日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2014年6月25日号

2014年6月25日  

集団的自衛権行使容認許すな 憲法守れと各地で  

 安倍首相は、閣議決定で憲法解釈をねじ曲げ、他国の戦争に参加する集団的自衛権の行使を容認しようとしています。これに反対するたたかいが全国でとりくまれ、各地の日本国民救援会も奮闘しています。

 安倍首相は、今国会会期内(6月22日まで)に、政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をおこなおうとしています。集団的自衛権の行使とは、日本が攻撃されていないのに他国が引き起こす戦争に参加することです。安倍内閣の動きは、日本を「戦争をする国」に根本から変えるものです。
 日本国憲法は、前文で「平和的生存権の保障」を、第9条で「戦争の放棄」を規定し、これらは憲法の基本原理です。
 これまで政府はこうした基本原理に基づき、日本が直接攻撃を受けていない場合に参戦すること、集団的自衛権の行使は認められないと表明してきました。これは、歴代内閣で確立されてきた政府見解です。
 しかし、安倍政権は、これまでの憲法解釈を、国民の意思を直接問う手続きを経ることもなく、一内閣の判断で変更しようとしています。
 これは、憲法を最高法規とし、国務大臣など公務員に憲法尊重擁護義務を課して、権力に縛りをかけた立憲主義の存在理由を根本から否定するものです。立憲主義は、個人の人権を保障するため、国家権力を制限し、政府など国家機関が憲法に従って活動しなければならない大原則です。これを否定することは、国民1人ひとりの人権を否定することにつながります。

戦争する国へ
狙い打破ろう

 日本国民救援会は6月14日、「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に断固反対する」との声明を発表しました。声明では、「日本国民救援会は1928年に創立され、戦前は侵略戦争に反対し、弾圧を受けた体験を持ち、戦後は、日本国憲法を羅針盤に、人権と民主主義を守るためにたたかってきた」とし、「日本国民救援会は、集団的自衛権の行使にむけたあらゆる策動に強く反対するものであり、くわえて『戦争する国』づくりのために狙われている秘密保護法の施行、盗聴法の改悪、共謀罪の新設など国民監視、治安強化を許さないためにいっそう奮闘する」と述べています。

名張毒ぶどう酒事件 証拠開示し再審を 弁護団が異議申し立て  

 名張毒ぶどう酒事件の第8次再審請求棄却(5月28日)を受けて、名張事件弁護団は6月2日、名古屋高裁刑事2部に異議申し立てをおこないました。今後、刑事2部で審理されます。人工呼吸器につながれている無実の奥西勝さん(88歳)に、残された時間はありません。全国で署名、宣伝を広げ、世論の力で奥西さんの救出へ力を尽くしましょう。

 名古屋高裁刑事1部は、奥西さんの再審請求を棄却した理由について、「第8次で弁護団が提出した証拠は、第7次のときに提出したものと同一の証拠関係」であるとし、さらに最終審(第7次の最高裁)の審理で実質的審査をおこなっているから、「同一の理由での再審請求は許されない」として形式的に切り捨てています。
 名古屋高裁への異議申し立てをした弁護団は、記者会見で異議申し立ての理由を次のように説明しました。

同一証拠でないと主張

 弁護団が提出した新証拠は、第7次の最高裁段階で提出したものですが、最高裁は、その2週間後に棄却決定をし、検討した形跡がありません。その点を指摘した意見書をつけ、8次の証拠として提出しましたが、裁判所は、7次も8次も、これらの新証拠に見向きもせず、形式的に棄却決定をしました。
 また弁護団は、4月に証拠開示命令申立書を提出し、ぶどう酒ビンの王冠につけられた歯形について、三次元的に複写して鑑定をしたいという要望を裁判所に出していました。4月におこなわれた証拠物の閲覧謄写に関しての打ち合わせの席で、裁判官は証拠に損傷を与えなければ閲覧を許可するような素振りを見せていました。ところが裁判所は、棄却決定と同時に閲覧謄写許可申請を却下しました。鑑定によるあらたな証拠提出の準備を具体的に告げて、間もなく出すと言っていたにもかかわらず退けました。
 証拠を出しても見ない、証拠開示を求めても応じない、これで十分な審理をしたとは言えず、審理不尽だと弁護団は憤っています。

形ばかりの意見聴取し

 弁護団はさらに、裁判官が病床の奥西さんを訪ねて、言葉を発することができない奥西さんに、手を上げさせて「イエス、ノー」を答えさせるやり方で意見聴取をおこなったやり方について厳しく批判しています。
 鈴木泉弁護団長は、声を発することができない奥西さんに、形のうえだけで、手を上げさせて「意見を聞いた」とする裁判所のやり方は問題があり、意思を確認したとは認められないと批判しました。

