日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2015年10月25日号

2015年10月25日号  

岡山・倉敷民商弾圧事件(小原・須増裁判)証拠を調べず結審 弁護団が裁判官忌避 判決日を12月7日指定強行 広島高裁岡山支部  

 岡山・倉敷民商弾圧事件(小原・須増裁判)の第1回控訴審が10月5日、広島高裁岡山支部でおこなわれ、大泉一夫裁判長は、弁護団が求めた証拠調べ請求をすべて却下し、判決日を12月7日午後1時30分に指定しました。(関連記事2面)

 第1回公判には、全国18都道府県から約230人の支援者が駆けつけました。
 裁判では、弁護団が一審の有罪判決の誤りを指摘し、小原さん、須増さん2人の無罪を求めて、8万字を超える控訴趣意書のポイントを1時間にわたって弁論しました。
 以下、弁論のポイントを紹介します。

実害なく有罪は許されぬ
弁護団が一審判決を批判
▼一審判決の致命的な誤り=’疾膿醜雜△蓮憲法の国民主権にもとづく権利であるという認識を欠いていること、⊃醜陲賄正で、実害がないことを認めておきながら、有罪としたこと。
▼実害なく罰することは許されない=国公法弾圧堀越事件の最高裁判決では、刑罰を課す際に、観念的な恐れではなく、実質的な損害があるかどうかで判断しており、一審判決はそれに反している。
▼結社の自由を侵す=民商において納税者が相互に援助しあって納税をすすめており、今回の事件はこれを侵害するものであり、憲法で保障された結社の自由を侵していると指摘。そもそもこれまでにも国税庁は民商をつぶす攻撃をしてきている。
▼「税務書類の作成」の認定の誤り=小原さん、須増さんは、会員が作成した決算書などの数字を、パソコン(税務ソフト)に打ち込んだもので「税務書類の作成」にあたらない。いま国税庁はパソコンで確定申告書を送信できるようにしているが、これも誰が作成したのかはわからない。実態をきちんとふまえるべきだ。
▼公訴権の濫用=建設会社の脱税の際に差し押さえた書類を利用して、民商を弾圧したものであり、税理士でないものが書類を作成している青色申告会は見て見ぬふりをして、悪政に反対する民商を狙った弾圧で、起訴は権力の濫用。

「なぜ調べないのか!」傍聴者が裁判官に抗議  

 弁論ののち、裁判所は、弁護団が求めていた証拠調べの請求(小原さん・須増さんへの質問、学者証人や民商会員への尋問、パソコンで数値を打ち込む作業の実演など)を「必要がない」としてすべて退けたうえ、判決日の指定を強行しました。これに対し、弁護団は直ちに裁判官の忌避(裁判から外れること)を申し立てましたが、裁判官はこれを却下、この決定に弁護団は異議の申立てをしました。
 裁判所の不当な態度に、傍聴席から「何で調べてくれんのか」「国民の方に目を向けろ」などの抗議の声があがりました。
 なお、公判に先立ち、慎重で公平な審理と公正な判決を求める署名(1万6658人分)を裁判所に提出し、裁判所前での宣伝行動をおこないました。
 公判後、「倉敷民商弾圧事件の勝利をめざす全国決起集会」が岡山弁護士会館で開かれ、北海道から鹿児島まで18都道府県約230人が参加し、熱気あふれる集会となりました。主催は、国民救援会、全国商工団体連合会、倉敷民商を支える会、倉敷民商を支える岡山の会、岡山県商工団体連合会、国民救援会岡山県本部。

■権力に屈せず
 国民救援会の鈴木猛事務局長が司会を務め、倉敷民商を支える会・大野智久事務局長の開会あいさつで始まりました。国民救援会の本藤修副会長が経過報告をおこない、裁判の意義を述べ、検察寄りの裁判所の訴訟指揮を打開するために支援運動の重要性を強調しました。
 続く弁護団報告では、10人の弁護団全員が紹介され、清水善朗弁護団長と鶴見祐策弁護人が公判について、「2人の行為は課税権の適正な運用を侵していない。納税申告権は憲法の基本的人権であることを裁判所に訴えた」と報告。あわせて禰屋裁判の現状や両裁判の争点、支援運動の意義を語りました。
 その後、全国から参加した支援組織などから11人が、勝利をめざそうと次々と発言しました。東京の会の湖東京至会長は、「私は税理士だが、裁判所は税理士の仕事の実態をまったく分かってない」と批判。マイクロバス2台で51人が参加した大阪の会の増田孝博副会長(大商連副会長)は、「権力に屈することはできない」と決意を語りました。

■裁判所を批判
 決意表明に移り、小原淳さんは、消費税を納税できずに自殺を考えた業者が民商を訪れ救うことができたと民商活動の意義を紹介、また裁判所の姿勢について「有罪ありきの決定だ」として批判しました。須増和悦さんは、自分が直接訴えることも認めない裁判所の姿勢を批判し、最後までたたかう決意を述べました。禰屋町子さんが不当な保釈の条件(小原さんや須増さんなどと同席できない)のため、替わって夫の祐司さんが、長期勾留の影響で身体的にも精神的にも完全な回復を果たせていないが、全国からの激励で各地の集会に訴えに出かけていることを紹介し、ひきつづく支援を訴えました。
 全商連・太田義郎副会長から行動提起(別項)がされ、最後に岡商連・倉敷民商の奥田伸一郎会長が閉会あいさつをおこない、「民商を大きくし弾圧を跳ね返す」と決意を語りました。
 参加者全員で「3人の無罪を必ず勝ちとろう」と誓い合って終了しました。

