日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2014年08月25日号

2014年08月25日号  

静岡・袴田事件 検察、また証拠隠し 隠ぺい証拠、都合よく開示 東京高裁  

 強盗殺人・放火事件の犯人とされた袴田巖さんが再審を求めている袴田事件即時抗告審の三者協議が8月5日におこなわれ、冒頭、検察官は7月17日付即時抗告申立理由補充書と提出証拠で一区切りついたと説明しましたが、これまで検察が存在しないと主張してきた証拠(写真のネガフィルム)が存在することが判明しました。ネガは弁護側に開示するとともに、検察側の証拠として提出すると主張しました。
 静岡地裁でおこなわれていた再審請求審では、1年も味噌に漬けられていたとされた5点の衣類の色が問題とされ、弁護側は、5点の衣類の色の具合を知るために、衣類が発見された直後の写真をネガも含めて開示すべきと要求しました。しかし、検察は、プリントした写真ならあるが、ネガフィルムはないと答えていました。静岡地裁では一部公開された写真などに基づき、再審開始決定が出されました。
 今回、抗告審で検察は、存在しないと答えていた写真ネガを専門家に鑑定させて再審開始決定を批判する準備をしていることが判明しました。弁護団が、これまで検察はネガは存在しないと回答していたことを指摘すると、検察は、「警察が保管していて、発見されたものだ」と弁解しました。弁護側は、新たな証拠が発見されたのであれば、発見された時に、弁護側に知らせるべきで、それをしないで自分たちの証拠作りのために密かに自己に都合よく利用するのは許されないと批判しました。それに対して、検察は謝罪し、ネガが、いつ、どのような経緯で発見されたのかについて文書で回答することになりました。
 名張事件をはじめ、多くの再審裁判では、検察が証拠開示を頑なに拒んでいることから、事件の真相究明が阻まれています。今回の検察の行動は、証拠を隠しておきながら、自分が利用できるとなれば、「新たに発見された」と称して、弁護側への反論材料とするというもので、決して許されるものではありません。
 次回の協議は、10月23日の予定です。

大阪・大阪市「思想調査」アンケート裁判 市側、必死に責任逃れ 弁護団、証拠示し追及 大阪地裁  

 橋下大阪市長が業務命令としておこなった思想調査アンケートが憲法違反のアンケートであるとして国家賠償を求めてたたかっている裁判の第11回口頭弁論が7月30日におこなわれました。これまで、被告(大阪市)は、思想調査アンケートの実施主体は野村修也特別顧問の第三者調査チームであり、被告には何らの故意、過失がない(違法な行為はない)と主張してきましたが、7月28日付の準備書面では「橋下市長の業務命令は、第三者調査チームによる本件アンケート調査に協力することであり、本件アンケート調査の実施そのものではない」などという珍論を繰り広げました。
 これに対し、原告弁護団は橋下市長の直筆の業務命令の文面を示し、処分による脅しで正確な回答を迫っているのであり、被告がアンケートの回答を強制した事実を厳しく指摘しました。
 本件訴訟を支援している労働組合とは別の労働組合がおこなった労働委員会への救済申し立てに対して中央労働委員会が本件アンケート調査を不当労働行為と断罪した命令を出しており、裁判所においても不当労働行為との判断が出される可能性はあります。しかし、本件国賠訴訟では、憲法違反の思想調査であるとして職員が被った精神的苦痛に対する賠償を求めていることから、裁判所に対して憲法上の問題点を明確に認識し判断させることが最大の課題です。
 次回の第12回口頭弁論は、10月14日の進行期日を挟んで、11月17日におこなわれます。次回口頭弁論では、学者証人と原告数人の尋問が大法廷でおこなわれる予定で、本件訴訟の山場となります。

袴田巖さんは無実だ! 9・23再審無罪を求める全国集会  

 今年3月の再審開始決定により、死刑執行の停止と釈放を勝ちとった袴田巖さん。検察の不当な即時抗告により再審開始決定は確定していません。再審無罪を勝ちとるために全国集会をおこないます。

日時:9月23日(火)13:30〜16:30
場所:東京・文京区民センター3A会議室
主催:袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会

宮城・自衛隊国民監視差止訴訟 仙台高裁 監視指示者の尋問が決定  

 7月28日、自衛隊国民監視差止訴訟の第9回口頭弁論がおこなわれました。
 今回の口頭弁論では、陸上自衛隊情報保全隊長だった鈴木健氏が第6回口頭弁論で、「どのような情報を収集するのかの判断は、陸上幕僚監部の運用支援・情報部(当時)からの指示を得ていた」と証言していたため、当時、陸上自衛隊の幕僚監部で運用支援・情報部情報課情報保全室長をつとめていた末安雅之氏の証人尋問が実現するか否かが焦点になっていましたが、次回の口頭弁論で末安氏の証人尋問を行うことが決まりました。この尋問によって、監視活動の必要性をどのように判断して指示したのか、収集する情報の範囲をどのように指示していたのかなど、自衛隊による国民監視の全容解明が求められます。
 また、当日の口頭弁論では、原告2人の当事者尋問がおこなわれました。原告の渡部雅子さんは、教員として、日曜市民デモなどをおこなっているところを監視・記録されたことについて、「ストーカー行為に等しい行為」と厳しく非難し、「知人をデモに誘っても断られるなど、監視の影響は少なくない」と訴えました。同じく原告の風間幸蔵さんは、「20年前に秋田市長選挙に立候補した時のポスターが国側の証拠として出されてきたのには大変驚いた。市長選挙は自衛隊と何ら関係ないはず。人格権侵害の監視はやめてほしい」と訴えました。
 第10回口頭弁論は、10月6日(月)14時です。

自由権規約委員会第6回審査 濱嶋隆昌中央常任委員のレポート(上)  

 スイス・ジュネーブの国連欧州本部で7月に開かれた自由権規約委員会第6回日本政府報告の審査。国民救援会から派遣された濱嶋隆昌中央常任委員が、現地での国民救援会と事件関係者の活動についてレポートします。

 今回の審査には国際人権活動日本委員会(注)から鈴木亜英議長(国民救援会会長)を団長に治安維持法国賠同盟や布川国賠支援者など20人が参加しました。
 審査に先立ち日弁連が主催したプレ・イベントでは、袴田事件の自白強要=拷問と裁判の実態が映画「BOX」で紹介され、日弁連の報告に続いて、仙台・北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件の守大助さんの母・祐子さんが訴えました。
 その模様はジュネーブ・プレスクラブのウェブサイトや動画投稿サイトのユーチューブにもアップされ、日本の冤罪の実態を世界に訴える機会になりました。出席した人たちは熱心に事件の英文リーフを読み、涙を流して祐子さんに歩みより激励してくれる方も(写真)。袴田巌さんと奥西勝さんの救済を訴える国民救援会のリーフも対話の力になり、全国の仲間の救援運動が、国際社会のヒューマニズムと確かに共鳴しあえることを実感させてくれました。
 14日の公式ブリーフィング(委員会への報告)は多くのNGOが発言を求めるなか、8人の発言枠に国際人権活動日本委員会から私が再審事件における証拠開示の重要性を訴える機会を与えられ、発言しました。翌15日、私は体調を崩した吉田好一副団長に付き添いジュネーブ大学病院へ行ったため出席しませんでしたが、NGO主催のブリーフィングでJAL争議の原告・石賀田津子さんら17人が発言。二日間で慰安婦(性奴隷)、少数者・社会的弱者などの人権問題が報告され、守祐子さんも守る会の中村夫妻のエスコートでリーフを手にロビー活動を精力的に展開しました。
※なお、吉田好一さんは8月7日に現地で亡くなりました。長年の国際人権活動への貢献に敬意を表し、心からご冥福をお祈りします。

(注)国際人権活動日本委員会は、労働者の基本的人権の擁護のために国際機関への働きかけと国内外での活動を目的としている団体で、国連経済社会理事会の特別協議資格を取得しています。国民救援会も加盟しています。

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