日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年4月5日号

2015年4月5日号  

許すな!「戦争する国」づくり 秘密と監視は戦争への道  

 安倍政権は、この通常国会で「戦争をする国」づくりをすすめ、それと一体に国民を監視し、国民のたたかいを抑圧する治安政策の強化を一気にすすめようとしています。「戦争は最大の人権侵害」、「秘密と監視は戦争への道」――国民救援会は、多くの国民と協力して反対のたたかいをすすめます。

アメリカ軍の戦争支援「戦争立法」狙う

 自公与党は3月20日、憲法違反の「戦争立法」について合意し、5月にも国会上程を狙っています。
 「戦争立法」は、昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定にもとづき、海外派兵恒久法の新設や周辺事態法など現行法を大幅に改悪するものです。その狙いは、アメリカの戦争に「切れ目なく」自衛隊が支援すること、自衛隊が戦地を含め地球規模に活動範囲を広げることなどで、憲法9条を破壊するものです。

国民監視強める警察盗聴法の大改悪

 「戦争立法」の自公合意に先立つ3月13日、安倍政権は、秘密保護法の制定につづき、盗聴法(通信傍受法)の大幅な改悪案を、取調べの可視化(録音・録画)などの刑事訴訟法「改正」案と抱き合わせで閣議決定しました。今国会での成立を狙っています。

■冤罪防止不十分抜本的な改革を

 取調べの可視化は、足利事件や厚労省村木事件など冤罪事件の発覚を受けて、いかに冤罪を防止するのかを出発点として法制審議会の特別部会で審議が始まりました。しかし、その結果出された「答申」は、冤罪防止のための改革は全く不十分で、逆に警察権限の大幅拡大という重大な問題をもつ内容でした。この「答申」にもとづき、今回、閣議決定がされました。
 「改正」案は、取調べの可視化や検察の持つ証拠の開示を、刑事裁判全体のわずか数%しかおこなわないと極めて限定しました。痴漢冤罪事件やPC遠隔操作事件など多くの事件は対象外です。
 一方で、他人の犯罪を「密告」すれば自分の刑が軽減される「司法取引」制度を導入するとしています。減刑ほしさに真犯人が無実の人を陥(おとしい)れる事例は多く、八海事件など多くの冤罪を生んでいます。冤罪を新たに生み出す制度です。

■盗聴対象の拡大 不正監視も廃止

 警察は「取調べを可視化すれば被疑者は自白しない。治安が悪くなる」と犇爾鍬瓩鬚けて捜査権限の大幅拡大=盗聴法の改悪を狙っています。
 現在、盗聴捜査が許されている犯罪は、薬物や銃器犯罪など暴力団や組織犯罪集団が関わるものに限定されています。しかし、改悪案では、窃盗や詐欺など一般の市民生活に関わる犯罪へと対象を一気に広げようとしています。日常の会話やメールも捜査の対象となりかねず、警察による国民監視が強まります。
 現在、盗聴捜査の際は、警察の不正を防止するため、NTTなどの通信事業者の施設でおこなわれ、職員の立会いが必要です。改悪案では、立会いを廃止し、通信事業者から会話データを暗号化して警察に送信するとしており、警察の好きなときに、好きなだけ通話やメールのデータをとって、聞いたり、盗み見できることになります。
 秘密保護法につづき、盗聴法の改悪、さらには秋の臨時国会には市民団体を監視する共謀罪の新設を狙うなど、国が国民を監視する治安体制が強まっています。この危険性を、街頭宣伝や学習会などで広く知らせ、反対の声を広げましょう。

国民救援会は求めます

 国民救援会は、閣議決定に対して同日、抗議声明を出しました。声明は、次の点を強く求めています。
}雄瓩慮彊を究明し、抜本的な刑事司法制度の改革をおこなうこと。取調べの全面可視化、証拠の全面開示(再審含む)を全事件でおこなうこと。
盗聴法の改悪をおこなわないこと。「司法取引」の導入をおこなわないこと。
取調べの可視化等の法案と盗聴法を一括審議・採決しないこと。

