日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年8月15日号

2013年8月15日号  

鹿児島・大崎事件 「生きているうちに無罪を」 原口さんの訴え聞き、裁判所が証拠開示を勧告  

 鹿児島・大崎事件第2次再審請求審は今年3月6日、鹿児島地裁で棄却決定が出され、現在、福岡高裁宮崎支部(原田保孝裁判長)で抗告審をたたかっています。7月11日に請求人の原口アヤ子さんと元夫の遺族の意見陳述がおこなわれました。当日は猛暑の中、原口さんと弁護団を激励しようと九州各県を中心に約80人の支援者が裁判所前に集まり、入廷する原口さんと弁護団を拍手で送り出しました。

命あるうちに無実明らかに
 原口さんは、意見陳述で「今回が、私が生きているうちに無実を明らかにする最後の裁判になるかもしれません。しっかり調べをして、私を無罪にしてください」と、裁判官に訴えました。そして、「私は生き返りたい」と発言。少し間をおいて「今のままだと死んだも同然、生きているうちに無実を明らかにしてほしい」。原口さんの心からの叫びが法廷を圧倒したと、報告集会で鴨志田弁護団事務局長から紹介されると、法廷での感動が参加者に伝わり大きな拍手が起きました。
 弁護団によると、原口さんの意見陳述後の3者協議では検察の手持ちの「未提出証拠」を巡って厳しいやりとりがおこなわれました。検察は、弁護側が求める証拠の標目の開示を拒否しましたが、共犯者とされた原口さんの元夫ら2人の捜査段階での「弁解録取書」を開示する方針を示しました。
 また、原田裁判長が、弁護団が求めている証拠標目の開示と現場に残された足跡など警察の捜査報告書など個別証拠の開示について、近いうちに裁判所としての判断を示すと述べて、3者協議が終了しました。

開示の勧告に検察官が抵抗
 原口さんの意見陳述の1週間後の7月18日、福岡高裁宮崎支部は、検察に対して証拠の標目と事件現場で採取された指紋や足跡についての鑑定書、事件に関わる捜査報告書や供述調書などの有無を調査し標目を作り開示するよう勧告しました。
 これに対して、検察は裁判所に、証拠開示の法的根拠を示せなど異例の釈明を求めました。裁判所は検察に対し、勧告は訴訟指揮権に基づくことなど、端的に釈明を文書でおこないました。その後さらに、法医学鑑定書を書いた上野正彦氏(元東京都監察医務院長)などの鑑定人尋問をおこなうことを決定しました。
 この成果は、弁護団のねばり強いたたかいと運動体の集中的な支援活動によるものです。

集中的に宣伝支援が広がる
 高裁支部所在地の宮崎県本部では、3月の不当決定直後から何としても原口さんの元気なうちに再審開始決定を勝ちとろうと、4月に宮崎市内で大規模な集会を開催したのを皮切りに、毎週火曜日、裁判所周辺で宣伝行動を繰り返しおこなってきました。
 5月にはスイス・ジュネーブの国連・拷問禁止委員会の日本政府報告審査に、県本部の堀田孝一事務局長が参加。大崎事件の英文ビラを配布し、証拠開示がされないまま審理が続いている実態を訴えてきました。帰国後、裁判所と検察への要請では拷問禁止委員会から日本政府に出された勧告文書を示し、要請しています。
 定例宣伝の後、参加者は横断幕とのぼり旗を持って、繁華街から検察庁、裁判所までパレードを続けています。毎週続ける中で「私も参加していいですか」と、初対面の青年が飛び入りでギターを弾きながら参加するなど、支援が広がっています。
 86歳の原口さんが元気なうちに再審開始決定・無罪判決を勝ちとるために、さらに支援運動を強めましょう。

〈要請先〉〒880―0803 宮崎市旭2―3―13 福岡高裁宮崎支部 原田保孝裁判長

静岡・袴田事件 静岡地裁 隠された捜査資料130点開示 事実調べ終了、最終意見書提出へ  

 1966年の放火殺人事件の犯人とされ、誤った裁判で死刑判決を受けた袴田巖さんの再審を求めている裁判で7月26日、静岡地裁(村山浩昭裁判長)の7月5日付の未提出証拠の開示勧告に対して、検察は、部外者に公開しないとの条件をつけて開示に応じ、袴田さんの否認調書に登場する関係者の供述調書、捜査報告書など130点が弁護団に開示されました。弁護団は、開示証拠を慎重に検討した上で「最終意見書」の提出予定などを協議したいとしています。
 また、同日、犯行着衣とされている「5点の衣類」について、繊維の専門家、静岡大学の沢渡千枝教授の証人尋問がおこなわれ、袴田さんの右肩の傷の位置とシャツの血痕の位置が合わず、同一機会にできたものではないことなどが明らかにされました。
 証人尋問終了後の3者協議では、今回の証人調べで基本的に事実調べが終了し、弁護団は「遅くとも来年3月までに(再審開始の可否を)決定してほしい」と求めました。裁判所からは、検察、弁護団に、できるだけ早く「最終意見書」の提出が求められました。
 これで5年に及んだ事実調べが終了し、今秋にも弁護団、検察から「最終意見書」が提出されれば、年度内に決定が出される可能性が高くなります。
 裁判は、いよいよ大詰めを迎えます。国民救援会は、地元静岡の支援組織や日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会などと共催して、12月に静岡市で全国集会を開催する予定です。

