日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年7月25日号

2013年7月25日号  

京都・タイムスイッチ事件 曖昧あいまいな「証言」で犯人に 国民救援会が新たに支援した冤罪事件  

 国民救援会が新たに支援決定した京都・タイムスイッチ事件を紹介します。

 2009年2月5日午後7時ころ、京都市伏見区に住む車(くるま)本(もと)都(くに)一(かず)さん(当時51歳)は、近所のホームセンターに買い物に行きました。まず、1号館で買い物をし、さらに2号館にも立ち寄り、陳列してあった埋め込み式24時間タイムスイッチ(販売価格4450円)を手にとって見たところ、自宅のスイッチボックスと合致しない型だったので、陳列棚に戻して帰宅しました。
 ところが1週間後、突然警察が自宅に来て、ホームセンター2号館でタイムスイッチを万引きしたとの嫌疑で令状逮捕され、家宅捜索もされました。
 車本さんは、取調べに対して、「タイムスイッチを手にとってみたが、陳列棚に返しておいた。どこに置いたかは覚えていない」と犯行を否認。検察は、「挙動不審の男がタイムスイッチを手にしているところを目撃……その男が万引きするところを現認した」との警備員の供述調書や「棚卸などで探してみたが、タイムスイッチは見つからなかった」との従業員の供述などを根拠に起訴。

一貫して否認
客観証拠なし
 裁判では、車本さんは一貫して犯行を否認し、弁護団も、防犯ビデオなどからも車本さんがタイムスイッチを持って店を出たことを示す客観的証拠は何一つないこと、逮捕直後の家宅捜索でもタイムスイッチは発見されていないこと、状況証拠においても車本さんが万引きをしたと説明する以外に説明のつかない事実関係もないことから無罪を主張しました。検察が有力な根拠とした警備員の「目撃証言」は「(車本さんの)手元ばかりをみていたのでどこか記憶にないが、……ショルダーバッグに入れる素振りをした」、「車本さんを見失って、見つけた時には、車本さんはタイムスイッチを手に持っていなかったから盗(と)ったに違いないと思った」と極めて曖(あい)昧(まい)な証言をしました。警備員は、店を出た車本さんの後を40秒ほど追い、車に乗り込もうとするところを「ちょっとすいません」と声をかけたが無視されたと証言しました。車本さんは、警備員の声掛けには全く気付かなかったと主張しました。

懲役1年6月
最高裁で確定
 一審の京都地裁は、車本さんは警備員の声掛けに気づいていた、だから、タイムスイッチを処分したと、証拠にもとづかずに認定し、懲役1年6月の有罪判決を出しました。
 車本さんは控訴し、大阪高裁に係属中の2010年6月、ホームセンターの従業員が箱に入っていない裸のタイムスイッチを発見したと警察に届け出ました。そのタイムスイッチは、万引きされたとされるものと同種同型のもので、しかも従業員によると年に1台程度しか売れない商品だとのことです。車本さんによって「万引きされた」とされたタイムスイッチである可能性が極めて高いのです。弁護団は、当然、車本さんの「無実を示す証拠」として裁判で調べるよう求めましたが、大阪高裁は、その請求をすべて却下したうえで、タイムスイッチの発見が無実を証明しているとの主張は「荒(こう)唐(とう)無(む)稽(けい)な主張にすぎない」と控訴を棄却。最高裁もこれを追認し、車本さんは、現在、京都刑務所で服役中です。
 もともとタイムスイッチを盗んだ犯人が車本さんであるとの物的証拠はなく、「目撃」証言は極めて曖昧で京都地裁の裁判官もその信用性を否定したほどでした。大阪高裁の裁判官は、盗まれたとされた商品が車本さんの全く関与しないところで発見されたという事実を調べることもなく、京都地裁と同様に予断と偏見をもって有罪判決を出したのです。
 車本さんは、1995年から京都市内で自動車修理販売業を営み、仕事に熱心に打ち込み、客も順調にふえ経営も安定してきたときの事件でした。家族もいて、万引きをする動機は全くありません。車本さんは現在、再審請求の準備中です。

〈激励先〉〒607―8144 京都市山科区東野井ノ上町20京都刑務所 車本都一さん

私は盗んでいません! 車本 都一  

 長い公判生活の最後の望み、最高裁に上告し、期待をしておりましたが、結果は散々なものでした。私は独立開業して約20年ほどですが、一定のお客様もあり、なんとか経営もし、忙しい毎日を送っていました。事件で、すべての歯車が狂ってしまい、地獄の世界に落とされた気持ちです。
 私は始めから一貫して知らないことは知らないと繰り返し述べてきましたが、警備員が、私が盗んでカバンの中に入れたところを見たと警察で証言し、店舗側が被害届を出し調書が作られました。一審の京都地裁は、流通性の低い商品が店内から出てこない以上、「私が盗んだ」と事実認定をして判決を出したのです。
 その盗んだとされる商品と同型の商品が店内から発見されたのですから、その商品の出所をはっきりさせる必要があります。大阪高裁が発見された商品について調べなかったのは、私の無実を証明できる証拠を見逃すことで、絶対に許されません。
 私はいま、塀の中です。現実を見ると非常につらいものがあります。お力添えを、どうかよろしくお願いします。

