日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2016年2月15日号

2016年2月15日号  

再び国民監視を断罪 自衛隊国民監視差止訴訟 監視はプライバシー侵害  

仙台高裁 1人に賠償認める

 自衛隊による国民監視が再び断罪されました。自衛隊国民監視差止訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(古久保正人裁判長)は2月2日、一審判決で損害賠償を認めた5人のうち、1人ついてプライバシーを侵害したとして10万円の賠償を認めました。しかし、監視の差止めを認めず、一審で認めた4人の請求も棄却しました。

 判決当日、雪が舞うなか120人の支援者が判決に駆けつけました。
 事件は2007年、陸上自衛隊情報保全隊が、イラク戦争への自衛隊派兵に反対する運動などを「反自衛隊活動」と敵視し、監視・情報収集していたことが、日本共産党が暴露した内部文書で発覚。そこで監視されていた東北6県の市民107人(判決時、原告91人)が、国民監視は憲法違反、監視をやめろ、プライバシーを侵害された賠償をおこなえと、同年裁判に訴えたものです。
 一審判決では、監視の差止めは認めなかったものの、実名が書かれていた原告5人について、監視は違法であり、人格権を侵害したとして賠償を命じました。

市民監視が明らかに 自衛隊の幹部を尋問、追及  

 控訴審では、当時の情報保全隊長の鈴木健氏や情報保全室長の末安雅之氏の尋問を勝ちとり、弁護団の徹底した追及によって、情報保全隊が広く市民を監視している実態が明らかになりました。
 その結果出された今回の控訴審判決では、生協前などで匿名で歌を歌っていた1人について、情報保全隊がその人の本名、職業を調べたことに対し、「情報の収集、保有は違法」と判断しました。しかし4人については、地方議員など公的な立場にあることなどを理由に賠償を退けました。
 そして、情報収集行為の違法性について、情報収集行為の目的、必要性、態様、情報の管理方法、情報の私事性、秘匿性の程度、個人の属性、その他の事情を総合考慮して判断するとしました。そのうえで、派兵反対行動の情報収集を追認。他方、国民春闘や年金改悪反対の行動、小林多喜二展などの情報収集の必要性は「認め難い」と認定。さらに、個人のプライバシーに属する情報収集には一定の限度があり、そのやり方によっては違法になると指摘しました。

個人の監視活動は違法 判決の前進面を活用しよう  

 報告集会の会場は支援者であふれました。
 原告団長の後藤東陽さんは、「1人でも憲法の侵害を認め、自衛隊の活動の違法性を認めたことは成果です。私たちの運動が実を結んだ」とあいさつしました。
 弁護団は、不当な点はあるが、再び国(自衛隊)の監視活動を違法と判断したことは大きな成果であるとし、具体的に次のように説明しました。
 評価できる点=プライバシー権を憲法(13条)上の権利として認めたこと、1人ではあるけれども再び自衛隊の監視活動を「違法」と認定したこと、これまで自衛隊(国)が頑(かたく)なに作成の認否を拒否してきた内部文書を、自衛隊が作成したものと明確に認めたこと。
 不当・不十分な点=4人の請求を棄却したこと、監視の差止めを認めなかったこと、憲法上の人権への理解が不十分であること、自衛隊の軍隊としての本質を捉えきれていないこと、情報収集の必要性を認めたこと。
 内藤功弁護士は、「弱点もある判決だが、私たちにとって使える点もある。そこをおおいに学び、活用することが重要」と述べました。
 「戦争する国」づくりを推し進める安倍政権。戦争法強行後、自衛隊の違法活動を初めて断罪した判決の意義は大きいものがあります。
 原告・弁護団は、最高裁に上告してたたかう方向で検討をしています。
 *判決を言い渡した裁判官=裁判長・古久保正人、裁判官=鈴木陽一、男澤聡子

岡山・倉敷民商弾圧事件 全国活動者会議開く 34都道府県88人が参加  

 岡山・倉敷民商事務局員の3人が税理士法違反や法人税法違反だとして不当に逮捕、起訴された倉敷民商弾圧事件。勝利をめざし、全国活動者会議が1月31日、東京都内で開かれました(34都道府県88人参加)。

