日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年9月15日号

12年9月15日号  

愛知・豊川幼児殺人事件 現地調査で事件の不当性に怒り  

 愛知・豊川幼児殺人事件で冤罪を訴えている田邉雅樹さん(45)の無実を確かめようと9月1日、2日、13都道府県から50人が参加して、第2回全国現地調査がおこなわれました。参加者は厳しい残暑の中、幼児を投げ捨てたとされる豊川市の岸壁などで再現実験し、「自白」通りの犯行は不可能だと実感しました。

事実に合わせ「自白」が変遷

 1日目は事件を報道した番組を見たあと、弁護団の後藤昌弘弁護士を講師に事前学習会をおこないました。この事件で田邉さんを犯人とする物的証拠はなく、裁判では「自白」の信用性が最大の争点となりました。
 「自白」では、幼児の殺害方法について供述が大きく変わっています。逮捕当初、「幼児を岸壁に立たせて背中を押して突き落とした」と供述していました。ところが、犯行時刻は干潮時。真下には巨大な岩石が幅3メートルも現れているため、突き落とせば幼児の身体に傷が付くはずなのに、遺体には外傷がありません。この点が新聞で報道されると、「幼児の後ろに立って抱き上げ、幼児を前方に勢いよく押し出して海中に投げた」と「自白」が変わりました。一審は「自白の信用性には大きな疑念がある」として無罪判決。しかし二審の名古屋高裁が懲役17年の逆転有罪判決を言い渡し、最高裁で確定しました。

警察が監視し「自白」を強要

 後藤弁護士は2回目に接見した時、田邉さんが起訴状に書かれた「幼児を連れ出した」「海に投げた」ことしか覚えてないと言うため不自然に思い、「本当にやったの」と聞くと、田邉さんは突然泣き出し、「覚えがありません」と訴えたこと、刑事に大声で怒鳴られ、机を叩いたり、椅子を蹴飛ばされたりしたため、早くこの場から逃れたいと思い、やってもいない犯行を「自白」してしまったという、田邉さんの様子を生々しく語りました。
 田邉さんはいったんは否認したものの、その後も犯行を認める調書や図面を次々と作成させられました。田邉さんは小さい頃からひどいいじめを受けていたため、他人の言葉に卑屈なまでに従ってしまう性格です。東海学院大学の長谷川博一教授の心理鑑定では「非常に迎合的である」との結果が出ています。
 田邉さんは事件から9カ月後、早朝に任意同行を求められ、夜はビジネスホテルの3人部屋に2人の警察官と共に宿泊し、翌日深夜に「自白」。長時間の強引な取調べでウソの自白に追い込まれたのです。
 また、田邉さんが幼児を連れ出すのに使用したとされる車は、徹底した微物検査がおこなわれましたが、幼児の毛髪などの遺留物は一切検出されませんでした。
 集会では大分刑務所に収監されている田邉さんからのメッセージ(別掲)も紹介されました。

深夜の岸壁で犯行は不自然

 2日目の現地調査では、幼児が行方不明になったゲームセンターの駐車場で、事件当日、幼児が乗っていた車の位置などを確認。車が頻繁に出入りする駐車場で、幼児の泣き声がうるさいからといって、わざわざ連れ出すのは不自然だという声が多数出ました。
 幼児を投げ捨てたとされる佐脇浜の岸壁では、幼児の身長、体重と同じ大きさの人形を、「自白」のように、海に放り投げる実験をしました。
 参加者からは、「岸壁に立っているだけで落ちそうで怖い。深夜暗闇の中ならなおさらでは」「人形だから動かないが、人間を3メートルも放り投げることはできない」などの感想が出されました。
 まとめの集会では守る会の熊谷武副会長から4つの行動提起を拍手で確認。参加者からは「自白のみで有罪はおかしい」「田邉さんを救いたいという思いが強くなった」「地元で事件の不当性を広めたい」と感想が出され、一日も早い再審をめざそうと確認しました。

私を助けてください田邉雅樹   

 私は今現在においても毎日終始無実を訴え続けて、再審めざして頑張っております。一日も早く今後の再審請求が認められて無罪を獲得できるように、最後まで諦(あきら)めずに自分に信念を持ち続けて頑張っていきます。
 現実において、私は無実の罪に着せられて受刑者となって服役中であり、残念で悔しくてたまりません。今後共末永く私の事件の支援者として活動してくれて、私の両親及び私に激励の絵葉書等を送ってくれる事を心から願っておりますので、支援者の皆さん私を助けてください。
※大分刑務所 〒870―0856 大分市畑中303

▼豊川幼児殺人事件
 2002年7月28日深夜、愛知県豊川市内のゲームセンターの駐車場に停めてあった車から1歳10カ月の幼児がいなくなり、4時間後に4キロ離れた佐脇浜の岸壁で水死体となって発見されました。
 9カ月後、駐車場を寝場所にしていた田邉雅樹さんが逮捕、起訴されました。一審は無罪でしたが、高裁で懲役17年の逆転有罪。08年最高裁で確定。田邉さんは大分刑務所に収監。現在、弁護団は再審の準備中。

国民救援会が新たに支援決定した冤罪事件 東京・三鷹事件  

 国民救援会は第12回中央常任委員会(7月7日)で、東京・三鷹事件の支援を決定しました。事件について紹介します。

 三鷹事件は、下山、松川事件とならんで、アメリカ軍の占領下で国鉄をめぐって引き起こされた3大謀略事件の1つです。
 1949年7月15日、国鉄労働者10万人の大量首切りに反対するたたかいの最中に、現在の東京・三鷹市の中央線三鷹駅構内で発生した無人電車の暴走によって6人が死亡、20数人が重軽傷を負った事故を、捜査当局は国鉄労働組合員と共産党員の犯行であるとしました。
 7月17日、国鉄労働組合三鷹電車区分会長の飯田七三さん(元国民救援会中央本部副会長)らが逮捕され、つづいて竹内景助さんら三鷹電車区分会員ら合計10人が「電車転覆致死」の実行犯として、2人が偽証罪で逮捕、起訴されました。
 竹内さんは、電車転覆致死傷罪の被告とされ、1950年、共犯として起訴された他の被告全員が無罪を言い渡されるなか、東京地裁で無期懲役、1951年に東京高裁で死刑を宣告され、1955年に上告を棄却されました。竹内さんは、無実を主張して1956年に東京高裁に再審を申し立てましたが、東京高裁は1967年に竹内さんが獄中で死亡(45歳)したことを理由に、再審の手続は終了したと決定しました。
 2011年11月に竹内さんの遺族が、第2次再審を東京高裁に申し立て、国民救援会に支援要請を求めました。

矛盾する証拠

 この事件で、竹内さんが犯人であるとする証拠は、捜査段階及び公判廷での竹内さんのウソの「自白」しかありません。
 確定判決は、犯人が1人でも犯行が可能であるとしていますが、根拠となる証拠と理由は何ら示されていません。
 また竹内さんの自白は、犯人しか知り得ないことを自白した「秘密の暴露」も存在せず、自白を裏付ける物証や客観的な証拠もありません。むしろ、自白と矛盾する証拠が存在し、自白の信用性は極めて弱いものです。
 また、唯一状況証拠としてあるのは、事故後の時間帯に、三鷹駅正門前の道で竹内さんと出会ったという目撃者の公判での証言です。
 確定判決の罪となるべき事実は、竹内さんと犯人の同一性について、極めて脆弱な証拠によって認定されています。
 確定判決は、検察が国鉄労働組合と共産党員が共同謀議し、組織的な犯行をしたという主張については、被告人らには明確なアリバイがあり共同謀議は「空中楼閣」としてその犯行を否定して、竹内さん以外の9人を無罪としました。しかし、竹内さんについては、公判廷での単独犯行の供述に基づいて、無期懲役としました。(東京高裁で9人の無罪が確定)
 確定判決が認定した竹内さんの「自白」どおりに、単独での犯行が可能なのでしょうか。

