日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2017年10月15日号

2017年10月15日号  

静岡・袴田事件 検察側の主張が破たん 鑑定人尋問で一層明らかに 東京高裁  

 静岡・袴田事件の即時抗告審で9月26、27日、東京高裁(大島隆明裁判長)で再審開始決定の根拠となったDNA型鑑定の方法について、鑑定人尋問がおこなわれました。
 事件は1966年に静岡県清水市で起こった強盗殺人事件の犯人として袴田巖さんが逮捕、起訴され、死刑判決が確定したものです。2014年3月に静岡地裁が、有罪の根拠とされた犯行着衣に着いていた血液は、被害者のものでも袴田さんのものでもないとするDNA鑑定などにより、再審開始決定と死刑と拘置の停止が言い渡され、検察が即時抗告しています。
 尋問には、開始決定の根拠となった鑑定をおこなった筑波大学の本田克也教授と、東京高裁の嘱託で検証実験をおこなった大阪医科大学の鈴木康一教授が出廷しました。
 記者会見で弁護団は証人尋問の様子を報告。本田教授は選択的抽出法について学生、弁護士に指示して適正におこなわれていることを、映像も交えてわかりやすく説明したと述べました。また、検察と鈴木鑑定人が批判するレクチンという試薬を用いておこなう選択的抽出法は、国際学術誌にも論文が公表されており、その有効性が認められていることを証言したと報告。
 一方、鈴木鑑定人は裁判所の鑑定事項も無視し、本田鑑定人がおこなった選択的抽出方法によるDNA鑑定の検証は一切おこなっておらず、本田教授の鑑定の検証になっていないと述べました。鈴木鑑定人は本田教授がおこなった方法を全く無視し、器具も手順も違う独自の抽出法を実施し、鑑定に使用する試薬の濃度を変えるなど、全く無意味な検証実験であったことが尋問で明らかになったことを、弁護団は厳しく批判しました。
 弁護団は、鑑定人尋問で再審開始決定は揺るがないとし、裁判所が検察の即時抗告を棄却すべきことを強調しました。次回の三者協議は11月6日におこなわれます。

 26、27日の鑑定人尋問にあわせ、東京高裁前で宣伝と、裁判所、検察要請がおこなわれました。署名は4339人分を提出しました(累計22万人分)。26日には有楽町マリオン前で再審無罪を求めるリレーアピールをおこない、プロボクサーや将棋棋士らが参加しました。
〈要請先〉100―0013 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・大島隆明裁判長

鹿児島・大崎事件 命あるうち再審無罪 大集会で決意あらたに 宮崎市  

 9月23日、宮崎市内で鹿児島・大崎事件の「原口アヤ子さんの命あるうちに再審無罪を勝ちとる大集会」が開催され、全国から217人が参加しました。
 事件は1979年に大崎町で起きた死体遺棄事件で、原口さんら親族4人が起訴され有罪が確定したものです。第3次再審請求審で今年6月、鹿児島地裁で再審開始決定。検察の即時抗告により、福岡高裁宮崎支部で審理中。
 集会では東住吉冤罪事件国賠訴訟の青木惠子さん、布川事件国賠の桜井昌司さん、袴田事件の袴田ひで子さん、映画監督・周防正行さんによるパネルディスカッションがおこなわれ、参加者の感動と涙を誘いました。鴨志田弁護団事務局長が、再審開始決定で遺体の法医学鑑定とともに、供述心理学鑑定が認められた画期的な意義が述べ、今後高裁では早くに決定が出されるのではないかと報告しました。
 原口さんの長女からお礼の言葉が述べられ、最後に集会アピールを採択し、原口さんの命あるうちに再審無罪を勝ちとる決意を新たにしました。

大阪・東住吉冤罪事件青木国賠裁判 誤判原因究明を 第2回口頭弁論開かれる 大阪地裁  

 9月28日、大阪地裁において、東住吉冤罪事件青木国賠訴訟の第2回口頭弁論が開かれました。裁判は、保険金めあての放火、殺人事件の犯人として無期懲役とされた青木惠子さんが再審無罪判決後、誤判の究明を求めて、国と大阪府を提訴しているものです。
 第1回口頭弁論では、青木さんの請求の趣旨が訴訟代理人と青木さんの意見陳述という形で明らかにされましたが、被告側は「起訴検事の判断は合理的根拠に基づくものであったことは明らか」とし、「起訴の判断も違法と評価される余地はない」「原告に対する警察官の取り調べ及び本件事件の捜査は適正であった」などとし、「原告の主張は失当であり、速やかに棄却されるべきである」と述べており、責任を追及されている認識を全く欠く姿勢を示していました。
 そこで、原告側代理人は、反論として提出した「原告第一準備書面」の概要をパワーポイントの映像を使って懇切丁寧に解説しました。
 その中心点は、事故発生直後の7月24日時点で早くも捜査報告書には「放火が濃厚」だとしており、27日には府警本部が放火と断定したとの記事が朝日新聞等に掲載されていたことを挙げ、しかしながら火災の発生直後にはー嵶召竜詭口下に車の赤い塗装が燃えずに残っていた給油口のキャップは完全に閉まっていなかったO海譴織ソリンに種火が引火した場合に沿う火災の初期状況(近隣住民の供述)等々から、捜査機関が自然発火の可能性を十分検討しなかった違法性は大であり、被告らの責任は免れることはできないと述べています。
 さらに、自白以外の直接証拠が存在しないこと、出火原因以外の間接事実に関する間接証拠も存在せず、自白に至っては秘密の暴露はなく、任意性や信用性を否定する様々な事実が明らかとなっており、本件捜査及び起訴が違法であることは明らかであると結びました。次回口頭弁論は12月21日です。(大阪府本部・伊賀カズミ)

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