 集会では、日本国民救援会の鈴木猛事務局長が、報告と行動提起をおこない、この事件は、戦争する国づくりのもとで、治安立法の強化とともにたたかう組織の弱体化を狙った弾圧事件であると強調。事件をたたかう意義を、。蛙佑凌邑△鮗蕕襪海函↓中小零細業者の営業と権利を守るためにたたかう民商への弾圧をはね返すこと、7法で保障された納税者の権利、申告納税権を守ることにあると述べました。
 運動の到達点として、18都道府県に20の支援組織が結成されていること、全国100カ所以上で5500人が参加して学習会などがとりくまれていることが報告されました。
 そして、毎年3月に民商を中心におこなわれている「3・13重税反対全国統一行動」での宣伝などを、実行委員会に申し入れることなどを提起しました。

無罪勝ちとり
人権守りたい

 弁護団報告で鶴見祐策弁護士が、2つの裁判の現状、税理士法の問題点、民商への弾圧との闘いの歴史を語り、「不当判決に対する怒りを持って支援を広げてください」と述べました。
 被告人の小原淳さんが、「私は6カ月間勾留されました。裁判に勝利して傷つけられた人権を回復したい」と述べ、たたかいの中でうまれた歌「私は無罪」を歌い、支援を訴えました。
 参加者からは、「このたたかいを通じて民商を強くしていきたい」(全商連)、「3人の無罪を勝ちとるため、何よりも地元ががんばりたい」(岡山)、「最高裁でのたたかいに全力でとりくむ」(東京の会)、「いち早く支援の会を立ち上げ、救援会の支部が中心になって学習会などをおこない、支援を広げてきた」(愛知の会)、「公判の傍聴記を毎回ニュースに載せ実態を伝えている。全国連絡会の結成を」(大阪の会)など、発言がされました。
 最後に鈴木事務局長が「今日の会議を受け、全国で行動をはじめよう」とまとめ、団結ガンバローをおこない閉会となりました。

兵庫・福崎町長選挙不当捜査事件 県警に抗議行動 県内の労組や団体27人  

 昨年末の福崎町長選挙で、兵庫県警捜査二課と福崎署が候補者の後援会ニュースを違法文書として後援会役員と嶋田正義前町長に不当な呼び出しを続けている福崎町長選挙不当捜査事件で、2月3日、兵庫県警への抗議宣伝行動がおこなわれ、福崎町のある現地・西播地域や県内の労組、団体、国民救援会から27人が参加して、福崎町違法捜査事件の真相を市民に知らせました。
 フェイスブックで抗議行動があることを知ったという大阪や神戸の人もいて、ハンドマイクでの宣伝後、兵庫労連、高教組、国民救援会、日本共産党から代表者5人が県警に入り、「投票日前から後援会だよりを違法と言って回るのは選挙妨害だ」、「後援会員に犹笋聾絮膕餔ではない瓩箸い書面へのサインを求めるのは後援会つぶしだ」、「毎日、呼び出しをするのはストーカーまがいだ」と強く申し入れました。
 この日、福崎事件の県対策会議の第1回会合を開催。終了後は代表が神戸地裁令状係に強制捜査の令状発付をおこなわないことを求める集会決議を提出しました。
 現地福崎町でも嶋田前町長ら6人がビラの全戸配布とマイク宣伝をおこないました。この間、寒い中、連日、宣伝行動で町民に訴えをおこなっています。また、現地では住民集会も準備しています。

養父不当捜査事件で解決集会 養父の成果、福崎へ  

 2012年の養父市議選挙で、「選挙違反」を口実に、市民を3年間にわたって呼び出し、尾行、家宅捜索などの違法捜査をおこなった養父市議選不当捜査事件で、不起訴解決報告集会が1月28日、神戸市内で55人の参加でおこなわれました。
 事件現地の共産党但馬(たじま)地区委員会の村岡峰男さんが、3年間のたたかいを報告し、「選挙の自由を守って今後も頑張る」と決意表明。兵庫労連、高教組、人権連、神戸市西区ポスター事件で不当逮捕され不起訴を勝ちとった加藤寛治さんらが連帯の挨拶をしました。
 国民救援会からは、違法捜査を適正化するための権限を与えられているのに市民の訴えを無視し続けた検察庁、県公安委員会の責任も指摘。しかし、この3年間に、憲法と国際人権法を大きく広げることができたのは前進であることを報告しました。
 これを受けて集会は、養父事件の県対策会議の解散と同時に福崎町長選不当捜査事件支援の県対策会議の結成を確認し、裁判所に安易な令状発付をしないことを求める集会決議を採択。県警抗議への参加呼びかけや、福崎署の不当捜査をやめさせる会(準)の入会を呼びかけました。

