日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2014年9月15日号

2014年9月15日号  

東京・埼京線痴漢冤罪事件 「被害者」が証言 犯人特定のあいまいさ明白に 東京高裁  

 東京・埼京線痴漢冤罪事件の控訴審第3回公判が8月25日、東京高裁でおこなわれ、被害者とされる女性の証人尋問がおこなわれました。
 1審では、女性が犯人を特定する際、手、ひじ、肩、顔と段階的に確認し石田崇さんを特定したと供述したことから、「注意深く特定し間違いない」と認定し、石田さんに罰金30万円の有罪判決を言い渡しています。
 公判で女性は石田さんが犯人に間違いないとはっきり述べました。しかし、犯人だと特定した方法について弁護団が、1回目は横目でチラッと見て、2回目は2、3秒のうちに顔まで確認したという調書の内容を読み上げ、間違いがないか確認すると、「(調書の内容は)違いますね」などと、答えました。さらに弁護団が、では、犯人だと特定した根拠は何かと質問すると、女性はあいまいな答えを繰り返しました。このことから、女性がじっくり確認して犯人を特定したわけではなく、警察官の誘導によって、供述が拡大解釈されて、調書が作成された疑いが浮き彫りになりました。
 また事件後、警察がおこなった再現実験では女性がお尻を触られているところが写っており、女性が被害にあったと言っている「左ふとももの側面」とは異なっていることに気が付かなかったのかと弁護団から聞かれると、女性は言葉に詰まり答えられない場面もありました。女性は、しっかりと確認しないで、自分の左に立っていた石田さんを犯人としてつかまえた可能性が高いこともわかりました。
 公判後の報告集会で弁護団から、専門家に依頼し、車内カメラの映像をコンピューター解析して証拠提出することを予定していることが報告されました。

JAL不当労働行為事件 労組側、勝訴 不当労働行為と認める 東京地裁  

 東京地裁民事19部(古久保正人裁判長)は、8月28日、争議権を確立しようとした労働組合に対し、JALの更生管財人がおこなった行為が不当労働行為だと認定しました。不当労働行為とされたのは、JALの更生管財人・企業再生支援機構が、労働組合に対して、争議権を確立すれば、支援機構は3500億円の出資をしないと脅し、争議権の確立に介入した行為です。
 今回不当労働行為と認定された更生管財人の行為は、JAL側が組合側の解雇回避の提案を無視し、不当な整理解雇を強行する中でおこなわれたもので、いま最高裁でたたかわれているパイロットと客室乗務員の2つの不当解雇撤回裁判でも問題となっていた行為です。東京高裁は、不当解雇を容認した判決のなかで、更生管財人は整理解雇を強行する中で不当労働行為などしていなかったことを前提にしていました。今回の判決で不当行為と認定されたので、解雇の不当性も明らかになることが予想されます。最高裁には、東京高裁の2つの不当判決を正すことが求められています。

自由権規約委員会第6回審査 濱嶋隆昌中央常任委員のレポート(下)  

 最終回は、第6回日本審査の総括所見から救援運動に特に関係の深い勧告を紹介します。

 国民救援会は今回の日本審査に向けてレポートを2回提出してきました。その内容は、代用監獄や死刑囚の処遇から、言論の自由、秘密保護法、自衛隊や行政の国民監視や思想調査、司法機関の人権条約の研修など、多岐にわたります。中央常任委員会国際問題委員会は、このなかから特に強調する問題を絞り込んでジュネーブでの審査を準備しました。
 その焦点は、「再審における証拠開示の重要性」です。これまで各方面で議論されてきた検察側証拠の開示問題は、通常審に重点をおいており、多くの再審事件の悲劇を目の当たりにしてきた国民救援会として、再審における証拠開示に、もっと注意を喚起しようと考えました。そこで公式ブリーフィング(情報提供のための会合)では、日野町事件・阪原弘(ひろむ)さん、袴田事件・袴田巖さん、名張事件・奥西勝さんの名前をあげて、「こうした深刻なケースは珍しくない。今回審査傍聴団に参加している守祐子さんにも証拠開示を訴える無期懲役の息子がいる。証拠開示は、再審事件においてこそ緊急に求められている」と訴えました。配布したリーフレットにも病床にある奥西勝さんの痛々しいイラストも掲載し、その緊急性を訴えました。
 袴田事件については日弁連やアムネスティも報告して審査で注目され、委員会は総括所見第13項(c)で、検察側の全証拠への弁護側のアクセスの保障など、死刑事件に対する法的措置の「即時強化」を勧告しました。一刻を争う奥西さんたちの訴えに応えたものと思います。
 もう一つは公共の福祉を理由とした言論の自由などへの制限です。総括所見第22項は、「規約に適合しない言論活動へのいかなる制限をも押し付けることを差し控えること」を要求しました。公選法などの法改正を待たず、まずは捜査など、制限を控えるべきという点が重要です。
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 自由権規約は国内法に優位して国内に即時、直接、適用されます。国連人権機関は各国NGOに対して、警察署、裁判所、選挙管理委員会など中央・地方の公的機関に勧告の実施を求めて行動するよう要請しています。世界人権宣言起草委員会議長を務めたエレノア・ルーズベルトさんは、「身近なところで人権を擁護する積極的な市民活動がなければ、世界での進歩などとうてい期待できない」と言っています。全国に4万5千人の会員と400を超える支部を持つ国民救援会こそ、その活動の担い手にふさわしく、その役割が期待されています。(終)

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