日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年5月15日号

2015年5月15日号  

岡山・倉敷民商弾圧事件 司法が弾圧に荷担 懲役10月、執行猶予3年の判決 岡山地裁  

違法捜査を擁護、形式的に判断
 岡山県倉敷民主商工会の小原淳事務局長と須増和悦事務局次長が民商会員の確定申告書の作成を手伝ったことが税理士法違反だとして起訴されている岡山・倉敷民商弾圧事件(小原・須増裁判)に対し、岡山地裁(松田道別裁判長)は4月17日、2人にそれぞれ懲役10月(未決勾留100日を算入)、執行猶予3年の不当判決を言い渡しました。
 判決日には各地から200人の支援者が裁判所に駆けつけ、満席の傍聴席からは「インチキ判決だ」「今までなにをしてきたのか」など、怒りの声があがりました。小原さんと須増さんは、即日、広島高裁岡山支部に控訴しました。

 この事件はそもそも倉敷民商の会員(当時)の建設会社社長夫婦の脱税の調査を口実に、倉敷民商を弾圧してきた事件です。
 これまでの10回の公判で弁護団は、本件は民商への弾圧であること、2人の行為は税理士法でいう「自己の判断」で「税務書類を作成」したことには当たらないこと、2人の行為に違法性はないことを主張してきました。

不当な捜査でないと切捨て
 これに対し判決は、国税局が民商の会員名簿など税理士法違反とされていることとは無関係の大量の資料を押収したことを、差し押さえ手続きのみに矮小化して判断し、検察官には広い裁量権が認められており、不当な捜査ではないとして、弾圧だとする弁護団の主張を切り捨てました。
 また、2人は、会員から預かった会計資料に記載された金額を、パソコンの税務ソフト等に入力する際、金額を変更せず入力したことを、「そのまま使う」という、「自己の判断」をしているから、税理士法違反であると強弁しています。
 そして、量刑についての判断では、2人の行為によって、「適正な課税が実質的に損なわれたとまではいえない」と述べる一方で、犯罪かどうかの判断では、2人の行為は「適正な課税の運用」という税理士法の立法目的を損なうおそれがあるとしており、「おそれ」だけで、犯罪だとしました。つまり、2人が手伝った会員の確定申告書は適正なものであり、誰にも迷惑はかかっておらず、税理士法の立法目的も実質的に損なわれていないことを裁判所自身が認めているのです。裁判所の論理は完全に破たんしていると言えます。弁護団の、税理士法を限定的に適用しなければならず、みだりに刑事罰を科すことは許されないとした主張にも全く答えない不当な判決です。

適正な納税を学ぶこと敵視
 民商では、日本国憲法の国民主権原理を基底に、「納税者は主権者」という立場で、中小零細業者の営業と権利を守る幅広い運動にとりくんでいます。また、この理念から、会員の納税にかかわる実務を、互いに助け合い、学びながら「自主計算・自主申告」をおこなう運動をすすめています。
 小原さんと須増さんは20年以上前から倉敷民商で専従者として勤め、会員とともにこの運動にとりくんできました。

 日本は戦後、賦課納税制度(国が税額を決める)から、申告納税制度に変わり、納付すべき税額は納税者の申告により確定することが原則となりました。民商の運動は、会員が正しく納税するために納税実務を相互に学び、援助しあってきたもので、臨時税理士制度によって青色申告会がおこなっている「請負」などとは全く異なり、誉められこそすれ、犯罪とされるなど、異常というほかありません。今回の判決は、司法が民商弾圧に手を貸したことになり、断じて許されません。

「必ず無罪を」と会場から次々と
 判決報告集会では、小原さん、須増さんの訴え(1面)に応え、支援者が怒りの声をあげました。東京から参加した東京商工団体連合会副会長の武藤幸子さんは、「この事件は倉敷民商だけの事件ではありません。東京でも支援組織の準備をしています。必ず勝ちましょう」と激励しました。
 集会では、法人税法違反と税理士法違反とされ岡山地裁の別の部で審理されている禰(ね)屋(や)町子さんの夫・祐司さんも発言。「妻は保釈となりましたが、保釈条件が厳しくこの場に参加することができません。いま、体調を整えるため病院に通っています。皆さんのご支援がなかったら、ここまで頑張れませんでした」と支援のお礼を述べました。
 集会の最後に、国民救援会岡山県本部の小山和正副会長が、「救援会の組織をさらに増やして高裁のたたかいに勝利しようと決意しています」と発言。倉敷民商の奥田伸一郎会長は、「私たちの民商運動を真っ向から否定するような判決です。無罪を勝ちとり民商の組織拡大で弾圧をはねのけよう」とあいさつし、参加者は大きな拍手で応えました。
〈抗議先〉〒700―0807 岡山市北区南方1―8―42 岡山地裁 松田道別裁判長

