日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2016年6月5日号

2016年6月5日号  

警察の捜査権限強化 刑訴法改悪案が成立 誤判防止の原点どこへ  

 警察による盗聴捜査拡大や司法取引の導入を含む刑事訴訟法の改悪案が5月24日、日本共産党、社会民主党を除く与野党の賛成多数で衆議院本会議で可決・成立しました。これにより警察が一般市民の電話やメールを「捜査」と称して合法的に盗聴、盗み見する危険性が強まり、減刑目的で他人を犯罪に陥れる司法取引や、捜査機関の都合の良いところだけを録音・録画できる取調べ一部「可視化」が導入されます。
 元々法案の出発点は、厚労省村木事件や足利事件など、捜査機関の自白強要による誤判をなくすため、取調べを事後検証できるよう可視化を義務化することでした。ところが法案は、可視化対象事件は裁判員裁判事件などに限定する一方、盗聴捜査の拡大や司法取引など警察権限を強化する捜査手法が新たに盛り込まれました。
 「この制度で警察・検察の違法捜査を抑止できるのか」国会審議では、度重なる共産党議員の追及に対し、法務大臣や警察庁は「違法捜査はしないから大丈夫」と繰り返し、「安全神話」を振りまきました。さらに質疑の中で、可視化対象でない別件での起訴後勾留の取調べに可視化義務がないことも判明。殺人罪の疑いで被疑者を取調べる際、可視化対象でない死体遺棄罪で逮捕・起訴すれば、可視化せずに殺人罪の取調べができる抜け穴があるのです。
 昨年の5月に衆議院で審議入りして以降、冤罪犠牲者、国民救援会や自由法曹団をはじめさまざまな市民団体との共同で反対運動が展開されました。戦争法反対の運動と相まって、国会内外で運動が広がり、衆院での70時間を超える審議で早期成立を阻止してきました。参院法務委員会には、近県から連日多数の傍聴者が駆け付け、国会前で抗議の声をあげました。
 国民救援会は同日、抗議声明を発表。「安倍政権がすすめる『戦争する国』づくりのもとで、さらに室内盗聴の実施や共謀罪新設など、警察・検察権限の拡大に断固反対していく」と述べています。

三重・名張毒ぶどう酒事件 弁護団 新証拠を提出 真犯人が封かん紙貼り直した可能性  

 ぶどう酒に毒物を混ぜ、5人を殺害したとして奥西勝さん(故人)の死刑判決が確定している三重・名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求審(再審請求人は奥西さんの妹・岡美代子さん)で5月18日、弁護団は新証拠を名古屋高裁に提出しました。
 今回の新証拠は、ぶどう酒のびんの口に貼られた封(ふう)緘(かん)紙(し)から、製造時とは異なるのりの成分を検出したとする鑑定書4点と、事件で使われた毒物が、奥西さんが「自白」した農薬ニッカリンTとは異なるとする実験結果の補充証拠5点です。
 ぶどう酒の栓を開けるには、封緘紙をはがす必要があります。鑑定書によると、封緘紙の裏面からぶどう酒の製造段階で使用されたのりの成分とは別に、合成樹脂の一種が検出され、それは当時、一般に流通していた洗濯のりや工作のりに含まれる成分で、自然界に存在せず、食品にも含まれないものでした。弁護団は「真犯人が未開栓を装って封緘紙を貼りなおした可能性を示し、犯行機会が奥西さん以外になかったとする確定判決に疑問を生じさせる重大な証拠」だと主張しています。

