金刑としました。
 これに対し、木嶋弁護団長は終了後の説明会で「業務上過失致死罪」に問いながら懲役刑ではなく罰金刑の求刑としたことは普通あり得ないと言及、起訴する必要がないのに何としても「過失致死事件」として有罪としたい思惑が見える求刑だと批判しました。また、介護現場での「事故」を施設職員の「刑事責任」としてはならない、まさに介護の未来がかかった裁判だと強調しました。そして、引き続き「無罪」を勝ち取るための支援を訴えました。
 弁護団は次の点についても解説し、検察側を追いこんでいることを報告しました。検察の、「苦しまぎれ」の2度目の訴因変更は注視義務の開始時期を従前は「山口さんが6つのテーブル17人におやつを配り終え着座した時から」としていたのに、これを「(亡くなった)Kさんにドーナツを配った時から」と約3分前倒しするものでした。裁判所は、この訴因変更について、権利の濫用とまでは言えないとして結局認めましたが、「誠実な権利行使と言い難い」と検察を非難しました。そして証拠申請した再現DVDを検察に認めさせ、今回の公判で上映することができました。弁護団は、今回の検察の論告も十分に分析し、次回の最終弁論でも引き続き検察を追い込んでいきたいと決意表明しました。
 論告求刑に対する弁護団の最終弁論は12月17日の予定、来年の3月までに判決が出る予定です。裁判はいよいよ大詰め、新署名は、目標の20万人分を超えました。無罪判決を勝ち取るため引き続く支援が求められています。

〈要請先〉〒390―0873 松本市丸の内10―35 長野地裁松本支部・野澤晃一裁判長
〈激励先〉FAX・0263(73)0788 特養あずみの里 業務上過失致死事件裁判で無罪を勝ち取る会

大阪・東住吉冤罪事件・青木国賠裁判 公訴提起の違法性追及 朴自白の嘘知りつつ、警察が偽証 大阪地裁  

 放火殺人ならびに保険金詐欺未遂で逮捕・起訴され、有罪とされた青木惠子さんが、2016年8月、晴れて再審無罪が実現したのちに、冤罪の原因究明そして謝罪を求めて国家賠償請求裁判を起こした東住吉冤罪事件・青木国賠裁判。いよいよ警察の捜査の不当性のみならず、検察の公訴提起そのものの違法性が、公開の法廷で鋭く追及される場面を迎えています。
 第5回口頭弁論が9月28日、大阪地裁で開かれました。
 これまで原告は公訴提起自体の違法性を明らかにしてきました。ひとつは放火殺人事件とされた火災が自然発火である可能性が高いこと、二つ目には犯人でなければ矛盾する間接事実はなく、犯人であることと矛盾する間接事実が多数あったのに無視されたこと、さらに自白には任意性も信用性も認められなかったこと、これらに対し、今回は公訴提起以降の違法行為について改めて詳細な主張がなされました。
 まず有罪立証の柱となった「朴(ぼく)自白」(当時、内縁の夫だった朴さんの自白)について、朴さん自身が公判で否認し、取り調べの違法性を主張、そして自白内容の「ガソリン7リットルを撒いてライターで着火」という方法は鑑定によってその不合理性が明白となったにもかかわらず、検察官は高裁審理中に弁護人の再三の実験の要請を拒否し、秘密裡に自白や現場状況の異なる不正確な実験を行っており、それは「朴自白」に信用性がないことを認識していたからに他ならないと主張しました。
 さらに「朴自白」を維持させるため行った八尾警察官の不当な取り調べ、それを八尾警察官本人がなかったかのように法廷で偽証した点、検察官もわかりつつ偽証させた点についても違法であると述べ、その他自然発火の可能性についても付加し、公訴提起以降の違法性を改めて明らかにしました。次回期日は1月11日。(大阪府本部・伊賀カズミ)

〈要請先〉大阪地裁 〒530―0047 大阪市北区西天満2―1―10

福岡・田邊接見交通権妨害国賠訴訟 田邊さんに不当決定 接見交通権の侵害認めず 最高裁  

 2012年、田邊鷲弁護士が小倉拘置支所で被疑者の接見中に、「拘置所職員に暴行された」という被疑者の顔を証拠保全のために携帯電話のカメラで撮影したところ、拘置所側から画像を消去させられ、弁護士の弁護権及び接見交通権を侵害されたとしてたたかってきた田邊国賠訴訟に対し、9月18日、最高裁第3小法廷は、「推定無罪」の被疑者・被告人の人権よりも「庁舎管理権」を重視する地裁・高裁の判決を追認し、上告を棄却する不当決定を出しました。

最高裁統一要請行動  

9月28日、第237次最高裁統一要請行動がおこなわれ、国民救援会の千葉、東京、神奈川、中央本部、各事件の支援者など27人が参加しました。
 北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件、今市事件、袴田事件湖東記念病院人工呼吸器事件大崎事件の5事件の関係者が次々に、各事件の訴えを行いました。
 要請では、湖東記念病院人工呼吸器事件の西山美香さんを守る会の伊藤正一会長が、「この事件は、相手に強く言われると迎合しやすく、障害をもつ彼女の特性などを、警察官が卑劣にも利用しながらウソの自白を誘導し、脅迫して作り上げた」ものです。「しかも、死因は彼女の自白でいう人工呼吸器を外したことによる窒息死でなく、自然死(病死)の可能性が高いことが明らかになって大阪高裁で再審開始決定となった。最高裁は一日も早く検察の特別抗告を棄却してほしい」と訴えました。

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