日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2017年6月25日号

2017年6月25日号  

共謀罪強行採決  

国民の追及恐れ 強権発動  

 政府・与党は6月15日、共謀罪法案についての参院法務委員会の採決を経ないまま、本会議で採決し、成立させました。危険性を追及する野党の質問に答弁をはぐらかし、追い詰められ、最後は審議の途中で打ち切るなりふり構わぬ暴挙で押し切りました。

 6月15日早朝、徹夜明けの参議院本会議で、自民、公明、維新の3党は、共謀罪法案の採決を強行し、成立させました。

テロ対策はウソ  

 政府は当初、「テロ対策のため」「組織的犯罪集団が対象で、一般人には関わりない」などとウソを言って共謀罪法案を審議入りさせました。ところが、衆議院法務委員会では、金田勝年法務大臣は野党に質問に対して二転三転し、まともな答弁をすることができず、代わって官僚に答弁をさせるために国会法を無視した委員会運営を強行しました。
 参議院では、処罰や捜査の対象を「組織的犯罪集団」に加え、その「周辺者」として、一般人も捜査対象だと認め、答弁を一変させました。また国際組織犯罪防止条約の目的が「テロ対策」ではないことを国連の担当者が明言し、国連特別報告者からは、共謀罪はプライバシーの権利や表現の自由を不当に制限する恐れがあるとして懸念が表明されました。
 世論調査で国民の8割が「政府の説明は不十分」、6割が「衆議院の審議は不十分」だという結果が出ました。こうしたもとで、多くの市民が連日、国会周辺、そして全国各地で「共謀罪は憲法違反」と抗議の声を上げました。
 ところが安倍内閣は、国連からの懸念や国民の疑問・不安の声に応えることなく、会期内に成立させることを強行。参院法務委員会の審議を打ち切り、委員会採決をせずに本会議で採決するという国会無視の暴挙をおこないました。

全国で反対運動  

 国民救援会は共謀罪の危険性について、犯罪の実行について話し合い・合意(計画)したことを処罰するもので、思想・信条の自由、表現の自由を犯し、犯罪の実行(既遂)を処罰するという刑法原則を根本から揺るがすものだと訴えて、全国各地で署名、宣伝行動などを展開してきました。共謀罪の狙いは、警察権限を強化し、日常的な国民監視、とりわけ政府にものをいう人たち・団体を監視し抑圧すること、表現の自由や市民運動を萎縮させることにあり、共謀罪によって、自白の強要や「密告」で冤罪が増えることになるとして、「現代版・治安維持法」だと強く反対して闘ってきました。
 この間、国民救援会は共謀罪反対を「最重要課題」と位置づけて、全国の都道府県本部、支部で950を超える行動がとりくまれ、過去にない大きな運動になりました。
 今回のなりふりかまわぬ強行採決は、共謀罪に加え、森友学園・加計学園問題に対する国民のたたかいに追い詰められた結果です。

廃止めざし奮闘  

 国民救援会は同日、鈴木亜英会長名で抗議声明を発表。「戦前、治安維持法で弾圧された経験をもつ国民救援会は、再び日本を「戦争をする国」にさせないために、そして国民の基本的人権を守るために、多くの市民・団体と共同して、憲法改悪の阻止、共謀罪のよる人権侵害を許さず、戦争法や共謀罪の廃止をめざし奮闘する決意である」と述べています。

福井・福井女子中学生殺人事件「判決の認定不自然」他人の供述の曖昧さを再確認 全国現地調査  

 1986年に起きた殺人事件の犯人とされた前川彰司さんが再審を求めている福井女子中学生殺人事件の第5回全国現地調査が6月10日、福井市内でおこなわれ、10都道府県87人が参加しました。
 事前学習会で、吉村悟弁護団事務局長は、前川さんと犯行を結びつける物的証拠は何もなく、警察に弱みを握られた人たちの、客観的事実と矛盾し変遷する供述だけで有罪にされた事件だと特徴点を強調しました。
 その後、山本裕夫弁護士が、被害者の遺体の状況や現場との矛盾などを説明。検証調書に基づいて被害者宅の部屋の間取りや家具などを置いた犯行現場を再現して、確定判決の犯行態様がリアルに分かる再現実験などをおこないました。
 参加者からは、「犯行は玄関から争いもなく、奥の部屋の6畳間で及んでおり、被害者と面識のない前川さんが奥の部屋まで上がることは不自然だ」「確定判決は激高して突発的な犯行としているが、現場に血痕、足跡も残さず冷静な犯行としか思えない」など、再現検証実験で確定判決の問題点を実感することができました。
 次に、佐藤辰也弁護士の案内で有罪の根拠とされた関係者の供述に基づいて、犯行後に血の付いた前川さんをかくまったとするマンションなどの経路をバスに乗って確認しました。その中で、関係者の供述で関わった人間が理由もなく突然入れ替わったりするなど、供述は不自然で、とても信用できないことを体験しました。
 また、布川事件の桜井昌司さん、東住吉冤罪事件の青木惠子さんも参加して前川さんを激励し、「無実の罪で苦しんでいる仲間を助けたい」と冤罪事件への支援を呼びかけました。
 そして、第2次再審請求にむけて、さらに事件の真実を訴えて支援運動を広げることを確認して、現地調査を終えました。
 前川さんは、「事件があった直後、私が血だらけでいるのを見たという目撃証言はまったくのウソ、デタラメです。私をはめた証人は、司法取引した事実を裁判で認めています。私はこの事件に無関係で、正真正銘の無実であることを皆さんにお伝えしたい」などと話しました。