愛知・名古屋市バス運転手公務災害認定訴訟 公務災害と認定 遺族が逆転勝訴 名古屋高裁  

 愛知・名古屋市バス運転手山田公務災害認定訴訟に対し、名古屋高裁(孝(こう)橋(はし)宏裁判長)は4月21日、一審判決を取り消し、公務災害と認める判決を言い渡しました。被告側は上告せず、逆転勝訴判決が確定しました。
 事件は、名古屋市バス運転手・山田明さん(当時37歳)の焼身自殺は、職場でのパワハラと、乗務していないバスでの乗客の転倒事故の責任を負わされ、警察への出頭を命じられたことが原因だとして、父・勇さんが、公務災害と認めなかった地方公務員災害補償基金名古屋支部を相手取り、処分の取り消しを求め、提訴していたものです。一審の名古屋地裁は2015年3月、請求を棄却していました。
 孝橋裁判長は、「時間外労働は月60時間を超え、心身の余力を低下させた可能性がある」とした上で、地裁では明らかにならなかった転倒事故は「山田さんの運転したバスの中で発生したと断定するのは困難」とし、繰り返される指導に強い精神的負荷を受け、精神疾患を発症したとし、自殺は公務が原因と認定しました。

福岡・福岡市民病院渡利さん雇止め撤回訴訟 渡利さんの訴え棄却 使い捨て認める不当判決 福岡地裁  

 福岡地裁(豊島英征裁判官)は4月22日、福岡市民病院渡利美幸さん雇止め撤回訴訟に対し、渡利さんの請求を棄却する不当判決を言い渡しました。
 事件は、福岡市民病院が、1年間の有期看護助手として2回の契約更新をおこなっていた渡利さんの雇止めをおこなったため、その撤回を求め、福岡地裁に提訴していたものです。判決は、看護助手の業務は「代替性」のある業務で、「必要とされる員数が減少したり、必要性そのものが失われることも想定されていた」と認定し、渡利さんが契約更新を期待する合理性は認められないとする不当なものです。渡利さんは高裁へ控訴しました。

負けられない 渡利美幸さん

 裁判を闘う中で、ときに挫けそうになりました。そんな時に支えてくれたのは、救援新聞の読者の方から寄せていただいた激励ハガキでした。「私は独りではない、負けないぞ」と強い気持ちを持ち続けることが出来ました。本当にありがとうございます。労働者の権利を守るために、引き続き、控訴審でも全力を尽くします。

第223次最高裁要請行動 公正な審理訴える  

 第223次最高裁統一要請が5月19日、9事件40人の参加でおこなわれました。早朝から最高裁西門前で宣伝行動をおこない、その後、最高裁へ要請をおこないました。
 岡山・倉敷民商弾圧事件について、元区議の支援者は、「議員として、住民のために医療費控除などの相談をしてきたが、これも税理士法違反とされれば、全国の議員の活動も違反となってしまう」と経験を訴え、税理士法の問題点を指摘しました。

〈参加事件〉倉敷民商弾圧事件、いすゞ派遣・期間切り裁判、新日鉄名古屋思想差別裁判、新日鉄名古屋障害者差別裁判、日東航空整備争議、JAL不当労働行為裁判、DNPファイン偽装請負争議、大阪市労組組合事務所明け渡し訴訟、中部電力過労自死労災不支給決定取消行政訴訟

兵庫・福崎町長選不当捜査事件 地元集会に350人  

 昨年12月の福崎町長選で、候補者の後援会だよりを公選法の文書違反として、警察が長期にわたり不当捜査をおこなっている事件で、5月15日、福崎町内で350人が参加する大集会が開かれました。
 集会では、3月の衆議院法務委員会での清水忠史議員(共産党)による国会質問のDVDを大画面で上映し、園田洋輔弁護士が、公選法のもとでも規制を受けない後援会活動に対する捜査で、警察の捜査は違法であることを解説。
 会場からは不当な聞き込みを受けた女性が、「警察のひどい捜査に悩んでいた時に救援会が救世主のように現れた」と発言。最後に、呼びかけ人の嶋田正義さんが、「後援会には何の落ち度もない。それが今日、それぞれの報告で明らかにされた。告示の直後から聞き込みをした警察のほうが選挙妨害だ」と話し、今後、人権擁護委員会への申立ても含め検討していることを話しました。
(県版より)

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