膨大な証拠開示求めて

 今後の異議申し立てのたたかいでカギとなるのが、検察が隠し持っている未公開の証拠の開示です。鈴木弁護団長は、「袴田事件の再審開始決定も、検察官が隠していた証拠の開示が決定打になった」と述べ、証拠開示を求めていく構えです。
 6月12日に愛知県内でおこなわれた報告集会で、開示を求める証拠について弁護団は、現場検証の際の写真ネガや、現場で採取されたすべてのぶどう酒ビンの王冠の開示を求めていくと話しました。現場検証の写真は、撮影日時、場所が同一のものとは思えず、捏(ねつ)造(ぞう)の疑いがあります。また、奥西さんの歯形がついたとされるぶどう酒ビンの王冠については、現場で採取された9個中の1個とされていますが、当時のニュースの映像には、18個の王冠が映っています。このことから、検察が都合が悪いものを隠している可能性があり、弁護団はこうした点を追及して、証拠開示を求めていきます。

守る会が奮闘開始 過去最高の世論構築を  

 再審請求棄却を受けて、各地の守る会が運動を強めようと立ち上がっています。
 名古屋高裁の地元・愛知守る会では、今後のたたかいに証拠開示を大きく位置づけて、あらたに要請ハガキも作成しました。
 田中哲夫さんは「市民の力で働きかけて欲しいという弁護団の期待に応え、積極的に訴えていきたい」と話しています。
 事件の地元・三重では、従来からおこなっている毎月の宣伝と署名をひきつづき継続する方針です。
 名張事件全国ネットの砂野道男さんは「無実の証拠を隠したままで死刑は許せないと強く打ち出して宣伝していくつもりだ」と話しています。
 大阪支援する会では、昨年要請した府下の民主団体に、再度要請する構えです。
 棚尾修さんは「決定を受けて、映画『約束』の上映をしたいという声も上がっており、上映運動を支援の力にできるよう、とりくみを強めていきたい」としています。
 兵庫の守る会では、宣伝・署名行動を継続する一方、他事件と共同して、国際的な視野から日本の司法を考える集会を企画中です。
 大藤信子さんは「決定を知った市民が、『まだ私にやれることはある?』と連絡してくるケースもあり、『何かをしたい』と思う市民の要望に応える運動を展開したい」と述べています。
 東京守る会では、毎月の宣伝行動を拡大し、東京23区の主要駅全てで宣伝行動をおこなう構えです。
 堀江恭子さんは「奥西さんは強い。いまだ無実への闘志を燃やしている。私たちも、奥西さんと一緒にどこまでも闘う」と訴えています。

命あるうちに真実の判決を 妹・岡美代子さんの手記  

 奥西さんの妹の岡美代子さんは、棄却決定の前日に奥西さんと面会していました。決定を受けての気持ちについて特別面会人の稲生昌三さんに寄せたコメントを紹介します。

 昨日、27日、4月末に続いて会いたくなり、東京・八王子(医療刑務所)に出かけてきました。(兄は)気分も良いのか元気そうで、ニコッと笑顔も見せてくれました。
   *
 突然のまた、棄却で、きちんと審議・検討もされたとは思えず、怒りがわいてきます。
 兄はやっていません。無実を信じ、裁判所に本当の裁判をしてほしい。兄の命が絶えることを狙っているのではないかと怒りです。
   *
 弁護団、支援の方々が、ただちに再審のための申し立てをしてくださるとのこと。感謝しています。
 兄の命あるうちに、真実の判決をいただきたい。救ってください唯々願っています。

「証拠隠しは犯罪だ」 名古屋高裁へ抗議行動  

 国民救援会愛知県本部と東京、長野、大阪、兵庫、愛知の守る会などの代表21人が、6月13日、名古屋高裁と高検への要請行動をおこないました。
 要請団は検察庁に対して、「昨日の学習会で、あらためて証拠隠しが犯罪であることを感じた」、「再審で何が重要か? 証拠の開示だ」、「真実を明らかにし、国民が納得できるように」などと要請しました。
 また、名古屋高裁に対しては、第8次異議審で1回目となる、2921人分の署名を提出しました。(再審開始をめざすニュースより)

