日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年2月15日号

2015年2月15日号  

鹿児島・大崎事件 再審認めぬ決定 十分な審理せず拙速な判断 最高裁  

 1979年に殺人死体遺棄事件で原口アヤ子さんら4人が犯人とされた鹿児島・大崎事件の第2次再審請求特別抗告審で、2月2日、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は、原口さんと元夫の再審を認めない不当決定を出しました。
 決定は、「抗告の趣意は、憲法違反、判例違反という点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、抗告理由に当たらない」と、裁判官5人全員一致で特別抗告を棄却しています。
 決定は、昨年7月の特別抗告から約半年という短期間で出されたものです。記者会見で、森雅美弁護団長は「長年無実を訴え、しっかりとした証拠を出しているのに不(ふ)遜(そん)だ」と批判。鴨志田祐美弁護団事務局長は、「形式のみの判断で内容に踏み込んでおらず、昨年末に提出した補充意見書をまともに見ていない。最高裁は人権の最後の砦なのに、憤りを覚える。原口さんの年齢を考えると時間が無い。『一刻も早く』がこれからの合言葉になる」と強調しました。
 原口さんは、体調を崩していたため、体調を見て後日決定内容を伝えることにしています。
 1月30日には、首都圏守る会、九州各県の国民救援会と中央本部から14人が参加し、最高裁に早期に再審開始決定を出すよう7回目の要請行動をおこなったばかりでした。
〈抗議先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第1小法廷 金築誠志裁判長

大阪・東住吉冤罪事件 ガソリン漏れがある 自動車工学の専門家が証言 大阪高裁  

 保険金目的で放火し娘を殺したとされ無期懲役が確定し、2012年に再審開始決定が出された東住吉冤罪事件で1月29日、即時抗告審の最後となる事実調べがおこなわれました。事件は、再審請求人の朴龍晧さんの「自白」で自宅車庫にガソリンをまき、火をつけたとされていますが、再審開始決定はその方法では大火事となり犯行は不可能と判断しました。
 即時抗告審では検察の実験でも、朴さんの「自白」通りの犯行は不可能という結果になりました。今回、弁護側の依頼により、朴さんが運転をしていた車と同種の軽自動車の給油口からのガソリン漏れの原因などについて鑑定意見書を作成した、神奈川工科大学工学部の石濱正男教授に対する証人調べがおこなわれ、火災が放火ではなくガソリン漏れの可能性が示されました。
 記者会見で石濱教授は、質問に対し、給油口からのガソリン漏れは「技術的・工学的に検証した結果、漏れる可能性はある」と答え、「1リットルぐらいは漏れてもおかしくはない。実験では400ミリリットルぐらいは漏れた。この量は、漏れれば十分に広がる量と思われる」と、答えました。
 今回の証言で、火災はガソリン漏れによる自然発火の可能性が高いことがいっそう明らかになりました。
 今後2回の三者協議をもって最終意見書の提出日が示され、審理は最終段階に入ります。

国民救援会が新たに支援決定した冤罪事件 滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件  

事故の捜査が殺人事件に

 植物状態になっている入院患者の人工呼吸器のチューブを引き抜いて殺害したとして、看護助士の西山美香さんが殺人罪に問われ、懲役12年の刑が確定した事件。事件は取調室で自白を強要されたものだとして、西山さんは和歌山刑務所から再審を求めています。事件の概略を紹介します。

 2003年5月22日午前4時30分頃、愛知郡湖東町(現東近江市)の湖東記念病院の病室で入院患者Aさん(72歳、人工呼吸器なしでは生命維持ができない重篤患者)が心肺停止状態になっているのが発見されました。
 発見したのは、おむつ交換にまわってきた看護師のBさんと、看護助士の西山美香さん(当時23歳)でした。
 Aさんは救命処置が施され一時心拍が回復しましたが、7時31分に死亡が確認されました。