弾圧許さない 小原淳さん  

 裁判所は本件が弾圧かどうかの判断を避けました。納税者の権利を認めず、納税の手伝いをする人を罰し、税理士法を弾圧法規として使うことを認めたと言える不当な判決です。高裁のたたかいでもがんばります。ご支援をお願いします。

負けられない 須増和悦さん  

 電卓やパソコンで出した数字を、私が「正しいと判断した」として、税理士業務をしたとしたり、春の運動費などを特別会費と言い換えて、申告書作成の対価だと認定するめちゃくちゃな判決です。こんな判決に負けられません。

許すな盗聴法改悪 「戦争する国」づくりと一体の国民監視 反対の声集中を 5月中旬審議入り狙う  

 「戦争をする国」づくりをすすめる安倍内閣は、それに反対する市民運動を監視、抑圧するために盗聴法の改悪を狙っています。5月中旬にも衆議院での審議入りが狙われている今、全国から反対する署名を集め国会に届けましょう。また、各地で地元国会議員に法案の問題点などを知らせましょう。

メールも盗聴対象に
 盗聴法の改悪で、私たちの生活のなかでも広く使われているメールなども盗み見される恐れがあることが国会審議で明らかになりました。
 4月17日の衆議院法務委員会で、日本共産党の畑野君枝議員の質問に回答した警察庁の代表によると、市民の交流に広く使われているLINEやフェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)について、「法律上は傍受をすることができる通信に該当するものでございますので、警察といたしましては、法で認められた通信傍受が技術的にも可能となるように努めている」と発言しました。
 盗聴対象の犯罪が詐欺や窃盗など市民に関わる事件へと大幅拡大されようとしていることから、若者や子どもを持つ保護者のなかに広がっているSNSも盗聴の対象とされる危険性が明らかになりました。

過去の盗聴反省なし
 過去に違法な電話盗聴捜査をおこなった警察。しかし、警察はその事実を認めず、反省も謝罪もしていません。3月26日の参議院法務委員会では、日本共産党・仁(に)比(ひ)聡平議員が85年から86年にかけておこなわれた日本共産党国際部長緒方宅電話盗聴事件を取り上げました。
 事件は日本共産党に関する情報を得ることを目的として計画的、継続的に実行されたもので、神奈川県警本部警備部公安第一課所属の警察官が関与していたと推認できると裁判所が認定しています。この事件について仁比議員が、事実を認めて謝罪すべきではないかと追及。答弁した高橋清孝警察庁警備局長は、「組織的犯行と断定された判決ではなく、警察としては盗聴と言われるようなことを過去にもおこなっておらず、今後もおこなうことはない」と開き直りました。
 仁比議員は、「反省して謝罪するどころか、事実さえ認めない。こうした捜査機関にこんな卑劣な手段を与えていいのか」と述べ、今からでも考え直すべきだと大臣に強く求めました。

袴田事件即時抗告審の闘い 無用な検証実験は不要 弁護団「検察鑑定論破で十分」  

 1966年、一家4人が殺害された強盗放火事件の犯人として袴田巖さんが死刑判決を受け、昨年再審開始決定が出された袴田事件の即時抗告審。4月16日、東京高裁(大島隆明裁判長)で裁判所、検察、弁護団による三者協議が開かれ、裁判所は、弁護側の本田鑑定人がおこなったDNA鑑定の選択的抽出方法について、あらためて検証実験をする意向を示しました。弁護団は「審理を混乱させるので不要」と主張し、結論は次回5月14日の三者協議に持ち越しとなりました。
 袴田事件は、唯一の物証とされている「5点の衣類」から採取した血痕をDNA鑑定したところ、袴田さんと被害者のいずれのDNAも検出されなかったことから、静岡地裁が「捜査機関が証拠をねつ造した疑いがある」と認め、再審開始決定を出しました。このときDNA鑑定をした筑波大教授の本田克也鑑定人がおこなった鑑定方法が、味噌に漬けられた試料(血痕のついた衣類)から血液中のDNA型を抽出できるとする「選択的抽出法」という手法です。再審決定は、「血液中のDNA型を抽出する可能性を高める」としてこの手法を評価しました。検察側は、本田鑑定を信用できないと主張して即時抗告審で再現実験を求め、東京高裁は本田鑑定の手法を検証する実験の実施を検討していました。
 協議の中で弁護団は、「検察側が根拠とする法医学者の主張を論破したことで十分と考えている。いたずらに審理を混乱させる検証実験は不要だ」と主張。ただし、裁判所がどうしても実験をおこなう意向であれば、条件設定等を検討することを表明しました。
 また、逮捕当時の弁護人と袴田さんの秘密接見交通権を侵害する盗聴行為が発覚した問題について、弁護団は協議の中で検察に釈明を求めましたが検察は回答しませんでした。
 同日、袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会は、東京高検に対して違法な接見盗聴に抗議するとともに検察の即時抗告の取り下げを求め、東京高裁に即時抗告を棄却するよう要請しました。