沖縄・辺野古不当逮捕事件 瀬長さん不起訴に  

 昨年12月に、沖縄・辺野古で基地建設に抗議していた瀬長和男沖縄県統一連事務局長と沖縄平和運動センターの山城博治議長ら3人が不当逮捕された事件で、那覇地検が瀬長さんを不起訴にしたことが1月27日までに分かりました。
 この事件では、公務執行妨害と傷害で北海道の男性が起訴されています。米軍敷地内に足を踏み入れたとして刑事特別法違反で憲兵隊に拘束され、県警に引き渡された山城議長の処分については、まだ明らかになっていません。

岡山・倉敷民商弾圧事件 禰屋さん本人質問 検察のシナリオ崩れる 岡山地裁  

 倉敷民商弾圧事件・禰屋裁判の第15回公判が、1月22日、岡山地裁(中田幹人裁判長)で開かれ、法人税法違反(脱税ほう助)について、禰屋町子さんへの被告人質問がおこなわれ、住宅建築のI建設から法人税の減額の依頼を受けた禰屋さんが、同社社長夫人に決算事務・税務事務の指示をしたとする検察の筋書きが事実ではないことを明らかにしました。
 禰屋さんは、I建設との関わりについて、従業員の年末調整の手続きや社長夫妻の確定申告のサポートなどおこない、同社を訪れるのは決算報告書の作成のため、毎年5月に3日程度だったと証言。日常的な会計処理は社長夫人がおこない、当期の基本的な会計入力は社長夫人が毎年決算期までに済ませ、自分が関与することはないと述べました。また決算報告書に添付する勘定科目内訳書は、社長夫人の手控えなどを聞き取って入力し、根拠となる資料などは見せてもらっていないと証言しました。
 検察は、禰屋さんが5億円規模の売上げがある同社の経営実態を把握しており、平成21年度の期末商品棚卸高を減額する方法などで脱税ほう助をしたと主張していましたが、年に3日しか聞き取りをしない実情と合わせ、社長夫人の言う数字を前提にして会計サポートをおこなっていたにすぎないことが明らかになり、検察が描く筋書きはすべて崩れました。
 次回公判は3月7日、ひきつづき禰屋さんの被告人質問がおこなわれます。

東京・鈴村国賠 請求棄却の不当判決 鈴村さん 控訴して闘う方針 東京地裁立川支部  

 大型バイクによる交通事故で当時7歳の娘の幸(ゆき)子(こ)ちゃんを亡くした青梅市の鈴村さん夫妻が、事故の真相解明を怠り、被害者遺族の尊厳を傷つけたとして警察と検察の責任を追及してきた裁判で1月27日、東京地裁立川支部(瀬戸口壯夫裁判長)は原告の請求を棄却する不当判決を出しました。
 事件は、警察・検察が当初から「幸子ちゃんの飛び出し」と決めつけて捜査をすすめ運転手を不起訴とした過程で、まともな捜査を求めた鈴村夫妻に対し「目撃者が飛び出しを目撃している」とウソをついたり、怒鳴り声をあげて脅したり、証拠として提出されたビデオテープを紛失するなど十数項目にのぼる違法行為を重ねたものです。
 口頭弁論では事故現場にいた3人の目撃者らが証言に立ち、「調書に書かれた衝突地点は自分の言い分とは違う」「自分は事故の瞬間を見ていないのに見たように書かれた」などと実況見分調書や参考人の調書が捜査機関のストーリーにあわせて作られた「作文」であることがあらためて明白になりました。
 しかし、判決はこのような証言を無視し、事故当時の「調書の方が信用できる」などの理由で違法行為の存在を否定。すべての請求を棄却しました。
 父の鈴村健二さんは控訴してたたかう意志を表明しました。

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