日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年11月5日号

2013年11月5日号  

名張事件 最高裁が不当決定 奥西さんの再審棄却 最高裁  

 1961年に、ぶどう酒に農薬を入れて、女性5人を殺害したとして死刑判決を受けている奥西勝さん(87)が、誤った裁判のやり直しを訴えている三重・名張毒ぶどう酒事件で、最高裁判所第1小法廷(櫻井龍子裁判長)は10月16日付けで、再審を認めない不当決定を出しました。弁護団は直ちに第8次再審請求をおこなう構えです。

 「最高裁の裁判官は人の命をなんと思っているのかっ」
 10月17日、最高裁への特別抗告を棄却する通知が届いたのを受けて、弁護団が緊急に開いた記者会見の席上、弁護団長の鈴木泉弁護士が声を荒らげて訴えました。
 05年にいったん出された再審開始決定は翌年取消されますが、犯行に使われた毒物が、「自白」とは違うとする弁護団の指摘を受け、最高裁は、使用された毒物の特定について「科学的知見に基づく検討がされていない」として差し戻し、不当決定を経て再び最高裁に係属していました。
 今回の決定で最高裁は、「差戻し後の異議審の毒物鑑定と検察の意見書は合理的で、犯行に使われた毒物は奥西さんが所有していたものと同じ。自白の信用性も揺るがない」と断じました。
 弁護団は声明で、「本決定において原審の推論が科学的知見に基づくものであるか否かについての検討はなんらされていない。最高裁自らが差し戻し異議審に課した『科学的知見に基づく検討』を放棄するもの」と批判しました。
 決定文は16日付けで、A4で5枚。裁判所の判断が書かれているのは1枚。裁判官4人全員一致の判断でした。

各地で宣伝と最高裁へ抗議

 決定を受けて中央本部は17日、抗議声明を発表。「『自白』に寄りかかり、科学的根拠を示すことなく高裁決定を追認した。再審請求人と弁護人に無罪の立証を求める挙証責任の転嫁で、『無(む)辜(こ)の救済』という再審の理念を否定する決定だ」と批判しました。同日、再審えん罪事件全国連絡会、名張事件東京守る会と協力して都内で宣伝行動をおこないました。
 事件の地元・三重では22日に緊急の街頭宣伝をおこない、愛知では、18日、19日、23日と名古屋市内で決定を批判する宣伝行動をおこないました。「一度出した死刑判決を、絶対に覆さないという、司法の都合を優先させた」などと訴えると、多くの人がビラを手にとりました。
 24日には、最高裁に対する抗議行動がおこなわれ、千葉、東京、神奈川、長野、愛知などから20人以上が参加し、不当決定に対する批判が集中しました。
 24日は、もともと名張事件の独自要請の予定が入っていましたが、棄却決定を理由に、最高裁が「もう終わった事件です」と要請を拒否したため、正門前で「奥西さんを返せ」「最高裁は司法の役割を果たせ」と不当決定に抗議するシュプレヒコールをおこないました。
〈抗議先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第1小法廷 櫻井龍子裁判長

奥西さん 一瞬、石の表情に 面会した弁護団の報告  

 東京八王子医療刑務所にいる奥西さんは、2度の危篤状態を経たものの意識を取り戻し、現在は人工呼吸器をつけて命をつないでいます。
 17日、奥西さんに面会し、決定を知らせた伊藤和子弁護士と野嶋真人弁護士が会見で次のように報告しました。

 奥西さんはいつにも増してお元気で、顔色もよかった。入室すると喜んで手を高々と上げて私たちの手を握った。
 最高裁から決定書が届いたと話している途中に、奥西さんは呼吸が荒くなった。野嶋弁護士が「ごめんなさい」と伝えた瞬間、奥西さんの表情が石の様になった。上を向き無表情になった。第8次の再審請求をやると伝えたら、「うんうん」とうなずいた。奥西さんは(気管を切開し)声を出すことはできないが、声を出そうとしていた。「よろしくということでいいですか」とたずねると、うなずいていた。手と目に力が入り、再審への意志の強さを感じた。
 非常にストレスの強い面会となり、看守から「そこまで」と声がかかった。決定を受けて、これからショックが大きくなるのではと心配。支援者の方々が激励の手紙で励ましてほしい。

許すな! 秘密保護法 制定反対で国会集会、議員へ要請  

 臨時国会開会日の10月15日、秘密保護法に反対する2つの集会(いずれの集会も国民救援会は共催団体)が衆議院議員会館内で開かれ、両集会とも会場いっぱいの参加者で熱気あふれる集会となりました。

 正午からおこなわれた「STOP!特定秘密保護法案 反対院内集会」は、「STOP!秘密保護法共同行動」の主催でおこなわれ、90人が参加しました。
 清水雅彦日本体育大学准教授、田島泰彦上智大学教授、自由法曹団の森孝博事務局次長らが秘密保護法の危険性について発言しました。参加者は、議員要請をおこないました。

*  *

 夕方からの「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案に反対する院内集会」には、220人が参加しました。
 日弁連秘密保全法案対策本部委員の海渡雄一弁護士は、「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案―厳罰化と処罰の早期化」と題して基調報告しました。
 東日本大震災による東京電力福島原発事故で、政府と東京電力が様々な情報を隠したために、救える命も救えなかったことを最初に報告。「秘密保護法では、守るべき秘密を、「防衛」、「外交」、「諜報の防止」と「テロ対策」の4つとしているが、どんなことが秘密にあたるかは私たち主権者に知らされず、広範な情報が指定される恐れがある。この法案の本質は、早期処罰と厳罰化で、罰則は懲役10年。表現の自由は全ての人権の核であり、市民が正確に事実を認識して討論を重ねることなしに民主政治は機能しない。法案を上程させないよう、運動を広げましょう」と呼びかけました。
 参加者から、「85年の国家機密法反対闘争のような大きな運動をつくろう」「市民にわかりやすく伝えていこう」などの発言が続きました。最後に、国民救援会の鈴木猛事務局長が閉会あいさつをしました。

●埼玉制定断念求め埼玉の会結成
 「特定秘密保護法案の制定を許さない埼玉の会」の結成のつどいが10月16日に開かれ、国民救援会、平和団体、労働組合、市民団体など50人が参加しました。
 自由法曹団の瀬川宏貴事務局次長が、秘密保護法の問題点について説明し、琉球新報記者で、新聞労連の米倉外昭副委員長が、秘密保護法が制定されれば情報が制限され、沖縄の基地反対などの運動が制約され、基地被害の真相究明がより困難になると指摘しました。
 つどいでは、特定秘密保護法の制定断念を求めるアピールを採択しました。

●千葉問題点を訴え共同して宣伝
 特定秘密保護法に反対する千葉の会準備会では国会の動きに注視しながら、まず市民に広く訴えようと、10月23日昼休みに宣伝行動をおこないました。自由法曹団、千葉労連、国民救援会などの代表がマイクを握り、「この法案が通ってしまうと、戦争中と同じように天気予報などの気象情報も『特定秘密』とされてしまう恐れがあります」「どんな情報が秘密なのか『それが秘密』というのがこの法案で、行政の長が指定すればそれが『秘密情報』に指定され、国民の知る権利が奪われてしまいます」など、法案の危険性などを訴えました。
 行動には15人が参加し、200枚のビラを配布。受け取りがよく、関心の広がりを感じる行動となりました。(特定秘密保護法に反対する千葉の会・準備会ニュースより)

静岡・袴田事件第2次再審 最終意見書にむけ要請 8団体統一署名がスタート 静岡地裁  

 1966年に静岡県で起きたみそ会社専務一家4人の強盗・殺人・放火事件で、従業員だった袴田巖さんが犯人とされた袴田事件の第2次再審請求審で、再審開始を求めている支援団体は、10月18日に、静岡地裁と地検に対して共同の要請行動をおこないました。国民救援会静岡県本部からも参加し、地裁には袴田巖さんのお姉さん・秀子さんの意見陳述を支援者が傍聴できるよう公開とすることを求め、地検には、まだ隠している全証拠の開示を求め、それぞれに要請書を読み上げ、提出してきました。
 第2次再審請求審の審理のなかで、犯行着衣とされた5点の衣類に付いていた血痕のDNA鑑定がされ、被害者のDNAも袴田さんのDNAも発見されず、犯行着衣とされた衣類は、事件とは無関係のものであることが判明しました。そのほかにも袴田さんの無実を証明する証拠が明らかになるなか、裁判所・弁護団・検察の三者の協議で、今年12月までに、弁護団と検察双方の最終意見書を提出することが予定されました。いよいよ、年度内にも決定が出されるものとみられます。
 この状況を受けて、国民救援会を含め支援8団体は、来年1月13日に静岡市内で全国集会を開催することを決め、統一署名にもとりくんでいます。(県本部・袴田次郎)
〈要請先〉〒420―8633 静岡市葵区追手町10―80 静岡地裁 村山浩昭裁判長

鹿児島・大崎事件 原口さんらの無実確信 全国現地調査に67人が参加  

 10月13日、14日に鹿児島・大崎事件の第16回全国現地調査がおこなわれ、北海道から鹿児島まで8都道県67人が参加しました。
 1日目の弁護団報告では、原口アヤ子さんの元夫が被害者の首を西洋タオルで絞めて殺したとしている確定判決の誤りについて、上野正彦鑑定人の尋問結果が報告されました。
 被害者の遺体には、首の頸(けい)椎(つい)の前面に帯状の出血があり、その少し左下のところに三日月形の出血がありました。上野鑑定人は、この2つの出血を立体的に考察すれば、別々のものではなく、同じものであることがわかると断定。また、もし、首をタオルで絞めて殺したのであれば、頸動脈は首の内側に、頸静脈は首の外側にあるので、静脈が圧迫され絞められて、頭に昇った血液が首から下に降りなくなってしまい、首から上が赤くなり、首から下が白くなるはず。しかし、鑑定所見では、首から上が白色で、下が赤色だったとされている。つまり、死因は絞殺ではないことが明らかだと述べました。これにより、元夫らの「自白」が虚偽であることが明らかになりました。
 現地調査は、原口さんたちが被害者を畳の部屋に敷いてあったカーペット(ビニールござ)の上で殺した際に、被害者が糞尿をもらしたとの確定判決の認定が誤りであることを証明するため、実際に糞尿の跡とビニールござを再現し確認しました。
 原口さんと元夫の無実を再度確認し、福岡高裁宮崎支部の原田保孝裁判長宛の「勇気を持って再審開始決定を出してください」との決議をあげました。
〈要請先〉〒880―0803 宮崎県宮崎市旭2―3―13 福岡高裁宮崎支部 原田保孝裁判長

東京・埼京線痴漢えん罪事件 「犯行見ていない」 私人逮捕した男性が証言 東京地裁  

 JR埼京線の電車内で痴漢行為をしたとして、石田崇さんが逮捕・起訴されてたたかっている埼京線痴漢えん罪事件の第8回公判が10月17日、東京地裁(齊藤啓昭裁判長)で開かれ、「被害者」女性の当時の交際相手で、石田さんを私人逮捕した男性の証人尋問がおこなわれました。
 尋問で男性は、混雑した電車で、「被害者」と至近距離で向き合うように立っていたと説明し、「彼女が『痴漢だ』と叫んで被告人の胸ぐらを掴(つか)んだので、逃がしてはいけないと思って捕まえた」と証言しました。痴漢行為を見たかという質問に対して、「まったく見ていない」と答え、女性が痴漢の被害にあったとされる場面でも、不自然な様子に気づくことも、周囲の不審な動きに気づくこともなかったと答えました。石田さんを犯人と思った根拠を問われると、「痴漢されたと叫ぶ彼女を疑うほうが人間としてどうかと思う」と開き直りました。
 次回11月26日に検察側の論告求刑と弁護団の最終弁論がおこなわれ結審。裁判所は「年内に判断したい」と意向を示しました。
〈要請先〉〒100―0013 千代田区霞ヶ関1―1―4 東京地裁 齊藤啓昭裁判長

滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件 「私は無実です」 柿木さん最高裁要請で訴え 最高裁  

 一、二審有罪判決を受け、最高裁に上告した滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件は10月4日、最高裁へ初めての要請行動をおこないました。
 滋賀から上京した6人を先頭に14人で最高裁東門から入り、署名5033人分、要請書170通を提出しました。要請では柿木浩和さんは、「変遷する刑事の証言を裁判所は信用できると認め有罪とされた。私は痴漢などしていません。私は無実です」と訴え、家族や支援者も次々に公正な判断をしてほしいと訴えました。
〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第3小法廷

人権守る司法制度に 裁判所、警察庁などに要請 2013年司法総行動  

 裁判所や行政機関に、日本国憲法と国際人権法に基づき、真に国民に身近で、かつ社会的弱者の人権救済という司法本来の役割を果たさせようと、10月17日、司法総行動がおこなわれました。
 当日は最高裁、東京高裁、地裁、法務省、中央労働委員会、東京都労働委員会、警察庁、厚生労働省に要請し、回答を求めました。
 法務省要請では、5月に国連の拷問禁止委員会が出した、代用監獄の廃止などを求める総括所見を真摯に受け止めるよう要請したのに対し、対応した秘書課の担当者は、「我が国の法制度や運用について、理解いただけていない部分がある」と回答。鈴木猛事務局長が問いただすと、「真摯に受け止める立場にはない」と応え、安倍内閣が拷問禁止委員会の勧告を「従う義務なし」と閣議決定したことに同調する態度をとりました。
 警察庁要請で国民救援会の望月憲郎副会長は、国公法弾圧堀越事件の最高裁無罪判決で、あらためて憲法の表現の自由の重要性が確認されたことを強調。大量の警備公安警察を動員して、堀越さんを尾行・監視して事件を立件した違法捜査に対する厳しい批判を受け止め、警備公安警察を直ちに廃止すべきと要請しました。
 大田支部事務局長の園加代子さんは、自らが選挙弾圧事件で受けた不当な取調べの実態を訴え、今も続くひどい取調べはやめるよう強く訴えました。
 警察は、「取調べの適正化を徹底するよう指導している。不偏不党に対応していきたい」と従来通りの回答を繰り返しました。

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