日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年3月15日号

2013年3月15日号  

福井女子中学生殺人事件 科学的鑑定を無視  

無実の叫び封じ、名古屋高裁が再審決定取り消す

 前川彰司さん(47)が無実を訴えている福井女子中学生殺人事件に対し、名古屋高裁(志田洋裁判長)は3月6日、2011年に名古屋高裁金沢支部が出した再審開始決定を取り消す不当決定をおこないました。
 決定を聞いた前川さんは、「やってないことは自分が一番知っている。勝つまで闘います」と語り、裁判所に駆けつけた支援者からは「不当決定を許さない」との抗議の声があがりました。
 事件は、1986年、福井市内で、女子中学生が殺害され、事件発生から1年後に前川さんが逮捕されたものです。前川さんは一貫して無実を主張し、一審では前川さんと犯行を結びつける証拠はないとして無罪判決。しかし二審で、犯行現場前で、服に血を着けた前川さんが、車の助手席に乗り込んできたのを見たとする暴力団関係者などの曖昧な証言を根拠に、懲役7年の逆転有罪判決が出され確定。前川さんは7年間の受刑を終えたのち、2004年に再審を請求しました。
 名古屋高裁金沢支部は、開示された解剖時の被害者の写真により傷口からは別の凶器が使われていたことや、血をつけた前川さんが乗ったならば検出されるはずの血液反応が車からはでていないこと、検察が隠していた関係者の捜査段階での供述の変遷(せん)から血をつけた前川さんを見たなどの「目撃」証言は信用できないことなどの新証拠にもとづく弁護団の主張を認め、再審開始を決定しました。
 今回の決定で志田裁判長は、血液反応の実験は当時と条件が違い信用できないと科学的鑑定を無視し、変遷する「目撃」証言は大筋で一貫しているとするなど、つくられた「目撃」証言に依拠した認定をおこないました。また、異議審で検察は、証人尋問請求を求めましたが採用されず、十分な反論もしていません。再審決定を覆す根拠はありませんでした。
 国民救援会中央本部と福井県本部、再審・えん罪事件全国連絡会は連名で同日、抗議声明を出し、「新証拠及び開示された証拠の評価を適切におこなわず、再審請求を棄却したことに強く抗議する」と訴えました。
【抗議先】〒460―8503 名古屋市中区三の丸1―4―1 名古屋高裁・志田洋裁判長

大崎事件 ウソの「自白」重視 事実調べなく不当決定  

 原ロアヤ子さん(85)と原口さんの元夫の遺族が再審を求めている鹿児島・大崎事件に対し、鹿児島地裁(中牟田博章裁判長)は3月6日、原口さんの請求を棄却する不当決定をおこないました。原口さんは「私は最初からやっていないと言い続けているのに認められないのは悔しい。腹が立つ。これからも一所懸命、訴え続ける」と述べました。
 事件は、1979年、大崎町で自宅の堆肥置き場で原口さんの義理の弟の死体が発見され、殺人事件として、原口さんと夫など4人が逮捕されたものです。原口さんは無実を訴えましたが、警察から強要された夫らのウソの「自白」で全員有罪。原口さんの第1次再審請求をうけた鹿児島地裁は2002年、男性の死因について事故の可能性もあり、3人の自白は信用できないとして、再審開始を決定。しかし、福岡高裁宮崎支部が再審開始決定を取り消し、最高裁もそれを支持しました。
 第2次再審請求審で裁判所は、弁護団の再三にわたる、捜査機関の手持ち証拠の開示請求も無視し、弁護団が提出した新証拠についても事実調べを一度もおこなわないまま、3人の「自白」を重視した極めて不当な決定をおこないました。
 大崎事件・再審をめざす会、国民救援会中央本部、鹿児島県本部は同日、不当決定を断じて許さないとの抗議声明を出しました。
【抗議先】〒892―8501 鹿児島市山下町13―47 鹿児島地裁・中牟田博章裁判長

世田谷国公法弾圧を許さない会が総会 「存分に権利行使を」一体的なたたかいが堀越無罪に  

 2月25日、都内で世田谷国公法弾圧を許さない会の7年間のたたかいを総括する第8回総会が行われ、46人が参加しました。
 最初に、許さない会の藤巻一世事務局長が活動報告。続いて、佐藤誠一弁護士が弁護団報告をおこないました。
 佐藤弁護士は、「世田谷事件の特徴は、『入り口は住居侵入、出口は国家公務員法違反』に表れている。宇治橋さんの行為は公益を何ら侵害していないし、2人の上司の証言でも、職務には何の影響もなかったことが立証できた。一審の小池裁判長は、宇治橋さんは『管理職的地位』にあり影響があると認定し、これが最高裁の有罪判決につながった。東京高裁での堀越事件判決との違いは、改革派(権力の側からみた改革)と逆流の保守主義の違いだった。最高裁判決については、検察出身の小貫裁判官が堀越事件で無罪としたこと、千葉裁判長の長い補足意見が特徴だ。今回の判決を生かすも殺すも国家公務員の動きにある。ビラを配り続ければ犯罪にならない。存分に権利を行使してほしい」と述べました。
 東京慈恵会医科大学教授・憲法学者の小澤隆一さんや葛飾ビラ配布弾圧事件の荒川庸生さん、国公法弾圧堀越事件の堀越明男さんもあいさつしました。
 最後に、宇治橋眞一さんがあいさつ。
 「この裁判で私自身は無罪を勝ちとることはできませんでしたが、言論弾圧事件の一体的なたたかいの成果が、堀越事件の無罪につながったと思う。今回の判決を生かした国家公務員の運動を期待したいし、新たなたたかいに引き継がれるものと思う。長い間たたかいを支援いただき、あらためて感謝します」と述べ、参加者の拍手に包まれました。