岡山・倉敷民商弾圧事件(小原・須増裁判) 2人の無罪必ず 判決日4月17日 裁判所に署名急いで 岡山地裁  

 岡山・倉敷民商弾圧事件(小原・須増裁判)の第10回公判が3月5日、岡山地裁で開かれ、論告求刑と最終弁論がおこなわれました。検察側は、小原淳さんに懲役1年6月、須増和(かず)悦(よし)さんに懲役1年を求刑しました。判決は4月17日午前10時に言い渡されます。
 事件は、倉敷民商事務局長の小原さんと、同事務局次長の須増さんが税理士法違反として逮捕、起訴されたものです(同事務局員の禰屋町子さんの裁判は、岡山地裁の別の部で審理されています)。
 論告で検察は、2人は、自分で判断する意思も能力も持たない民商会員の求めに応じて「自己の判断」に基づいて、税理士法で有資格者だけに限定した「税務書類の作成」をしたと主張し、「反省の情は微(み)塵(じん)もないことは明らかであり、被告人両名の規範意識の鈍麻は顕著であって、…厳重に処罰するより他に方法はない」と罵りました。
 弁護団は最終弁論で、倉敷民商の3人の専従事務局員が逮捕、起訴され、被疑事実とは無関係の資料が大量に押収され、法人税法違反のほう助とされている禰屋さんはいまだに勾留されているにもかかわらず、本犯の建設会社社長夫婦は、身柄拘束もされていないなど、明らかに民商の活動に対する妨害行為であると述べました。
 そして、納付すべき税額を納税者自身が申告するという申告納税制度は、「主権者である納税者の基本的人権である」と主張。
 税理士法の成立過程や問題点にも触れながら、法が禁じる非税理士の「税理士業務」を形式的・一律に適用して処罰することは、憲法上保障された申告納税権を侵害するものであり、そもそも納税者の確定申告書作成に関した、形式的・機械的な代筆行為による援助は、犯罪の構成要件に該当せず、罰すべき違法性もまったく存在しないことを強調しました。
 そして、実際に2人のおこなった作業は、「判断」の介在しない機械的な転記や入力に過ぎないもので、「税務書類の作成」にあたらず、税理士法違反の余地はないとして、いずれも無罪であると述べました。
 また、青色申告会など、税理士資格を持たない職員が恒常的に申告書の作成に関わっても、なんら刑事責任を問われず、本件に限って逮捕、起訴されたのは差別的な起訴で公訴権の濫用であるから、本件はそもそも公訴棄却の判決がなされるものであると述べました。
 小原さんは、「民商に入ってから一度も税務署や警察から、私の行為が税理士法に違反すると警告を受けたことはなく、逮捕は突然のことでした。このような逮捕、勾留は民主主義の国である日本でおこなわれていいものなのでしょうか。私は無罪です」と訴えました。須増さんは、「私は会員の自主記帳と自主申告を支える活動をしただけです。公平な判断をお願いします」と訴えました。
 岡山県本部などでは、小原さん、須増さんの無罪をめざし判決日まで署名などで要請を続けるように呼びかけています。
〈要請先〉〒700―0807 岡山市北区南方1―8―42 岡山地裁 松田道別裁判長

大阪・東住吉冤罪事件 再審裁判の開始を 最終盤、勝利めざし集い  

 大阪・東住吉冤罪事件の再審開始決定から3年目にあたる3月7日、再審開始の確定をめざす集いが大阪市内で開催され、12都府県から113人が参加しました(写真)。
 弁護団から、二つの争点について、説明がされました。
 一つ目の争点「ガソリン7リットルを撒いてライターで着火したとする、朴(ぼく)さんの『自白』は信用できるか」。大阪地裁は、弁護団の「自白」にもとづく放火再現実験(7リットルを撒き終わる前に種火に引火)を理由に再審開始決定を出しました。これを不服として即時抗告をした検察は、みずからも放火再現実験を実施。しかし、結果は弁護団の実験と同様にガソリンを撒ききる前に引火して火事になりました。これによって、「自白」は信用できないことが明らかになりました。
 二つ目の争点は、検察は自然発火の可能性はあるのか(言い換えれば、もし自然発火でなければ、放火しかない)という新たな争点を持ち込みました。
 弁護団は自然発火説についてもさらに立証を尽くす必要があると考え、全国から寄せられた4台の同種の車でガソリン漏れについて実験をおこない、給油口からガソリンが漏れることを立証。自動車工学の専門家が、朴さんの車からも漏れ出た可能性が十分にあったことを証言しました。
 朴龍晧さんのお母さんとお姉さんからの最後までの支援の訴えを受け「支援する会」から行動提起(〇件の内容を多くの人に知らせよう、⊇靆召鮟犬瓠一日も早く5万人分を達成しよう、裁判所要請・アピールをおこなおう)がおこなわれ、再審裁判開始と刑の執行停止を求める決議を採択しました。
 裁判所は、弁護団・検察双方からの最終意見書の提出期限を4月30日と決めました。いよいよ最終盤です。
〈要請先〉〒530―8521 大阪市北区西天満2―1―10 大阪高裁 米山正明裁判長

