日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年11月15日号

2013年11月15日号  

秘密保護法、絶対阻止 原発、TPPも秘密の対象  

 安全保障やテロ対策を口実に、重要な情報を国民の目から隠す特定秘密保護法案が、11月7日に審議入りする緊迫した状況のなか、何を「特定秘密」にするかについての政府見解が二転三転し、政府に都合の悪い情報は際限なく隠そうとする法案の危険性が、いっそう明白になっています。国民の知る権利を奪う悪法を廃案にするために、全国各地で成立阻止の運動を展開しましょう。

 これまで政府は、「TPPは特定秘密の対象にならない」としてきました。ところが、11月1日の衆院国家安全保障特別委員会で内閣府の副大臣がこの見解を修正。「TPPなどの交渉方針や内容が、安全保障に関する重要な事項を秘密とする秘密保護法案の規定に該当するかどうか、個別具体的に検討する必要がある」と発言し、TPPも特定秘密の対象になることを示唆しました。
 また、原発の情報についても、これまでの政府見解では、秘密になることは「絶対にない」と首相補佐官が述べていましたが、10月24日の超党派議員と市民による省庁交渉の席で、内閣情報調査室の実務担当者が、「原発関係施設の警備等に関する情報は、テロ活動防止に関する事項として特定秘密に指定されるものもありうる」と発言。知る権利を保障するという政府見解が建前で、国民に逆の説明をして早期の成立を図ろうとしていることが明白になりました。安全保障やテロ防止を口実に、政府が情報を恣意的に特定秘密に指定する危険性があらわになっています。

秘密を知らず
捜査員が動く

 警察が秘密保護法違反の疑いで捜査に着手する際にどのような手順を踏むのか、10月24日の省庁交渉で、その不明確さが浮き彫りになりました。
 「秘密保護法違反の捜査の際、捜査員は特定秘密を知った上で捜査するのか」との国会議員の質問に対し、警察庁の担当者は、「他の省庁が秘密にしている情報が何かは、警察はわからない」と回答。一方、内閣官房の担当者は「捜査遂行の中で、捜査機関と行政機関の間で特定秘密を照会する仕組みを構築する予定」と回答するなど、省庁間の認識の隔たりが明らかになりました。
 国民の知る権利を脅かし、拡大解釈でいくらでも秘密の範囲を広げられる危険な法案。最新の世論調査でも、過半数が反対しています。廃案をめざし、運動を加速させましょう。

次代担う若者とつながろう 国民救援会 青年大集会に出展  

 次代の国民救援会を担う若者との結びつきを強めようと、10月20日にひらかれた青年大集会に国民救援会がブース(テント)出展しました。東京都本部専従の山崎友代さんをはじめとする東京の若手交流会のメンバーが中心となって運営にあたり、集会に参加した青年に国民救援会の魅力をアピールしました。

 台風の接近で朝から強い風と冷たい雨が降り注ぐなか、会場の東京・明治公園には、全国から1500人の青年たちが集まりました。
 国民救援会は会場の一角にブースを設け、救援会の魅力と役割を訴えました。東京の園加代子さんが、ビラ配り中に逮捕された40年前の経験を紙芝居で再現。三鷹バス痴漢冤罪事件の津山正義さんや、豊川幼児殺人事件、埼京線痴漢冤罪事件、名張毒ぶどう酒事件、北陸クリニック筋弛緩剤冤罪事件の各守る会の代表が無実を訴え、冤罪の実態を話しました。中央本部の鈴木猛事務局長が、戦前、治安維持法で弾圧された犠牲者を救うために奮闘した歴史を紹介。都本部の山崎さんが、「今日、集まっている皆さんは、『原発反対』と声をあげ、『ブラック企業を許さない』と声をあげている人たち。行動中に逮捕されたときは、国民救援会を呼んで、黙秘でたたかおう」と、弾圧の心得を紹介して締めくくりました。
 会場で450セットのビラを配布。ブースの周りには、常に20人ほどの青年たちが集まり、訴えに耳を傾けていました。
 訴えを聞いた大阪の20代後半の男性は、「痴漢容疑で28日間の勾留は常軌を逸してる。仕事を持っている人が逃げるはずがない」と憤りをあらわにし、長野の20代後半の女性は、「救援会のことは知っていたが、治安維持法犠牲者の救援活動が原点と聞いて、あらためて存在意義を感じた」と話しました。
 群馬から来た20代前半の男性は、「特定秘密保護法によって政府や財界に都合のいい情報しか流されなくなる。これを阻止する力になりたい」と署名に協力しました。今回のとりくみで、1人が入会しました。

松川事件無罪確定50周年 松川の経験、学び生かそう 全国集会に1400人  

 松川事件無罪確定50周年記念全国集会が10月12日、13日、福島市内で開かれ、松川の運動に学ぼうと全国からのべ1400人が参加しました。

無数の守る会
自発性大事に

 集会では、松川事件の弁護団だった鶴見祐策弁護士が、「権力犯罪の実態と松川勝利の要因」と題して記念講演をおこないました。鶴見弁護士は松川裁判と自身との関わりから、一審に続き二審も不当判決のなかでの運動の再構築、創意に満ちた守る会の活動形態、差し戻し審の仙台高裁の無罪判決、国家賠償運動について熱っぽく語りました。裁判の勝利の要因として、無実の人を殺してはいけないという一点で無数の人びとが守る会に集まり、何よりも自発性を大事に力を合わせたことをあげ、そのたたかいの教訓は、国民救援会や今の事件の守る会に生かされていると述べました。
 会場から大きな拍手で迎えられ、元被告のうち4人(阿部市次さん、赤間勝美さん、岡田十良松さん、本田昇さん)とその家族が壇上に上がりました。
 90歳になった阿部さんは、「無罪確定までの14年間にわたり、国の内外を超えて多くの方にご支援をいただきました。50年たっても全国で冤罪事件が起こされています。検察官の手持ち証拠の開示と、虚偽の『自白』を証拠としてはならないことが大切です。あらためて松川運動の経験に学び、いまの闘いに生かしていきたい」と話し、大きな拍手がわき起こりました。

権力に対抗し
人間力つくる

 「歴史に学び今に生かす」と題したパネルディスカッションでは、福島大学吉原泰助元学長、日本国民救援会伊賀カズミ副会長が問題提起をしました。
 吉原さんは、安倍政権による集団的自衛権の行使、国家安全保障会議の設置、秘密保護法制定の企み、自民党の改憲草案の中身に触れながら、国会では改憲派議員が3分の2を超えるが、世論調査では改憲反対の国民が増えてきている、松川運動の憲法版ができたなら、教訓が現在に生かされると言えると述べました。
 伊賀さんは、松川事件元被告の故二階堂武夫さんから、記録を読んで、現場を訪ねて事実をつかむこと、事件の当事者は人に言えない辛さを抱えているのだから、専従者として思いを寄せることが大切であると、繰り返し教わったと話しました。そして、94年の警察法の改正以降、警察とともに地域の住民が相互に犯罪防止のために監視しあう社会作りがすすんでおり、人と人とのコミュニケーション能力の低下は警察権力を肥大化させると指摘。松川運動の原点であるヒューマニズムの活動を、いま大いにつくりあげていきましょうと呼びかけました。
 参加者からは「元被告のみなさんの元気なお顔を見ることができて良かった」「何を学び、どう生かしていくのかが見えてきた」など、感想が寄せられました。

 松川事件 1949年8月17日未明、東北本線松川駅〜金谷川駅間で列車が転覆し、機関士3人が死亡。その犯人として国鉄10人、東芝松川工場10人の労働組合員が逮捕され、列車転覆致死の罪名で起訴された。一審は死刑5人を含む全員有罪判決。二審は無罪3人、他は有罪。最高裁大法廷で10日間に及ぶ口頭弁論を経て59年8月、7対5の僅差で、高裁に差戻し判決。61年仙台高裁で全員無罪の判決。最高裁で3日間の口頭弁論を経て、63年9月、検察の上告棄却。全員の無罪が確定。

宮城・自衛隊国民監視差止訴訟 警察からも情報提供 元情報保全隊長が証言 仙台高裁  

 自衛隊情報保全隊が市民運動を監視し、情報収集していた問題で、国の責任追及と監視差止めを求めている裁判の第6回口頭弁論が仙台高裁(佐藤陽一裁判長)でおこなわれ、元陸上自衛隊情報保全隊長の鈴木健氏の3回目となる証人尋問がおこなわれました。
 情報保全隊が情報収集活動をおこなう際、他の行政機関から情報提供を受けていたかという質問について鈴木氏は、「情報提供を受ける可能性はあった」と回答。警察からも提供を受けたのかと追及されると、否定せず「すべての行政機関」と回答。警察からデモや集会の情報が情報保全隊に流れていたことを事実上認めました。
 一方、開催が予定されているデモや集会の予定について、警察から情報提供を受けたことがあるかどうかの質問については、「守秘義務に関わる部分」だとして証言を拒否。裁判所が合議し、防衛大臣の承認を受ける手続きをとることになりました。
 収集した情報の整理については、政党を含む団体名ごとに情報を整理していたのではないかとの質問に、「ありえた」と回答。必要性を問われると、「整理するための(政党別)整理」と答え、傍聴席から失笑が漏れました。
 さらに、どういう情報を収集すべきかについての指示は、陸上幕僚監部の運用支援・情報部から出されていたと証言し、イラク派兵反対運動などの監視を、自衛隊上層部が指示していたことが明らかになりました。
 鈴木氏の尋問は、次回2014年2月3日にもひきつづきおこなわれ、裁判所からの補充尋問などがなされる予定です。
 閉廷後の記者会見で原告団副団長の山形孝夫さんは、「自衛隊は、収集したデータをもとに、自衛隊の軍備増強などに反対する人たちを『国内の敵対勢力』として明確にしていき、秘密保護法を張り巡らせて封じ込めていく。戦前と同じやり方だ。日本のゆくえを決める問題に深くかかわる裁判だ」と発言。
 支援する会代表の伊藤博義さんは、「秘密保護法が通れば、こんな裁判もできなくなる。意義のあるたたかいだ」と勝利への決意を語りました。

東京・三鷹バス痴漢冤罪事件 「有罪判決は破棄を」 控訴審初公判で弁護団主張 東京高裁  

 東京・三鷹バス痴漢冤罪事件の控訴審第1回公判が10月29日、東京高裁(河合健司裁判長)で開かれました。
 事件は中学校教諭の津山正義さんがバスの車内で女子高校生のスカートの上からお尻をなでたとして逮捕、起訴され、今年3月、罰金40万円の有罪判決が言い渡されたもので、津山さんは東京高裁に控訴していました。
 公判で弁護団が控訴趣意書を読み上げ、バスの車載カメラの画像など客観的な証拠よりも、女子高校生の記憶による供述を証拠として有罪とした原判決は事実誤認であり、破棄し、被告人に無罪を言い渡すよう求めました。そして、�犯行時刻とされている時間帯に、津山さんが右手で携帯電話を操作しながら左手はつり革をつかんでいることが車載カメラの画像から確認できること、�一審判決は女子高校生が津山さんのリュックが当たったのを痴漢と間違えることは「考えがたい」としたが、でん部の皮膚感覚は鈍く識別不可能なことが専門家の鑑定で明らかになり、リュックがぶつかったことが痴漢と勘違いされたと述べました。
 河合裁判長は、車載カメラの画像を解析した東京歯科大学の橋本正次教授の証人採用を決定しました。(期日は未定)
 当日は42席の傍聴席を求め162人が裁判所前に並び、報告集会には80人が参加しました。報告集会では支援する会から、現在1万2000人分を提出している署名をさらに広げ、控訴審で必ず無罪判決を勝ちとるため、いっそうの協力が呼びかけられました。
 津山さんは、「担任のクラスをもった2年目にこの事件に巻き込まれました。私は無罪になって、早く教壇に戻りたい。どうかご支援をお願いします」と訴えました。
〈要請先〉〒100―8933 千代田区霞ヶ関1―1―4 東京高裁・河合健司裁判長

秋田・大仙市事件 現場に立ち学ぶ 全国現地調査に40人  

 秋田・大仙市事件の第2回全国現地調査が10月19日、20日におこなわれ、40人が参加しました。
 大仙市事件は2006年10月、大館市の畠山博さん(当時43歳)が、交際中の女性の4歳の息子を暴行し、遺棄するよう女性に指示したとして、最高裁で懲役16年が確定したものです。畠山さんは山形刑務所に収監。
 事前学習会では弁護団の三浦広久弁護士から、有罪の証拠とされているのは、畠山さんに指示されたとの女性の供述、警察の取調べでの畠山さんの「自白」の2つだけで、幼児をコーヒーのボトル缶で殴ったとされている自動車の車内からは、血痕など物的証拠は一切検出されなかったこと、再審請求では、幼児の遺体の頭の損傷と「自白」との整合性について明らかにしていく予定だと報告がされました。
 参加者は2日間にわたって事件現場とされた道の駅かみおかなどに行き、調査をおこない、「自白」で語られている犯行の不自然さを実感しました。今後、支部で事件学習をすすめていくことなどを確認しました。

「秘密保護法に反対」  

 憲法、刑事法研究者らが声明

 秘密保護法の制定に反対する憲法、メディア法研究者が10月11日に、刑事法研究者が10月25日に特定秘密保護法に反対する声明をそれぞれ発表し、28日、国会内で合同記者会見をおこないました。
 「特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明」(賛同者129氏・28日現在)では、法案は「憲法の平和主義、国民主権原理、基本的人権の尊重主義といった基本原理を脅かすものであり、憲法『改正』の先取り」であると述べ、「刑事裁判における適正手続きを侵害するおそれが大きく」、「特定秘密の内容が裁判官に知らされないまま審理され、有罪とされることにな」り、「弁護人が特定秘密にアクセスしようとすれば処罰される可能性があ」り、「被疑者・被告人の権利が著しく制限される」と述べています。
 会見で日本刑法学会元理事長の村井敏邦一橋大学名誉教授は呼びかけ人代表として、「国家安全保障会議設置法の審議と合わせておこなわれており、秘密保護法案は軍事立法である。そもそもこういう法律を作っていいのか」と発言しました。

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