日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2014年4月15日号

2014年4月15日号  

袴田事件 袴田巖いわおさん釈放 48年ぶり自由に  

 1966年に起きた静岡・袴田事件の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は3月27日、強盗殺人罪で死刑が確定していた袴田巖さんの再審開始を決定し、同時に刑と拘置の執行停止を決定しました。夕刻、釈放された袴田さんは、姉のひで子さんに付き添われて東京拘置所を後にしました。事件後48年ぶりに自由の身になった袴田さん。怯(おび)えていた死刑の恐怖から解放されました。

 「再審開始」――午前10時すぎ、静岡地裁の門前に現れた弁護士が垂れ幕を掲げ、支援者の歓喜の声に包まれました。
 袴田さんの姉・ひで子さんが姿を見せると、「よかったねー」「よく頑張ったよ」と祝福の言葉がかけられました。晴れ晴れとした表情でマイクを握ったひで子さんは、「応援していただいた皆さんのおかげです。ただ、うれしい。これだけです」と話し、目を潤(うる)ませました。
 ひで子さんは、袴田さんに決定を伝えるため東京拘置所に向かい、午後4時ごろ、袴田さんとの4年ぶりの面会が実現しました。弁護団の報告などによると、ひで子さんは、アクリル板越しに決定書を見せて、「無実の訴えが認められたよ」と伝えますが、袴田さんは「そんなことはウソだ。事件はもう終わった。帰れ」と顔を赤らめ、聞く耳を持ちませんでした。
 その後、釈放が決定し、午後5時頃、ひで子さんが待つ拘置所の一室に、袴田さんが現れました。袴田さんは誰に言うわけでもなく、小さな声で「解放されたよ」と言ったそうです。
 ひで子さんは、袴田さんの手を握り「よかったね」と言うと、「うん、うん」とうなづいたそうです。
 「手を握るのは48年ぶり。柔らかかった」
 * *
 その日、袴田さんは弁護団が用意したホテルに宿泊。翌28日から東京都内の病院に入院しました。袴田さんは糖尿病と認知症、そして長期の身体拘束による拘禁症を発症しており、しばらく治療が必要になる見込みです。

検察が抗告
 静岡地検は3月31日、決定を不服として即時抗告をおこないました。捜査機関の証拠ねつ造が明らかにされたにもかかわらず、反省することなく、さらに袴田さんを苦しめています。

袴田基金を創設
 袴田巖さんの生活を支えるために、弁護団が基金を創設し、協力を呼びかけています。
振込先=ゆうちょ銀行二三八支店
普通3833391 岡島順治
*郵便局からの送金はこちらへ
記号=12350 番号=38333911 名義人=岡島順治

決定のポイント 警察の証拠ねつ造を指摘  

 今回の決定は、最大の有罪根拠とされた、犯行時に袴田さんが着ていたとされる「5点の衣類」について、次のように判断しました。

警察の犯罪明確に断罪
 DNA鑑定から、衣類についた血痕が被害者及び袴田さん以外のものである可能性が高い、衣類の色について、1年以上もの長期間、味噌に漬けられていたものとしては、味噌の色を反映していない可能性が高く、不自然だと認定。そのうえで、5点の衣類は、「犯行着衣でもなく、袴田さんが着用していたものでもない」可能性があり、袴田さん有罪認定に合理的疑いが生じると述べ、再審開始としました。
 さらに今回の決定は、「5点の衣類が犯行着衣でもなく、袴田さんが着用したものでもないとすれば、後日ねつ造されたものと考えるのが最も合理的」とし、「証拠をねつ造する必要と能力があるのは、捜査機関(警察)をおいてほかにない」と述べ、警察の犯罪行為と断罪した点が特徴です。

無罪の人を拘束できぬ
 もう一つの特徴は、死刑執行の停止を「当然」とし、さらに袴田さんの釈放も決めたことです。死刑囚が再審開始決定で釈放されるのは初めてで、画期的なことです。決定は、袴田さんが無罪となる蓋然性が認められること、袴田さんが極めて長期間死刑の恐怖の下で拘束されており、これ以上の拘束を正当化できないこと、「5点の衣類」などの証拠が捜査機関によって捏(ねつ)造された疑いがあり、国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは耐え難いこと等を理由に、「袴田さんをこれ以上拘置することは耐え難いほどに正義に反する」と述べています。