犯行は不可能

 確定判決では、竹内さんが第1車輌(先頭車)の運転席に入って、電車を発車させるための操作をして、最後に第1車輌のパンタグラフ(鉄道車両が電線から電気を得るための装置)を上昇させると、電車の室内燈がつき、コンプレッサー(空気圧縮機)が音を発したので、すぐに運転室を出て第1車輌から飛び降りて逃げ去ったところ、間もなく無人電車が発進して暴走した、と認定しています。また、第2車輌のパンタグラフが上昇していたことについては、脱線の衝撃で上がったとしました。
 この判決では次のような問題があります。

第2車輌のパンタグラフ問題

 弁護団が新証拠として提出した鑑定書では、検証調書の写真や第2車輌のパンタグラフの損傷から、第2車輌のパンタグラフは上昇した状態で、破損した電柱や電線の部品などが、下から上へパンタグラフの舟板に衝突し、舟板が変形して摺(すり)板(いた)体が脱落したことを明らかにしています。これによって、第2車輌のパンタグラフが脱線の衝撃で上がったという確定判決の認定の誤りが科学的に明らかにされました。
 また、目撃者は「スパーク(火花)が2回出たからパンタグラフは2つ上がっていたと思われる」と証言しています。
 事故発生前、電車のパンタグラフはすべて下がっていたことは、運転手の供述に基づき検察官も認めています。したがって、第2車輌のパンタグラフを上昇させたのは、事故を起こした犯人となります。
単独での犯行は不可能
 鑑定書では、第2車輌のパンタグラフを上昇させるためには、第1車輌のパンタグラフを上昇させた後に第2車輌の運転台へ移動して、上昇させる操作をおこなわなければならないことを明らかにしています。
 しかし、事故車両は相互に車内を移動出来ない構造のため、第1車輌から第2車輌へ移るためには、いったん第1車輌から降りて、第2車輌に乗り移る必要があるとしています。
 ところが、第1車輌のパンタグラフを上昇させると、わずかな時間で電車が動き出します。単独犯で第2車輌のパンタグラフを上昇させるためには、動き出した電車に飛び乗る必要があり、このような芸当は人間には不可能であり、犯人が複数犯であったことが推認されます。

片手でハンドルの固定はできない  

 竹内さんの「自白」では、左手で車輌の運転台のコントローラー(主幹制御器)のハンドル(把手)を、電車が進むように押さえ(押さえておかないとバネの強い力でハンドルが戻ってしまう)、右手だけで紙紐を電線に巻き付け、「コイル巻き」という特殊な結び目を作ってハンドルを固定したとしています。
 しかし、このような工作をすることは多くの電車の運転手の経験によって、単独では不可能だとしています。
 また、確定判決はハンドルを固定するために紙紐を使ったと認定していますが、竹内さんの「自白」では、麻紐で結んだとなっていました。しかし、現場からは麻紐は発見されていません。

アリバイがある
 竹内さんは、事件当時は三鷹電車区と道路一つ隔てた官舎に住んでいました。事件が発生した時間には、職員用の風呂に入っており、逮捕直後には「風呂場で上司のAさん、同僚のBさんと一緒だった」と、アリバイを主張しました。
 第1次再審請求では、元職場の上司A氏と同僚B氏による、竹内さんのアリバイを裏付ける供述が新証拠として提出されています。A氏は、「風呂に入ってしばらくして停電があってすぐ点いた。そのとき、竹内さんと湯船の中で話をした」と述べています。確定審の証言では、脱線転覆事故によって停電しており、事故当時竹内さんは、職場の上司・同僚らと風呂に入っていたのです。

宮城・北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件 科学的判断で再審を 署名2万を提出し、裁判所要請  

 入院患者の点滴に筋弛緩剤を混入し、患者を死亡させたとして、准看護師の守大助さん(41)が犯人とされた仙台北陵クリニック・筋弛緩剤冤罪事件で、8月28日、同事件の全国連絡会は、仙台地裁の鈴木信行裁判長に対して、速やかな再審開始を求める1万9523人分の署名を提出しました(累計で2万2214人分)。
 守さんは、今年2月20日、仙台地裁に再審請求書を提出。3月20日には同事件の全国連絡会が結成され、早期再審を求める署名運動がとりくまれてきました。この日は、裁判官、弁護団、検察官の三者による第2回三者協議が開かれる日となっており、これにあわせて全国連絡会としての1回目の署名を提出したものです。
 守さんの母・祐子さんを先頭に、北海道、東北地方と栃木、神奈川の守大助さんを守る会・支援する会と国民救援会の代表およそ30人は、持参した署名を次々に机の上に積み上げ、一日も早く再審開始を決定するよう訴えました。
 これに先立ち、正午より仙台市の繁華街にて各地の守る会・支援する会、国民救援会の代表の約40人が、ジャンボ横断幕を掲げ、宣伝行動をおこないました。
 徳島の会の佐藤典子さんは、「高校生の時の怪我がきっかけで人の命、健康を守る職業に就きたいと医療従事者になった心優しい大助さんが重大な事件をおこしてどんな得があるか」と訴えました。

検察年内に意見書 第2回三者協議  

 8月28日、仙台地裁において、弁護団、裁判官、検察官による第2回三者協議が開かれました。
 協議で検察は、再審請求書に対する検察側意見書の提出時期について、「年内に出せるよう努力したい」と述べました。
 弁護団は、質量分析の結果、被害者の血中から検出された物質が、筋弛緩剤の成分「ベクロニウム」ではなく、筋弛緩剤を投与した事実はないと主張しています。
 一方、検察側は、再度質量分析をおこなった結果を踏まえて、次回協議のある12月20日までに意見書を出すとしました。

名張事件 奥西さん救え 最高裁に要請  

 名張毒ぶどう酒事件で、各地の守る会と国民救援会は8月31日、最高裁に対して早期の再審開始と、奥西勝さん(86)の釈放を求めて宣伝と要請行動をおこないました。
 宣伝行動には25人、要請行動には17人が参加。7都県から要請に参加した支援者は、「51年もの間、獄中で頑張ってきたのは、奥西さん自らが無実であることを証明したいという希望を持っているからだ。その希望を実現させたい」「裁判長は良心をもって、その職権で即時釈放と再審開始をし、無実を一日も早く明らかにすべき」などと訴えました。
 この日、要請署名6792人分が提出されました。

神奈川・デパート地下痴漢えん罪事件 免職取消し認めず  

 痴漢冤罪事件で有罪が確定したことを理由に、07年、横浜市教育委員会が高校教員の河野優司さんを免職にした処分の取消しを求めていた裁判で、8月30日、横浜地裁の阿部正幸裁判長は、河野さんの請求を棄却する判決を出しました。
 判決は、「被害女性らに与えた恐怖感は看過できない」などと、女性の言い分のみを認め、まともに審議せず免職を決めた教育委員会の処分についても、「手続きに瑕疵(かし)はない」としました。(神奈川県本部事務局ニュースより)

兵庫・姫路強制 わいせつ事件最高裁が不当決定  

 自称「被害者」女性のウソの申告で、わいせつ行為をしたとして、刑事裁判で有罪判決を受け服役した男性が、女性から損害賠償請求訴訟をおこされたたかっていた裁判で、8月29日、最高裁が男性の上告受理申立てを受理しない不当決定をしました。470万円の支払いを命じた判決が確定します。

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