熊本・松橋事件 審理大詰めに 結審の可能性示唆  

 1985年に熊本県松橋町で起きた殺人事件の犯人として宮田浩喜さんが懲役13年の刑を受けた事件の再審請求審で、4月21日、熊本地裁で三者協議がおこなわれました。
 検察が弁護側の証人尋問に対する反論の意見書を6月に提出すると表明し、裁判所はこの意見書を見て事実調べを終えるかどうか判断することが明らかになりました。次回協議は7月15日です。
 検察が反論をしようとしているのは、弁護団が尋問した日本医科大学・大野曜吉教授(法医学)の証言で、大野教授は「被害者の刺し傷が、凶器とされた小刀と矛盾する」と述べ、確定判決の矛盾を明らかにしました。
 この事件で宮田さんと犯行を結びつける証拠は警察に強要されたウソの「自白」しかありません。目撃証人もなく、凶器とされた小刀からも、犯行当時の着衣からも血液反応は検出されていません。しかも「自白」では、凶器に巻き付け、犯行後燃やしたとされた布が、検察官が開示した証拠物の中から発見されるなど、捜査機関によって作られた冤罪であることが浮き彫りになっています。

大衆的裁判闘争の成果 労働事件に嬉しい春 3事件で勝利  

大阪・泉南生協オレンジコープ解雇事件  

和解勝ちとり2人職場復帰
 劣悪な労働条件の改善を求めて労働組合を結成したところ、組合を嫌悪した理事長に解雇された組合員5人が解雇無効を求めていた裁判。大阪地裁堺支部で2月に和解が成立し、2人が職場復帰、3人が金銭解決を果たしました。
 書記長の松尾修さんは本紙の取材に対し、「和解条項に、労働組合の活動を尊重するという項目も勝ちとった完全勝利。国民救援会には、岸和田支部をはじめ全面的に支援してもらい、裁判所の書記官に『こんなに署名が来るのは初めて』と言わせた。闘いの経験を生かし今後も頑張りたい」と話しました。

愛知・アイシン機工吉田裁判  

勝利和解成立会社側が賠償
 自動車部品メーカーのアイシン機工に勤務していた吉田祐二さんが、過重労働が原因の障害により休職したのちに解雇され、地位保全などを求めていた裁判で、判決直前の4月15日、名古屋高裁で和解が成立しました。同日付で退職扱いとなり、会社側が労災を認め、賠償金額を満額支払うことや、職場での安全配慮に注意することなどを約束し合意しました。
 裁判は、2014年に地裁で労災を認める判決が出て、会社側が控訴していました。
 吉田さんは取材に対し、「勝って職場に戻ることが目的だったので、和解に納得はしていませんが、『和解』を武器に、安全に働ける職場環境を作っていく運動はまだ終わりではありません」と話しました。

埼玉・正智深谷高校講師偽装請負事件  

団交の再開を地労委が命令
 派遣会社イストを通じて正智深谷高校で、違法な偽装請負の状態で社会科の講師として働かされていた小島香さんが解雇され、正規雇用と損害賠償を求めてさいたま地裁熊谷支部と県労働委員会に提訴している裁判で、4月17日、埼玉地労委は、所属労働組合である埼玉私教連との団体交渉を拒否した学校側の不当労働行為を認め、常勤職員として雇用することなどを求める団体交渉に応じるよう命令を出しました。
 弁護団は、この決定が埼玉地裁で係争中の地位保全裁判に影響を与えると見ています。
(横田正利)

大崎事件支援集会に140人 第三次再審へ決意 冤罪晴らす闘い「あと一歩」を確認  

 義理の弟を殺害する計画を立てた主犯として懲役10年の刑が確定した原口アヤ子さんが無実を訴える鹿児島・大崎事件は第3次再審請求へ向けて4月13日、日本弁護士連合会の主催で東京都内で支援集会が開かれ、140人の支援者が集まりました。
 弁護団や学者、支援者の代表から報告を受け、第2次再審請求審での成果を確認しました。パネルディスカッションでは、木谷明(大崎事件弁護団)、高木光太郎(青山学院大学教授)、桜井昌司(布川事件)、瑞慶覧淳(国民救援会)の各氏が第3次再審請求に向けた展望を討論しました。
 また、第二次再審は棄却されはしたが、供述心理学分析によって共犯とされた2人の「自白」の信用性が失われたことを裁判所も認めざるを得なかったことが確認され、冤罪を晴らすたたかいが「あと一歩」の所まで来ているという確信が共有されました。集会アピールでは、88歳になる原口さんの無実を明らかにするために、力を尽くそうと決意を固めました。(首都圏の会・松木圓)

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