日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年9月25日号

2013年9月25日号  

戦争は秘密からはじまる 秘密保全法 概要公表 国民救援会が反対声明  

成立阻止へ5万人署名を''''

 「戦争をする国づくり」の一環として秋の臨時国会での上程が狙われている秘密保全法について、政府は9月3日にその概要を公表しました。こうした動きをうけて、国民救援会では、9月7日に反対声明を出し、緊急の宣伝行動をおこないました。各地で反対運動を急速に展開しましょう。

 秘密保全法は、外交、防衛、安全脅威活動防止、テロ活動防止の4分野で、国の情報を「特定秘密」と指定し、秘密を漏らしたり不正に入手した国家公務員などに対して最高刑懲役10年の重罰を科すものです。
 しかし、「特定秘密」を指定するのは、「行政機関の長」つまり国務大臣などとされており、秘密とする範囲も裁量次第でいくらでも拡大できるため、海外派兵や原発の問題など、時の政権の判断で自らに都合の悪い情報を隠(いん)蔽(ぺい)する危険をはらんだ法案です。

国民の運動を弾圧する法案
 国民救援会は次の理由で秘密保全法の制定に反対しています。
 第1に、「知る権利」を制限し、国民が行政をチェックできなくなるという点です。
 いまでも、オスプレイなど米軍基地などに関わる情報は大幅に秘匿され、TPP交渉は秘密裏にすすめられています。国民の暮らしや平和にとって重要な情報がさらに隠され、行政に都合のいい情報だけが垂れ流されれば、戦前の「大本営発表」のように国の言い分のみを信じ込まされることになります。
 第2に、思想の自由やプライバシーの権利が侵害され、国民監視が強まる危険性です。
 法案では、「特定秘密」を取扱うもの(行政機関の職員、契約業者の役職員、そして都道府県警察の職員)の適性を評価するために、思想や病気など個人のプライバシー情報を本人の同意の上、本人、その関係者に質問し、公私の団体に照会し、調査することができるとしています。自衛隊情報保全隊の情報収集活動のように、調査する側の一方的判断で、その対象は際限なく広がります。
 第3に、言論活動の萎縮と国民の運動の弾圧に利用される危険性です。
 「特定秘密」を過失で漏えいしたり、情報を持っている人から「不正」に情報を得たり、情報を出すように「教(きょう)唆(さ)・煽(せん)動」することも処罰されます。
 「広報」を通さない、マスコミの独自取材が「不正」とされたり、さまざまな手段で国の情報公開を求める市民団体の活動が弾圧の対象とされます。
 もともとこの法案は、軍事機密などの情報を共有するためアメリカから強く要求されているもので、日本がアメリカと一体になって海外で「戦争する国」になるために、国民とマスコミの目をふさぐための治安立法です。

危険な内容を市民に伝えて
 政府は公表と同時に一般からの意見公募を始めました(9月17日に終了)。国民救援会は反対声明を意見として政府に提出しました。また9月7日の中央常任委員会後に、東京のJR御茶ノ水駅前で宣伝行動をおこないました。
 中央本部では、マスコミ関係の労働組合などとともに、「Stop!秘密保全法共同行動」を立ち上げ、国会内での集会や街頭宣伝をおこない、反対運動をすすめています。愛知では支部段階での学習運動が広がり、青森県本部や新潟県本部では、地域労連や自由法曹団などと協力して集会を開催するなど共同のとりくみが広がっています。
 夏の第60回中央委員会では、秘密保全法反対署名に5万人目標でとりくむことを決定しました。法案の上程・成立阻止を目指し、各地で運動を展開しましょう。
 署名は国民救援会のウェブサイトからダウンロードできます。

なくそう冤罪 取調べの可視化と証拠開示を求めて  

可視化の声、わが街から 各地で拡げよう 自治体決議  

 相次ぐ冤罪事件を受けて、冤罪の構造的要因にメスを入れるために設置された法務省・法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」。しかし、その議論は本来の目的から外れ、警察・検察の捜査権限を強化する方向にすすんでいます。国民救援会は、7月の中央委員会で、取調べの可視化と検察証拠の全面開示の実現に向けて、全国の自治体に決議をあげるよう求める運動にとりくむことを決定しました。全国のとりくみで世論を広げましょう。

 「特別部会」は、法務大臣の諮問により、冤罪根絶のために、取調べの全面可視化(録音・録画)と証拠の全面開示をはじめ、適正な捜査と公判を確保する制度をつくる目的で設置されました。
 ところが、その議論のなかで警察・検察が巻き返しを狙い、冤罪の構造的な要因である捜査の問題点には手をつけず、司法取引の導入や盗聴捜査の拡大などの捜査権限を強化しようとしています。

可視化実施は捜査官の裁量
 全事件での全面可視化については、「特別部会」での検討対象からはずされ、捜査機関の裁量にまかせるか、幅広い例外規定を設けるかの方向で検討され、全面可視化が骨抜きになっています。
 可視化は、取調べの適正化とその後の検証のために必要とされるもので、例外や裁量の余地はありません。また、対象事件を裁判員裁判対象事件に限定する意向ですが、そうなれば社会問題となったPC遠隔操作事件や、頻発する痴漢冤罪事件などは救われません。被害者や目撃者といった重要参考人の取調べにおける可視化も、検討対象からはずしています。

各自治体から可視化要請を
 こうした事態をうけて7月におこなわれた第60回中央委員会では、政府・国会へ全国の自治体から意見書をあげて、世論を広げることを決定しました。すでにとりくみをはじめている奈良・山梨の経験に学んで、各地で請願運動が動きだしています。
 奈良では、奈良労連などで構成する「国民大運動実行委員会」に国民救援会も参加し、自治体への共同の要請行動をおこなっています。取調べ可視化の要求も含まれており、国民救援会の支部が中心になり、各自治体の議会事務局や議員に直接交渉をしています。こうした行動で5市5町が決議をあげています。
 また、奈良弁護士会に申し入れて、弁護士会からも各自治体にはたらきかけてもらいました。このとりくみで、2市1村が決議をあげました。現在は9月議会に向けて、とりくみを加速しています。
 奈良県本部の生井和仁事務局長は、「奈良県の弁護士会が動いてくれたことで、国民救援会単独では動かなかった自治体も決議をあげた。さらに、決議に積極的な共産党の議員団に対しても資料を送り、2重、3重に働きかけている」と話しています。
 山梨でも、国民救援会の要請と合わせ、県弁護士会の要請が力になり、6月までに7自治体の議会で可視化を求める決議が採択されています。
 北海道は、道本部からの要請を受けて、9月から各支部が自治体要請に向けたとりくみをはじめます。
 全国の支部で、自治体への要請を強めましょう。

可視化求める運動、世界へ 桜井さん ネット署名を開始  

 布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅家利和さん、志布志事件の川畑幸夫さんが9月9日、東京の日本外国特派員協会で記者会見し、取調べの全過程可視化と、検察官が独占する証拠の全面開示を求めて、インターネットを通じて、日本ばかりでなく広く世界で署名活動をおこなうことを発表しました。
 記者会見で桜井さんは、「29年間刑務所に入れられた。日弁連と国民救援会に支援してもらい、44年間たたかって再審で勝利した。警察は密室の中で、嘘や脅しで平然と冤罪をでっち上げる。こういう事をなくすために、取調べの全面可視化の実現と検察官の証拠独占という状況を改善したいと考え、署名サイトを立ち上げ新たな運動をおこなう」と述べました。そして、「日本で起きていることを世界に発信することによって日本の状況を正す契機にもなるのではないかと考えました」と述べました。菅家さんと川畑さんも、それぞれ自らの経験から取調べの全面可視化と証拠の全面開示の必要性を語りました。
 質疑では、外国人記者などから日本の刑事司法制度の実態について質問が相次ぎ、「日本は先進国で民主主義国家としても誇りがある国なのに、なぜ警察や検察が権力を持っているのか」、「証拠を改ざんした警察官や検察官は、罰せらないのか」などの疑問の声が上がりました。
 署名サイトには、すでに9月12日現在で3000人以上の賛同者が集まり、多くのコメントが寄せられています。「他の民主主義国家では当たり前のことが、なぜ日本ではできないのか。取調べの録音録画をされると取調べができないなんて、恥ずかしい国です」、「冤罪は決して一個人のものではない。秘密保全法が現実のものとなる懸念がある中、冤罪をなくすために全過程可視化は不可欠」、「仮に犯罪者が逃げおおせても、冤罪に苦しむ人を作らないのが日本国憲法の精神だ」などの書き込みが見られます。
 インターネット署名サイトのURLは次のとおりです。
http://www.change.org/stop−enzai/

宮城・北陵クリニック事件 検察、事実調べに反対 弁護団、土橋鑑定の誤り徹底暴露の構え  

 入院患者の点滴に筋弛緩剤を混入し、患者を死亡させたとして、准看護師だった守大助さんが殺人犯人とされた仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件の再審請求審で、第7回三者協議が9月9日におこなわれました。
 今回の三者協議では、弁護団から検察に対して求めた釈明に対する回答および事実調べをおこなうべきか否かについて協議しました。また、弁護団は、裁判所に対し、検察に対して証拠開示の勧告をおこなうよう求める申立書を提出しました。
 弁護団の求釈明に対して、検察は、「(筋弛緩剤マスキュラックスの成分であるベクロニウムの)分解物(加水分解後の変化体)が出ようが、未変化体が出ようが、いずれにしてもベクロニウムが存在したことは事実であり、確定判決は揺るがない」と主張しました。
 また、検察は、弁護団が請求している鑑定人の尋問について、「不必要」と述べ、請求審の審理が十分に行われないうちに裁判所に判断させようとしています。
 弁護団は、検察の主張の矛盾を徹底的に暴くために、全面的な土橋鑑定批判を展開する予定です。また、鑑定人の尋問等事実調べの必要性について補足意見書を提出する準備を進めています。
 次回の三者協議は、10月30日の予定です。

北陵クリニック事件 関東と中・四国で交流会  

 8月31日〜9月1日、北陵クリニック事件の守る会が中国・四国と関東で学習交流会をおこないました。
 岡山で行った中国・四国の交流会(写真)には、徳島、愛媛、山口、広島、岡山から24名が参加しました。活動交流を行い、医療関係者からは「筋弛緩剤で殺人はできない」、「検察が試料の全量消費はウソだったと発表したが、今までの審理は何だったのか」との意見が出され、1日も早い再審開始を勝ち取るために、全力をあげることを確認し、来年までに中四国全県で「守る会」の結成をめざすことを決めました。
 群馬でおこなった関東交流会には、群馬、栃木、茨城、千葉、神奈川、東京から36人が参加し、再審請求審のポイントを学びました。

三鷹バス痴漢えん罪事件 「犯行不能は明らか」弁護団 控訴趣意書提出  

 中学校教諭の津山正義さんが、バスの車内で高校生の「スカートの上からお尻をなでた」として起訴された三鷹バス痴漢冤罪事件は、一審不当判決(罰金40万円)に対し控訴していましたが、8月30日、弁護団が控訴趣意書を提出しました。
 控訴趣意書では、バスの車載カメラの画像について、左手を中心にあらためて精査した専門家の鑑定により、一審判決が「左手の状況は不明」とした時間にも津山さんの左手がつかんでいた吊り革のドーナツ型の環や左腕が確認でき、携帯電話を操作していた右手はもちろん、左手にも「鉄壁のアリバイ」があることがいっそう鮮明になりました。また、「被害」があったとされる時間帯の最後の場面で高校生が津山さんの前から離れたことも新たに確認でき、痴漢はますます不可能であるとしています。
 さらに臀(でん)部の感覚の鈍さについて、一審判決は勝手な推測で手指による接触とリュックの接触を「勘違いすることは考え難い」などとしましたが、これも専門家による第2鑑定を行い、認知心理学的な実験結果から一審の判断の誤りを明らかにした上で、リュックがぶつかった刺激を痴漢行為と勘違いしたという合理的仮説をあらためて示しています。
 控訴趣意書の提出に合わせて、東京高裁前で34人で宣伝行動。宣伝終了後、20人で東京高裁への要請をおこないました。参加者は、「傍聴して素人でも痴漢は無理と実感した」「検察の言い分を鵜呑みにしないでほしい。教員2年目は大切な時期、一日も早く学校に戻して」など、各々の立場から津山さんの潔白を訴えました。津山さん本人は「私が訴えたいのは裁判所の前ではなく、生徒の前。生徒に数学の楽しさを伝えたい。私を学校に戻して下さい」と訴えました。要請後、署名4809人分を提出しました。
 控訴審の第一回公判は10月29日(火)午後1時30分、東京高裁506号法廷と指定されました。(都本部・中村)
(署名等問合せ先)
国民救援会三多摩総支部 TEL0425―24―1532

虐殺二度と許すな 亀戸事件の追悼会ひらく  

 1923年9月、関東大震災の混乱に乗じて、高まりつつあった労働運動や民主主義運動の弾圧をねらい、先進的な労働運動をしていた南葛労働会の幹部の川合義虎など10人が軍隊に虐殺された亀戸事件の追悼会が、9月8日、「亀戸事件犠牲者之碑」がある東京・江東区亀戸の浄心寺でおこなわれました。
 追悼会は、国民救援会も参加する実行委員会の主催でおこなわれ、70人が参加。日本共産党都議団、民青同盟、治安維持法同盟の代表などから追悼の言葉が送られました。石播労働者合唱団とともに、参列者全員で「南葛労働者の歌」「インターナショナル」などを歌い上げ、最後に碑に献花し(写真)、言論封殺を二度と繰り返させまいと誓い合いました。

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