叱責されると供述が変わる
 滋賀県警愛知川署は当初、人工呼吸器が外れたのに気づかず死亡させたとして、業務上過失致死容疑で捜査をしました。B看護師、西山さんなど病院関係者は、人工呼吸器のアラームは鳴っていなかった、不具合による事故と主張しました。捜査は進展せず1年ほどが経過しました。
 任意の取調べで担当が山本誠警察官になると、西山さんらにアラームが鳴っていたことを認めるよう強く迫るようになりました。西山さんが「鳴っていた」と供述を変えると山本警察官は急にやさしくなり、男性との交際経験のなかった西山さんは好意を寄せるようになりました。
 しかし、B看護師の恨みを買って悩むことになり、再び「本当は鳴っていなかった」と言うと、山本警察官に厳しく叱責されて、供述を変えるといった繰り返しがつづき、「自分がチューブを引き抜いて殺した」と供述。その後も否認をしたり、犯罪行為の供述が次々変遷するなか殺人容疑で逮捕されました。
 西山さんは接見した弁護士に無実を訴えましたが、警察官の取調べでは犯行を「自白」。警察官に言われるがままの自白調書が創作されました。その自白調書を検察官が仕上げて西山さんは殺人罪で起訴されました。
 検察官は、「処遇等への憤(ふん)まんを募らせ、気持ちを晴らすため入院患者を殺そうと企て、入院加療中のAに対し、殺意をもって、人工呼吸器のチューブを引き抜いて、呼吸器からの酸素供給を遮断し、呼吸停止状態に陥らせ、急性低酸素状態により死亡させた」と主張し、西山さんの「自白調書」などを証拠として提出しました。
 西山さんは第2回公判から犯行を否認。「自白」は好意をもった警察官に迎合し、誘導されるままにしたものであると主張しました。
 弁護側は、「自白」は脅迫や誘導によるもので信用できない。供述の変遷の著しさ、実行行為の不自然さ、動機もつじつまが合わず、西山さんは無実だと主張しました。

「自白」にある多くの矛盾点
 西山さんと犯罪をむすびつける証拠は西山さんの「自白」以外にありません。
 証拠とされた自白調書では、看護師詰所の廊下を挟んだドアの開いたままの隣室(4人の患者がいる)に入り、「Aさんに装着してある人工呼吸器を引き抜き、60秒経つとアラームが鳴るので、1、2、3と秒を数え、60秒直前に消音ボタンを押し、これを3回繰り返し(3分間)死ぬのを見ていた。口をハグハグさせ顔を歪め苦しそうに死んでいった」旨述べています。
 一審の大津地裁は、この「自白」を「実際その場にいた者しか語れない迫真性に富んでいる」と全面的に信用し、解剖をした医師の「急性低酸素状態に陥ったことによる急性心停止」との鑑定、証言と矛盾しないなどと認定。懲役12年の判決を言い渡し、最高裁で確定しました。

「自白」には多くの疑問や矛盾点があり、その後の第1次再審請求、第2次再審請求で弁護団が提出した新証拠では、「自白」が客観的、科学的な鑑定結果にも反する虚偽の疑いが一層濃厚になりました。

 その主なものは、次の点です。
 ゝ淦低酸素状態による心停止で必ず現れる症状が解剖所見にみられない、呼吸を停止した人は3分では死に至らない、I賊,鮑い蕕擦襪燭瓩法峪故」に装った犯行なら自ら「殺人」を供述する必要はなかった、ご埜郢婬予蠅領拏次△靴も他の患者もいて、同僚看護師がナースコールなどいつのぞかれるか分からない部屋は犯行が目撃されやすく、犯行方法が不自然、不合理。
 このような点から、警察官に述べた「自白」は信用性がなく、冤罪は明らかです。

服役しながら無実を訴える
 今、第2次再審請求審の三者協議が大津地裁で進行中です。西山さんは、和歌山刑務所に服役しながら、一日も早い再審開始と無罪判決の日が来ることを願っています。

〈激励先〉〒520―0051 滋賀県大津市梅林1―3―30 滋賀県労連内 国民救援会滋賀県本部
〈要請先〉〒520―0044 滋賀県大津市京町3―1―2 大津地裁 川上宏裁判長

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