日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年10月25日号

2013年10月25日号  

公安警察が不当捜索 全生連の事務所などに 生存権保障運動への攻撃  

 大阪府警は10月10日、大阪・淀川生活と健康を守る会元会員の「生活保護法違反」を口実に、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の事務所(東京都新宿区)に対し、不当な家宅捜索をおこないました。同時に、全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)に再び、淀川生健会の事務所には3度目の不当捜索に入りました。全生連は12日、「生存権保障運動に対する攻撃と組織弾圧を直ちに中止することを要求する」との抗議声明を出しました。

 10日午前11時ごろ、全生連の事務所に、大阪府警の警備部公安第一課の捜査員10人が突然立ち入り、2時間にわたり、不当な家宅捜索をおこないました。全生連からの一報を受け、国民救援会中央本部は、法律事務所に弁護士の派遣を要請するとともに、鈴木猛事務局長ほか、東京都本部と合わせて7人の専従事務局員が駆けつけ、うち3人が、全生連事務局員、弁護士などとともに、捜索に立会い、不当捜索への抗議と監視をしました。
 警察が捜索で押収したものは、全生連の大会決定など事件とはなんら関係のないものも含まれました。なお、押収品は16日にすべて返却されました。

福祉切捨ての
攻撃と連動し

 今回の捜索は、元生健会会員の「生活保護法」違反が理由になっていますが、令状には詳しい容疑は書かれていません。
 今年に入り、大阪の会員3人の「生活保護法」違反で、淀川生健会や東淀川生健会、大生連の事務所が相次いで捜索をされました。
 この不当捜索の背景には、安倍政権による年金・福祉切り捨て、とりわけ生活保護制度への攻撃の強まりがあります。非正規労働者が労働者全体の36%を占め過去最高となり、収入200万円以下の労働者、「ワーキングプア」も7年連続で1千万人を超える事態です。生活保護を受給している人は216万人を超え過去最高となっています。
 こうした状況のもと安倍内閣は、今年8月から大規模な生活保護基準の引き下げを始めました。
 これに対し、憲法で保障された生存権を守れと、1万人を超える人が引き下げの取り消しを求める審査請求をおこないました。これらの運動の先頭に立ったのが全生連と全国の生健会でした。
 今回の不当捜索は、この全生連運動に打撃を与えることが目的です。

組織への打撃
目論んだ捜査

 政府は、生活保護の切り捨て政策とあいまって、「不正受給」対策の名目で、福祉事務所の窓口への警察官OBの配置をすすめてきました。生活保護の申請を抑制する目的で、警察が福祉に深く関与してきています。
 そのような状況をふまえて今回の捜索をみると、通常、「不正受給」についての捜査は捜査課が担当しますが、生活と健康を守る会の事務所の捜索には、大阪府警の警備公安警察が当たっています。
 警備公安警察は、国公法弾圧堀越事件で、堀越明男さんを100人をこえる捜査員で尾行し、盗撮した警察で、革新政党や労働組合・民主団体の情報収集と組織破壊を狙う専門部隊です。この点からみても、今回の全生連への捜索が組織に打撃を与えることが狙いであることは明らかです。同時に、このような不当な捜索を、警察のいいなりで認めた裁判所の責任も重大です。
 不当な捜査の拡大を許さぬために、国民救援会としても各地の生活と健康を守る会とも共同して、とりくみをすすめていきます。

秘密保全法の上程阻止 臨時国会でのたたかいに向け、各地でとりくみ  

 政府が10月15日から始まる臨時国会に秘密保全法案の提出を狙う緊迫した状況のなか、秘密保全法(特定秘密保護法)阻止のためのさまざまなとりくみが強められています。

●中央本部
 反対の署名を
 内閣府に提出

 10月10日、全労連、自由法曹団、国民救援会の3者が全国で取り組み集約した、「秘密保全法の上程に反対する請願書」1万5251人分を内閣府に提出し(写真)、要請をおこないました。
 要請には、国民救援会中央本部の鈴木猛事務局長、坂屋光裕事務局次長が参加し、対応した内閣府大臣官房職員にそれぞれ秘密保全法の問題点を述べて、政府が秘密保全法案(特定秘密保護法案)を国会に提出しないように要請しました。
 鈴木事務局長は、「今回の秘密保全法は、政府の判断で都合の悪い情報を隠すものです。政府はみずからの政治について、主権者である国民に情報を公開することで検証をしてもらうべきであり、それに逆行するものです。法案を上程しないよう強く求めます」と述べました。

●東京
 シンポを開き
 90人が参加

 10月3日、東京・文京区で、全労連、自由法曹団、国民救援会が主催し、「10・3シンポジウム 安倍政権でどうなる私たちの人権―監視・管理・統制がすすむ社会―」がおこなわれ、90人が参加しました。パネラーの上智大学教授の田島泰彦さんは、政府原案の秘密保全法の問題点を、秘密の不特定性、秘密を取得した場合などの重罰性、秘密取扱者の適性評価制度など多岐に渡って解説し、今回の法案は、警察情報をも秘密にする点で重大であるなどと述べ、『週刊金曜日』発行人の北村肇さんは、安倍政権は、明文改憲せずに秘密保全法などで憲法を有名無実にしようとしているなどと安倍政権の危険性を述べ、憲法に再び息を吹き込むような運動をしようと呼びかけました。

