日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年6月25日号

2015年6月25日号  

取調べ全面可視化を要求 反省なき警察「再犯」する 桜井さん、国会で意見表明  

冤罪の痛み、分からぬか

 警察の取調べの限定的な可視化と抱き合わせに、盗聴捜査の大幅拡大と司法取引を盛り込んだ刑事訴訟法等改悪案について、6月10日、衆院法務委員会で参考人質疑がおこなわれ、布川事件の桜井昌司さんや自由法曹団の加藤健次弁護士が意見を述べ、法案の問題点を指摘しました。

 「参考人として呼ばれるにあたって、冤罪の仲間たちと話したが、誰一人この法案に賛成する人はいなかった」と切り出した桜井さん。裁判所で無罪判決が出ても冤罪と認めようとしない警察と検察について「反省しない者は『再犯』する。警察と検察に冤罪をなくすことはできない」と話し、警察の裁量で、取調べの録音・録画をしないことができる法案の問題点を指摘しました。
 冤罪仲間の富山・氷見事件の柳原浩さんが起こしている国賠訴訟で、国や県が「柳原がすすんで自白したから警察・検察には責任がない」と言ったことにふれると桜井さんは声を詰まらせて、「柳原さんは刑務所の中でも怖くて本当のことが言えなかった。刑務所にまで行った者の痛みが分からないのか」と批判しました。そして、「全面可視化でなければ冤罪は防げない。3千円程度のICレコーダーを全警察官に持たせれば済む話だ。そもそも警察官は公務員。なぜ可視化に反対するのか。一般人は街頭のカメラで監視されているのに、警察の調べは監視できないという話は成り立たない」と述べ、最後に「冤罪のない社会、悩む人がいない社会にするために中途半端な法案を通していただきたくない」と締めくくり、議員から長い拍手が送られました。

 盗聴の拡大は
 整合性がない

 加藤弁護士は、代用監獄という警察管理下の留置場での長期の身柄拘束での取調べで虚偽自白が生まれている実態をあげ、「本来なら身柄拘束の在り方、弁護人の立ち会いなどに議論が進むべきだが、法制審議会では本質的な議論は封殺されてしまった」と指摘。「袴田事件の再審開始決定に無反省に即時抗告するような捜査機関に刑事司法改革を語れるのか。可視化はすべての事件でやるべきだ」と述べました。また、法案に盗聴捜査の拡大が盛り込まれていることについてふれ、「捜査機関は一つ権限を与えると可能な限り拡大して使う。法律が成立してから濫用の危険が分かるのでは遅い」と発言。冤罪防止のために取調べ可視化を議論したはずなのに、盗聴捜査拡大、司法取引導入など、その他のことも全部一括した法案とされていることを問題視しました。
 また、日本共産党の清水忠史衆院議員から、盗聴捜査拡大などの新しい捜査手法に整合性はあるのかと問われ、「供述に依拠しない捜査をするというなら、なぜ物証に依拠しないのか。取調べを可視化すると自白できないから盗聴というのは論理が飛躍している」と批判しました。

 心通う取調べ
 神話だと批判

 質疑のなかで、中央大学大学院の椎橋隆幸教授(自民党推薦)は、「取調べは捜査官と被疑者が心と心を通わせ更正に結びつくという事実もあり、そういう役割は無視できない」と回答。これに対し別の質問の中で桜井さんは、「夫婦ゲンカは逃げられるが取調べは逃げ場がない。被疑者との信頼関係というのは神話。奴隷になるかならないかだ」と批判しました。
   *   *
 冤罪の辛さを身をもって知る犠牲者たちが「これでは冤罪をなくすことはできない」と声を上げている刑訴法、盗聴法の改悪案。今国会での成立を許さず、廃案に追い込みましょう。6月15日号に掲載した衆参法務委員へのFAX要請にもとりくみましょう。

全事件の勝利めざし 32事件から104人参加 第25回裁判交流集会開く  

 弾圧事件や冤罪事件、労働事件などをたたかう当事者や支援者が一堂に会する第25回裁判勝利をめざす全国交流集会が6月7日、8日に静岡県熱海市で開催され、18都道府県32事件104人が参加し、勝利への決意を固め合いました。(集会は全労連、自由法曹団、国民救援会の共催)

 1日目の全体会では、元松川事件弁護団で、倉敷民商弾圧事件の弁護団でもある鶴見祐策弁護士が、「大衆的裁判闘争で裁判勝利を」と題して講演。松川事件では被告人を犯人だとするデマが流布されるなか、被告が獄中から手紙を書き続け、家族が街頭に出て必死に訴えて少しづつ味方を見つけ、次第に仲間を増やし、そして社会を動かす力になった経過を説明。署名の意義について、「署名の目的とは何か。数が目標ではない。署名を通して理解と共感を得て、仲間を増やすための媒体で、最初の共同行動だ」などと話しました。最後に大衆的裁判闘争を構築して倉敷民商弾圧事件で勝利の展望を開こうと話しました(鶴見弁護士の講演は次号で特集予定)。
 その後、]働事件、冤罪・再審事件、B臀暗裁判闘争のすすめ方の3つに別れて討論。
 労働事件の分科会では、愛知の鳥居公務災害認定裁判や司法書士法人杉山事務所事件、南医療生協梅村裁判の3人が勝利報告し、事件解決の喜びと教訓を伝えました。南医療生協裁判の梅村紅美子さんは、集会などで登壇できるとこではどこへ行っても訴えて、短時間でも食いついてもらえるスピーチをし、後から資料を渡して関心を持ってもらったと報告。杉山事務所事件の喜久山アコさんは、署名や宣伝行動などと合わせてインターネット広告の利用が効を奏したと報告。ネット利用者が「杉山事務所」と検索すると、喜久山さんの裁判闘争を紹介するWEBサイトが検索結果に表示されるようにしたことで、会社が和解を申し出たとき、「あのインターネットをやめてくれ」と言わせるまで追い詰めたと話しました。
 最終日は、倉敷民商弾圧事件の禰(ね)屋(や)町子さんが決意表明。「3人の無罪を勝ちとるため納税者の権利を守るための活動をしている民商が権力から狙われたものだということを、これから全国を回って訴えていきたい」と述べ、拍手に包まれました。

茨城・布川国賠 証拠開示求め追及 警察、証拠ない理由明言せず  

 1967年に起きた強盗殺人事件で犯人とされ、29年間服役して再審無罪となった布川事件の桜井昌司さんが、警察と検察の捜査や起訴の違法性を追及している国賠訴訟の第10回口頭弁論が6月10日、東京地裁でおこなわれました。
 原告側は、国と県に対し捜査報告書などの証拠開示を求めていますが、国も県も「ない」と回答し開示を拒否しています。
 原告側は裁判所に2つの文書提出命令の申立てをおこなっており、その1つが桜井さんがウソの自白をするきっかけとなったポリグラフ検査の記録紙や捜査報告書などです。国も県も文書はないと回答し、県は那珂川の氾濫で流れたと答えています。しかし、何が流されたかの記録もないとしており、不都合な証拠を隠している様子が浮き彫りになっています。
 もう1つが、杉山さんの自白を録音したテープです。杉山さん自身が「録音の時に話したとおり」と供述しており、テープが存在することは明らかです。ところが国も県も「ない」と回答。弁護団が「作ったけれども廃棄してないのか、もともとないのか。なぜないのか、その理由を答えよ」と求めたところ、県側は「理由も含めて答えられるかどうか検討したい」と回答。傍聴席からため息まじりの呆れた声が漏れました。

静岡・袴田事件 DNA鑑定の検証実験 条件合意至らず  

 昨年3月の再審開始決定で釈放された袴田巖さんの即時抗告審で、裁判所、弁護団、検察官による三者協議が6月9日に東京高裁で開かれ、再審開始決定の根拠となった弁護側DNA鑑定の検証実験の条件について協議がおこなわれました。
 しかし、検察が提示した検証実験の手法について、弁護団は「曖昧で不正確なやり方だ」として反対し、合意に至りませんでした。7月10日に再度協議がおこなわれます。
 この日、袴田さんの再審無罪を求める実行委員会は東京高検に要請し、「鑑定の検証は不要だ。即時抗告を取り下げろ」と要請しました。

北海道・恵和会パワハラ・セクハラ裁判 原告女性が勝訴 札幌地裁  

 病院経営者からの執拗なセクハラを拒否した職員の高原香織さんが、毎日60台の車いすの空気入れをさせられるなどのパワハラを受け、妊娠後も「中絶しろ」と言われたり、滑りやすい浴室での入浴介助などの重労働を強いられたことに対し、安心して働ける職場を求めて提訴していた裁判で、4月17日、札幌地裁で原告の訴えが一部認められる勝利判決を勝ちとり、判決が確定しました。
 判決は病院経営者のマタハラを認め、経営者側の管理監督対応を不適切としました。

支援に励まされ 高原香織  

 裁判は時間も労力もかかるのに国民救援会の人たちはすごいなと思います。傍聴席からの支援に励まされました。職場環境改善のため今後も頑張ります。

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