日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2016年12月15日号

2016年12月15日号  

鹿児島・大崎事件 来春、再審の可否へ 鹿児島地裁 「現裁判体で決定書く」  

 共謀して親族の男性を殺害したなどとして有罪が確定した原口アヤ子さんらが再審請求をしている鹿児島・大崎事件で、弁護団、裁判官、検察官による三者協議が11月22日に鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)でおこなわれました。
 会見した弁護団の鴨志田祐美事務局長によると、弁護側、検察側双方に対し、11月末までに最終意見書を提出することが確認されたことと、裁判所から「今の裁判体で決定を書きます」と言われたことが報告されました。今の裁判体のうちの一人が年度末での人事異動があることから、鴨志田弁護士は、「弁護団としては、年度内に決定を出す意思表示だと受け止めている」と報告しました。
 また、前回協議で検察側から提出された開示証拠のうち、「18本の写真ネガ」の中で、まだ提出されていない欠番のネガフイルムがあると見られることから、弁護団が「まだ未提出があるのではないか」と追及。さらに関係証人のカセットテープの存否も含めた証拠開示について、検察の回答期限を12月16日とし、来年1月12日に再度三者協議をおこなうこととなりました。
 会見で鴨志田弁護士は、「弁護団は現在、最終意見書のとりまとめに全力を上げている。アヤ子さんが高齢であることから、今回の申し立てで何としても再審開始を勝ちとりたい」と話しました。森雅美弁護団長は「年度末までには決定が出る見通しなので、アヤ子さんにはこの冬を乗り切っていただいて、良い報告を届けたい」と述べました。木谷明弁護士は「裁判所の対応に明るい方向を持った。再審決定に検察が即時抗告することが考えられるが、世論の力も借りて止めていきたい」と話しました。
〈要請先〉〒892―8501 鹿児島市山下町13―47 鹿児島地裁・冨田敦史裁判長
〈激励先〉〒890―0063 鹿児島市鴨池ホワイトリバー102 国民救援会鹿児島県本部

熊本・松橋事件 審理が重要局面へ 検察官側が主張を完結 福岡高裁  

 1985年に、男性を刃物で殺害したとして、無実の宮田浩喜さんの殺人罪が確定(懲役13年)し、今年6月に熊本地裁で再審開始決定が出された松橋事件で、11月24日、福岡高裁で裁判官、弁護団、検察官による第2回の三者協議がおこなわれました。
 弁護側から有罪認定の証拠となった宮田さんの自白による「秘密の暴露」が、実際は事前に警察が把握していたことを示す意見書と、証人供述を記録したDVDおよび反訳を提出しました。
 一方、検察側からは再審開始決定に対する全面的な反論を内容とする補充の意見書と、凶器とされた小刀では付けられない傷が2カ所あることを明らかにして再審決定の根拠の一つとなった弁護側の日本医科大学・大野曜吉教授の鑑定に対し、反論する専門家の意見を検察官が聞き取りした「供述調書」と、それを補強する検察官の意見書が出されました。
 検察側が今回の協議で主張を完結すると表明。弁護団が、次回検察官の意見書に対する反論と大野教授の鑑定書を提出し、さらに大野教授の証人尋問を予定していると述べたため、再度三者協議の日程が入れられました。弁護団は、次回3月16日の三者協議で重要な方向性が出されると見ています。

北海道・渡島信金昇格差別事件 中原さん勝利和解 事実上差別を認める 函館地裁  

 北海道の渡島信用金庫で、渡島信金労組役員への退職強要等、組合つぶしの中で、委員長・中原秀一さんの昇格差別を不当労働行為として訴えた裁判で、11月17日、函館地裁で和解が成立しました。
 和解後の報告集会で代理人の弁護士は、「中原さんが定年した事で、代理職の地位請求は無くなったが、管理職手当の差額に相当する和解金であり、事実上、裁判所が、渡島信金の形式的な昇格を差別と認めた」として、勝利和解だと述べました。
 中原さんは、「私が定年となる前に、適正な代理職の地位にしたくないため、裁判を引き延ばしてきた。怒りもあるが、勝利和解となり嬉しい。今後は、再雇用拒否事件の裁判勝利めざし、頑張る」と決意を述べました。

死刑執行に抗議 国民救援会が声明  

 金田勝年法務大臣は11月11日、福岡拘置所で死刑囚1人の死刑を執行しました。これにより第二次安倍政権のもとで17人目の死刑執行となります。日本国民救援会は11月15日、鈴木亜英会長名で声明を発表し、死刑執行に抗議しました。
 声明は、国民救援会が免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件の死刑再審無罪事件をはじめ、不当な死刑判決を宣告された冤罪犠牲者を救出してきた経験を語り、人間がおこなう裁判には、絶対誤りがないという保障はなく、誤判による死刑は回復不可能な事態を招くとして、「国家の名による犯罪行為である」と強調しました。
 さらに、国連総会において「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議が繰り返し採択されていることや、自由権規約委員会や拷問禁止委員会が、日本政府に対して「死刑制度廃止」への検討などを繰り返し勧告していることを紹介。10月に日本弁護士連合会が、人権擁護大会において死刑廃止宣言を初めて採択し、死刑制度についての国民的な議論が起こり始めた矢先での死刑執行だったとして、「このような動きに挑戦し、国民的議論を封殺しようとするもの」だと批判しました。

事件の真実学び広げよう 再審・えん罪事件全国連絡会が総会  

 再審・えん罪事件全国連絡会の第25回総会が12月4日、東京・平和と労働センターで開催され、13事件から36人が参加しました。
 総会では、東住吉冤罪事件の再審無罪確定、松橋事件の再審開始決定の教訓に学んで、事件の真実を学び、広め、仲間を増やす運動を旺盛に展開しようと活発に議論がおこなわれました。
 討論の中では、特に検察が隠し持っている証拠をいかにして開示させるかという証拠開示の課題と合わせて、再審開始決定に対する検察の不服申立(上訴権)について熱心に議論されました。現状は、再審開始決定に対する検察の不服申立によって裁判が長期化し、名張事件の奥西勝さんのように獄中で無念の死を強いられる深刻な事態にあります。その他の再審請求人の多くが高齢となり、冤罪当事者と家族は、まさに命がけのたたかいを強いられています。
 憲法38条「二重の危険の禁止」によって、現行の刑事訴訟法では不利益再審は認められていません。裁判所は、少なくとも、即時抗告審や異議審などで検察官の新たな証拠提出や有罪立証を裁判所が訴訟指揮権で制限するように、さらに強く裁判所に強く求めていくとともに、抜本的な制度改革の運動を呼びかけていくことが確認されました。また、今回の総会では死刑制度について廃止を求めていくことも決定されました。

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