成年後見申立て東京高裁も棄却
 袴田巖さんの姉・秀子さんが、巖さんの成年後見人になることを求めた審判で、東京高裁(園尾隆司裁判長)は7月10日付けで棄却決定をしました。決定は、巖さんが鑑定人の面会に応じず、精神鑑定ができないことを理由に申立てを却下した東京家庭裁判所の決定を追認しました。秀子さんは、最高裁に特別抗告をおこないました。
 棄却決定に対して7月18日、国民救援会や袴田巖さんの再審を求める会などの8団体が東京高裁と東京家裁に抗議の申し入れをおこないました。

東京・埼京線痴漢えん罪事件 東京地裁 証人尋問巡り攻防 次回被告人の本人質問  

 東京・埼京線痴漢えん罪事件の第6回公判が、7月25日、東京地裁(齊藤啓昭裁判長)でおこなわれました。
 公判では、「被害者」の女性の連れの男性の証人尋問の採用をめぐり、弁護団と裁判所で攻防がありました。男性は、痴漢行為を目撃していませんが、女性が「痴漢だろ」と言ったのを機に石田さんを取り押さえた人物です。
 石田さんの本人質問を先に行った場合、石田さんの主張に合わせて男性の証言が検察の都合の良いようにゆがめられてしまう恐れがあります。それで弁護団は、本人質問の前に男性の証人尋問を行うことを主張しました。しかし、裁判所が男性の証人尋問をおこなわないと判断するのを避けるため、次回9月17日に本人質問をおこない、男性の証人尋問は、その後検討することになりました。

最高検証拠開示要請 勧告に従い開示を  

 7月26日、国民救援会は、再審えん罪事件全国連絡会とともに、大崎事件日野町事件袴田事件での裁判所による証拠開示勧告を受けて、対応する検察庁に「裁判所の開示勧告に従うとともに、実体的真実の発見のために自ら積極的に証拠を開示するように指示」せよと最高検に要請しました。
 要請には、国民救援会の鈴木亜英会長、再審えん罪事件全国連絡会の新倉修代表委員、大崎事件弁護団の佐藤博史弁護士、国際人権活動日本委員会の吉田好一代表委員、なくせ冤罪!市民評議会の客野美喜子代表など18人が参加しました。

最高裁統一要請行動 8事件が要請  

 第206次最高裁統一要請行動が、7月24日におこなわれ、8事件38人が参加。
 福井女子中学生事件の前川彰司さんが、はじめて要請行動に参加し、「私は無実。天と地がひっくり返っても譲れない。もう一度、裁判をやってください」と訴えました。名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんの特別面会人である稲生昌三さんは、危篤状態にある奥西さんが命を削りながら必死で無実を訴えていることを受け止めてほしいと訴えました。

県警の宣伝妨害に抗議 街頭宣伝の自由を守る群馬の会  

 県警が街頭宣伝に干渉する事件が発生しました。群馬県本部の志村昌代事務局長の報告です。

 7月19日朝、群馬県労働組合会議のメンバー8人が県庁前で「公務員の給与削減抗議・賃下げの連鎖を断ち切ろう」とのハンドマイク宣伝を行っていました。そこへ県警交通規制課の警官2人が現れ、「宣伝の許可をとってあるのか」「県の細則に違反しているので、ただちにやめるように」と言ってきました。労働組合会議のメンバーが「何ら交通に支障がない状況ではないか」と話すと、「指導に従わないということか」などと言い立てました。そのうち、所轄の制服警官2人が加わり、「確認したが、許可はとっていません」などと県警の警官に報告するとともに、現場確認ということで写真を撮り始めました。労働組合会議のメンバーは、やむなく予定より早く宣伝行動を終了しました。県警の警官は「警告した。次回行えば検挙する」と言い放ちました。
 国民救援会群馬県本部も加盟する「街頭宣伝の自由を守る群馬の会」は、事態を知り、22日、県警本部長宛に、今回の宣伝妨害が道路交通法に反し、憲法によって国民に保障された言論、表現の自由を侵害する違法・違憲の権力行使であり強く抗議するとの文書を提出しました。また、同日、群馬県公安委員会には、警察が根拠とした群馬県道路交通法施行細則の改正、廃止を要請しました。「街宣の自由を守る会」では、今回の警察の行為は国民の宣伝・表現の自由を不当に侵害する行為であり、抗議などの運動を強めることにしています。(県本部)

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