宮城・自衛隊国民監視差止訴訟 個人情報も収集 元情報保全隊長マスコミも対象と証言 仙台高裁  

 自衛隊国民監視差止訴訟の第5回口頭弁論が7月1日、仙台高裁(佐藤陽一裁判長)で開かれ、前回に続き、元情報保全隊長の鈴木健氏への尋問がおこなわれました。
 前回の尋問で、自衛隊の任務遂行になんら関係の無い市民活動まで幅広く情報収集の対象にしている実態が浮き彫りになりました。(イラク派遣とは関係のない)春闘の街宣活動が隊員への働きかけにあたるのか、隊員や家族を不安にさせると考えているのかという原告側の具体的な追及に、何度も質問を聞きなおし、長い沈黙のあと「(考えている)可能性はある」と小さな声で答えました。しかし、「判断基準は守秘義務がある」と証言拒否を続けました。
 これに対し弁護団のねばり強い追及と、満席の傍聴人が注視する中で、鈴木証人は、関係団体等の個人情報として、名前、職業、住所、本籍地、学歴、所属団体・政党など幅広く含まれていることを証言。いったん始めた情報収集を止めることは、「一般的にはなされない」と、長期間、継続的に収集がおこなわれていることも証言しました。
 また、自衛隊の広報を通さないマスコミ取材は、「あり得ない。それは取材ではない」と述べるなど、マスコミも監視の対象としていることをうかがわせる証言もありました。
 次回10月28日の第6回口頭弁論でも、引き続き鈴木証人への尋問がおこなわれます。
 法廷には東北を中心に70人の支援者が駆けつけ、自衛隊情報保全隊による国民監視の実態の証言を注視しました。
 報告集会で、原告団事務局長の堤智子さんから、「裁判勝利のため、世論全体の大きな後押しが必要です。今日の成果を伝え、あと1万を超える署名を全国に広げましょう」と訴えがありました。
〈要請先〉〒980―8639 仙台市青葉区片平1―6―1 仙台高等裁判所 佐藤陽一裁判長

鹿児島・大崎事件首都圏の会総会 高裁、証拠開示に関心 支援の強化で再審を  

 大崎事件首都圏の会が第9回総会を7月6日、東京で開催し、会員を中心に45人が参加しました。
 総会では、鴨志田祐美弁護団事務局長が第2次再審請求の状況を詳しく報告しました。
 その中で、鴨志田弁護士は、鹿児島地裁でのたたかいに触れ、当初鹿児島地裁は証拠開示に積極的な姿勢を示していたが、中牟田博章裁判長に替わって証拠開示に消極的になり、昨年10月から弁護団は、証拠開示等について矢継ぎ早に意見書や上申書を出し続けたことを説明しました。それにもかかわらず、裁判所はそれらを無視して不当な決定(再審請求棄却決定)を出したことを述べ、中牟田裁判長の訴訟指揮に大きな問題があったことを指摘しました。同時に、その決定の内容がひどく、決定自身がその10分の1も使って言い訳をしていること、その言い訳部分に決定の問題点が浮き彫りになっており、即時抗告申立書の作成にあたって弁護団は大いに言い訳部分を叩くことができたと述べました。
 また即時抗告審では、この点について、高裁の裁判官も関心を寄せているように見え、それが原口さんの意見陳述が早期に実現した要因と思われ、高裁は証拠開示にも一定の関心を示しています。いま、全国からの支援が求められていると強調しました。
 総会では、証拠開示と再審開始を求める決議を採択し、7月11日の原口さんの意見陳述に代表を送ることを確認しました。

東京・三鷹バス痴漢冤罪事件 地裁判決許せない 勝利めざし126人がつどい  

 東京・三鷹バス痴漢冤罪事件で、「客観的事実をねじ曲げた地裁判決はゆるせない 東京高裁で勝利をめざすつどい」が6月26日、都内で開かれ、126人が参加しました。
 判決のポイントについて解説した弁護団は、「判決は左手の犯行の『可能性』で有罪を認定している」「左手はつり革をつかんでいたと認めておきながら、右手は携帯を持っていたのだから左手で犯行をおこなったと認定する判決で、小学生でもわかる論理的な誤りを犯している」と述べ、高裁での逆転のために〆玄蠅つり革を持ち続けていること、▲螢絅奪がぶつかったことを痴漢と勘違いしたでん部の感覚の2点について、新たな鑑定の用意をしていることを紹介しました。
 津山正義さん本人が、用意されたつり革の実物大模型を使って、事件の様子を再現し、「右手には携帯、左手にはつり革を持ち、この格好でどうやって女子高校生に触ることができるのでしょうか」と無実を訴えました。

滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件 「勝つまで闘う」 最高裁で勝利めざし集会  

 滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件大阪高裁不当判決抗議、柿木浩和さんの支援集会が6月30日、大津市内で開かれ、県内はじめ大阪、京都、奈良から80人が参加しました。
 国民救援会滋賀県本部の中野会長は、「柿木さんがたたかう限り、国民救援会は共にたたかう運命共同体」と主催者あいさつ。
 近藤主任弁護士は、列車内の混雑状況を再現したDVDを上映しながら、変遷する刑事の証言を採用した大阪高裁の不当判決を報告しました。
 布川事件の桜井昌司さんが支援に駆けつけ、「警察と検察は一旦犯人と決め付ければウソの証拠を作る」と体験を通して報告。
 柿木さんは「みなさんに励まされ、希望を持ちたたかい続けてきました。桜井さんの言葉『勝つまで闘ったら絶対に勝てる』を信条にたたかいつづけます」と最高裁での支援を訴えました。

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