静岡・袴田事件 みそ漬け実験者の尋問を決定  

 静岡・袴田事件第2次再審請求審で3月1日、静岡地裁(村山浩昭裁判長)で裁判官、弁護団、検察官の三者協議がおこなわれました。
 検察は、弁護団が開示を求めた「袴田さんの否認調書」関連の供述調書と捜査報告書について、内容を開示することを拒否しました。しかし、裁判所の意見を考慮して、供述調書に限定して15人計63通存在することのみを明らかにしました。
 弁護団は、証拠開示を拒否した検察官意見書は納得できないとし、3月22日までに改めて証拠開示を求める意見書を提出し、裁判所の判断を仰ぐとともに、犯行着衣とされた「5点の衣類」についてみそ漬け実験を行った「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」山崎俊樹事務局長と、ズボンのサイズ及び下着の破損と袴田さんの傷との矛盾について立証するため、静岡大学沢渡千枝教授を証人申請しました。
 裁判所は次回5月24日に山崎事務局長の証人尋問と、6月28日に検察が求めている袴田さんの使用していたベルトの検証を行うことを決め、弁護側検察側双方に対してDNA型鑑定についての意見書を3月29日までに提出するよう求めました。また、村山裁判長は検察官手持ちの「ズボンの寸法サンプル」を出すよう勧告しました。
 弁護団が開示を求めている「袴田さんの否認調書」関連の捜査報告書について、検察は「どこに何があるか調べている最中なので4月19日までに存否を裁判所に提出する」と述べました。また、証拠の全リスト開示については拒否しました。
 記者会見で、西嶋勝彦弁護団長は、「証拠開示と証人尋問が前進し、再審開始決定に一歩近づいたのではないか」と感想を述べました。(再審・えん罪事件全国連絡会事務局次長・中澤宏)

高知・白バイ事件 警察の捏造ねつぞう明らか 弁護団が画像鑑定書を提出  

 高知・白バイ事件の再審請求審で弁護団は、警察の証拠捏造を明らかにするため、千葉大学三宅洋一名誉教授(工学博士)の「ネガフィルムに関する鑑定書」について、2月28日、高知市内で記者会見を開きました。
 事件は2006年、止まっているスクールバスに白バイが衝突し、バス運転手の片岡晴彦さんが業務上過失致死で起訴され、有罪(禁固1年4月)が確定し服役したものです。片岡さんは出所後、10年に再審請求を申し立てました。
 生田暉雄主任弁護人は「3月3日で事件発生から7年。この間の民事裁判でも、スクールバスは動いていたとされ、その根拠はタイヤのスリップ痕(こん)が証拠とされました。しかしそれは警察の捏造であり、この事件は警察の犯罪です。提出した三宅鑑定(スリップ痕は液体などにより、人為的に偽造したと疑わざるを得ない)がそれを裏付けています」とあいさつしました。
 坂本宏一弁護士は「裁判所からの要請で開示された検察官手持ち証拠の6本のネガフィルムの解析画像、顕微鏡画像の科学的な解析で、証拠が捏造された痕跡が随所に見られる」と鑑定結果を報告しました。
 日本自動車事故解析研究所の石川和夫所長は、三宅鑑定の重要ポイントについて、鑑定書の図表を拡大したパネルを掲げ、詳しく説明しました。
 請求人の片岡さんは、「三宅鑑定を受け入れられないのなら、司法は終わり。バスが止まっていたからブレーキ痕はなかった。当時の22人の中学生の真実の証言を明らかにしたい」と三宅鑑定の証拠採用を訴えました。
 会見後の三者協議では、三宅鑑定の扱いについて検察官は検討中としました。
 国民救援会高知県本部と片岡さんの支援団体は、5月下旬に大決起集会の開催を計画しています。(松浦章仁)

埼玉・介護ヘルパー窃盗えん罪事件 安澤さんの早期釈放求め要請  

 埼玉・介護ヘルパー窃盗えん罪事件の安澤篤史さんと家族を支える会、国民救援会東京都本部と各支部から18人で2月20日、長野刑務所へ早期釈放求め要請が行われました。(写真)安澤さんと面会をした大田支部・小塚恒夫さんは、「規則規律が第一の刑務所生活でも、彼の明るい顔を見ることが出来た。『3月初めには(仮釈放に向けての)本面接がある』と聞き、先のみえる希望が表情を活き活きとさせているのだと思う」と寄せてくれました。(東京都本部・中村裕一)

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