日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年11月5日号

2015年11月5日号  

冤罪の闇に真実の光 大阪・東住吉冤罪事件 再び再審決定 青木さん、朴さんが釈放 大阪高裁  

 大阪・東住吉冤罪事件で、大阪高裁(米山正明裁判長)は10月23日、大阪地裁の再審開始決定を支持し、検察の即時抗告を棄却しました。刑の執行停止も認められ、26日午後2時すぎ、青木惠子さんと朴龍晧さんは、それぞれ収監先の刑務所から釈放されました。
 東住吉冤罪事件は、1995年に自宅が火事となり、当時11歳だった青木さんの長女が死亡したことをめぐり、長女にかけた保険金を手に入れる目的で放火したとして青木さんと朴さんが殺人罪などで起訴されたもので、無期懲役の刑が確定し、再審請求していました。
 確定した有罪判決は、「朴さんがガソリンをまいてライターで火を付けた」とする警察に強要されたウソの自白を信用できるとしました。ところが、弁護団が再審請求審でおこなった燃焼の再現実験により、ガソリンに引火すればたちまち炎が立ちのぼり、自白通りの犯行は不可能であることが明らかになりました。2012年、大阪地裁は朴さんの自白が不合理で信用性に欠けるとして、再審開始と刑の執行停止を決定。検察が異議を申し立て、大阪高裁での審理が続いていました。

鹿児島・大崎事件全国現地調査 運動のテンポ上げよう 原口さん元気なうちに再審を  

 大崎町で起きた殺人死体遺棄事件で原口アヤ子さんら4人が有罪となった鹿児島・大崎事件の全国現地調査が10月17〜18日におこなわれ、11都県68人が参加しました。
 初日には、アヤ子さんが車イスで会場に姿を見せ、「私も88歳になりました。生きているうちに再審を実現させてください」と訴えました。
 その後、弁護団事務局長の鴨志田弁護士から事件の概要とこれまでの裁判の経過が分かりやすく整理して報告されました。このなかで、第3次再審請求審では、被害者の死因や「共犯者」らの「自白」による犯行態様と遺体の状況に関する法医学鑑定と、義弟の妻の目撃供述の変遷に関する心理学鑑定の証人尋問が11、12月に相次いでおこなわれることとなったことや、11月10日の進行協議の際に、遺体状況を撮影したネガフィルムの開示判断を裁判所に求めていることなどが報告され、三者協議の進行がこれまでになく早い展開であることから、世論を大きく喚起してほしいと呼びかけられました。
 参加者はこのあと、遺体発見現場である被害者宅跡や、遺体で発見される前に転落したとされる側溝を確認し、人形を使って転落状況の再現実験をおこないました。
 2日目には、各地の支援組織から、継続した街頭宣伝行動やニュースの発行等の活動交流と、鹿児島地裁への要請強化について意見交換がおこなわれ、名張事件の奥西さんの死をうけ、アヤ子さんの元気なうちに一日も早い再審開始・無罪判決を勝ちとろうと、決意を固めあいました。
 行動提起として、鹿児島地裁への要請行動について頻度を上げておこなうこと、三者協議の進行を上回る運動を広げるため、事件学習を各地でおこなうこと、事件の真実を広げ、署名を積み上げていくこと、三者協議の際には原口さんや弁護団を激励し、支援を広げるための宣伝行動をおこなうこと、運動の結節点となる集会を年明けにおこなうことなどが提案され、裁判所への要請決議とともに参加者全員で確認しました。
 なお、この現地調査で、弁護団の新人弁護士1人と、初めて現地調査に参加した方2人が国民救援会に入会しました。