大阪・東住吉傷害致死事件 佐保夫婦が釈放 懲役刑から罰金刑に 大阪高裁  

 大阪高裁(笹野明義裁判長)は3月11日、大阪・東住吉傷害致死事件(佐保事件)に対して、一審の懲役8年の判決を破棄し、罰金20万円の判決を言い渡しました。
 事件は、認知症を患った母親に暴力をふるい外傷性ショックにより死亡させたとして佐保輝之さん(逮捕時大阪大学歯学部助教)と妻のひかるさんが逮捕、起訴されたものです。2011年6月20日、自宅にいた母親が認知症患者特有の症状によって、突然大声をあげて、ロッカーやタンスにぶつかり、頭を打ち付けるなどの自傷行為をするのを、佐保さん夫婦が止めようとしました。ところが検察は夫婦が母親に全身にわたる多発外傷を負わせたとして起訴。2013年2月、裁判員裁判による一審判決は懲役8年の実刑を言い渡しました。
 控訴審で、弁護団は認知症患者の特性についての深い見識を持つ専門医による意見書を新たな証拠として提出。意見書は採用されたものの、証人採用は却下され、1回の公判で結審となり、控訴審判決が指定されていました。
 判決は、故意に暴行を加えたと認定した原判決は事実の誤認があるとして原判決を破棄、一部2人の暴行を認め罰金刑としました。
 傷害致死を疑われたこの事件は、起訴後早い段階から国民救援会大阪府本部が支援要請を受けていました。府本部は一審裁判員裁判の全過程を会員が順次傍聴、公判の動向を注視してきました。同時に一貫して無実を主張し続けている佐保夫妻への面会行動を組織し、支援する会を結成。支援にとりくんできました。
 控訴審は、本人たちの陳述も認められず専門医の証人申請も却下。意見書のみが採用され、一回で結審となりました。佐保さん夫妻の友人知人のみなさんは要請書を作成し、国民救援会の支援決定後は全国4000人分近い署名が届けられました。
 そして3月11日、大阪高裁は、原判決を破棄し、暴行罪により罰金20万円としました。なお未決勾留1日を4千円に換算し、納付すべき罰金額はゼロ。実質無罪の判決でした。
 報告集会で釈放された輝之さん、ひかるさんから「弁護団の先生方、国民救援会、友人知人、それから元職場の方がた、家族、みんなのおかげです。一人として欠けてもこの判決はなかった」とのお礼の言葉があり、参加者の喜びの発言が相次ぎました。
 検察は上告しないことを表明しました。(大阪府本部)

