日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2017年12月5日号

2017年12月5日号  

冤罪、2度と繰り返さぬ 「再審制度の法改正を」くり返すな冤罪!市民集会 190人参加  

 冤罪事件の被害を繰り返さないために、何が必要かを考える「くり返すな冤罪! 市民集会」が11月9日、東京・文京区内で開かれ、190人が参加しました。鹿児島・大崎事件の鴨志田祐美弁護団事務局長と水野智幸元裁判官が記念講演をおこない、東電OL殺人事件で再審無罪となったゴビンダ・プラサド・マイナリさんも登壇しました。

 会場は用意された座席が足りなくなり、満席となりました。

有罪主張する
根拠条文なし
 記念講演をした鹿児島・大崎事件の鴨志田祐美弁護団事務局長は、今年6月に出された原口アヤ子さんの再審開始決定の意義と、これに対する検察の不服申立ての不当性について述べました。
 鴨志田弁護士はまず、「再審の審理で検察が当然のごとく堂々と有罪を主張しているが、刑訴法の条文では、再審請求人に対する反対当事者が検察官であるという条文上の確かな根拠があるわけではない」と説明。さらに、「憲法は、一度裁判にかけられた人が、同一の事件で再び裁判にかけられない(二重の危険禁止)という原則を定めた。この憲法のもとで、再審制度は、無罪が確定した人が再び裁判にかけられる不利益再審が禁止され、その目的は無実の人を救うことだけになった」と指摘しました。
 その上で、「そうであるならば、裁判所の職権主義のもとで手続きがおこなわれる再審の審理においては、検察官は「公益の代表」として無(む)辜(こ)の救済のために、裁判所に協力しなければならない立場だ。再審開始決定に対して、検察官が抗告をすることが許されるのか」と述べました。
 そして「この集会が日本の再審制度の法改正のきっかけになったと言われるような集会にしたい」と述べ、「アヤ子さんに再審無罪を勝ちとってもらい、アヤ子さんに素晴らしい人生のフィナーレを飾ってほしい」と締めくくりました。

証拠開示なく
再審進まない
 続いて元裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は、裁判官の人間像について話し、「裁判官は受け身で否定されることに慣れておらず、仕事は完璧にしたいと考える優等生タイプだ」と指摘。「仕事量が多く、日々の事件処理を遂行することが最優先で、それ以外のことを考える余裕がない状態だ。そこへいくと再審は通常の事件とは別のプラスα(アルファ)の事件となっているから、そこにエネルギーを向ける余裕がないのが現状だ」と話し、裁判官がどれだけ再審に関心を持つかによって展開が変わることが浮き彫りになりました。
 そして、「裁判員裁判や公判前整理手続きの導入に伴い、通常審での証拠開示が一定認められるようになったが、再審手続きにおいては、証拠開示についての規定がない。規定があれば、裁判官が証拠開示を求める後ろ盾になる」と述べて、再審においても証拠開示がなされる法の運用が必要だと強調しました。

母らしいこと
16年ぶりに涙
 集会では、静岡・袴田事件の袴田巖さんの姉・ひで子さんのビデオメッセージ、宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件の守大助さんの両親、布川国賠の桜井昌司さん、東京・東電OL殺人事件で再審無罪となったゴビンダ・プラサド・マイナリさんと妻のラダさんが発言しました。
 守さんの母・祐子さんは、「全国からの励ましのおかげで、大助の処遇が3から2に上がり、面会も月3回から5回になり、刑務作業も約100キロの野菜を切る下処理をする作業になった」と報告。面会の時に、「包丁の力加減が分からない」「乱切りとかいちょう切りってどうやったっけ」と聞く大助さんに、包丁の握り方や切り方を教えて、「16年ぶりに母親らしいことをしてあげられ、胸が詰まる思いだった」と述べました。
 ゴビンダさんは、「もう一度日本にくることができて良かった。5年前、ネパールに帰ることができて、今は家族と一緒に幸せに暮らすことができています」と話し、支援者にお礼を述べました。そして、「冤罪の裁判をたたかっている人を早く刑務所から出してほしい。これから被害者を作らないように、協力していきたい」と述べ、日本の刑務所にいる外国人や、海外の刑務所にいるネパール人を支援する仕事を始めたいと話しました。

滋賀・日野町事件 再審むけ現地調査 ゴビンダさんら事件関係者も 12都道府県100人が参加  

 滋賀・日野町事件の第10回全国現地調査が11月12日、13日におこなわれ、12都道府県から100人が参加しました。
 事件は、1984年、阪原弘さんが酒代ほしさから日野町内の酒店を営む女性を殺して金を奪ったとして強盗殺人の罪を着せられ、無期懲役が確定したものです。2001年に再審を申し立てますが、11年に阪原さんが亡くなり、第1次再審請求が終了。12年、遺志を継いで家族が第2次再審請求を申し立てました。
 1日目の全体集会では、来日中の東電OL殺人事件のゴビンダさんと妻・ラダさん、東住吉冤罪事件の朴(ぼく)龍(たつ)晧(ひろ)さん、布川事件の桜井昌司さん、湖東記念病院人工呼吸器事件の西山美香さん、大崎事件・原口アヤ子さんの長女夫妻など事件当事者も駆けつけました。
 事前学習会で、弁護団の伊賀興一団長が、大津地裁での第2次再審請求審の審理状況について報告。確定判決の有罪の大きな根拠された被害者宅の金庫発見現場への引き当たり捜査のネガフィルムの証拠開示によって、次々と新事実が明らかになるなかで、裁判所も真剣に事件に向き合っていることを報告。裁判官は、検察には年内に、弁護側には1月末までに意見書を出すよう指示し、5月頃には再審に可否の決定が出される見込みであると述べて、再審にむけて奮闘する決意を語りました。
 その後、阪原さんの家族から「父が死んで落ち込んでいましたが、支援のお陰で、第2次再審に立ちあがりました。力をお貸しください」との訴えがされました。
 2日目は、事件現場とされた酒店や盗まれた金庫が投機された場所などをめぐり、調査しました。まとめの集会では、現在4万1000人分の署名を早急に5万にすることなど、裁判所への要請を集中することを確認しました。
〈再審要請先〉〒520―0044 大津市京町3―1―2 大津地裁・今井輝幸裁判長