静岡・袴田事件 無意味な実験を決定 審理引き延ばしに抗議を 東京高裁  

 強盗殺人・放火事件の犯人とされた袴田巖さんが再審請求している袴田事件の三者協議が10月15日、東京高裁(大島隆明裁判長)で開かれました。裁判所は再審開始決定の決め手の1つとされた本田克也筑波大学教授がおこなった鑑定の血液由来のDNA選択的抽出方法の有効性を検察側の意見に沿った方法で、検証実験することを決定しました。
 記者会見で西嶋勝彦弁護団長は、「今回の実験方法では、当時の状況を再現できないと主張してきたが、強行に進められ、遺憾だ。大勢に影響はないと思うが、今後もこの実験は不要だと訴え続けていく」と批判しました。
 再審請求審では、袴田さんの犯行着衣とされていた「5点の衣類」に付いた血痕のDNA鑑定を、弁護団が推薦した法医学者・本田教授がおこないました。そして、袴田さんのものとされていた半袖シャツの血痕のDNA型が、袴田さんとは別人のものとの結論を導き、地裁が「新証拠」の1つと認め、袴田さんに再審開始決定が言い渡されたのです。
 これに対して検察は即時抗告審になってから、「選択的抽出法は本田教授の独自の手法で有効性がなく、信用できない」と反論し、この方法の有効性を確認するためとして裁判所に検証実験を求めていました。
 弁護団は、即時抗告審は、静岡地裁がおこなった再審開始決定に不合理な点があったか否かについて判断する場所であり、開始決定に不合理があることを検察官が証明すべきである、にもかかわらず裁判所が検察官の主張を補強するために、検察官の証拠請求に応じて職権で鑑定をおこなうことは、無(む)辜(こ)の救済という再審制度の趣旨からおよそ許されないなどと、裁判所の態度を批判しました。
 同日、袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会は、20人の参加で東京高裁、高検への要請をおこない、高裁で検察の抗告棄却を求める署名1270人分(累計で約14万7千人分)を提出しました。
 東京高裁の大島裁判長の意味のない検証実験の決定に、全国から抗議の声を集中しましょう。

兵庫・養父市議選不当捜査事件 不起訴勝ちとる  

 兵庫県の養父市議選不当捜査事件は10月15日、弁護団の確認により9日付で不起訴処分とされたことが判明しました。
 2012年10月21日に投票がおこなわれた養父市議選で、八鹿高校事件当時に在籍していた一部卒業生に届いた手紙が公選法違反だとして捜査がおこなわれました。長期にわたる「自白」を求める呼び出しが約60回おこなわれ、手紙を出したとされたAさんと家族に苦痛を与えてきました。警察の捜査は、憲法21条(通信の秘密、言論表現の自由)などに違反するとして、不当捜査をやめさせる市民の会は、全国から寄せられた団体署名と決議を持って、神戸地検と同豊岡支部に申し入れを続けてきました。

滋賀・日野町事件 再審の到達点を報告 弁護団の現地説明会に85人  

 日野町事件弁護団は10月3日、日野町内で現地説明会(写真)を開催し、地元日野町や県内外から85人が参加しました。
 この説明会は、捜査機関が阪原弘さんを犯人に仕立てたことが明らかになりつつあり、阪原さんのアリバイがつぶされた状況や、事件が起こったのは有罪判決が認定する酒店店舗内ではないことなど、弁護活動の到達点を地元住民や支援者に報告し、事件に関わる情報の提供を呼びかける目的で開催され、弁護団14人が出席しました。阪原さんの家族4人も元気な姿をみせ、あいさつ。また、藤沢直広日野町長があいさつに駆けつけ、激励しました。
 弁護団長の伊賀興一弁護士は、総論報告のなかで、日野町事件は「自白」以外に犯人性と犯行を示す客観的証拠がないのが特徴であると指摘し、阪原さんを犯人に仕立てたが、確定審では完全に隠されていたことについて、捜査当局が虚偽資料の作成や捜査資料の隠(いん)匿(ぺい)、関係者の供述への介入などから違法捜査がおこなわれたことを明らかにしました。その上にたって裁判所が「阪原さんは犯人ではあり得ない」との心証を形成するため全力をあげたい、と結びました。

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