東京・三鷹バス痴漢冤罪事件 判決、7月15日に 無実を明確にし、結審 東京高裁  

 東京・三鷹バス痴漢冤罪事件の控訴審第5回公判が6月5日、東京高裁で開かれ、結審しました。判決は7月15日午後1時30分に言い渡されます。
 事件は、中学校教諭の津山正義さんが、バスの車内で女子高校生の「スカートの上からお尻をなでた」として逮捕、起訴されたもので、2013年5月の一審判決は罰金40万円の有罪判決。津山さんは控訴し、東京高裁で審理されてきました。
 一審判決は、痴漢被害があったとされる時間帯、右手は携帯電話を操作していたため、犯行の機会は「3秒間程度しかなく、不可能というに近い」と認める一方、バスの揺れによりつり革が映っていないわずかの時間に、右手で携帯電話を操作しながら、左手で痴漢をおこなうことは「不可能とか著しく困難とまではいえない」と、津山さんを痴漢の犯人だと認定しています。
 最終弁論で弁護人の今村核弁護士は、控訴審ではあらためて、橋本正次東京歯科大学教授による画像鑑定をおこない、一審判決が「左手の状況は不明」とした時間帯にも、津山さんの左手はつり革を握っていることが確認され、右手は携帯電話を持っていると証言したため、痴漢行為は不可能であることがますます明確になったと述べました。そして、橋本教授の画像鑑定により、バスの揺れで津山さんと女子高校生がぶつかったことが確認でき、その際、津山さんが前にかけていたリュックが女子高校生のお尻にあたったことを、再現実験やでん部の皮膚感覚の鈍さに関する科学的知見などから痴漢と誤解されたと言えると主張しました。また、一審判決は、津山さんが私人逮捕されたバスの運転手に対して身の潔白を主張していないことなどを有罪の根拠としている点について、確実に証明されていない事実を認定し、一方的な推認をおこない有罪方向に過大視していると、指摘。津山さんに無罪判決を言い渡し、司法に対する信頼を取り戻してほしいと述べ、弁論を終えました。
 支援する会では、裁判所あての要請はがきと署名を判決の日まで広げてほしいと呼びかけています。

JAL不当解雇撤回裁判 不当解雇を容認 裁判所が会社側を擁護 東京高裁  

 日本航空(JAL)が経営破綻を理由に、パイロット81人と客室乗務員84人を整理解雇した事件をめぐって、解雇撤回を求めてたたかっていた裁判の控訴審判決が東京高裁でおこなわれ(6月3日=客室乗務員、5日=パイロット)、いずれの裁判も、解雇を容認した一審の判決を支持する不当判決が出されました。いずれの裁判も原告は最高裁に上告しました。
 2010年に経営破綻したJALは、東京地裁が選任した管財人のもとで会社更生手続がすすめられていました。しかし、原告の解雇時点では、すでに人員削減目標は超過達成していました。原告側は、こうした人員削減の状況について具体的に立証し、「解雇の必要性はなかった」と主張してきましたが、会社側は何も反論しませんでした。
 3日の客室乗務員の判決で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は、「解雇の時点で人員削減目標が達成されていたとはいえない」と決めつけ、「原告側が立証した数値に疑問がある」などと、反論しなかった会社側を擁護する判断をしました。解雇を回避するための措置を取らなかった点についても、管財人による「合理的な判断」だったとして不問にしました。
 客室乗務員裁判の原告団長の内田妙子さんは、判決後におこなわれた報告集会で「原告と弁護団は、事実と証拠に基づいて立証してきたが、裁判所は会社に対しては、追及をしなかった。判決では、原告の立証が『足りない』と言い続けている。どれだけの証拠と事実を出せば納得するのか」と憤り、「絶対に職場復帰する決意をあらたにした」と述べました。
 5日のパイロットの裁判でも、東京高裁(三輪和雄裁判長)は同様の理由で、原告の請求を棄却しました。

第211次最高裁統一要請 「私は無実です」 前川さんら5事件33人が参加  

 5月21日、第211次最高裁統一要請行動がおこなわれ、国民救援会と5事件33人が参加しました。
 早朝、最高裁前で宣伝行動。福井から夜行バスで駆けつけた福井女子中学生殺人事件の前川彰司さんは、「私は無実です。最高裁で再審決定を!」と訴えました。その後、刑事事件と民事・労働・過労死事件に分かれ、要請しました。

取調べの全面可視化、証拠の全面開示を 袴田事件に学べ!と会見  

 国民救援会も呼びかけ団体となっている取調べの可視化を求める市民団体連絡会が6月11日、国会内で記者会見をおこないました。
 法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」(以下「特別部会」)の議論が大詰めを迎えているなか、4月30日に提出された「事務当局試案」は、冤罪をなくすための改革にはほど遠い内容であるため、おこなわれたものです。記者会見には、袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士と袴田巖さんの姉・袴田ひで子さんも参加しました。
 西嶋弁護士は、袴田事件における捜査機関の取調べの実態を報告し、その教訓として代用監獄の廃止、全事件の取調べの全過程の録音・録画、捜査機関が保有する証拠の全面的な開示などが必要だと述べました。ひで子さんは、最近の巖さんの状況などを報告し、今回の再審開始決定に触れ、証拠の全面開示をぜひやってほしいと訴えました。
 連絡会を代表して、監獄人権センターの海渡雄一さんが、特別部会は冤罪をなくすという原点に立ち戻り、「事務当局試案」を見直すよう求めました。

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