日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2014年6月5日号

2014年6月5日号  

鹿児島・大崎事件 決定近い。支援の集中を! 鑑定人尋問で無実一層明らか 無実の原口さんに再審開始決定を  

 福岡高裁宮崎支部でおこなわれていた大崎事件第2次再審請求即時抗告審。弁護団の奮闘により、鑑定人尋問で原口アヤ子さんの無実がいっそう明確なものになりました。
 この6月にも高裁の判断が出される可能性があります。弁護団の鴨志田祐美弁護士に、この間の裁判の動き、即時抗告審で明らかとなったことについて、寄稿していただきました。

請求棄却決定
ずさんな内容
 2013年3月6日、鹿児島地裁は、証拠開示に向けた訴訟指揮も、新証拠である法医学鑑定書、供述心理学鑑定書を作成した鑑定人への尋問もおこなわないまま、原口アヤ子さんの再審請求を棄却しました。
 たった29頁の決定書は、あまりにずさんな内容で、反論の材料には事欠かなかったため、かえって闘志が湧いた私たちは、5日間で107頁の即時抗告書をまとめ、3月11日に福岡高裁宮崎支部に即時抗告の申立てをおこないました。
 それからわずか2カ月後の5月27日に設定された裁判官、弁護人、検察官の3者による第1回進行協議期日で、弁護人はリストも含む証拠開示と、鑑定人の尋問、そしてアヤ子さん本人の意見陳述を求めました。原田保孝裁判長は、その場でアヤ子さんの意見陳述の実施を決め、検察官の意見書の提出期限を設定し、「証拠開示については近いうちに判断する」と回答しました。
 その言葉どおり、裁判所は7月18日、証拠開示勧告を出しました。私たちが求めていた、第1次再審段階で検察官が収集した証拠について作成されたリストの開示を勧告し、さらに、これまで開示されていない客観証拠や初期供述調書については、「存否を調査し、リストを作成して弁護人に開示せよ」と勧告したのです。
 8月に入ると、裁判所は、法医学者と心理学者の鑑定人尋問を採用すると伝えてきました。このスピーディな展開は、それを望んでいた私たちでさえ驚きでした。

隠された証拠
213点にも及ぶ
 一方、検察官は、裁判所の証拠開示勧告には素直に応じず、自分たちが「開示しても弊害がない」と考える証拠を、「個別に」「裁判所に」開示するという対応を取りました。それでも、五月雨(さみだれ)的に開示された証拠は200点を超えました。
 これまで捜査側は「開示すべき証拠はもうない」と言っていたのに、34年の時を経て初めて私たちが目にすることとなった証拠がこんなにあったのです。これらの開示証拠から、初期捜査の段階で毛髪や足跡を採取していたこと、共犯者とされた男性の自白の直前にポリグラフ検査が行われていたこと、その「共犯者」たちが任意の事情聴取の段階で、のちの自白とは大きく異なる内容の自白をしていたことがわかりました。
 証拠リストについては、最終的に検察官が作成していたリストが「裁判所限り」という形で開示され、そこからもう1点の証拠開示に結びつきました。
 結局、即時抗告審で新たに開示された証拠は213点に上ったのです。

「自白」のウソ
尋問で明確に
 10月3日には法医学者の上野正彦氏、11月14日には心理学者の高木光太郎教授と大橋靖史教授への鑑定人尋問が実施されました。
 上野氏への尋問では、被害者の遺体に、絞殺であれば内部所見として残るはずの咽喉頭部のうっ血・出血が認められず、遺体の状況が「タオルによる絞殺」という自白による犯行態様と矛盾することがいっそう明確になりました。
 わが国の再審史上初となる心理学者への鑑定人尋問では、まず高木教授が、「共犯者」とされた者たちの自白には、例えば、複数の者が被害者を殺害するのに、どのような役割分担をするのかなど、お互いの行為を調整するための最低限のコミュニケーションが欠落するという特徴が繰り返し見られ、これは体験に基づかない供述である可能性が高いことを分かりやすく証言しました。
 次に大橋教授が、新たに開示されたポリグラフ関係の証拠を分析した結果として、本件では極めて不適切な方法でポリグラフ検査がおこなわれ、これが自白強要につながった可能性が高いことを証言しました。
 以上の開示証拠や鑑定人の証言によって、弁護人が提出した新証拠が「共犯者」とされた者たちの、犯行についての自白の信用性を著しく減殺すること、開示された証拠も含めて新旧証拠を総合評価すると、有罪判決には合理的疑いが生じることがますます確実なものとなりました。
 私たちは2014年3月14日付で500頁に及ぶ最終意見書を提出しました。検察官も3月31日に最終意見書を提出し、双方が4月にもそれぞれ補充的な意見書を提出して、即時抗告審の審理はほぼ終了しました。
 あとは決定を待つばかりです。即時抗告審裁判所には、適切な訴訟指揮で明らかとなった新証拠の価値を正しく見極め、これに開示証拠を加えた適切な総合評価をおこなって、「破棄差戻し」ではなく、是非とも自ら開始決定を出してほしいと期待しています。
 再審無罪によってアヤ子さんが「生き返る」その日まで、どうかご支援をよろしくお願いいたします。

「私は生き返りたい」再審請求人・原口アヤ子さん  

 私も6月15日で87歳になります。
 こんな目にあってこんな罪を受けて残念でなりません。いつも思っています。
 早く裁判で解決したらよいと思っています。どんなにうれしいことでしょう。
無罪になれば楽しみもあるでしょう。
 家族もみんなバラバラになり残念でなりません。全国のみなさんからのご支援をいただいて本当にありがたいです。罪をうけたままでは私は死ぬことはできません。
 みなさんのご支援を今後もよろしくお願いします。

署名と要請はがきを  

鹿児島・大崎事件の再審をめざす会 副会長・野村昭也
宮崎・大崎事件・原口アヤ子さんを守る会 会長・渡辺勝心

 いつもご支援ありがとうございます。
 大崎事件は、物的証拠は何もない。知的障がい者3人への「なたがまをかますような」(鉈鎌をぶちかます)取り調べによる自白だけが有罪の根拠です。
 第一次再審請求では、再審開始決定が出ましたが、検察側の抗告によって取り消されてしまいました。
 第二次再審請求で、鹿児島地裁の中牟田博章裁判長は新証拠の鑑定人尋問も、証拠開示もおこなわず、再審請求を棄却しました。
 今、福岡高裁宮崎支部で審理しています。
 福岡高裁宮崎支部は、鑑定人尋問を実施しました。
 法医学者の上野正彦鑑定人は、原判決の根拠とされた「タオルによる絞殺」はありえないと科学的に否定しました。3人の自白についても、体験したことではないと2名の心理学者により明確に判定されました。
 これらの結果を受けて、この6月には高裁の判断が示されると思われます。
 34年間、「あたいはやっちょらん」と、一貫して無罪を叫び続けている原口アヤ子さんの真実を明かすときが迫っています。あと一歩です。
 宮崎では、毎週昼休み宣伝行動、月1回裁判所要請をおこない世論を広げてきました。
 全国の皆さん、再審開始を求める署名、要請はがき運動にぜひご協力をお願いします。

(署名送付先・はがき問合わせ先)〒880―0023宮崎市和知川原3―97
国民救援会宮崎県本部

【大崎事件】1979年10月、鹿児島県の大崎町で原口アヤ子さんの義理の弟が自宅牛小屋のたい肥の中から遺体で見つかった事件で、原口さんと元夫と義理の弟の3人が殺人犯とされた事件。有罪判決では、原口さんが元夫にタオルを渡して、元夫が被害者の弟の首をタオルで締めて殺したとされました。共犯者とされた元夫や義理の弟には、知的障害があり、志布志警察署はその点に全く配慮しないで「自白」に追い込みました。

大阪・東住吉冤罪事件 検察再審決定に抵抗 署名で大阪高裁包囲を 大阪高裁  

 2012年に再審開始決定が出され、検察が即時抗告している大阪・東住吉冤罪事件で、検察の不当な引き延ばしが続いています。審理の状況について、「東住吉冤罪事件」支援する会の尾良江事務局長に聞きました。

 東住吉冤罪事件は弁護団実験に続き、抗告審での検察実験においても「朴自白の放火行為は不可能」と証明されました。この時点で大阪高裁は自白を根拠に有罪とした裁判のやり直しを決定すべきでした。しかし、大阪高裁から突然、自然発火の立証について水を向けられた検察は「自然発火の可能性がない」ことを追加立証しようと、「車から少量(33ミリリットル)のガソリンが漏れ、引火したとしても大規模火災には発展しない」(大火災になるには放火しかあり得ない)とする実験を昨年12月に実施。結果は予測通り、点火後1分余りで鎮火し、大規模火災には至りませんでした。検察は実験に立ち会った諏訪東京理科大学の須川修身教授の「自然発火実験に関する意見書」を提出しましたが、弁護団は意味のない実験で証拠調べする必要はないと反論。裁判所は証拠としての関連性を見極めたいと、4月15日、須川氏の証人尋問をおこないました。
 証人尋問で、弁護団は須川意見書における計算式の3桁もの大きな間違いや論点の矛盾を指摘。意見書に修正や撤回箇所が数多くあり、証拠としての採否は見送られました。須川氏は間違っていました、すみませんなどと謝りました。
 5月12日の三者協議で、検察は修正した意見書を改めて提出しないとし、弁護団は須川氏の証言を受けて反論書を提出することになりました。弁護団は意見書の中で改めて、実験内容も意見書も証拠として信用性はなく、証拠採用すべきでないと主張する予定です。
 一方、弁護団が提出した「給油口からのガソリン漏れ」事例について、裁判所はその解明は避けては通れない課題と位置づけ、給油口からガソリン漏れを起こした実車検分については早急に実施することを促しています。今回も証拠採用は留保となりました。
 確定判決が認定した朴「自白」の放火行為は不可能と証明されたいま、検察の抗告を棄却し、再審開始を確定させる正義と道理は私たちにあります。
 現在、署名は2万5千人分を超えました。3万、5万人分の署名で大阪高裁を包囲するために引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします。

