日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年2月5日号

2015年2月5日号  

自衛隊国民監視差止訴訟 憲法違反、国民萎縮は許せない 元情報保全隊長の再尋問を求める 仙台高裁  

 自衛隊のイラク派遣に反対するデモや集会などに参加した市民を、陸上自衛隊の情報保全隊が監視し、個人情報を集めていたのは違法だとして、東北各県の市民が監視の差し止めと損害賠償を求めてたたかっている宮城・自衛隊国民監視差止訴訟。控訴審第11回口頭弁論が1月19日、仙台高裁(古久保正人裁判長)で開かれました。

 法廷で原告団長の後藤東陽さんが意見を陳述しました。「私たち原告は特別な思想を持っておらず、ただの平和主義者です」と訴え、自らの戦争体験から平和運動をするようになったことを説明。「平和裏におこなった集会が自衛隊に監視されているとは夢にも思っていなかった。監視という精神的圧力は、民主主義国家のやることか。自衛隊が憲法違反の国民を萎縮させる監視をすることは許せない。この裁判は子や孫の世代の命に関わる問題。公正な判決を求めます」と、時折涙ぐみながら陳述しました。

証言の信用性
法廷で判断を

 裁判は今回で結審の予定でしたが、直前に裁判長が異動した結果、元陸上自衛隊情報保全隊長の鈴木健氏の尋問に直接関わったのが、裁判官3人のうち1人だけとなり、弁護団は鈴木元隊長を再度証人尋問するよう求めました。
 弁護団は、鈴木元隊長の証言はこの控訴審で最も重要な尋問であり、実際にどのような尋問がされたのかは、聞いた者でなければ分からない。良心に従い真実を述べると宣誓をしたうえで証言をしているが、長い沈黙のうえで証言をしたり、一切沈黙をして喋らないこともあり、国側の弁護士の顔色をうかがいながら証言したものであり、調書の文面だけでは証言の信憑(ぴょう)性を読み取ることはできないと主張しました。また、民事訴訟法249条3項では、「合議体の裁判官の過半数が代わった場合において、その前に尋問をした証人について、当事者が更に尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない」と定めており、鈴木元隊長を再度尋問し、丁寧な審理をするよう求めました。
 これに対して国側は「再尋問の必要はない」と述べ、裁判を結審することを求めました。
 裁判長は、「今日は結審することはできない」と述べ、国側の求めを退けました。そのうえで、原告、国側双方に証人尋問への意見書を提出するよう要求しました。次回期日は3月16日と指定され、それまでに鈴木元隊長へ再度証人尋問するかどうか、採否を判断することになりました。

秘密保護法に
大きな風穴を

 記者会見で弁護団は、「この訴訟で問題となっている監視文書は、秘密保護法で『特定秘密』に指定されていると思う。『特定秘密』文書が違法だという判決が出れば、秘密保護法に大きな風穴を開けることができることになる」と話し、司法により国民監視は違憲と判断させ、監視を差し止めさせることの重要性を訴えました。
 裁判後の報告集会では60人が参加し、沖縄大学小林武教授が講演し、「改憲、戦争をする国づくりが進むなか、この裁判で勝利することは重要な意義がある」と評価しました。

〈要請先〉〒980―0812 仙台市青葉区片平1―6―1 仙台高裁 古久保正人裁判長

大阪・中津学園刑事弾圧事件 推論重ね不当判決 懲役1年6月 安東さんに実刑 大阪地裁  

 社会福祉施設の職員だった安東育子さんが、施設利用者の所持金150万円を横領したとして起訴された中津学園刑事弾圧事件で1月19日、大阪地裁(坪井祐子裁判長)で判決公判がおこなわれ、懲役1年6月、執行猶予のない実刑判決が言い渡されました。
 裁判は、社会福祉法人中津学園の職員だった安東さんが、関連施設であるグループホーム中津の入居者の預金から150万円を引き出し着服したとして、業務上横領罪で起訴されたもので、ずさんな施設経営の改善を訴えて不当解雇された安東さんの解雇撤回裁判の最中におこされたものでした。
 安東さんが現金を取ったと主張する施設側に対し、安東さんは、施設側が施設増設のために支出した170万円の資金の出所が不明瞭であることを追及し、施設側が利用者の150万円を着服した疑いがあると反論していました。
 判決は、150万円の不明金が発覚したのが安東さんの退職後であることから、安東さんが着服したことが推認できると決めつけました。また判決は、施設側の理事の証言が変遷(せん)して事実を歪(わい)曲していることを認めながらも、仮に施設側が着服していたならば、発覚を恐れて不明金のことを積極的に告訴したりするとは考えられないとして、理事の証言は信用できるとしました。一方、安東さんの証言については、起訴から7年も前のことであるにも関わらず、利用者の預金を引き出すという特殊な業務をしたのに記憶がないのは不自然で信用できないとしました。
 裁判長は、「金欲しさの犯行で反省の態度がなく酌量の余地はない」と述べ、実刑判決を言い渡しました。閉廷後、「冤罪を訴えているのに、反省がないから重罰とはおかしいやないか」などと傍聴席から声が上がりました。安東さんはその場で拘束されましたが、すぐに控訴を申立て、同日中に保釈されました。

〈抗議先〉〒530―8522 大阪市北区西天満2―1―10 大阪地裁 坪井祐子裁判長

大阪市「思想調査アンケート裁判」判決3月30日に 弁護団が意見陳述し結審  

 橋下大阪市長による市職員への憲法違反の「思想調査アンケート」で「精神的苦痛を受けた」と職員59人が市に損害賠償を求めていた裁判が1月19日、大阪地裁でおこなわれ結審しました。判決は3月30日と決まりました。
 この日法廷で最終陳述した永谷孝代原告団長は「多くの市職員は、アンケートに答えなければ懲戒免職を含む重大な処分もあり得ると思い悩み苦しんだ。実施後はみんな心を閉ざし、ものも言えない職場になった。強い者の意見がまかり通る社会になったら、保育士として私たちは子どもの未来に不安を持ちます。市民のために仕事をする職員は、自由にものが言える職場環境を築き、人間としての思想・信条の自由を保障することは当然ではないでしょうか。明らかにこのアンケートは憲法違反です」と述べました。
 西晃弁護士は「一人ひとりの労働者にとって、一番大事で最低限必要な良心・人格に、土足でふみ込まれ、その中身を権力者の前に開示するよう強制された。このようななかで、『人間としてのこころの叫び』、『良心の悲鳴』をどうかお聞きいただきたい」と述べました。
(大阪・姫野浄)

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