日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

2013年1月15日号

2013年1月15日号  

福井女子中学生殺人事件 再審の確定を急げ 審理引き伸ばし阻止―要請ハガキ集中を  

 一昨年、再審開始決定を勝ちとった福井女子中学生殺人事件(請求人=前川彰司さん)の審理が大詰めを迎えています。検察の審理引き伸ばしを許さず、再審開始決定を確定させるため、全国からの要請を強めましょう。

 2011年11月に名古屋高裁金沢支部で出された再審開始決定。検察の異議申し立てにより、審理は現在、名古屋高裁でおこなわれています。弁護団は12月10日、検察が提出した異議申し立てと、その後の補充書に対する全面的な反論意見書を名古屋高裁に提出しました。
 一方検察は、再審開始決定の決め手のひとつである、「確定判決が認定した2本の包丁以外の凶器がある」とした弁護側鑑定をくつがえそうと、12日に千葉大学医学部・岩瀬博太郎教授の証人申請を裁判所に申し立てました。同証人は、先に提出された検察官による調書のなかで、鑑定における傷の長さなどの計測に伴い、誤差が生じる可能性について述べています。これに対し弁護団は、「原審(名古屋高裁金沢支部での審理)のなかで、2つの傷に見られる刃幅と傷の深さの大幅な矛盾について、計測誤差では説明ができないことは、検察側鑑定人の石山氏も認めている。決着済みの論点を不当に蒸し返し、本件との関連性すら不明確な抽象的一般論を繰り返す岩瀬氏の尋問を実施すべきではない」として14日に名古屋高裁に「上申書」を提出。早急に決定を出すよう求めました。

審理すすめば
年度内に判断

 こうしたなか、名古屋市内で27日に弁護団意見書についての緊急学習会がおこなわれました。
 弁護団の吉村悟弁護士が、1年におよぶ異議審の進行状況を報告。第3の凶器の存在が示されていること、大量の血液を付けた前川さんを見たという証言があるがどこからも血痕が発見されないこと、犯行態様が計画的であり複数犯の可能性が極めて高いことが明らかになり、物的証拠から無実は明らかと述べました。さらに、「元暴力団員の供述により前川さんが犯人とされたが、供述が何度も変遷し、そのたびに関係者供述が変更させられていることを検察官が認めた。物証、供述ともに検察官主張は矛盾・破綻を来している」と報告し、裁判所が早く検察の異議申し立てを棄却すべきだと強調しました。
 参加者からは、「元暴力団員が前川さんを巻き込んで犯人に仕立てたことによって、減刑をされたというのは許せない」「早く再審無罪を勝ち取って、前川さんの名誉を回復させよう」などの声が上がりました。
 検察申請の証人が採用されなかった場合、早ければ年度内にも決定が出される見通しです。集会では、早期に証人不採用を求める要請ハガキを裁判所に届けること、1月18日、2月15日の名古屋高裁への要請行動への参加などが呼びかけられました。

〈再審開始要請先〉〒460―0001 名古屋市中区三の丸1―4―1名古屋高裁・志田洋裁判長

静岡・袴田事件 DNA型、袴田さんと一致せず」  

 1966年、一家4人を殺害したとして死刑判決を受けている袴田巌さん(76)の再審請求審で、12月26日、静岡地裁で弁護側鑑定人に対する検察の反対尋問がおこなわれました。
 犯行時の着衣とされた衣類に付着した血痕のDNA型鑑定をめぐって、弁護側鑑定人の本田克也筑波大教授は、被害者のDNA型と一致したものは確認されず、袴田さんのDNA型にも一致しないと鑑定しています。この日おこなわれた検察側の反対尋問で本田教授は、「適切な手法で鑑定した」、「鑑定結果には自信がある」と述べ、鑑定の信頼性をあらためて強調しました。
 検察は、DNAが血液由来のものかどうかを調べた本田教授の鑑定方法が、「独自の手法」だとして疑問視していました。尋問で本田教授は、「鑑定実施前の予備実験で、血液由来のDNAが採取できると確認した」と述べ、鑑定結果の信頼性を強調しました。
 尋問後の記者会見で弁護団は、「自信を持ってとりくんだ鑑定で、裁判官にも、鑑定の正しさを確信してもらえたと思う」と評価しました。本田教授は、過去に再審無罪が確定した足利事件でもDNA型鑑定をおこなっています。
 1月28日には、検察側鑑定人に対する、弁護側の反対尋問がおこなわれます。裁判所は、これらの尋問の結果を踏まえて再審開始の可否を決定する見込みです。
 袴田巌さんの姉・秀子さんは、国民救援会静岡県本部にあてた正月の挨拶のなかで、「闘い続けてきたいま、肩の荷が少し軽くなったような気がします。今回のDNA鑑定結果は、再審請求審の山場。今一歩の闘いと心を引き締めています」と語っています。

再審・えん罪事件全国連絡会が総会 裁判官を変える運動を いっそうの前進を確認  

 再審・えん罪事件全国連絡会の第21回総会が12月1〜2日、大阪市内で開かれ、61人が参加しました。
 総会に先立ち、「再審事件の新たな動きと今後の課題」と題して、大阪大学大学院高等司法研究科の水谷規男教授による記念講演がおこなわれ、冤罪事件での相次ぐ再審開始決定などについて解説。「裁判官は、自分には真実が分かると思ってはいけない。普通の人が抱くであろう疑問を大事にしなければならない。有罪慣れしている裁判官を変えていく必要がある」と強調しました。
 総会では、各事件の情報を共有財産として活用し勝利に結びつけたいという意見や、検察の証拠を開示させることの重要性、刑務所内での処遇改善のとりくみを強める必要などの報告がされ、運動をいっそう前進させることを確認しました。

東京・東村山署逮捕事件 男性の不起訴勝ちとる  

 宣伝中に酔った市民から暴力を振るわれた男性が、逆に傷害容疑で令状逮捕された事件で昨年11月16日、男性の不起訴が決定しました。
 事件は9月17日、東京・清瀬市内でおこったもので、警備課によって引き起こされた弾圧事件でした。男性は2日後に釈放。地元では東村山署への抗議や東京地検立川支部への不起訴要請などに繰り返し取り組んできました。

鹿児島・大崎事件 鑑定人の尋問を 弁護団が記者会見  

 裁判長が、証拠開示も事実調べもしないで「年度内に再審の適否を判断」すると述べる重大事態となっている大崎事件で、弁護団は12月22日、記者会見をおこないました。
 新たに提出した法医学者の鑑定書などにより、被害者の遺体の状況と「共犯者」とされる人たちの自白による犯行形態が矛盾することが確認されることから、この鑑定手法や判断根拠などを鑑定人に直接尋問することは、鑑定結果を正確に理解するうえで欠かせないと弁護団は説明。裁判所が検察に証拠開示を促した結果、無罪につながる強力な証拠が見つかった事件が相次いでいる、鹿児島地裁は証拠開示命令をおこない、確定判決の検証を徹底的に尽くすべきだと強調しました。
 再審請求人の原口アヤ子さんは「私がやっていないことを分かって欲しい。きちんと調べて」と訴えました。
 国民救援会鹿児島県本部の野村昭也副会長は「再審無罪をめざし、全国から要請はがきが大量に裁判所に届いている。原口さんは高齢でもあり、再審開始と無罪判決を早急に勝ちとりたい」と話しました。

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional