日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2017年11月25日号

2017年11月25日号  

「次は誰かを助けたい」東電OL殺人事件 ゴビンダさん来日 支援者・弁護人へお礼に歩く  

 1997年に起きた東京・東電OL殺人事件で再審・無罪となり、ネパールに帰国したゴビンダ・プラサド・マイナリさんが11月8日、妻のラダさんとともに2012年の釈放以来初の来日を果たし、日弁連や再審弁護団、国民救援会の会員や支援者にお礼を述べて歩きました。

 紫色のシルク地のスーツにレザーのハット姿で中央本部の事務所に現われたゴビンダさん。鈴木会長をはじめ、事務局員から拍手で迎えられると、白い歯を見せて照れ笑いを浮かべ、「再会」を喜び合いました。

ありがとうとお礼がしたい
 ゴビンダさんは再審開始決定で釈放後、国外退去処分となり、そのまま母国ネパールに強制送還されました。以来、日本に入国することができずにいました。自由を得てから5年。「日本の皆さんに、お礼を言いたい」というゴビンダさんの強い思いもあり、来日が実現しました。
 中央本部のメンバーとの懇談でゴビンダさんは、「大変なとき、サポートしてくれたり、慰めたり、署名や宣伝行動をやっていただいた皆さんに感謝いたします」とあらためてお礼を述べました。ネパールでの生活を問われると、「2人の娘は結婚して自立し、母親も亡くなり、ラダと二人で、今は幸せに暮らしている」と述べる一方、「15年間を刑務所で過ごし、まったく世間から切り離されてきたので、カトマンズの大都会での暮らしに適合するのに時間がかかっている」と話しました。そして「今後は冤罪被害者の人たちを助ける活動をしていきたい」と加えました。

昔とちがって日本は明るい
 妻のラダさんは、「私たち家族が夫とこうして会えたのは救援会のおかげに尽きます。その感謝の気持ちをなんとか伝えたいと思って参りました。同時に、皆さんがやっておられる無実の人たちを助ける活動についても、何らかの手助けをする役割を果たしたい」と話しました。
 旧支える会のメンバーによると、ラダさんは羽田空港から移動の途中、「日本はだいぶ明るくなった」と話し、メンバーが「日本は変わらない。あなたの気持ちが明るくなったからだよ」と返したそうです。ゴビンダさんの収監中、ラダさんは何度も日本に訪れて支援を訴え歩きました。いつも緊張と重い気持ちを引きずっていましたが、今回は希望に満ちた来日となりました。
 ゴビンダさんは救援会員にメッセージをしたいと前置きすると、「国民救援会は90年間活動を続けてきた。本当に力を持っている。皆さん、これからも大変な人たちを助けてあげてください。よろしくおねがいします」と述べました。

東電OL殺人事件
 1997年、東京都渋谷区のアパートで、女性が殺害された事件で、隣のアパートに住んでいたネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさんが逮捕・起訴された。一貫して無実を主張し、一審無罪。しかし二審で逆転有罪・無期懲役判決となり、最高裁で確定。その後の再審請求審で、遺体に残された体液のDNA鑑定などにより、再審開始決定が出され、帰国。再審裁判で無罪が確定した。

岐阜・大垣警察市民監視国賠 「国は認否せよ」 情報収集の違法性を追及 岐阜地裁  

 風力発電施設建設をめぐり、大垣警察署が市民の個人情報を収集し、関連子会社に提供したのは憲法違反だとして訴えている裁判の第4回口頭弁論が10月30日、岐阜地裁(池町知佐子裁判長)で開かれました。
 これまで県(警察)は、「(大垣警察と風力発電施設関連会社との意見交換会の)議事録の内容を個別具体的に認否することは、情報収集活動の内容を明らかにすることなので認否しない」。「誰の情報を収集しているか否かを明らかにすれば、今後の情報収集活動に支障が生じるだけでなく、公共の安全と秩序に影響が及ぶ」などと述べています。
 原告側は第2準備書面で、警察の主張は驚くべき大ざっぱで雑な議論であり、このような主張が裁判において認められれば、警察の情報収集活動には具体的な法律は一切不要で、個人の尊厳(憲法13条)、人格権の保障は無いに等しいと反論、県が認否しない態度を強く批判しました。
 また、被告は、「公共の安全と秩序の維持のためトラブル防止の観点から、意見交換をおこなうことはあり得る」、「警察の情報収集活動は任意手段でおこなわれる限り、警察法第2条1項に基づき適法である」などと主張し、過去の裁判例を示しています。
 これに対し原告は、被告が示した裁判例は、警察の情報収集活動を違法と断じた裁判例であり、被告の主張の裏付けにはならず、県の「トラブルの可能性」という程度では情報収集を認めていないと反論。本件において、何ら公安を害する犯罪がおこなわれると思しき事情は見受けられないし、原告らの諸活動が「公安に影響を及ぼす事件」となっていたという事情も存在しないと主張しました。
 原告代理人に新たに3人の弁護士が加わりました。山田秀樹弁護団長は「公安警察の情報収集の違法性について主張していく」と述べ、今後の大きな争点となる見込みです。次回の口頭弁論は、来年1月29日午後1時30分におこなわれます。(県本部)
〈要請先〉〒500―8710 岐阜市美江町2―4―1 岐阜地裁 池町知佐子裁判長
〈署名問合せ先〉国民救援会岐阜県本部 Tel058(215)7515

静岡・袴田事件 年度内に再審可否 署名、要請を強めよう 東京高裁  

 再審を求めている袴田事件で即時抗告審の三者協議が11月6日、東京高裁(大島隆明裁判長)で開かれました。
 弁護団は、三者協議後に会見を開き、大島裁判長が「年度内の早い時期に判断を出したい」と述べ、検察、弁護側双方が1月19日までに最終意見書を提出し、最終意見に対する反論意見書は2月2日までに提出することが決定されたことを報告しました。
 3年半余に及んだ即時抗告の審理では、再審開始決定の根拠となった本田教授のDNA鑑定の信用性をめぐって争われてきました。東京高裁は、弁護団が強く反対したにもかかわらず、本田鑑定方法の検証実験を職権でおこないました。裁判所が検証を嘱託した鈴木鑑定人に命じた課題は、本田鑑定の手法を忠実に検証することでした。しかし、鈴木鑑定人の鑑定方法は、本田鑑定人の手法を忠実に検証するものでなく、否定的結論を導くためにあえて独自の方法と器具でおこなうもので、検証実験に値しないものでした。それは、9月におこなわれた本田、鈴木両鑑定人尋問でいっそう明らかになりました。
 会見で西嶋勝彦弁護団長は、「裁判所が検察官の申立てを受け入れて当審で明確にしたかったDNA問題も鑑定人尋問で決着を見た」「検察官の即時抗告の理由は崩れ去った」とし、検察の即時抗告審が棄却されることになるだろうと述べました。
 この日、弁護団は即時抗告審で袴田さんを取り調べた録音テープが開示されたことで、テープの分析結果から新たに有印虚偽公文書作成などの違法捜査の明らかになったとして再審理由の追加の申立補充書を提出しました。
 国民救援会も加盟する袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会は、三者協議とあわせて裁判所前での宣伝行動、東京高裁、東京高検への要請行動をおこないました。12月8日、来年1月19日にも要請行動をおこないます。全国から署名の集中をお願いします。

〈要請先〉〒100―0013 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁 大島隆明裁判長
〈署名問合せ先〉国民救援会静岡県本部 Tel054(255)0134

最後までご支援を 姉・ひで子さんが島根で講演  

 袴田巖さんの姉・ひで子さんは11月11日、島根県本部大会で記念講演をおこないました。
 *
 巖は毎日、浜松の町を午前も、午後もずっと歩いています。支援者の方が一緒に歩いてくれています。拘置所での生活をそのままなぞって生きているようです。
 長い長いたたかいとなりました。来年3月までの決定、期待しております。署名を一筆でもしてくれた方は支援者です。私も100歳まで生きて、がんばります。どうぞ、皆さま、最後までご支援お願いいたします。

鹿児島・大崎事件 原口さんの再審署名持ち要請  

 大崎事件の再審開始を求め、10月24日、原口アヤ子さんの地元大崎から再審めざす会の稲留さんをはじめ鹿児島から7人、宮崎から5人の計12人で福岡高裁宮崎支部への要請行動をおこないました。
 署名を2485人分提出しました(提出累計4411人分)。

兵庫・えん罪・花田郵便局事件 審理は神戸地裁へ ジュリアスさんの訴え棄却 最高裁  

 2001年、姫路市で起きた2人組強盗の一人として懲役刑を受けたナイジェリア出身のジュリアスさん(仮名)の再審請求について、最高裁第3小法廷は10月31日付で弁護側の特別抗告を棄却する決定をおこないました。
 再審請求を受けた神戸地裁姫路支部は2014年、ジュリアスさんが実行犯と認定できないことを認めながら、3人目の共犯と「推認できる」として、これまでに一度も争点になっていない「共謀共同正犯」説を持ち出して有罪判決を維持し、請求を棄却しました。
 この決定を不服とした弁護側の即時抗告で昨年、大阪高裁は、「共謀共同正犯」という新たな争点について、弁護側に主張、立証の機会を与えなかったことは、「刑訴規則286条の主旨等に照らし、…不意打ちを与え、…防御権を侵害する違法なものといわなければならない」として審理を神戸地裁に差し戻す決定をおこないました。
 この決定は地裁決定を破棄した点ではよいのですが、一方で、「(弁護側に)十分防御の機会を与えて審理を尽くせば、申立人の防御の権利を損なうことにはならないというべきである」と述べています。これは、起訴状に記載された犯罪事実(訴因)を変更するなど、手続きさえ踏めばよいということで、「共謀共同正犯」説による二度目の有罪判決を容認するものです。
 そのため弁護側は、高裁決定は憲法第39条の「同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問はれない」という原則(二重の危険禁止)に違反するとして特別抗告をおこなっていましたが、最高裁は今回、これを退けました。
 その結果、大阪高裁の決定が確定し、再び神戸地裁で再審請求の差し戻し審がはじまることになります。
(兵庫県本部)

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