大崎事件再審可否 6月28日に判断 鹿児島地裁が弁護団に通知  

 原口アヤ子さんが再審を求めている鹿児島・大崎事件で、再審可否の決定が、6月28日に出されることが決まりました。鹿児島地裁から弁護団に6月9日に連絡がありました。
 国民救援会鹿児島県本部では、各会員の手元に残っている署名をただちに県本部まで送付してほしいと呼びかけています。当日は午後1時30分の決定言い渡し後、2時30分からかごしま県民交流センターで報告集会が開かれます。
 事件は1979年、大崎町で起きた殺人死体遺棄事件で原口さんら4人が起訴され、原口さんの懲役10年が確定したもので、2015年7月鹿児島地裁に第3次再審請求申立てをおこなっていました。審理では、検察が開示を拒んでいた関係者の供述を再現した写真が開示され、その目撃前後の行動や目撃供述の不自然さが鮮明となり、「共犯者」とされる3人の供述が矛盾していることが明らかになったほか、供述心理学者の証人尋問などがおこなわれ、虚偽供述が科学的に分析されました。

再審誓いアヤ子さんの卒寿祝う  

 原口アヤ子さんの90歳の誕生を祝う会が6月10日、誕生日の15日を前に志布志市のホテルでおこなわれ、支援者、弁護団、家族など20人が参加しました。
 弁護団の森雅美団長は、「弁護団は懸命にやった、いい結果で喜びたい」と挨拶。アヤ子さんの長女・京子さんは、「本当に長かった。いい決定を期待しています」と話しました。支援者からアヤ子さんへプレゼントが渡され、弁護団から花束が贈られました。全員でハッピーバースデイを合唱。アヤ子さんは終始和やかな表情でした。(野元幸一)

「話し合い」が犯罪に 許すな!共謀罪  

山梨県本部 見える活動で市民と対話を
 山梨県本部では、3月に共謀罪法案が国会に提出された直後、法案の危険性を市民に広く知らせようと役員会議で提起があり、4月と6月に甲府駅前で、それぞれ約8人ほどで宣伝行動をおこないました。共謀罪については、これまで一部の会員による署名活動や学習会などはおこなわれていましたが、街頭での宣伝行動は初めてのとりくみとなりました。
 4月の行動では、中央本部が作成した横断幕を広げてビラを配布。合わせて署名行動も実施しました。
 ビラを受け取り、対話に応じた人は、「共謀罪はこまったね」などと言って署名にも協力してくれたということです。中には森友学園問題の話などを持ち出す人もいて、「安倍さんは辞めさせないとダメだ」などと対話が広がりました。
 宣伝行動にとりくんだ事務局次長の窪川茂さんは次のように話し、手ごたえをかみしめていました。
 「通行人に共謀罪を端的に説明することは難しいが、横断幕を広げていれば説明がいらず、見た人がそれなりに反応してくれて、関心を持ってる人がいることも分かる。今回のように目に見える活動をすることの大切さをあらためて感じた。それは、共謀罪が通ってしまうと困るけど、では一体何をして反対表明をしたらいいか分からない人たちが、署名や対話で理解を深めるなどのアクションを起こすにきっかけになる。やはり打って出ることが必要だ」

松川資料「世界遺産に」 ユネスコ認定へ向け申請  

 列車転覆を謀ったとして20人の被告が死刑を含む有罪判決を受け、その後全員無罪を勝ちとった1949年の松川事件。その裁判と運動の記録(松川資料)をユネスコ世界記憶遺産に登録するため、福島大学の中井勝巳学長が5月10日、国内選考委員会に対して登録申請をおこないました。
 登録申請書によると、「松川資料」は、事件の時代背景から裁判の経過、有罪判決と救援運動、無実を示す証拠となった「諏訪メモ」の発覚など、裁判闘争の全容や、広津和郎など著名人による啓蒙活動など、幅広い国民運動を明らかにしたもので、後世に引き継がれるべき価値があるとしています。
 なお、ユネスコ世界遺産登録実現をめざす講演会と貴重な資料の展示会がおこなわれます。参加費は無料です。
●日時 7月23日(日)午後1時〜3時
●場所 東京・湯島 全労連会館2階ホール
●講演 鶴見祐策弁護士(元松川弁護団)「松川資料と世界記憶遺産登録の意義」
※松川資料展示会は、同会館3階にて、22日午後1時〜6時、23日午前10時〜午後5時

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