自衛隊国民監視差止訴訟 元隊長の再尋問を 弁護団 再尋問の棄却を批判 仙台高裁  

 自衛隊イラク派兵に反対するデモや集会を陸上自衛隊情報保全隊が監視し情報収集していたのは違法だとして監視の差し止めを求めている訴訟の第12回口頭弁論が3月16日、仙台高裁でおこなわれました。
 原告団を代表して副団長の山形孝夫さん(元宮城学院女子大学学長)が意見陳述。「イラク戦争への自衛隊派遣の決定に反対することが、なぜ、監視されねばならないのか」と憤(いきどお)りに声を震わせ陳述。「私たちが8年にもわたりたたかい続けてきたのは、日本国を愛し、平和を愛する国民すべての願いでもあるからです」と締め括りました。
 つづいて、鈴木健・元情報保全隊長の尋問後に3人の裁判官のうち2人が交替したことを受けおこなった、元隊長に対する再尋問請求を裁判所が棄却したことについて、弁護団が次々と弁論に立ち、厳しく批判しました。
 十河弘弁護士は、「憲法32条は、国民の裁判を受ける権利を規定し、その具体化といえるのが民事訴訟法249条3項。3人の裁判官のうち過半数の2人が交代した現在、高裁は再尋問の求めに応じる義務がある」と述べ、証人再尋問の棄却決定は、直接主義、すなわち、法廷において直接証人尋問にかかわった裁判官による裁判を受ける権利を侵害する憲法違反だと意見陳述しました。
 甫守一樹弁護士は、「鈴木氏の証言内容はこの訴訟の核心をなすもの。判断の基準をなんら示すことなく、再尋問の必要性は無いとの決定は極めて不当だ。鈴木証人の尋問では、長い沈黙が異常に多く、その表情、顔色、態度、口調など、速記録を読んだだけでは証言の信用性の判断はほとんど不可能」と再尋問棄却決定の取り消しを求めました。
 次回の口頭弁論は、裁判所の再尋問棄却決定の取り消しを求める弁護団の特別抗告に対する最高裁の判断を待ち、7月7日におこなうことが決まりました。(宮城県本部)

茨城・布川事件国賠 証拠開示求める 文書提出命令申立て 東京地裁  

 1967年に茨城で起きた強盗殺人事件の犯人とされ、2011年に再審無罪となった布川事件の桜井昌司さんが原告となり、警察・検察の違法な捜査や起訴の責任を追及している国賠裁判の口頭弁論が3月11日、東京地裁でおこなわれました。
 これまでの裁判で、桜井さんが嘘の「自白」をした取調べの違法性を立証するために、原告側は証拠開示を求める文書送付嘱託の申し立てをしましたが、昨年12月に却下。桜井さんが嘘の「自白」をするきっかけとなったポリグラフ検査に関する捜査報告書などに限って、文書提出命令を申し立てていました。しかし、この日は裁判所は判断を示さず、さらに検討するとしました。原告側は、警察の違法捜査を立証するため、もう1人の犯人とされた杉山卓(たか)男(お)さんの「自白」テープ、桜井さんの兄などの関係者の調書について、新たに2本目の文書提出命令の申し立てをおこないました。

東京・築地署公務執行妨害デッチ上げ国賠 再度証人調べを 公正な裁判の実現求める 東京地裁  

 2007年、寿司店を営む二本松進さんが、築地市場前の道路上で女性警官2人に暴行したとして公務執行妨害罪で逮捕され不起訴になった事件で、虚偽告訴による不当逮捕と虚偽調書の作成で事実の隠(いん)蔽(ぺい)を図ったとして、警察と検察を訴えている国賠裁判の口頭弁論が2月20日、東京地裁でおこなわれました。
 これまでの弁論で警官の証言が二本松さんと妻の月恵さんの原告2人の証言と食い違い、矛盾が浮き彫りになっていました。原告側は客観的事実の解明のため、第三者の目撃証人4人の取調べを申請。人事異動で裁判官2人が交替したのに伴い、原告2人と警官2人の再尋問も要求していました。しかし、新たに就任した裁判長は証人申請をすべて却下。原告側は裁判官3人の忌避申し立てをしていました(翌月却下)。
 この日の弁論で、3人目の裁判官も交替し、裁判官の誰一人として警官2人と原告2人の尋問を聞いていない状態になったことが判明。代理人の小部正治弁護士は、「判決をする裁判官自身が証拠調べや証人調べをおこなう直接主義に反する。公正な裁判をできる状態ではない」と述べ、再度原告2人と警官2人の証人調べを要求しました。裁判所は検討して、4月17日の弁論で結論を出すと述べました。

鹿児島・大崎事件 首都圏の会が 学習会ひらく  

 大崎事件首都圏の会は3月6日、大崎事件第2次再審請求審で最高裁が原口アヤ子さんと元夫の遺族の再審請求特別抗告を棄却したことに抗議するとともに、第3次再審請求に向けての学習会を39人でおこないました。
 弁護団の佐藤博史弁護士が、大崎事件のそもそもから分かりやすく説明。そのなかで、「弁護団は、最高裁に提出する予定であった証拠に加え、新たな証拠の準備をしている」と話し、第3次再審請求審を早ければ今夏にも提起すると述べました。

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