日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2014年4月25日号

2014年4月25日号  

「奥西勝さんを救いたい」全国から700人 再審を一日も早く 袴田事件に学び、証拠開示 

 第8次再審請求審をたたかっている三重・名張毒ぶどう酒事件の「再審をめざす全国支援市民集会」が4月6日、愛知県名古屋市でおこなわれました。全国から700人が参加し、袴田事件の再審決定を力に、奥西勝さんを生きているうちに救出しようと決意を固めました。

名張事件でも
証拠捏造あり

 弁護団報告に立った小林修弁護士は、名張毒ぶどう酒事件の第8次再審請求審に至る経過を述べ、そのなかで、奥西さんはこれまで事実上3回も無罪判決をもらっているにもかかわらず、検察の控訴や異議申し立てでいまだに死刑囚であると怒りを込めて述べました。袴田事件の決定で、捜査機関の証拠捏(ねつ)造(ぞう)が裁判所によって明らかにされたが、名張事件でも多くの証拠捏造があることを指摘し、袴田事件が再審開始決定となった背景に、捜査機関が持っていた証拠が開示されたことが大きいと強調。一方、名張事件で検察は、弁護団が言うような証拠はないと一貫して述べ、証拠開示をしようとしていないことを批判し、袴田事件に学んで弁護団としても証拠開示に向けての努力を強めていく決意を語りました。

映画「約束」で
支援広げよう

 奥西さんとの面会報告に立った稲生昌三さんは、今回袴田事件の再審開始決定で、拘置の執行停止もされたが、2005年4月の再審開始決定の時に同様の決定が出されていれば、奥西さんはいまのような点滴で命をつなぐ状態にはなっていなかったのではないかと述べました。稲生さんは、俳優・仲代達矢さんからの奥西さんへの手紙を紹介し、「いま、あなたにとって神も仏もないとお思いでしょうが、私どもは信じています。神も仏もいると。だから、生きていてください」と述べ、これまで映画「約束」を観た人は5万人近いが、もっともっと多くの人に見てもらえるように上映運動を進めてほしいと訴えました。
 袴田ひで子さんは、「巖は帰ってきました。生きて返してもらいました。奥西さんは88歳で、まだ刑務所にいますが、再審・無罪となって戻ってくることを願っています」と述べました。
 集会は、最後に再審開始を求め、奥西さんの釈放を求める決議を、「再審!」の文字を掲げる意思表示で採択しました。
 翌日は、名古屋高裁と高検に要請をおこないました。

袴田事件 地元静岡で喜び分かち再審開始決定報告集会 「巖が帰った」笑顔の報告  

 袴田巖さんの再審開始決定から3日後の3月30日、静岡市内で再審開始決定報告集会が支援8団体の共催で開かれ、再審開始と釈放を勝ちとった喜びを参加した200人で分かち合いました。
 弁護団がそれぞれの担当部分について解説し、長年の事件とのかかわりや袴田さんの釈放に立ち会った様子などを語りました。
 支援8団体の代表が、長年の支援活動について語り、味噌漬け再現実験にかかわった支援者の強い思いなどが語られました。国民救援会の橋本宏一副会長は、街頭宣伝で声をかけられた女性の話を紹介して、市民の間への運動の広がりを語り、「国民救援会は全力をあげる。今後も一緒にがんばろう」と奮闘する決意を表明しました。
 袴田さんの姉・ひで子さんがあいさつに立ち、満面の笑みを浮かべて「巖が帰ってきました。ありがとうございました」と話すと、会場から大きな拍手がわき起こりました。「検察が即時抗告するかどうかについてコメントを求められますが、私は、巖が帰ってくればいいと思っているのでノーコメントです」と笑いながら話し、「巖の体調が良くなれば、皆さんに会ってほしいと思っています。皆々様、本当にありがとうございました」と述べました。
 最後に、捜査機関による証拠ねつ造との裁判所の指摘を、検察は厳粛に受け止めよとする集会アピールを採択しました。