東京・埼京線痴漢冤罪事件 予断なく証拠判断を 弁護団一審判決の誤り批判 東京高裁  

 東京・埼京線痴漢冤罪事件の控訴審第1回公判が5月15日、東京高裁でおこなわれました。事件は2012年11月、埼京線の車内で女性のスカート内に手をいれ太ももをなでたとして、石田崇さんが逮捕、起訴されたものです。1審は罰金30万円の有罪判決でした。
 公判で弁護団は、1審判決が女性の証言に高い信用性があると決めつけ、一貫して無実を訴えている石田さんの供述は信用できないと有罪とした認定は誤りであると述べ、ゝ甸囘証拠である車内カメラ映像には女性が犯行状況を「手首、腕、肩、顔を順に確認して」石田さんを犯人と特定したと証言したような場面は記録されておらず、⊇性の証言通りの犯行をおこなったとすれば、石田さんが右肩を下げた不自然な姿勢をとることになるが、そのような場面は全く映っておらず、証言との矛盾には一切目をつぶっていると指摘しました。さらに、1審判決は、弁護団が正確かつ慎重におこなった再現実験を「ことさらに強調し」「あえて被告人に無理な姿勢をとらせている」などと決めつけ、真摯に検討していないと主張。弁護団は、「女性の証言は信用性が高い」という予断にとらわれず、証拠に基づく判断をすれば石田さんは無罪であることは明らかであると述べました。
 次回公判(6月24日)では石田さんの本人質問がおこなわれます。

大阪・泉南アスベスト国賠訴訟 500人で最高裁包囲 国の責任追及し行動  

 アスベスト(石綿)被害に対し国の責任を認めるよう訴えている泉南アスベスト国賠訴訟原告が、5月15日からおこなっている「会うてんか!」行動について、大阪・岸和田支部の中村千恵子さんの報告を紹介します。
 訴訟が始まって8年ですが、その間に原告13人が命を落としてしまいました。命を振り絞って証言された方や、まだまだお元気と思っていた方までも命を落とされていることが本当につらいです。
 2陣は昨年12月、大阪高裁で地裁を上回る内容で勝利しましたが、国は上告。1陣2陣とも最高裁の闘いになっています。原告の「なんとしても命あるうちに解決してほしい」。「この思いを厚労大臣に聞いてほしい」。そんな原告たちの行動に参加しました。
 厚労省への面談申し入れ、スタート集会、最高裁への署名提出と要請。そして弁護団が最高裁へ補充書を提出するのを500人の仲間とともに見守りました。終日厚労省前で宣伝をおこないました。

沖縄・ヘリパッド訴訟 「口頭弁論を開け」 最高裁は国民の権利守れと要請  

 沖縄・ヘリパッド訴訟の伊佐真次さんと支援者は5月15日、最高裁に要請行動をおこないました。
 訴訟は米軍の軍事演習用のヘリパッド建設に座り込んで抗議行動をおこなった沖縄県東村高江地区の住民2人に対し、防衛省沖縄防衛局が通行妨害禁止を求め、提訴したものです。1、2審は被告とされた伊佐さんについて妨害禁止を命じる不当判決。
 要請では参加者が、「沖縄防衛局が、ヘリパッド工事を強行したことにたいして、住民がその説明を求めてやむにやまれず座り込みをしたことに対して、司法を使って住民の行動を弾圧しようとしてきたことに問題がある」、「住民が自分たちの平和で安全な暮らし、生活環境を守るために意思表明をすることは、憲法に保障された権利だ」、「最高裁は、この事件の上告を早急に受理して、口頭弁論を開き、表現の自由、基本的人権について憲法問題としての判断をするよう求める」などと発言しました。
 この日、4206人分の署名を提出しました(累計2万640人分)。

 〈要請先〉102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁判所第2小法廷 鬼丸かおる裁判長

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