日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2018年1月15日号

2018年1月15日号  

西山美香さんに再審決定 滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件 無実の訴え認める 西山さん「弁護団、支援のおかげです」大阪高裁  

 人工呼吸器のチューブを外して入院患者を殺害したとして、有罪判決が確定し、満期で出所した元看護助手の西山美香さんが第2次再審を求めている滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件。12月20日、大阪高裁は、再審請求を棄却した大津地裁決定を破棄し、西山さんの訴えを認め、再審開始を決定しました。しかし、大阪高検は不当にも最高裁に特別抗告をおこないました。(裁判長‥後藤眞理子、裁判官‥杉田友宏、酒井康夫)※3面に井戸謙一弁護団長の解説

 のぼりや横断幕を掲げた多くの支援者とマスコミに見送られて、少し固い表情で西山美香さんと弁護団が裁判所の玄関を入っていきました。
 午後2時、裁判所から渡された決定書を受け取った西山さんは、主文の「本件について再審を開始する」の文字を見つけると、裁判所の廊下にうずくまったそうです。殺人犯の汚名を着せられて過ごした13年間の苦しさから解放された瞬間でした。
 弁護団が裁判所の門前で「再審開始決定」の垂れ幕を広げると、拍手と歓声があがり、「ほんま、よかったなぁ」と喜びあう支援者の姿もありました。ほどなくして門前に現われた西山さんは、報道陣が待ちうける中、マイクを向けられますが、緊張してなかなか言葉が出ません。「弁護団の皆さんのおかげ、支援者の皆さんのおかげです」と話しました。
 西山さんは、支援者と握手をしてまわり、和歌山刑務所で同じ時期を過ごした東住吉冤罪事件国賠の青木惠子さんとも握手を交わし、再審の喜びを分かちあいました。

検察が特別抗告 闘いは最高裁へ  

 決定後の記者会見で西山さんは、マスコミに今回の決定を受けての気持ちを聞かれ、「再審開始決定をもらうことができ、とてもうれしく思います。私は、もうすぐ38歳の誕生日を迎えます。最高の誕生日プレゼントとなったことを感謝します」と述べました。また、支援運動について「国民救援会の皆さんや中学校の恩師の先生方が支える会をつくってくださり、私は刑務所で一生懸命頑張らないといけないと思えるようになりました。ここまで頑張れたのは、皆さんのご支援があったからです。ありがとうございます」と述べました。
 しかし、西山さんの38歳の誕生日の前日となる12月25日、大阪高検は、最高裁に特別抗告をおこないました。

栃木・今市事件 有罪判決の根拠ゆらぐ 弁護側、検察側の証人尋問 東京高裁  

 昨年12月21日、東京高裁(藤井敏明裁判長)で、今市事件控訴審第4回公判が開かれ、弁護側、検察側双方の専門家証人1人ずつの尋問がおこなわれました。事件は小学生女児を殺害し、死体を遺棄したとして、勝又拓哉さんが無期懲役の判決を受けているものです。この日のテーマは、被害者の身体に付着していた猫の毛1本のミトコンドリアDNA型(以下マイトタイプ)が、勝又さんの飼い猫と一致したとする一審の認定の信用性を争うものです。
 まず、弁護側証人として、宮沢孝幸・京都大学准教授が証言台に立ち、そもそもミトコンドリアDNAとは何かということから丁寧に説明。一審有罪の根拠のひとつとなった村上賢・麻布大学教授の鑑定には信用性がないと主張し、その後、村上教授が、検察官との一問一答の形で反論しました。

大阪・東住吉冤罪事件国賠裁判 警察、検察は謝罪を 「捜査、起訴は違法だ」 大阪地裁  

 昨年12月21日、東住吉冤罪事件青木国家賠償請求裁判の第3回口頭弁論が大阪高裁で開かれました。
 裁判は、放火殺人、保険金詐欺未遂容疑で逮捕、起訴された青木惠子さんが再審無罪の確定後、誤判原因とその責任を明らかにするため、国賠を提訴しているものです。
 前回の弁論では、警察の捜査や検察の起訴の誤りを指摘する原告に対し、自らの誤りに全く反省もなく原告の指摘は失当であると主張する、被告(警察・検察)の姿勢を、原告青木さんの弁護団は改めて批判。
 再審無罪判決が明らかにしているように、「東住吉冤罪事件」は事件性がなく自然発火であったこと等々、イラストを使って詳細に説明。警察が自然発火の可能性を十分検討しなかった違法性を鋭く追及しました。
 今回の口頭弁論では、「原告第2準備書面の概要」と題して、青木さんの代理人弁護士より、以下の様に説明がなされました。
 まず、青木さんたちを犯人とした原審判決の証拠構造を明らかにした上で、放火殺人という手段の不合理性とともに、入浴中の娘を焼死させるという計画は息子をも巻き添えにするかもしれないこと、マンション購入資金が不足していたというのは事実ではなく、娘を殺して保険金を得ようとしたなどという警察・検察が描いた計画の不合理、不自然を指摘しました。
 さらに動機が存在しないこと、また、(当時内縁の夫だった)朴龍晧さんが火災の発生を知らせ、消火活動をしていた事実、原告の青木さん自身も消火活動や119番通報をしたこと等々、原告らが犯人であるとするならば合理的に説明のできない事実が多数存在することを明らかにしました。
 その上で、自然発火の可能性を検討しなかった点と合わせ、警察・検察の捜査・起訴は違法であることは明らかであると締めくくりました。次回の裁判は4月12日。
 先立つ要請には署名3千人分を提出しました(累計5千人分)。
 全国から途切れることなく送られてくる署名が、青木さんや弁護団を大いに激励しています。(大阪府本部)

湖東記念病院人工呼吸器事件 自白の信用性を否定 井戸謙一弁護団長  

 今回の大阪高裁の決定について、井戸謙一弁護団長は、決定直後の記者会見で次のように解説しました。(文責・編集部)

 決定は、まず患者の死因を考察しています。急死と言えるのか。そして、急死と言えるとしても、酸素供給停止が原因と言えるのかを検討し、結論として、致死性の不整脈であった可能性が無視できない、死因が確定判決が言う(人工呼吸器がはずされたことで酸素供給がされなくなり)低酸素であったとするには合理的な疑いが残るとしています。
 しかし、もし西山さんの自白が信用性の高いものであれば、なお死因が低酸素であったと診断した鑑定医の判断も否定できないとして自白の信用性の判断に入っています。
 自白の内容が、亡くなった患者が死亡したことに対する西山さんの関与の有無・程度、アラームが鳴り続けたのかどうか、本件の人工呼吸器の管を外したのか、外れたのか等について検討し、特に、アラーム無効期間の延長方法をなぜ(人工呼吸器を扱う資格もなく、教育を受けていない看護助手の)西山さんが知っていたのか、合理的な説明がなされていないとして、結論として、自白の信用性を否定しました。
 確定審は自発的な自白に高い信用性を認めましたが、今回の決定は、このような事実があったとしても、それが自白の信用性を認める決定的な事情ではないと判断しました。被疑者の立場に配慮しながら、合理的な判断をしていると思います。このような判断をした大阪高裁の裁判官に敬意を表したいと思います。

私は絶対やってない 西山美香さん決意  

 再審開始決定以降、全国210団体から「特別抗告するな」の要請書が送られ、大阪府本部を通じて大阪高検に提出しました。中央本部も最高検に対して要請しました。
 しかし、高検は12月25日、最高裁に特別抗告をおこないました。西山さんは、取材に対して次のように語りました。
 *
 特別抗告したことに、あきれてものが言えないというのが率直な思いです。私はやっていないのだから、再審開始決定は当たり前の結果なのに、検察は絶対に自分たちの誤りを認めようとしない。
 支える会や国民救援会の皆さんと一緒に運動を強めて、早期に再審を開始させる決意です。
 私は絶対にやっていません。ひきつづき、全国からのご支援をよろしくお願いします。

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