●千葉
 反対する会の
 準備会が発足

 10月9日、国民救援会千葉県本部などの呼びかけで「特別秘密保護法に反対する千葉の会」の会議が行われ、5団体が参加して準備会が発足しました。
 「法案」上程が狙われる臨時国会開会を目前に控え、広く市民に訴えるため、23日には昼休み宣伝行動をおこなうなど宣伝・署名をおこなうこと、さらに広い民主団体などに「会」への参加を広げながら、30日に法案の危険性を学ぶ学習と「会」の正式結成のための集会を開くことを決めました。

三重・名張毒ぶどう酒事件 最高裁は再審開始を 弁護団が最終意見書提出 最高裁  

 名張毒ぶどう酒事件弁護団は9月30日、最高裁に対し、6月19日付検察官意見書の誤りを正した最終意見書を提出しました。
 検察官は、この間秘かに、差し戻し異議審で裁判所が選任したK鑑定人に新たに鑑定を依頼しました。裁判所選任の鑑定人は最後まで中立公正を維持すべきであり、一方当事者である検察官の依頼を受けること自体、中立公正さを疑われます。その上、K鑑定人は差戻し異議審で鑑定のために新たに作られたニッカリンTの残量を裁判所に返還・提出することなく隠し持っており、これを使って検察官の鑑定依頼に答えたのです。6月19日の検察官意見書はこのK鑑定に依拠しており、その内容に触れるまでもなく、不当・不公正なものです。
 検察官意見書は内容面からみても、非科学的で証拠に反する意見書です。K鑑定は、ニッカリンTをぶどう酒に混ぜてから5分以内にエーテル抽出すれば、エーテル層にニッカリンT特有の不純物が加水分解される前の物質が抽出されるというものですが、その実験結果(NMR計測の結果)からは、当該物質(不純物が加水分解される前の物質)が抽出されたという判断は到底できないものです。また事件の飲み残りぶどう酒は毒物が混ぜられてからペーパークロマトグラフ試験にかけられるまでに10数時間が経過していることが証拠上明らかなので、検察官の「ニッカリンTをぶどう酒に混ぜてから5分以内にエーテル抽出した」という想定自体があり得ないことです。
 これまで検察官は、犯行に使われた農薬が、奥西勝さんが当時持っていた「ニッカリンT」であったとしても矛盾しないとしてその主張を変遷させてきました。検察官意見書もその例に漏れません。これまでの審理経過から確定死刑判決には説明できない合理的疑問があることが明らかになっています。
 いま最高裁に求められているのは、速やかにかつ明確に検察官の不当な異議申立を棄却し再審開始決定を確定する判断を出すことです。

取調べの可視化を求める市民団体連絡会 現状では冤罪繰り返す 院内集会に110人  

「これが新時代の取り調べの可視化?〜ガラパゴス化する日本の刑事司法〜」と題し、取り調べの全面可視化を求める院内集会が10月8日、国民救援会も参加する取り調べの可視化を求める市民団体連絡会主催、日弁連の共催でおこなわれ、国会議員3人を含め、110人を超える人が参加しました。日弁連の小池振一郎弁護士が、国際社会から見た日本の刑事司法の問題と題して基調報告をおこない、「警察の取り調べを野放しにしていてはいけない。拷問禁止委員会など、日本が批准している条約機関の勧告を法制審議会に反映させることが重要だ」と述べました。
 その後、ジャーナリストの青木理さん、法制審特別部会委員の青木和子弁護士、なくせ冤罪!市民評議会代表の客野美喜子さん、東京経済大学の寺中誠さんを迎えてパネルディスカッションが行われ、取り調べの全面可視化と反対の方向に向かっている法制審特別部会を批判し、全面可視化の重要性を明らかにしました。

鹿児島・大崎事件 鑑定人尋問で明らかに――福岡高裁宮崎支部 「有罪判決の死因が違う」  

 義理の弟を殺した犯人とされ、一貫して無実を訴えている大崎事件・原口アヤ子さんの第2次再審請求審で、鑑定人で元東京都監察医務院長の上野正彦氏の尋問が10月3日、福岡高裁宮崎支部でおこなわれ、被害者の死因はタオルでの絞殺という確定判決の認定の誤りが明らかにされました。
 当日は、裁判所職員へのビラ配布と検察庁への証拠開示要求の宣伝行動をおこない、午後、裁判所前に84人の支援者が集まり、弁護団を激励しました(写真)。
 尋問後の会見で上野氏は、30年間の経歴の中で2万件の「犯罪か病死か事故死か分からない事件」に立ち会い、うち5千体の解剖の経験から、「これまで気管が止まったことによるものと、絞殺によるものとの区別がなされてこなかった。体の表面だけにとらわれず内部に残る証拠をあわせなければ真実はわからない。その差を今日は明確に説明した」と述べました。「本件では、タオルで絞殺した際にできる、さく状痕(こん)がないし、それにともなう皮内出血もない。タオルで絞殺の時は頭の静脈の血液はうっ血があるはず。しかしうっ血がない。そのうえ食道などの損傷もない。したがって、タオルでの絞殺はありえない」。死因は「タオルで絞め殺したのではなく、気管が圧迫され脳に酸素が届かなくなったことによる窒息死」と証言。これにより、知的障がいのある3人の「共犯者」の「自白」が虚偽で、確定判決の認定の誤りが浮き彫りになりました。
 次回は11月14日で、心理学者の高木鑑定人の尋問がおこなわれます。(宮崎県本部事務局長・堀田孝一)

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional