日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年10月5日号

2013年10月5日号  

沖縄・高江ヘリパッド訴訟 国が住民運動を弾圧 国の訴え棄却を  

 野鳥のヤンバルクイナなど多くの天然記念物が生息し、野生動物のすみかとなっている自然豊かな沖縄県北部の東(ひがし)村(そん)高(たか)江(え)地区。この高江地区に米軍機の着陸帯(ヘリパッド)建設を強行しようとしていることに反対し、座り込みで抗議行動をおこなった住民のうち2人を、防衛省沖縄防衛局が通行妨害禁止を求めて2010年に提訴しました。裁判では1審、2審ともに国の訴えを認め、住民の1人・伊佐真(まさ)次(つぐ)さんの座り込みを「通行妨害」だと認める不当判決を言い渡しました。伊佐さんは、7月に最高裁に上告しました。

 沖縄県の米軍北部訓練場は1957年から使用がはじまり、国頭村、東村に位置する県内最大の米軍基地です。面積は約78・2キロ平方メートル、基地全体の33・5%を占めています。ここでは昼夜を問わず激しい訓練がおこなわれ、騒音や環境破壊などの基地被害が絶えません。
 日米両政府は96年12月、北部訓練場の条件付き「返還」を盛り込んだ米軍基地の整理縮小計画(SACO合意)を発表しましたが、その内容は、返還とは名ばかりの新たに6カ所のヘリパッドを高江地区に建設するもので、居座り、基地の固定化となるものです。
 東村高江は約160人の住民が暮らす小さな集落で、人口の2割は中学生以下の子どもです。ヘリパッドが建設され、これ以上ヘリが飛んだら、人が住めなくなると考えた住民は区民総会でヘリパッド受け入れに反対する決議を2度も採択し、反対の意思を示しました。しかし、2007年3月、日米地位協定に基づく日米合同委員会は住民の頭越しにヘリパッドの一部着工を合意。7月2日から住民による非暴力による座り込みが始まりました。

''非暴力の闘い
裁判用い弾圧''

 国は実力行使で工事をすすめる一方、こともあろうに、座り込みする住民15人を工事車両を妨害しているとして通行妨害禁止の仮処分を申し立てたのです。申立ては、15人の中に一度も現場に来たことのない子どもも含まれる(後に子どものみ除外される)ずさんなものでした。那覇地裁は住民の表現活動の正当性を認めたものの、14人のうち「ヘリパッドいらない住民の会」の代表2人(伊佐さん、安(あ)次(し)嶺(みね)現達さん)には通行妨害禁止を命じ、2人が不服申し立てをしたところ、国は2人を被告として訴え、本裁判となりました。
 本裁判では安次嶺さんへの国の請求は退けられましたが、伊佐さんについては請求を認め、一、二審ともに通行妨害だとする不当なものでした。

''平和に生きる
権利守りたい''

 国が住民運動を弾圧する目的で住民を訴える訴訟は、スラップ訴訟(*)とよばれています。実際に伊佐さんたちが訴えられたことで、運動にかかわると自分も被告とされるのではないかという重圧が生まれ、座り込み現場に近づきにくい雰囲気ができました。これまで運動に加われないまでもそっと差し入れをしてくれた人たちがいなくなりました。

 伊佐さんの座り込みは反対運動をする他の人の行動と何ら変わるものではありませんでした。ヘリパッド建設反対を公約にかかげる唯一の候補者として村議会に2度立候補するなど、公然とたたかったことが狙い打ちされたと思われます。
 しかし、高江の住民がヘリパッド建設に反対しているのは豊かな自然を守りたい、平和に静かに暮らしたいという自然な思いからです。その思いは日本国憲法で保障された正当な権利です。(第9条「戦争の放棄」、第13条「幸福追求権」、第25条「健康で文化的な生活を営む権利」)
 座り込みは、工事を強行する沖縄防衛局の職員や工事業者に対して抗議の意思を表明した非暴力のものであり、これを禁じる判決は、「平和のうちに生存する権利」(日本国憲法前文)の精神を真っ向から踏みにじるものです。さらに、「公益及び公共の秩序」を理由に表現の自由を制限するものであり、自民党改憲草案の内容を先取りしたものだと言えます。

''住民の闘いに
全国の支援を''

 木工職人の伊佐さんは22年前に家族とともに那覇市から移住し、子ども2人を育てながら自然豊かな高江で生活してきました。「元々住んでいた住民にはしがらみがあり、なかなか堂々と建設反対と言えない雰囲気があります。でも、運動に加わっていない住民と対立することはなく、子どもや孫の代まで、いつまでも米軍被害に苦しまされるのかと対話は続けています」と話します。
 墜落事故を繰り返しているオスプレイを、国は高江に建設予定のヘリパッドでも運用しようとしており、住民の不安はいっそう深刻になっています。沖縄防衛局が来ることがわかると、住民は今でも、仕事や家事を中断し、基地建設予定地前に集まります。マイクをにぎる伊佐さんの妻・育子さんは、工事関係者らに、「あなたたち、よく考えなさい。話し合おうね」と静かに訴えます。
 高江に2008年までには完成させる予定だったヘリパッド6カ所のうち、6年が経過しても1カ所しか建設を許していません。
 「自分たちの生活を守るために国に話し合いを求めたり、座り込みをすることが、妨害行為と認められるなら、物が言えない状況が広がってしまいます。皆さんのお力をお貸しください」と伊佐さんは訴えています。
〈署名問合せ先〉高江住民運動弾圧訴訟をたたかう伊佐真次さんの最高裁でのたたかいを支援する会(安保破棄中央実行委員会内)筍娃魁複械横僑粥烹苅沓僑

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