釈放聞き喜び 東電OL殺人事件元被告人 ゴビンダ・プラサド・マイナリさん  

 袴田さん、再審開始決定おめでとうございます。本当に自分のように嬉しいです。
 私は15年も苦しい目にあいましたが、袴田さんは、その3倍、4倍、もっともっと数えられないほど苦しんだ。信じられません。許すこと出来ません。釈放されたと聞いて喜びましたが、検察は反対したのですね。反省していません。とても恥ずかしいと思います。
 袴田さんは、証拠を隠されただけじゃない。嘘の証拠作られた。信じられません。罰するべきと思います。
 私も日本に行って、袴田さんと会いたいです。励ましたいです。

追い風受けて 福井女子中学生殺人事件再審請求人 前川 彰司さん  

 3月27日の最高裁要請の待ち時間の時に、袴田事件の再審決定の一報が入り、飛び上がるほど皆で喜びました。「刑の執行停止」、「釈放される」と、情報が交錯するなか、「とにかく再審だけは間違いない」とウキウキわくわくし、一人悦に入っていました。
 人権と民主主義を求める闘いは、ここに大いなる一歩を踏み出しました。私もこれに習い、袴田さんの追い風を受けて私自身の再審事件も勝利せねばなりません。この後も共に歩んでいきましょう。

拘置所で共に 布川事件 元被告人 杉山 卓男さん  

 70年に無期懲役判決を受けて、その後、東京拘置所に収監されました。そのころ、同じフロアに袴田さんがいました。
 私は、国民救援会の支援を受けていたので、同じように支援を受けていた袴田さんも、私のことを知ったようです。
 運動の時間はだいたい同じでした。袴田さんは、いつもシャドーボクシングをしていました。やがて壁で囲まれた細長い運動場のフェンスのすき間から「スギちゃん」と声をかけてくるようになり、私も「イワやん」と、毎日のように話しあっていました。
 高裁の裁判で「5点の衣類」のズボンがはけなかったから、「これで無罪になる」と言ってすごく喜んでいたのを覚えています。5年後、私が千葉刑務所に移るまで毎日のように話していました。お互いに気が合ったのかもしれません。
 早くよくなってほしいし、回復したら、面会したいですね。私のことを思い出してくれたら最高ですね。

可視化求め院内集会 自身の体験を語り知らせる  

 取調べの可視化を求める市民団体連絡会の主催で3月25日、衆議院議員会館で院内集会が開かれ、布川事件足利事件、爪ケア事件、志布志事件などの冤罪被害者11人が、自身の取り調べの体験を語りました。
 福岡・爪ケア事件で無罪となった上田里美さんは、取調べの可視化を検討する法制審議会の議論で、罪状によって可視化対象にする案が検討されていることに触れて、「軽微な事件でも重大な事件でも、何もしていないのに拘束され取調べを受ける点では、同じレベルの世界に置かれる。すべての事件で弁護士の立ち会いと録音・録画が必要だ」と話しました。
 また、家族はどういう被害を受けたか、という質問に対して、東京・三鷹バス痴漢冤罪事件の津山正義さんは、「名前は公表しているけれども、顔は公表していない。私自身は顔を出して堂々とたたかいたいけれども、生まれてくる子どもにどう責任を取るのか。家族でどうするか悩み、多くの負担をかけている。それを取り除けないことが悔しい」と話しました。

国連ドマ委員来日 「取調官はみな人格者なのか」  

 3月6日、参議院議員会館において日弁連主催による院内集会が開かれ、日弁連の招きで来日した国連拷問禁止委員会のドマ委員が「国連拷問等禁止条約政府報告書審査をどう活かすか」と題して講演をおこないました。
 ドマ委員は、昨年5月の国連拷問禁止委員会で、「自白に頼る手続きは中世のやり方」と指摘した人物です。
 講演でドマ委員は、代用監獄の問題をとりあげ、「日本は23日間の勾留が認められているが、重罪の場合でも4日間が限界。人を拘束することから間違いが起こる」と強調しました。「諸外国と違い、日本人は取調べでお互いの胸襟を開けば本当のことを話す」などと国民性を理由に代用監獄を肯定する議論をどう思うかと問われ、「取調官は人格者ばかりなのか。法律の規制が必要だ」と述べました。