京都・長生園不明金事件 講演会とパレード  

 1999年、社会福祉法人で不明金3千万円が発覚し、西岡廣子さんが犯人にデッチ上げられた京都・長生園不明金事件の真相を究明する会は11月11日、南丹市園部町で、西岡さんの不当逮捕18年を期して、事件を風化させず真実を広く知ってもらうために講演会とパレードをおこないました。
 講演会は、兵庫・神戸質店事件の犯人とされ、岡山刑務所から無実を訴えている緒方秀彦さんを「支援する会」の濱嶋隆昌事務局長が、事件の経過と支援運動の現状を詳しく報告し、「真実を語る人がきっと現れることを信じたい」と締めくくり、長生園事件のとりくみにエールを送りました。
 当事者の西岡廣子さんは、「昨朝の宣伝でも町の人から激励を受けました。犯罪者の汚名を何としてもそそぎたい」と引き続きたたかう決意を述べました。
 この後参加者は、西岡さんを先頭に、無実のコールと「手のひらを太陽に」を歌いながら園部町をパレードしました。商店や通行者から「がんばりや〜」などと激励を受けました。
 この日の講演会&パレードには地元京都、近県の「真相を究明する会」会員など42人が参加しました。

仙台北陸クリニック筋弛緩剤冤罪事件 署名20万を突破 会見に多くの報道陣  

 仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件全国連絡会は11月21日、仙台高裁に30回目の要請行動をおこない、4985人分の署名を提出。これで、高裁に提出した署名は9万1776人分となり、仙台地裁に提出した分10万9500人分と合わせ、再審申し立て以降の署名が20万を突破しました。これを受けて、7県29人の要請参加者とともに、仙台市内で記者会見を開きました。
 最初に阿部泰雄弁護団長から事件の概要と進行状況が話され、事件性の無い事件であり冤罪であること、裁判所は今年度中に判断をする意向であることなどが報告され、支援運動については宮城の会の鹿又輝男会長、長沼俊郎事務局長がおこない、北海道から九州まで守る会(会員約4千人)が結成され、全国的な規模で総力をあげて運動にとりくんでいること、来年2月4日に仙台で全国集会を開くなどのとりくみを紹介しました。
 要請に参加した布川事件の桜井昌司さんは、日野町事件ですすんでいる証拠開示などを紹介し、守大助さんの事件は殺人事件とされているのに凶器すら法廷に提出されていない、他の冤罪事件でも検察官が全証拠を隠していることが問題、証拠を開示してもらい正しい判断をと訴えました。
 守さんの母親の祐子さんは、裁判所に入るときに隣の小学校の児童から「頑張って」と声援を受けたことと、以前宣伝行動のときの小学生とのエピソードを紹介し、「確たる証拠も無いのに犯人にされるのは小学生でもおかしいと分かります。裁判所は正しい判断をして一日でも長く息子と暮らさせてほしい」と訴えました。
 記者会見にはテレビ4局ほか新聞各社など多くのマスコミ関係者が集まり、関心の高さが伺えました。
 最後に司会を務めた茨城の会の大名章文さんは、事件当初のマスコミの過剰な報道にふれ、「他の事件の報道でも同じようなことがある。冤罪だった場合はどうするのか。マスコミ関係者は関心を持ってもらい、記者の方には冤罪かどうか自分の目でよく見て判断してほしい。この事件はマスコミによって作られた事件と言っても過言ではないという面がある。冤罪を晴らすにもマスコミの力を借りたい。その事がマスコミ自身の力を生かして人権を守る立場に立つことになるのではないか」と締めくくりました。(宮城県本部)
第232次最高裁要請行動37人で宣伝・要請
 第232次最高裁統一要請行動が11月21日おこなわれ、2事件37人が参加し、寒風の中、早朝から最高裁前での宣伝行動がとりくまれました。
 要請では、岡山・倉敷民商弾圧事件当事者の須増和悦さんが「私たち民商は、自営業者が助け合い、教え合って確定申告書の作成をしています。民商の事務局員は会員の記帳や申告の援助を行っています。このことがなぜ、税理士法違反になるのか理解できません。私たちの運動は決して罪になるような行為ではありません。公判を開き、私たちの意見を聞いてください」と要請しました。この日、署名3718人分(累計10万5582人分)・31団体(累計838団体)を提出しました。
〈参加事件〉倉敷民商弾圧事件(小原・須増裁判)、スカイマーク猪股過労死事件

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