宮城・仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件 証拠検証せず門前払い 守さんの再審請求棄却 仙台地裁  

 宮城・仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件の守大助さんに対し、仙台地裁(河村俊哉裁判長)は3月25日、再審請求を棄却する決定をおこないました。
 この事件は、2000年、仙台市の北陵クリニックで入院患者の容体の急変が相次ぎ、01年1月、准看護師の守さん(当時29歳)が患者の点滴に筋弛緩剤(筋肉の動きを弱める薬)を混入させたとして、殺人と殺人未遂罪で起訴。08年、最高裁で無期懲役が確定し、守さんは千葉刑務所で服役中です。
 確定判決では、亡くなった患者の尿などから筋弛緩剤の成分を検出したとする警察の鑑定が、有罪の根拠とされています。弁護団は、筋弛緩剤の成分が検出されたとする警察鑑定の誤りや、患者の急変症状は筋弛緩剤の薬効と矛盾することを指摘した鑑定書、「自白」が合理性に欠けることを証明する心理学者の鑑定書を新証拠として提出しました。
 しかし、河村裁判長は、弁護団が求める証人尋問や証拠開示をおこなわないなど不当な訴訟指揮をとり続け、確定判決では鑑定資料は全量消費したと認定しているにもかかわらず、再審請求審で検察側が全量消費を事実上撤回したこと、そもそも鑑定資料が患者のものである証拠すら提出されていないことなどを一切問題にせず、「確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じない」と再審請求を棄却しました。
 また、最初の逮捕事案の女児は筋弛緩剤中毒ではないとする弁護側が提出した専門医の意見書については、裁判官の主観的な心証を展開し、弁護側の意見書の明白性を否定しています。弁護団は28日、仙台高裁に即時抗告を申し立てました。
 本事件の全国連絡会は、棄却決定に抗議し、決定の不当な内容と、徹底した証拠開示を実現して再審を決定した袴田事件の教訓を学び、裁判所に証人尋問と証拠開示をおこなわせ、1日も早い再審開始決定を出すことを求め、守さんと両親(勝男さん、祐子さん)をはげますため、4月27日に全国集会を開催します。

絶望せずに頑張ります 守勝男、祐子  

 25日に仙台地裁河村裁判長より常識では計り知れない、裁判所の一方的論理により全く納得できない再審請求棄却決定がなされましたが、これに絶望せず諦めず頑張ってまいりますので、今後ともみなさまの心強いご支援、ご協力をお願い申し上げます。
〈激励先〉〒264―8585 千葉市若葉区貝塚町192 千葉刑務所 守大助さん

鹿児島・大崎事件 支援集会に382人 抗告審の三者協議が終了  

 3月15日、宮崎市内で映画「約束」上映と大崎事件支援集会が382人の参加で開かれました。集会では、佐賀、大分、熊本、鹿児島、地元の大隅町など多くの人が参加。原口アヤ子さんも元気にあいさつしました。

再審可否判断へ
 3月17日には、最終回となる第9回三者協議が福岡高裁宮崎支部で開かれました。
 弁護団によると、最終意見書の提出期限を検察が5月までと引き延しを求めてきましたが、裁判長が3月末までに変わりないと切り捨てたとのことです。
 裁判所は「しかるべき時に決定を出します。決定言い渡しの1週間前には連絡します」と述べ、最終協議は終了しました。
 18日には福岡高裁宮崎支部に要請をおこない、15日の集会の支援決議を読み上げ、提出しました。東京からの分も含め700人分の署名を提出しました。(宮崎県本部事務局長・堀田孝一)

第210次最高裁統一要請 「公正な判決を」4事件26人が宣伝と要請  

 3月27日、第210次最高裁統一要請行動がおこなわれました。
 早朝、最高裁前で国民救援会と最高裁に係属している4事件の関係者26人が宣伝カーから訴え、ビラを配布して、事件の真相と支援を訴えました。
 その後、民事事件の要請では東京・専修大学原田解雇事件、愛知・鳥居公務災害認定訴訟、大阪・報知新聞塚野過労死裁判の当事者や支援者が公正な判決を求めて要請をおこないました。刑事事件では福井女子中学生殺人事件の再審請求人・前川彰司さんも首都圏の支援者とともに再審開始を要請しました。

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