秘密保護法廃止へ!全国交流会 国民運動の幅広げ300人が各地の運動を交流  

 秘密保護法の廃止に向けた全国の活動を交流しようと、4月12日、東京都内で「『戦争する国』づくり許すな、特定秘密保護法廃止へ!全国交流集会」がおこなわれ、会場いっぱいの300人を超える市民が集まりました。
 各地から運動の報告がおこなわれ、新潟の代表が、特定秘密保護法の撤回を求める女性の会が昨年12月に発足したことを報告。賛同者は現在721人だが、ニュース「秘密通信」も発行し、賛同者1000人を目指して奮闘していることなどを述べました。長野からは、地方議会の決議運動にとりくみ、78議会のうち54議会で秘密保護法や集団的自衛権に対して批判的な決議が挙がっていることが報告されました。
 愛知からは、学習会の開催に力を入れ、積極的に講師の弁護士を派遣し、「名古屋市内であれば、謝礼も交通費もいりません」と訴えていることや、マス・メディアが報道しないなか、自分たちが情報を発信しなければと宣伝、集会などをおこない、当初は弁護士だけだった学習会での話し手が、今では一般の市民も加わったとの報告がされました。
 集会では、「『戦争する国』に向け暴走する安倍政権、集団的自衛権と秘密保護法」と題して、一橋大学名誉教授の渡辺治さんが講演しました。渡辺さんは、安倍政権のねらいとして、米軍との共同軍事行動をおこなおうとしていること、そのために秘密保護法が不可欠であることなどを述べ、いま出されている「集団的自衛権限定容認論」に触れ、この限定論は、日本の安全に重要な影響を与えるか否かを内閣が判断する以上何の歯止めにもならず、アメリカ政府も限定論の採用で十分満足すると述べました。さらに、安倍政権の改憲戦略が、解釈改憲先行戦略へ明確に転換したこと、戦争する国づくりの完成のためには明文改憲が不可欠であると述べました。最後に、いかに立ち向かうかについて、安倍政権の支持率は高いが、個々の政策への反対・異論が多数であるという矛盾を指摘し、秘密保護法案反対運動の教訓を生かすこと、国民運動の新たな幅の広がりをさらに拡大することが重要であると述べました。

東京・三鷹バス痴漢冤罪事件「私は痴漢ではない」 津山さん堂々と訴え次回結審へ 東京高裁  

 三鷹バス痴漢冤罪事件の控訴審第4回公判が4月9日、東京高裁で開かれ、被告人・津山正義さんの本人質問がおこなわれました。
 弁護側の主質問では、痴漢行為があったとされる時間帯に左手、右手にはそれぞれ「アリバイ」があることなどをあらためて映像で確認しました。
 また、一審判決が「理由も確かめずに謝罪をしたり、潔白を主張せず逃げたりしたのは不自然」などと有罪の根拠とした津山さんの言動については、「学校関係者がいるかもしれないバスの車内でみっともない言い争いは避けたかった」「バスの運転手が問答無用で後ろから捕まえてきて冷静な話ができる状況ではなかった」「検察での調書にも『取り押さえられてから大きな声でやっていないと叫んだ』とある通り、潔白を主張していないという認定は誤り」だと反論しました。
 最後に津山さんは、「私は絶対に痴漢などする人間ではありません。今でも街中で生徒や保護者とすれ違うと変わらず声をかけてくれます。駅頭で署名を集めると、教え子が一緒に署名を集めてくれます。事件以来、無実が示されるよう必死に生きてきました。しかし、私が本当に必死になりたいのは教育なのです。生徒の前で、生徒に対してなのです。どうか真実を見極めて私の人生を、夢を、誇りを守って下さい」と訴えました。
 検察官の反対質問は、携帯を持っていて痴漢などできないことが明白な右手の動きを執ように確認する一方、「21時34分17秒までは左手は吊り革を握っている」などと左手の「アリバイ」を固めるような質問でした。
 裁判は次回(5月20日)の最終弁論で結審となり、夏には判決を迎えます。支援する会では署名や無罪判決を求めるハガキへの協力を呼びかけています。

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