■はがき運動を
 地元では裁判所に対し、抗議と徹底審理、無罪を求める緊急はがき運動を始め、全国に協力を呼びかけています。

〈行動提起〉
―靆召鯊腓い帽げましょう。
∈枷修鯔議阿靴泙靴腓Α
支援募金の協力を広げましょう。
ち換颪濃抉腓垢覯颪侶訐を推進しましょう。
セ件を大いに学びましょう。事件当事者や弁護人を招くなど学習会を開催しましょう。
宣伝など、事件を大いに知らせましょう。

名張毒ぶどう酒事件 無実叫び54年 奥西さん無念の獄死 妹が名誉回復へ決意  

 1961年に、ぶどう酒に毒物を混入して5人を殺害したとして1972年死刑判決が確定し、再審請求をしていた名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんが10月4日正午すぎ、息を引き取りました。89歳でした。奥西さんの妹・岡美代子さんは、兄の名誉回復のため裁判を引き継ぐと決意を述べました。

 10月5日、午後1時すぎ。八王子医療刑務所の門が開き、奥西さんの遺体を乗せた車両が出てきました。事件から54年。半世紀にわたって拘束され続けた奥西さんは、ようやく鉄格子がはまる窓の外に出ることができました。
 八王子市内の葬儀場で奥西さんの遺体が報道陣に公開されました。身長180センチで大柄だったとされる体は小さくなり、白木の棺に収められました。
 岡さんは、棺に近よると「悔しいな。ようがんばったな」と語りかけ、目を潤ませました。
 岡さんは、棺を背に会見に臨み、「兄は無実が晴れぬまま、あの世へ旅立ちました。どんなにか無念であったことかと思います。兄は、冤罪を晴らすために命をつないできました。兄の名誉回復のために、私が裁判を継承します」と静かに語りました。
誤った裁判で人生奪われた
 3年4カ月前、名古屋拘置所にいた奥西さんは、第7次再審請求が棄却された2日後、誤嚥性肺炎で入院。その後、八王子医療刑務所に救急搬送されました。以来3度の危篤状態を乗り越え、気管切開で声を失い人工呼吸器をつけながら、冤罪を晴らすために命をつないできました。
 特別面会人の稲生昌三さんによると、亡くなる一カ月前から意識がなくなり、一進一退が続いていましたが、最後は体力も尽きて肺炎に起因した内臓不全によって息をひきとったそうです。
 奥西さんは、裁判で一度は無罪判決が出され、再審請求審でもいったんは再審開始決定が出され、再審請求が棄却されても、最高裁で審理不尽だと差し戻されています。しかし、そのたびに検察は異議を申立てたり、論点をすり替えて破綻した有罪立証を繰り返しました。また、裁判所は真実と道理に基づく裁判を拒み、奥西さんは間違った裁判をやり直す機会を奪われ続けました。
 国民救援会中央本部は、最高裁と最高検に対して抗議声明を届け抗議しました。

大阪・中津学園労働刑事弾圧事件 合理的疑い残し有罪判断 安東さんに不当判決 執行猶予付くも刑期長く 大阪高裁  

 10月5日、大阪高裁(的場純男裁判長)は、中津学園労働刑事弾圧事件被告の安東育子さんに、一審判決(懲役1年6月)を破棄し、懲役2年6月、執行猶予4年の不当判決を再び言い渡しました。
 社会福祉法人「光徳寺善隣館中津学園」から不当解雇された安東さんは、解雇無効の民事裁判の途上、学園側から身に覚えのない150万円の横領事件を新たに解雇理由として追加されました。その結果不当にも逮捕、そして起訴されました。一貫してやっていないと無実を主張し続けましたが、一審では充分な立証の無いままに、知的障害者という弱者の預金を横領したという悪質性が強く認定され、1年6月の実刑判決でした。
 控訴趣意書に対する検察側の答弁書では、学園が入所者の施設利用料などを二重取りしていることを認める等、学園の不正常さが明らかになりました。にもかかわらず、控訴審で弁護側があらためて、学園が当時施設拡充のために多額の資金を必要としており、入所者の預金を流用していた疑いについて、その根拠も示し主張しましたが、可能性はあると認めながらも踏み込んだ判断を避け、有罪とするには合理的な疑いを多々残したまま安東さんに再び、不当な有罪判決を言い渡しました。ただし、安東さんは控訴とともに被害者に対する責任の一端を感じ、学園の責任を明らかにして取り戻すことを前提に、150万円を弁済しています。判決はその点を考慮し、執行猶予4年としました。安東さんは直ちに上告し、たたかい続けると決意しています。(大阪府本部)
〈抗議先〉〒530―8521 大阪市北区西天満2―1―10 大阪高裁・的場純男裁判長

司法総行動 国民の権利を守れ 改善求め要請  

 国民に開かれた司法、国民の権利を擁護する裁判所の実現をめざして、10月7日に2015年司法総行動がおこなわれました。
 裁判所や法務省、警察庁、労働委員会などの司法に関わる機関に対して、全労連、自由法曹団、国民救援会や争議団などで作る実行委員会が共同要請書を提出し、制度改善や個別事件についての宣伝、要請行動をおこないました。
 警察庁に対する要請では、戦争法反対のデモに参加した青年ユニオンの青年労働者が、国会行動の警備について、「現場の警官から敵視されている印象を受けた」と述べ、「警備は何のためにやるのか」と追及。応対した警察官僚が「国民の生命・財産の保護だ」と述べると、要請団は「装甲車で通行妨害し、参加者を危険な状態にしているではないか」と返し、警察法に則して改善するよう求めました。

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional